二人
「お前たちの持ち帰った物は、何だ。珍しい物と騒ぎになっているが・・・」
「はい、西の森で、発見いたしました」
「何を発見したのだ?」
「これなんですけれど」
城の内部、中層階の取調室では、カボスとスダチに対して、聞き取り調査の名のもとの取り調べが始まった。
カボスとスダチは、チューちゃんの白骨を窓から捨てた後、自室を出て、貴重な物を発見したと意気揚々として、上官に報告に行ったのだが、その上官に部屋に入るなり、待ち構えていた特別高等警察部隊に取り押さえられたのだった。
まるで罪人を連行するように連れて来られたのがこの部屋だった。上官の部屋で目隠しをされて連れて来られたのだが、不思議と誰ともすれ違ったり、他の者にも見られた様子もない。
そして、二人には、ここがどこの階層かも理解することは、できなかった。
「それは、なんなのだ?」
「はい、ラッカセイだと思われます」
「ラッカセイ、何故それが、ラッカセイだと思ったのだ」
「はい、私の書物に出ておりましたものと同じでしたので」
「ほう、それで、それの何が、珍しいのだ」
「はい、ラッカセイは、いにしえの昔でしか、この地では、取れない草の実なのです」
「取れないとは?」
「この地では、絶滅している草の実なのです」
「何をバカな、そんな木の実は、どこにでもある」
「木の実では、ありません」
「それは、西の森にあるのか?」
「いえ、ありません」
「偽りを申したのか」
「西の森にて、それを携えておりました真白きネズミを発見したのです」
「マシロきネズミ?」
「はい、白い」
「そのネズミを見せよ」
「ネズミは、もうおりません、骨になってしまいました」
「おのれ、本当の事を言うつもりは、ないのだな」
「いえ、全て、誠の事であります」
「連れて行け、あとで、再度、調査する、このどこにでもある木の実は、こちらで処分する」
「待ってください、大発見なのですよ」
「連れて行け」
カボスとスダチは、再度、目隠しを施されて、取調室を連れ出された。
「厄介な事になりましたな」
「これは、本当にラッカセイという物なのか?」
「実物を見るのは、初めてですけれど、恐らく二人の言う通り、いにしえの食物と」
「これを調べよ、それと、西の森に捜索隊を出せ」
一方、低層階よりも下の階層、お風呂よりも地下に値する階層にある収容施設、まさしく牢屋というべき、罪人が逃げ出せない様に確保しておくエリアの一室にカボスとスダチは、押し込められ、目隠しを解かれた。
目隠しを外しても、その部屋は、薄暗いままで、灯りを意図的に灯されていないことが理解できた。
「カーチン、ねぇ、カーチン、私たちどこに入れられたの?」
「スーチン、ここは、間違いなく牢屋ね」
「城のどこいらへんなのかしら?」
「分からないわ、私たち姉妹を罪人としたのね」
「どうして、罪人なの?ラッカセイなんて、間違いって、言ってたじゃないの」
「こうなると、間違いじゃないのよ、まぎれもなく、いにしえの代物なのね」
「じゃぁ、何故?」
「私たちは、見付けちゃいけないものを見つけちゃったって事よ」
「見付けちゃいけないの?」
「この城に都合が悪いのよ」
「ラッカセイが?白いネズミが?」
「どちらもかしらね、このままだと、人知れずに、処分されちゃうわね」
「ええっ、禁断の果物の時みたいじゃないの」
「あれは、みんなが知っているけど、今度は、人知れずに消されちゃうのよ」
「イヤ~ん、コワイは、カーチン、お姉ちゃんでしょ」
「こういうときだけ妹なのねスーチンは、双子なのに。・・・・、なんとかしなくては」
取調室からの報告は、とても早く、城の上層階にある重臣たちに挙げられてきた。
特別高等警察部隊は、先ほどの調査と証拠物件を指し示して、今後の対応を仰いでいる。重臣たちは、皆同様に困惑した様子を見せて、女王の耳に入る前に、処理してしまいたい意向の結論に達したようであった。
「全く、困ったものだ。禁断の果実の事件以降、この世の中に存在している、魔力向上に起因するものを、皆がさがしておる」
「このラッカセイが、魔力を上げるものでは、あるまい」
「そのもの自体は、なにも問題ではない、無い物があるのが、問題なのだ」
「それは、そうだ、誰かが、作り出したのか、はたまた、誰かが持ち込んだのか」
「そうね、その二通りしかあり得ないのじゃ」
「作り出したのなら、それは、見たこともないものを作り出せるという事になり・・・」
「持ち込まれたのだとしたら、よそ者が、我が国に入り込んできたことになる」
「この魔法使いの国に、外から入れるものなどいるのか」
「限りなく、いないと思われるのだが、絶対はないのが、常だ」
「女王陛下のお耳に入る前に、処理し、城内に広がりつつある噂を消し去るのだ」
閉鎖的な国の、閉鎖的な城の、閉鎖的な思考の者どもが、守りたいものは、只々一つ、只一人。
魔法の国の根源でもあり、魔法の国そのものと言える女王只一人を守るためにこの国は、存在しているのである。
考えてみれば、道理にかなっていることでもある。蜂のようであるというように、女王以外は、全て女王の子供なのだ。女王自身がいなければ、この国も、この国に息づく全ての者どもも、生まれいでることがないのである。
ああっ~、ややこしい所に来てしまったものだ。本当にこの地に、魔法の源が存在するのであろうか。それが女王ってことなのかしら?
俺は、まだ知る由もない。
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