ライム姉妹
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「イヤッ」
ネーブルは、またまた脛から太腿に掛けて、大きな違和感を覚えた。
今度は、先ほどの何物かが、這い上がってくるような感覚ではなく、ひんやりとして、ピタッとしながら、シットリと脛から太腿に掛けて、独特で締め付けられるような感覚だった。
脚がまるで、巻き寿司にでもされる様な感じである。
ネーブルの頭の中では、またもや、自分への刑なのか、拷問なのかが、刻々と、そして、粛々と執行されてきているのだと恐怖が一段と募ってくる。
恐怖の加速度が、現在進行形で増大していく。
「うふふっふ」
「あっ、止めてください」
「このまま、絞め殺しちゃうわよぉ~」
「あっ、お許しを」
「うふふっふ、カワイイお顔しちゃって、泣いちゃってるの?アハハっ」
「あっ、その声は」
「泣き虫ネーブル、縛られて、泣いちゃってますのね、うふふっ、かわいい」
「オロチちゃん!」
オロチちゃんは、二股に裂けた長い舌で、ネーブルの顔を舐めまわして、涙を拭ってあげると、今度は、耳の中にその舌先をねじ込んでいく。
「あっ、イヤ~ん」
ネーブルは、オロチちゃんが傍にいる安心感から、最大限に広がっていた恐怖心を小さくさせて、耳の中を擽られている身悶えするような感覚に溺れちゃっています。
そんなにカワイイ声を出しちゃうと、いつまでもオロチちゃんは、耳の中ペロリンを止めてくれるはずもありません。
オロチちゃんは、これでもかと、大好きな魅力的な穴に似ている、ネーブルの耳の中をベロでの探索を続けている。
そうです、チューちゃんの報告を受けたオロチちゃんが、カボスとスダチを連れ出したように、この牢獄にも潜入に成功したのです。
「オロチちゃんなんでしょ、イヤン、擽ったいわ、どうやって、ここに来てくれたの?」
「ネーブル、泣いちゃってるの、可愛くて、食べちゃいたいわ、ほれ、ホレ、ホレ」
「イヤ~ン、お耳の中から、頭の中まで、舐められちゃう~っ」
本来の目的をよそに置いたまま、存分にネーブルの味を堪能したオロチちゃんは、ようやっと、長い舌をネーブルのお耳の中から引き抜いて、今度は、ネーブルの肌の中にその身体を沈み込ませていく。
真っ暗で見えない空間の中で、ネーブルの白い肌に、濃紺の大蛇の刺青が刻まれていく。そして、ネーブルは、身体が燃え滾るような感覚に包まれて、黒光りする大蛇へと変身していく。
今回は、アンクレットに変身する方法のカボスとスダチを連れ出したやり方ではなく、刺青から合体という方法をオロチちゃんは、選択したらしい。
同じやり方よりも、気分が変わって良い物ね。そればかりではなく、最近合体をしていなかったオロチちゃんは、合体がしたかったのも、本当のところでもあります。
蛇は、椅子からの拘束をスルリと擦り抜けて、自身の尻尾の先を銜え込んで、大きなアンクレットになると、そのまま真っ暗な空間から跡形もなく消え去っていった。
俺の隣に、いつもの金属音ではなく、ボワンっとゴムのような、言うなれば、大きなタイヤが転がるような音がしたかと思うと、大きなアンクレットのような物が、出現してきた。
大きな輪っかは、見る見ると黒光りするガンメタちゃんへと変身した後に、オロチちゃんとネーブルへと分離していく。自分ではなく、ガンメタちゃんから戻る様子を見た俺は、結構、エロティックであると同時にグロテスクな光景だったのだと認識できた。
まさに、エログロって感じで素敵。
「キャー、大きな蛇が出て来た」
「おおっ、合体と分離、変身オロチちゃんね」
「あっ、ネーブルが、戻った、泣いちゃってるの?虐められちゃったのね」
「ロコちゃん、縛られて、すごく、怖かったわ」
縛られてのネーブルの言葉が、その涙ぐんだお顔のカワイイお口から発せられるのと同時に、俺の腿の付け根にググッとした感覚が走った。
さっきも確認したけど、男の子に戻ってないだろうな?
やっぱり、戻ってなかった。
「エアル?何してるの?さっきから確認してるの?ポジション変更?」
「えっ、ティーナちゃん、ティーナちゃんの見事な魔法に間違いはないと思ってるけど・・・」
「周りに私たちの見え方を変えているけど、そもそも、女の子に変身させてないもの」
「そうなの?」
「そうよ、見え方を変えて見せているだけよ、エアルだけじゃなくて、私たちも」
本当に、流石ですね。女神の魔法と合理性に感心してしまいます。
どうりで、ググっとくるわけだな。男の子の感受性は、もともとの身体なのだから、感度抜群のままなのですね。
ネーブルは、オロチちゃんにしがみ付きながら、ロコに南京豆を可愛いお口に押し込まれてつつ、慰められている。
そして、自分が取調室で聞かれたことなどを事細かに話してくれた。
それを聞いていたカボスとスダチは、この件の張本人であるにもかかわらず、当局のネーブルとの扱いの差に、本来ならば、助かったと思っても良さそうなものなのに、ちょびっとであるにしても、嫉妬心に似た感情も抱いてしまった。
実行犯と指示役といった位置づけに、自分たちは、手先ぐらいにしか見えないのだろうと思えたことから。年恰好も似たり寄ったりのネーブルの方が、上役と見えるのが、ちょっとばかり、悔しかった。
特段の意味もなく、なにげなく、カボスとスダチは、ロコから貰った掌の南京豆をネーブルに投げつけた。
鬼は、外、福は、内ってな感じ。
「イタっ」
「あっ、あなた達が、もしかして、ライム姉妹?」
「ちっ、ち、違うわよ、わたしたちは、カボスとスダチよ」
「やっぱり、ライム姉妹じゃないよ、見付けたのね、オロチちゃん」
「うん、別の牢屋で、裸足でトントンしてたのよ」
「裸足でトントン?バカねぇ~」
「何が、バカなのよ、捕まって、泣いちゃっているくせにぃ」
「なんなのよ!この生意気な奴らは」
まぁまぁ、ここで、仲違いしても何も良いことはないとルルが仲裁している。
まずは、俺達のしなければいけないことは、ここから出ることだ。
そして、禁断の果実を探すことが本来の目的であるはずだ。
カボスとスダチを追って、ここまできたのは、チューちゃんが連れていかれたことと、何かしらのモノを二人が探しているだろうと思ったからである。
チューちゃんも、俺達と合流したことでもあるし、ネーブルの言うところのライム姉妹も、禁断の果実の在処について、思うところが無いとすると、いち早くここから、お暇願うのが得策である。
さて、どうやって、ここからお暇しましょうかねぇ。
「ティーナちゃん、どうやってここらか出ようか?」
「全員揃ったのなら、考えるまでもないわよね」
「アンクレットは、ファミリーだけでしょ?」
「スーパーで現在位置移動できるでしょ」
「家まで帰っちゃうの?」
「表に出るだけよ」
「森の中とか?」
「そうねぇ、カボスちゃんの言っていた泉がいいんじゃないかしら?」
「泉は、森の西の方ですよ、なんだか、神秘的な所でしたわ」
「でしょ~っ」
「ファミリー以外の行った所でも、移動できるのかな?」
「関係ないでしょ、移動する者ならば」
「それに、魔法を発動するよりも、ペテン師のモノのが、気が付かれないで出られるんじゃないかしら?」
全員で輪になるように手を繋ぎ、その中心にルルが、首飾りにしてある魔法陣を置いた。
「何をするつもりなんですか?」
「カボスちゃんとスタチちゃんは、パンツを脱ぎ捨てた泉のことを思い起こして、そこに、パンツを取りに行くことを強く念じて」
カボスとスタチは、目を閉じてルルがいう通りに、念を送り始めた。
ネーブルは、半分呆れた感じの顔をしているが、その両手を繋がれている。
「さぁ、オロチちゃん、やっぱり、オロチちゃんに、いつもの言葉は、言って欲しいぞ」
オロチちゃんは、自分でなくとも発動するであろうこの渦巻移動の現在版を実行する為に、えっへんとばかりに、お口を開いていく。
みんなの輪を確認して、オロチちゃんがアンクレットの石っころを真っすぐに押し込む感じで、グイッとすると同時に、恒例の秘密の言葉を唱えた。
俺達は、ライム姉妹の念だけを頼りとして思いを集中させる。
「エ、ヌ、ジ、ア、イ、ブ、ル、ス、カ」
いつもの大きな光の渦が、カボス、スダチ、ネーブル、俺、ロコ、オロチちゃん、ティーナちゃん、ルルの八人全員を飲み込んでいく。
そして、輪の真ん中に置かれた魔法陣の紋章メダルに八人の手を繋がれた輪っかが、吸い込まれた後、牢屋の床に魔法陣メダルがメビウスの輪を描きながら回転している。
回転が収まって、床に倒れ掛かる瞬間に、またもや、ルルの手が現れて、そのメダルを掴むと、メダル諸とも牢屋から消えてなくなった。
「また、忘れちゃう所だったわ」
今度は、首飾りの鎖を伸縮自由なものにしようとルルは、テレポーテーション中の渦の中で改めて思うのであった。
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