金
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ハニービーの報告によると、内部は本当にハチの巣のような迷路状になっていて、各部屋がズラリと通路の両側に並んでいる。大きな広間も各階層に備わっていて、およそ五十数階層にもフロアが連なっているらしい。
最上部付近は、この小さなビーちゃんでも入り込めない程になっているようで、様子を伺い知ることが出来ないとの事だった。多分、最も格式の高いこの城で最も守るべき者がその内部にいるだろうことが想像できるとのことだった。
そして、俺達が一番驚いたことと同様に、内部はどこも日の光と同じような明るさが保たれていて、また暗くする仕掛けもあるとのことだった。
「さて、どうしましょうか?」
「何を探すかだよな」
「まずは、チューちゃんを助けなくちゃ」
「ビーちゃんは、チューちゃんの行方を探知できなかったのかしら?」
ティーナちゃんが改めてハニービーに聞いてみると、内部にそれらしきモノは、見当たらないとのことらしい。尤も、ビーちゃんの入れなかった最上部付近へチューちゃんが連れていかれたとすると、この城の内部にいることもあるだろう。
「チューちゃんが、この短時間で最上部へ連れていかれたとは、思えないよ」
「そうかなぁ?」
「そうね、チューちゃんを連れて行った二人連れは、一般の金髪ちゃんでしょ、高官って感じじゃなかったもん」
「なら、チューちゃんは?」
ロコは、ポケットから天使の笛を取り出して銜えようとする。
「待って、ロコ」
「今は、吹かないで」
俺と同時に、ティーナちゃんもロコを止めた。
「今、音もそうだけど幻影を出すのは、まずいよ」
「他の者に私たちが、何者か気づかれちゃうわよ」
「みんな魔法使いだから、大丈夫じゃないの?」
「種類の違う者とバレるのは、危険だよ」
「私も変身できないわね」
「当り前だよ、オロチちゃん。その通りだよ、空気を読んでちょうだいね」
ロコは、諦めきれないチューちゃんへの想いを持ったまま、天使の笛を吹くことを諦めてくれた。
チューちゃんもそうだけれど、金髪娘に化けられてしまったことに夢中になり過ぎていて、コンコンの存在をすっかり忘れていたが、どうしたんだっけ?
「そういえば、コンコンは、どこへいったんだっけ?お外でお留守番?」
「何言っているのよ、ここよ、コンコンは、襟巻だもん」
「どこ?首に巻きついていないよ?」
「マーク、そこよ、そこ」
オロチちゃんが指さした所には、ロコの左足首にグレーのレッグウォーマーが片脚だけ装着されている。なるほど、生きている襟巻は、本来の務めに専念しているのだろう。但し、今は、首ではなくレッグウォーマーとしてだけどね。
「チューちゃんは、お城の外に出たのかもしれないよ」
「本当?そうなのかなぁ?」
「多分、大丈夫よ、チューちゃんは、ゲリアの井戸のシャレコウベだから」
「だから?」
ティーナちゃんが言うには、元々只のハツカネズミではないというのだ。頭蓋骨のみのじゃべることのできるシャレコウベに、魔法の身体を女神が授けたのだから、そうそう簡単には、どうこうならないというのが女神自身の見解らしい。
それならロコの足首にしがみ付いている魔法の産物であるコンコンも同じであろう。一つ気がかりが残るとするならば、ここは魔法の国で周りにいる全ての人々もまた魔法使いだってことだろう。
普通でないこの環境における普通のことって、そもそも通用するのであろうか。この国にいるネズミは、元々俺達の知る普通のネズミではないとしたら、うちのチューちゃんの安否は、ますます不確定なものとなってしまう。このことは、ロコに伝えるのは止めておこう。気持ちの優しいロコをこれ以上心配させるのは、よろしくないであろう。
ティーナちゃんは、ビーちゃんの報告を全て確認したようで、また頼むわねと言った後に、指をパチンと鳴らして小さなミツバチの存在を無に戻した。出しっぱなしだとロコがまた気をもんで疲れちゃうのを考えての事なのだろうかな。
「チューちゃんを連れて行った二人組を探したらいいのよね」
「それはそうだけれど、ティーナちゃん。こんなにいるんだからねぇ」
「ビーちゃんによると調査部隊は、最下層の部屋に入って行ったらしいわよ」
「じゃあ、この階?それとも地下かな?」
「それは、なんとも」
オロチちゃんが徐に、入り口から通路に入ってきた金髪に声を掛ける。
「調査部隊が、今日何か珍しいものを見つけて来たって、本当?」
「えっ、えええっ」
「急に、ごめんなさい、外で小耳に挟んだものだから」
「そうなの?何を見つけたのかしら?誰かしら?今日の調査隊は?」
オロチちゃんに声を掛けられた金髪は、突然にもかかわらず、知り合いでもないオロチちゃんに親切な対応を取ってくれている。人当たりの良い良い子っていうのは、どこの世界にもいるものだろう。
「何を見つけたって?」
「よくは分からないけど、ネズミをぶらさげていたみたいよ」
「ネズミ???」
良い子の金髪ちゃんは、オロチちゃんと意気投合って感じでおしゃべりしだした。
「これから私、お風呂に行くから、あなたも一緒にどうかしら?」
「お・ふ・ろ・・・」
「出掛けて戻ってきたのならば、お風呂に入っているはずよ、そこなら、今日の出来事を知っている者もいると思うのよ」
「なるほど、是非、ご一緒させてちょうだいな」
「みなさんも、オフロ。一緒にいかがですか?」
本当に良い子ちゃんの金髪ちゃんなのであろう、とっても明るく愛想の良い子でオロチちゃんのみならず俺達三人も誘ってくれている。
「ぜひ、ご一緒させて。私たちも汗を流したいわ」
「そうね、お風呂いきましょ。そこで探しましょうよ、それから、その話、もっと詳しく教えてね」
親切な愛想の良い金髪ちゃんに促されて俺達は、この城の大きな浴場にやってきた。そこは、一階から一階層降りた地下部分にあった。そして、またもや、ここが地下とは思えない明るく大きな施設だった。
内部は、まだ見えないわけだけれど、今いる脱衣場の感じからもかなりの大きな浴場であることが伺える。
この浴場が一番一般的にみんなが外出後に利用するお風呂ということなのだ。ここならば、チューちゃんを携えて城に戻ってきた二人組のことも何某らの情報を得ることができそうであると期待しても良さそうだ。
只、今ここで、俺は、気が付いてしまった。お風呂の入り口が一つしかないのである。
既に脱衣場まで入ってきてから言うのもなんであるが、男湯、女湯の区別が無いのである。普通ならば男のいない世界なのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが・・・
そのことに気付いているのは、どうやら俺だけの様である。それとも?
「ロコ、ここは、女湯しかないんだろうね」
「そりゃ、そうでしょ、男は、いないんだから」
「バカぁ~、俺はオトコだ。この城で、ただ一人???」
「大丈夫よ、エアル。身体は、何処に出しても恥ずかしくないオンナにしてあげたでしょ」
「何処に出しても???」
「それにしても、あなた、キレイな身体ねぇ、超ボインね」
「あっ、触っちゃイヤよ」
愛想の良い金髪ちゃんが、俺のオッパイを鷲掴みして、モミモミと品定めしている。
「いいでしょ、女同士だし、羨ましいんだもの」
「あなただって、弾けるようなハリよ」
オロチちゃんが金髪ちゃんのオッパイを摘まんでチョンと突き立っている乳首を指で弾いて弄んじゃっている。
クリスちゃんの呼び出しを思い出しちゃった。たまには、この方法でお呼び立てしましょうね。
「いや~ん、そうだ、私は、ネーブル。でもデベソじゃないわよ。ほらね」
「私は、オロチ。そのボインは、マーク。奥は、ロコ。そして、またまた、ボインのティーナよ」
「よろしくね」
「よろしくです」
「一番の美少女ちゃんは、ティーナちゃんっていうのね、これから怖いくらいの美人になるわね」
良く分かっていらっしゃいます。大人の姿に見せていても、一番若く設定していることが、ティーナちゃんらしいね。本当に怖いくらいなんですよ。ネーブルちゃん。
だって、魔法使いの親分ですもの、いや、女神様だった。
「タオルは、持って入ってもいいんだよね」
「ダメよ、何言っているのよ、丸裸が決まりでしょ」
「・・・・」
「あなた達、このお風呂初めてなの?」
「・・・・」
「ということは、この城の者じゃないのね!」
「・・・・」
「じゃあ、どこの者なの!!!!」
仕方なく、素早く、ネーブルを四人で羽交い絞めにして、大きな声を出させないように口を塞いでしまった。
「ネーブル、騒がないで、あやしい者ではないわ」
「んんっ、怪しいわよ、真っ裸の私を押さえつけて」
「大きな声を出さないで、騒がないで、騒ぐと、お口をきけない様にしちゃうわよ」
「わっ、わかったから、命だけは・・・。私のヴァージンは、捧げますから、どうか命だけは・・・」
「よろしい、命だけは、取らないから、騒がないで、お風呂に入って、珍しい物を見つけた者を探してちょうだい」
「わかったわ、あ、あなたたちは、一体?」
「今は、その質問は、受け付けないわ、おかしな行動を取ったら、その場で始末しちゃうわよ」
オロチちゃんは、ネーブルを確実に脅している。
他の者に気付かれないようにガラガラの尻尾の先をネーブルの頬にピタピタと弾かせながら長い舌先でベローンっと鼻の頭を舐め上げると、ネーブルは、ピタリとも動かなくなって大人しくなっちゃった。
その一部始終をじっくり見ていたティーナちゃんは、納得して感心するように頷き、ロコは、ネーブルの首に回している腕の力を更に強めていく。
俺はというと、無意識に両の手で掴んでいるネーブルの両方のオッパイから人差し指のみを浮かせて、サクランボの様に艶やかに尖っている乳首を左右に弾いてあげることに専念した。
「イヤん」
今まで失神したように動かなかったネーブルの身体が、ピクッピクッ、ビクンビクンと波打つように動き出した。
良かった。安心したよ。心臓麻痺になってはいなかった様だ。
ネーブルが騒いでくれたお陰で、俺の恥ずかしさもどこかに行ってしまった様で、五人で全裸のまま脱衣場を後にして浴場へ続く扉を開けた。そこには、お風呂とは思えないくらいの大浴場で、湖のようにまで思えてしまうくらいの大きなお風呂だ。競泳施設よりも、まだまだ広いのだ。
驚くのはそれだけに留まらない。
その広い空間に、金髪全裸オールヌード、真っ裸スッポンポンが、ワンサカ、ワンサカと芋洗い状態の如くスゴイの一言なのだ。
天国そのものの光景が俺の目に飛び込んできている。
「すごい大きなお風呂ね、ダハスのお風呂が水溜まり位に思えるわね」
「じゃあ、ゲリアのおしくらまんじゅうのお風呂は、洗面器ってところね」
「その通りだね、オロチちゃん、おしくらまんじゅう」
「おしくらまんじゅう?」
「ティーナちゃんもいたのよね、本当の少女のティーナちゃんだけど」
「その時、私の身体にエアルは、イタズラしたのね」
「してないわい!」
「・・・・」
「騒がないのなら、おしゃべりしてもいいからね、ネーブル」
「・・・・」
ネーブルは、気まずいと言うよりも、完全に恐怖に恐れおののいて、怖がっているのが良く見て取れる。
「ネーブル、この中に、今日珍しい物、ネズミを持ち帰った者の情報を聞き出してちょうだいな」
「わかったわよ、きいてみるわよ」
ネーブルは、全裸で同じく素晴らしいボディの全裸の金髪に次々と話しかけて、ネズミ情報を聞き出してくれている。
一つの集団が、この話に食いついてきた。
なんでも、この国では採れない木の実を見つけて来たものがいるらしいとのことで、禁断の果実に匹敵するものかもしれないとの噂らしい。
なんと、今回の目的でもある禁断の果実の情報まで出てくるとはいい感じである。珍しいものが木の実だというのは、おそらく二人組が話していた南京豆のことだろう。
南京豆が珍しいものなのなら木の実と思われても不思議な事でもないだろう。
いろいろと話を聞いているうちに、その二人組の情報も絞られてきた。
どうやら、スダチとカボス姉妹がラッカサンとかいう木の実を報告していたらしいという事まで行きついた。落下傘?ラッカサンではないだろう。南京豆の別名のラッカセイのことだと想像できる。
いろいろ聞きまわっているうちに、ネーブル自身も怯えた状態から脱して、だんだんと逆に興味を抱くようになってきている様である。自ら進んで聞き込みに従事しているようになっている。
「オロチちゃん、スダチとカボスは、お風呂をもう上がってしまったようよ」
「どこのお部屋にいるのか、わかるのかしら?」
「本日の調査部隊で、名前までわかったのだから、みつけることは、できるわよ、それに、禁断の果実並みの発見って」
俺達よりも既にネーブルの方が、この探索に前のめりになっているのが見て取れる。ネーブルには悪いが、このまま彼女にお任せして、その二人組の所まで案内して頂くことにいたしましょうかね。
それにしても、雑誌か何かから飛び出して来た様な超美人の金髪美女のヌードが目の前に、所狭しと転がっている。金色に眩しい金髪に、白い肌、その肌もキラキラと光輝いている。エロさを通り越して、セクシーの極み、美しさの極み、「美」を直感させられる。
俺の今現在ないはずの腿の付け根に力強い血流の熱い流れをビンビンと感じてしまっている。これって、本当に「美」を感じているのか?恐る恐る腿の付け根に手を伸ばしても、身体を洗っているシャボンの奥にも、あるものは、無く、手ごたえがない。
ルルの時の様に時間切れで男の姿に戻っている訳では、なさそうである。マリーの魔法と女神様の魔法の差ってことですね。
それにしても、本当に、目の毒というように、壮観たるものだ。
金、金、金、金、金、金髪。濡れた水の滴る金。
全てが、金。
正に、ゴールド・ラッシュ!
我が家のゴールド・ラッシュなんて、砂金くらいの他愛もないものだと、今、俺は、感じております。
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