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ボールギャグ


 ロコは、仰向けの俺の上から、首に手を回し、お腹に跨ったまま抱き着いたままだ。


 船底からこの甲板までの移動も含めて、助けようとした三人に呪われそうになって、かなりの驚きと怖い思いをしたのであろう。ロコは、人を疑わない純真な女の子だからびっくりしちゃったんだね。


 冷静な判断と先を読む行動を瞬時に起こしてくれたチューちゃんとオロチちゃんは、本当に頼りになると感心していると、俺の耳元で、甲板に金属のカランカランと落下音が響き渡る。


 三つの金属の輪っかが甲板の板に跳ね上がり、空中で回転しているのを見つめていると、それがまた床まで落ちる前に、マリー、ルル、プラムの三人が同時にボワッと湧き上がってきた。


「マーク、呼ばれて、飛び出て、ジャジャジャジャ~ン」

「マーク、どこまで、お散歩きちゃったの?」

「マーク、今日のご飯は、何にする?」


「あっ、マーク!ロコをお腹に乗せて、何しているの!」

「今度は、ロコの抜け駆けだわ」

「私の順番じゃないの?」


 俺の脚からスッ~っと、刺青が消えるように抜け出して、オロチちゃんは、小さめのヘビとなって、マリー、ルル、プラムの順に素早く、それぞれの脚に絡みつくと刺青になってを繰り返して、一回りして俺の脚にイレズミが戻ってきた。全員耳栓をしているので、オロチちゃんが、刺青になって、状況を説明して回ったと言うわけだ。


 未だに、俺に跨ったまま突っ伏しているロコに目を奪われたままの三人であったが、マリーが化粧筆を掲げて、俺達には、聞きなれている言葉を唱えた。


 勿論、聞こえはしないけど。


「ブルスカ・ショック~っ」


「髪の毛の念じゃなくても、聞こえるでしょ」

「本当だ、しゃべらなくても、話せるね」


「マリー、すご~い」

「エッヘン、見えてれば、会話できるわよ、以心伝心よ」


「ありがとう、マリー、でも、話したくないことまで、考えただけで、聞かれちゃうんでしょ」

「それは、そうね、マークのエッチな考えが手に取るようにわかっちゃうんだから」


「だからか?みんなの気になっていることが、どうしてロコが俺のお腹に乗っているかが一番って?」

「当たり前でしょ、状況は、オロチちゃんから聞いたもん、それより」


「そうよ、それより、ロコのが重要よね」

「早く、帰って、今夜は、私をベッドで乗せてね」


「どうして、プラムが次なのよっ」

「今夜は、ワタシ」

「ルルまでっ」


 今、議論することは、そこではない。


 話が出来ることは、本当に有難い。マリーの魔法の上達には、目を見張るものがあり、頑張ってくれているんだなぁと改めて感心しちゃう。


 みんなを呼び出したのは、船底にいる呪いの言葉を操る魔女たちに、もう一度、猿轡、口枷をして、その言葉を封じなくてはならないからだ。元々の猿轡は、ロコがナイフで切ってしまったので使えないだろう。


 俺は、ロコをきつくギュっと抱きしめてから、優しく俺の横に降ろして寝転ばせる。


「マークの言った通りだったわ、悪い人だとは、思わなかったわ、怖いから、今夜は一緒に寝てね」

「ああ、よしよし、抱っこして寝ましょうね」


「ロコだけズルイ!私も、抱っこして、いいこいいこして欲しい」



 俺の腿から刺青の蛇が鎌首を擡げて剥がれ落ちてくる。オロチちゃんも可愛く美しい緑の肌の女の子の姿でロコと俺を挟むように添い寝してきた。


「そうだね、オロチちゃんは、お手柄、エライ、いいこいいこ、一緒に寝ましょうね」

「どうして、そうなるのよ、もう、散歩も絶対、一緒にいくからね」


「ホントよね、散歩もデートと同じね、私ももう、譲らないから」

「いっつも、ロコとオロチちゃんばっかり」


 三人は、不満タラタラご立腹。いつも、ロコとオロチちゃんばかりではないと思うけど。


 俺は、起き上がり甲板に胡坐をかき、本題を戻したくて、声なき会話でルルを呼び寄せる。


 ルルが、そばに腰を降ろした。


 仁王立ちのままのマリーとプラムもすぐさま、腰を降ろして来た。


「ルル、金属の猿轡、口枷を三つ作って欲しいんだよ。しゃべれないけど、物は、食べられるような」

「食べられるけど、しゃべれない口枷か、エッチなプレイに使うのね、誰にさせるの?私?」


「エッチなことに使うんじゃないよ、船底の魔女たちに銜えさせるのさ、できれば、自分では、外せないモノ」

「そうか、そうね、じゃぁ、鍵付きのボールギャグでも作ってみる?」


「私が魔法で、しゃべれなくしましょうか?」

「マリー、それもあるけど、相手も魔法使いだろ」


「私じゃ、相手にならないってこと?」

「そうじゃないよ、わからないと思って、魔女ってのは、なかなか難しいよ、神にも、悪魔にもなりそうじゃんか」


「そんなに強いの?」

「わかんないよね。ロコ、オロチちゃんどうだった?」


「自由が効かなくても、お口だけで何でも出来そうだったわよね」

「やけっぱちだったのか、凄い威圧と自信が感じられたわ」


「だから、魔法に対して、魔法でやるより、現実的な猿轡がいいのよ、それに、自尊心を支配できそうでしょ」


「・・・・」


「マークって、やっぱり、意地悪なサディストなのね、変態さんね」

「どうして、そうなるんだよ」


「ワタシ、作ってみる、でも、最初は、私に試して・・・」

「あららっ、ルルの方は、Mちゃんだもんねぇ、縛られるの大好きだもんね」


 ルルは、頬を桃色に染めながら、首から掛けた革製の巾着からお宝金属を取り出した。


 俺の果物ナイフを手に取って、金属のさきっちょから三つの欠片を切り出した。いつものように、不思議の金属は、切り出された本体を見る見ると前の大きさに戻していく。ルルは、本体を巾着にしまってから、三つの金属を腰にかけた物入から取り出した金槌でトントンツーって、加工していく。

 暫くすると、お月様を串刺しにしたような輪っかが出来上がった。そのボールギャグのボールの真ん中に鍵穴があった。


 そして、小さな鍵をルルは、俺の掌にそっと置いた。


 甲板にキラリと光る怪しげな金属の輪っかが三つ並んでいる。


 ルルのボールギャクは、何とも美しい形状で、何とも艶めかしく輝いてい見えた。その一つを手に取ると、ルルは、俺に渡して、俯いている。


 これは、試してみろってことなんだろうなぁ。いいのかなぁ。でも、実験は、必要な事でもあるんだ。


 俺は、無言のまま、丸いお月さんをルルのお口にあてがい押し込んだ。すると、回りの輪っかが生き物のようにお顔に巻きついて、お口にフィットしてしまった。


 ルルは、これまたなんとも言えない艶めかしい眼差しを俺に向けている。


 もういいだろう、お月さんの鍵穴に鍵を差し込むと、パカっと、俺の掌にルルの涎で艶々と光るボールギャグが戻ってきた。


 声が出せるのかは、耳栓中だから、確認できなかったけど、恥辱的品物ということは、一目瞭然の結果を得ることが出来た。


「ルル、ありがとう、とっても、可愛かったよ」

「嬉しいマーク、大好き」


「そういうことじゃないでしょ」

「プラムって、いつでも冷静ね」


「違うわよ、もう一つ作ってもらって、今夜は私に・・・」

「プラムまで、おMちゃんなのね」


 じゃぁ、この新製品の猿轡、ルルのボールギャグをハメハメしに船底に行くとしましょうか。


 俺は、初めて会う美しい魔女という娘たちに危険と分かりつつも、ワクワクドキドキを抑えられないのは、どうしてなのかしらねぇ。


 うふふ。



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