呪いの意味
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マリーは、お布団の上に残されたルルの衣服と下着を抱えて、立ちすくんでいる。
暫く待っても、衣を取りに戻って来るわけでもなく、衣が後を追いかけるでもなく、裸ん坊、丸裸、そうそう、マークの好みであろう真っ裸、マッパ~のルルが、飛んで行ってしまったことの整理をつけようとしている。
「クリス様、私たちも行ってみませんか?」
「プラムちゃん、マリーちゃんだって、我慢できているのよ」
マリーは、我慢しているというよりも、一足遅れた自分のタイミングの悪さを噛み締めているのであった。直ぐに、ルルの後を追いかけたりするような、二番煎じの行動をとることには、年少の三桃ちゃんの手前からも、したくても出来ないというのが、本当のところなのである。
「そのうち、お助けコールが掛かるわよ、それまで、待ちましょう」
「本当に、お呼びが、かかりますか?」
「うんうん、かかりますとも」
「ネクターちゃんたちは、幻影のお風呂は、よく使うの?」
「はい、全ての者が、使っていると思いますわ」
「それは、そうと、禁断の果実を食べたのに、そのものが、どこにあるのか分からないなんてね」
「はい、その樹木が、その白桃が、禁断の果実とは、思わなかったですもん」
「そうよね、ネクター、私たちは、西の森でハタンの好きなハチミツを探していたのですものね」
「うん、そうよ、そして、ハチがブーンって、木の穴に、巣を見つけたって、覗き込んだらね」
「覗き込んだら?」
「三人で落っこちちゃったのよね」
「木の穴に?」
「はい、その穴は、ハチの巣じゃなかったみたいで、つんのめって何かに触ったとおもったら、樹木が一本の所にいたのよね」
「樹木が一本?」
「はい、白桃が鈴なりに、一杯成っている桃の木が、目の前にあったので、美味しく頂きましたのよね」
三桃娘は、この白桃を任務の散策中にハチミツ探しに夢中になって、散策よりも散歩になっている休憩に、丁度良いオヤツとして、のどの渇きと、小腹を満たす為に、大好きな桃を口にしたのであった。
その味は、今まで食べた如何なる桃よりも、美味しく、瑞々しく、身体中に染みわたっていくような得も言われぬ味わいだった。
食べた感じは、そんなものだったが、三人で話していると、追いかけて来たハチが飛んできて、ハチミツの在処まで、案内してくれたというのである。
行きついたハチの巣では、アナグマがハチミツを正に取り出そうとしているところだったので、自分たちの分も取り出して欲しいとお願いすると、二つ返事で承知してくれたので少々驚いたのである。
それも、身体中ハチに刺されて、倍以上の体格になりながら、取り出したハチミツを含む巣を全て全部差し出してくれたのである。
ハチの巣は、西の森の木の穴の傍だったので、ここまで、ハチに導かれて、戻ってきたことになる。
ここからならば、城までなんなく戻れた。
今日の収穫として、ハチミツをたっぷりと含んだハチの巣を半分だけ、上納する為に戻って来た。城門の前で同僚たちと今日の雑談しているとおかしなことが生じている、生じさせていることに気付いたのである。
意図する訳でもなく、自身が発する言葉通りの事を、会話をする同僚の全ての者が行動として返してくれるのである。
相手がふざけているのかと、面白がって、皆々に水瓶に飛び込ませたり、城壁をよじ登らせたり、果ては、集まってきた野次馬をも含めた数十人に、一糸まとわぬ裸踊りをさせてしまったのだ。
騒ぎが大きくなりすぎて、取り調べを受けることになったが、取調官もいいなりになってくれたのだ。
ここまでくると、自分たちの発する言葉通りに人々がなるので、なんらかの力が、自らの言葉にあるのだと気が付いたというのである。しかし、時すでに遅し。
上級取調官は、耳栓をして、三桃娘たちには、口枷を施し、筆談での取り調べが一人ひとり別々に、とことん続いたのであった。その取り調べ室を出た後は、縛られた後に、三人して、壊れかけの船の船底に放り込まれたというのである。
その後、何日か経って、俺達が乗り込んできたことは、みんなも共有できる認識である。
「私たちと暮らすようになってから、言葉の操りは、したことはないの?」
「はい、要は、こうさせちゃうぞっていう気持ちと一緒に、相手に言葉を投げかけることで制御できるようになりました」
「練習したの?」
「いえ、裸踊りの時に、裸にさせちゃいたい者と裸にしない者と区別できましたので」
「なるほど、使いこなせるようになったのね」
「はい、三人姉妹で認識を共有できましたわ、三つ子ですもの」
「三つ子だもんね」
「三つ子ちゃんね」
「でも、今にして思いますと、力を授かって、追放されて、みんなに家族に迎えられて、これで万事良かったのだと思いますのよ」
「それは、それは、その力もファミリーの支えになるはずよ」
「ありがとうございます、がんばります」
「がんばりますわ」
「ガンバです」
「ガンバですじゃなくて、ハタンちゃんも人任せにしないで、頼むわよ」
「はーい」
マリーとプラムは、クリスティーが聞き出してくれた、三桃娘による禁断の果実事件の経緯をよくよく聞いて、ファミリーの向上に期待を募らせ、後先を考えないで行動しちゃうオッチョコチョイのところをいかがしたら良いのか、顔を見合わせて頷いている。
自分達だって、結構なオッチョコチョイのくせにね。
言葉を操る力は、魔法なんだろうね。
ここまでの聞き取りで、操る方は、操ろうとして言葉を発して効果が発揮できるようであるが、操られる側は、言葉のままになりながら、その不本意を承知したまま操られるとのことで、やられている感が、操られている最中から認識できるらしいのだ。
ただ、その言葉の意味することが完了するまで、解き放たれない、正に呪いの言葉になるのである。
これが、女王が備える力というのだから、意地悪い力である。
魔法なのだから、操られる者は、気持ちよく操られるようには、出来なかったのであろうか。
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