潜入
四人の金髪美人が、塀伝いに歩きながら、城の入り口を目指している。
周りにいる金髪だらけと殆ど同化しているだろうことは、働きバチさんの対応からもはっきりと伺うことができる。
俺とロコ、オロチちゃん、ティーナちゃんと四人で歩いている。ティーナちゃんが少女版なので、世代の違う者を含むグループが聊か他の金髪さん達とは、少し違和感を醸し出しているだろうが、そんな感じも受け取れない。
「ねぇ、ティーナちゃん、髪色は、俺達には、赤、茶色、ブルネットって違って見えても、回りからは、金髪に見えるようになっているけど、ティーナちゃんの少女姿は、目立つんじゃないの?」
「エアル、気付いていて、わざと確認するのは、無粋というものですよ」
「じゃぁ、やっぱり」
またもや、そこら中にある水瓶にティーナちゃんと一緒に姿を写してみると、本当だ、大人だ。
いつものアルカティーナの姿がそこにあった。但し、金髪だけどね。
「素晴らしいね、流石、女神様、全てお見通しってわけですねぇ」
「やっと、自分の伯母さんのことを理解してくれたのかしら?」
和気あいあいと散歩をするように、城壁を添いながら歩いていく。横からいきなり肩を叩かれてびっくりして身体を反転させてそちらの方を見つめてみる。
「ねぇ、森の外れに何かいいモノが、あったのかしら、あっ、ゴメン、間違えちゃった」
「ああっ、どうも、も、もり?ですか?」
「ごめんなさい、知り合いと間違えちゃったのよ、ホントにゴメンナサイ」
「いえいえ、気にしないで、あの、それと森って、この広がっている森のこと?」
「そうよ、水と食料調達部隊が、何かいいモノ見つけたって噂を聞いたモノだから」
「いいモノ?」
「あんまり、内緒ヨ、何か魔法の格が上がりそうなモノらしいのよ」
「へぇ、そうなの、格ねぇ」
「私も肖りたいと思ってね、でも、一つ間違えると、命取りだけどさぁ」
「わ、私もあやかりたいわ、でも、命取りなの?」
「うん、やり過ぎは、禁物よねぇ」
「やりすぎ?」
「あなた達だって知っているでしょ、禁断の果実事件、あれは、やり過ぎよね」
「禁断の果実事件って、ネクタリン達の?」
「あなた、彼女たちと知り合いなの?だったら、禁断の果実のあるところ教えてよ」
「知らないわよ、事件の噂を耳にしただけよ」
「そうなのか、私とあまり変わらないわねぇ、あっ、おしゃべりが過ぎたわ、またね」
「うん、またね」
野次馬金髪娘は、俺の横から走り去っていった。
俺の事を誰と見間違えたのだろうか。何かいいモノを見つけた者と知り合いなのだろうか、それとも、何かを見つけた噂を知り合いに確認したかっただけなのだろうか。
いずれにしても、何か噂があるらしいことだけは、教えてもらったことになるだろう。
「ねぇ、マーク、今の女の子は、我が家の三桃娘の事を知っている様だったわね」
「知っているというよりも、禁断の桃を食べた者がどうなったかを知っているだけだろう」
「そうね、事件の顛末を知っているという感じだったわね」
「処刑されたってことをよね」
「あと、新しい、何かいいモノって言っていたわよね」
「禁断の果実に匹敵するようなモノではないにしても、魔法を強化するモノってのが、探せば、極稀に見つけられるのかもね」
「みんな魔法の向上に熱心なのね」
「格っていってたじゃんか、これだけいると、序列とかによって、大分変るってことなのだろうね」
「厳しい世界なのね、何だか、息苦しいものねぇ、ここって」
「ワクワクするような国じゃないってことかな?」
「さぁどうかしら、潜入しましょうかね」
気が付くと城の中へと続く入り口に差し掛かっていた。
近くに来てみると、特に守衛の者もいないので、そのまま入り口と思われる口を開けた穴のような空間に俺達も違和感なく吸い込まれていく。
外から見ていた崖山をくり抜かれただけと思われていた内部は、単なる洞穴では無かった。内部に貼り廻られている通路は、各々がかなりの広さがある。
それに、明るいのだ。こんなに明るい洞穴は、初めてだ。通路の壁に照明用の松明が其処かしこにあるわけでもない。只々明るいのである。まるで晴れの日の青空の下とでもいうような明るさが城の内部ということを忘れさせる。
「山の中よね、洞穴よね。見えないところがない位に、明るいわね、不思議ね」
「これが、魔法の力なんだろうね」
ブーンっと、俺達の周りをハチが飛んできた。これは、ティーナちゃんが放った斥候のミツバチ、ハニービーに違いない。ハニービーは、ティーナちゃんの肩に止まって羽ばたきを止めている。
「ビーちゃんによると、内部はかなりの広さのようね」
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