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ドン・ドン・ドン


「ねぇ、ねぇ、ネクター、ボタン、ハタン、これ、付けておいて」


 ルルが、三つの輪っかを手に、三桃娘を呼びつけている。


 おおっ、ファミリー全員が身に着けているプラムのアンクレット。ルルお得意のモノ作りスキルが発動したことを理解した。魅力的な装飾を施されたアンクレットを手に三桃娘は、大喜びである。


「これは、ファミリーの印でもあるアンクレットなのよ、勿論、ブレスレットにも、チョーカーにもできるから、お好きなように」

「わーい、みんなとお揃い、それに、キレイね」


「これは、単なるアクセサリーじゃないんだよ、家族の間を繋ぐ輪っかなんだ」

「家族を繋ぐ?」


「まぁ、一回試してみれば、よく分かるさ」

「うん?」


「女神の指輪は、女神様に断ってから、模造品を作ろうと思っていますから」

「オッケー、伯母上に出してもらうのが、一番早いかもね」


「私の模造品だって、本物以上に上手にできるわよ」

「ルルの腕は、わかっているさ、そうじゃなくて、女神にも、新しい家族の桃娘を紹介しないと、大目玉くらいそうじゃんか」


「女神さま?女神さまが、お知り合いなの?」

「うん、そうなのよ、マークの伯母様とマリーのお母さま」


「お母さまじゃないわよ・・・」

「本当は、そうなんでしょ、マリーは、魔法使いの先生ティアラの血筋は、紛れもない感じよ」


「・・・・」

「まぁ、いいじゃないか、正当な流れであることは、間違いないよ、マリーは」


 まだまだ、へなちょこ魔法使いのマリーが女神の域に達するには、とてつもない長い道のりが必要な事だろうけどね。


 散歩と言いつつも、お泊りまでして、沖を漂ってしまっている。大体ここは、どこいらへんなのだろう。モルシンの港から北に向かったんだったっけ?無計画に釣りのために沖に出たまま、三桃娘の船を発見して、寄り道が過ぎたんだよな。


 三桃ちゃんの船もまだ、横付けしたままだ。手直しして、二艘連結の船にしてもいい感じになりそうだ。ロコにお願いして、どこかに停泊できる場所を見つけてもらおうかなと思っていると、見張り台からロコが降りてくる。


 どうやら同じことを考えていたようだ。


 ロコは、小さな無人島らしき島を発見して、そこに船を停めて、三桃娘の船を補修したいらしい。


「マーク、船を停めて、きちんとお船同士を繋げようと思うんだけど」

「了解です。ネクター、君たちの船をこちらの船と繋げて一つにしても構わないかい?」


「ええ、勿論ヨ。私たちを迎えてくれたんだもの、我が家に役に立つなら嬉しいわ、このボロ船だけど、使ってちょうだい」

「ありがとう。ロコは、お家とお船の専門家だから、キレイになるさ」


「ロコ、縄でつなぐよりも、帆柱しか甲板は無いし、柱をとって、屋根葺いて、中から行き来できるといいよね~」

「わかったわ、やってみる」


 ロコは、無人島の縁に船を停泊させた。そして、邪魔にならないように全員で、退避するように島へ上陸した。


 どうやって、作業をするのかと思ってみていると、家を作る時と違って、材料は既にあるわけだからなのか、ロコは、巾着の木片を取り出して、ツンツンっとする。ズハッっと、俺達のお船が消え失せた。


 次に、木片をじっくりと見ながら、俺の果物ナイフで型抜きの様な絵柄を器用に加工していく。わかったぞ、木片の上でというか、木片の中で、船の建造?建て替えをしちゃう感覚なのだろうね。


 型抜きの模様が、俺の注文のイメージに近づいていく。


「マーク、ここで、お船を出すよりも、整備された波止場で確認したいのよ」

「そうだね、ここは、取り急ぎ、降りるだけに使ったんでしょ」


「モルシンに戻りましょうよ」

「わかったよ、お船を収納できたのなら、ドラゴンの牙で戻れるもんね」


「どこに戻るの?マークたちのしていることは、魔法じゃないの?」

「マホー使いは、私だけよ、あなた達三人を除けばね、これは、錬金術師の技と魔法の融合なのよ」


「やっぱり、魔法なんじゃないの」

「ちょっと、違うのよ、科学の力なのよ、魔法も関係しているんだけども」


 俺は、ルルを中心に全員を輪になるように手を繋がせた。そうそう、カゴメカゴメと言いたくなるけど、それでは、発動しない。


 ルルが、羽の生えた蛇の紋章と出すと、オロチちゃんが紋章の真ん中の石をギュッと摘まんで、グイッとそのまま押し込んだ。


「エ・ヌ・ジ・ア・イ・ブルスカ」


 ルルが紋章のメダルを出して、オロチちゃんが、さきっちょを弄んで、秘密の言葉を唱える。


 いいです。決まっています。


 だけど、ドラゴンの牙は、女神の指輪を頂いたことで、みんな持っているから、誰が、さきっちょをクリクリしても、秘密の言葉を囁いても、可能であるはずだ。


 でも、やっぱり、全員揃っている時は、経験のあるものに任せるのが安心できますよねぇ。


 いつもの通りに、大きな光の渦が、今度は、三人多くなった九人を取り囲んで、魔法陣の紋章にみんなの身体を吸い込んでいく。瞬く間に、無人島の岸にはそのメダルだけとなった。


 一呼吸遅れて、メダルもモルシンに向けて、飛んで行った。どうして、いつも、一呼吸遅れていくんだろうね。


 カゴメカゴメを後ろの正面まで歌いきるまでもなく、気が付くと、九人全員は、モルシンの港、波止場の地面に腰を降ろしていた。



「なんなの?ここは?どこなの?」

「ここは、モルシンの港だよ」


「私たちが教えるより、教えて欲しい魔法がたくさんあるのね」

「だから、これは、マホーっていうより、発明なのよ」


 三桃ちゃんは、驚きと興奮で目を光らせている。では、もうすこし、驚いてもらいましょうかな。


「ロコ、お船は、どんな感じに出来上がったの?」



 ロコが、木片のをツンツンと弾くと、波止場に接岸するように俺達のお船が出現する。二艘が左舷と右舷を併せるように横並びに並んでいる。中央部に渡り廊下のようなもの、おもてと、ともの部分には、梁のような物が連結を確実なものにしていることが見て取れた。そして、今まで木材のままの色味だったものが、赤みを帯びた濃い茶色のニスが塗られ、二艘で一艘という一体感を実現している。


「我が家のお船が、建て増しして、立派になったね」

「マークの考えてたのは、こんな感じでよかったかしら?」


「最高だよ、ありがとう。ロコ」

「褒められちゃった、うれしい、では、ご褒美を・・・・」


「チュッ」

「ヤッター」


「ロコばっかり、ズルいのよ~」

「お船は、ロコ独りでしたんじゃないか」


「じゃぁ、お家に帰ったら、お家の分のチューをもらうからね」

「そうか、お家のね、お家のは、全員でしょ」


「まとめて、私がもらいます」

「どうして、マリーがまとめちゃうの?」


 まぁまぁ、それはさておき、そろそろ、帰りましょうか。


 ロコにお船を収納してもらって、このモルシンから坂道をテクテク歩いていくのは、厳しいので、もう一度、紋章メダルと秘密の言葉に頼りましょう。


 でも、しかし、それだけじゃ試せないからな。


「おうちに、帰ろう、もう一回、紋章メダルでかえろ、プラムとネクター、ボタンにハタンは、後からおいで」

「えっ、一緒じゃないの?」


「もともとプラムのアンクレットだ、手ほどきよろしくね、だから、先に帰るよ」


 ルルが紋章をオロチちゃんに向けると、ピンと張りだしたさきっちょをキュっと摘まんだ。そして、押し込むようにして、呟く。


「エ・ヌ・ジ・ア・イ・ブルスカ」


 ルルと三桃ちゃんが見守る中、俺達は、渦巻の中に消えていった。それを外から見た三桃ちゃんたちの目は、無くなっちゃいそうに点になっちゃっている。


 目を開けると、逃げ出して見ていなかったが、綺麗に片付いちゃっている新居がドドーンと出て来た。厳密には、俺達が出て来たんだけどね。しっかりと鍵が掛かっている。戸締りをキチンとしてくるところなんざ、安心できますな。俺は、カギ持っていないけど。


「ブルスカ・ショックっ~」


 マリーの一言で、扉が開いた。マリーしか、カギの開け閉めができないの?それは、それで不便かも。


 一方、モルシンの波止場では、我が家のお船もないのに、港の風を受けながら、プラムと三桃ちゃんの四人が地面に腰を降ろしている。


「もうそろそろ、いいかしら?」

「何がいいの?プラムお姉さま」


「お姉さま?そういえば、あなたたちは、いくつなの?」

「十五です、魔法学校半分終わったのよねぇ」


「十五!やっぱり、金髪は、発育がいいのね、ボン・キュッ・ボン、これからが不安だわ」

「お姉さまは?」

「十七よ」


「そろそろ、やるか、みんな固まって、アンクレットの石に手を添えて、マークを思い起こして、マークのそばに行きたいって願うのよ」

「こうですか?」


「では、これから、みんなでマークへの思いを念じますわよ」

「それ」

「ハイ」

「う~ん」

「ううううう~」


 四人の身体が靄に包まれるように、光にくるまれていく。そして、身体そのものが、アンクレットに埋め込まれているドラゴンナイトに吸い込まれていく。


「あららっ、なんですの?」

「この感じ、溶けて無くなりそうです」

「ちょっと、怖いんですけど。お姉たま~っ」

「信じて、念を、マークの元へ、家族の元へ」


 紋章メダルに吸い込まれていくのと、すこし感じが違うが、立て続けに二回目のテレポーテーションを体験している三桃ちゃんは、驚きと同時に、かなりの疲労感で、クタクタにも見えてます。


 慣れるまでは、そりゃぁ、空間飛び越え酔いになるわさね。


 我が家の広間、囲炉裏の横で寝そべっている俺の耳元で、キーン、カランっという待っていた金属音がする。


 そちらの方を向いて手を差し伸べていると、ドン・ドン・ドン・ドンっと、プラム、ネクター、ボタン、ハタンの順番で、俺の胸に飛び込んで抱き着いてくる。


 上手にできましたね。


 ドン・ドン・ドンって、今帰ってきたのに、また、買い物にいきたくなっちゃう響きですね。



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