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反省会


 光の柱を見送った俺とオロチちゃんは、床に腰を降ろして、アルカティーナが言ったように、みんなの到着を唯々待っている。


 そこに、聞き覚えのある、床にカランっと金属音が生じて、四つのアンクレットが現れた。


 アンクレットは、クルクルと回転しながら、四つでパチンとぶつかりあった後、パタンと倒れる。その輪っかの中心から、マリー、ロコ、ルル、プラムが先ほど見送った光の柱にように、今度は、優しい光を伴いながらそれぞれの姿を実体化させてきた。


「マーク!」

「マーク!」

「ま~くっ!」

「まーく!」


 四人が飛び掛るように抱き着いてきた。それぞれの目には光るものが美しく輝いている。


「私もいるのよっ~」

「あっ、オロチン!」


「この、抜け駆け娘!」

「なんのことよ~」


「何日マークと一緒にいたのよ、一番長いおデートよね」

「お泊りして、合体して、チューもして、でも、たったの二サンニチよ」


「ガッタイ???チュー??」


「マーク!詳しく聞かせてもらうからねっ」


「そんなことより、伯母さんを呼ばなくていいの?」

「いけねっ、そうだったわ」


 プラムが小指に付けた女神の指輪のさきっちょをクリクリっと弄んでから、ギュッ~っとつまんでいる。摘ままれたさきっちょの石が、黄緑色に光りだしたと思うと、アルカティーナとクリスティーの二人の女神が、今度は、半透明でない本来の祠と教会でしか出会えなかった姿で、俺達六人の前に呼び出された。


「全員、揃ったようだな」

「伯母さまと、クリスティーと一緒なのは、初めてです」


「仲直りできたのよ、そもそも、仲違いしていなかったのよ」

「そうよね、忌々しいアロンの仕業でね」


「そのアロン、なのですが」


 俺は、俺とオロチちゃんが、火の山のてっぺんであった男、アロンのことを、女神二人に尋ねると同時に、みんなにも、事細かに話した。


 風袋や物腰、話した内容、奪った三品等から、紛れもなく勇者アロンと聞かされていた男であること確信できた。


 その男が、流れ星の大きな光に包まれて、見送ったこともキチンと伝えることができた。勇者だと思っていた男は、村と母親の仇であったが、逆恨みの心配もなくなった。


 これから、俺は、正しい勇者を目指さなくてはいけないと思うようになった。血を引き継ぐとかでなく、まともな、正しい男になりたいものだ。しかしながら、狂気じみてはいるが、この男の研究や発明は、興味深いに尽きる。これらの技術は、是非とも引き継がなくてはいけないものである。


「そうだ、プラム。これが、山が火を噴く前のダハスの宝、アンクレットだよ」

「これが、これが、ここにあっても、私のアンクレットが消えて無くなることもないわね」


「そうなんだよな、同一の物じゃないのかな?再度、作ったのかな?プラムのは?」

「わからないけど、マークはアンクレットないでしょ、それを付けておいて」


「いいのかい?もらっても?」

「ええっ、みんなは、あるし、オロチちゃんは、アンクレットになれるし、いつまでも、オロチちゃんを身に着けるのも」


「私?私は、アンクレットより、刺青の方が一体化できるも~ん」

「あっ、そうだったわね、納屋でみたやつでしょ」


「そういえば、黒い大きな大蛇が、火の噴いてない山を下りる幻影をみたけど?」

「アアッ、それ見えたの?」


「オロチちゃんなの?緑じゃなくて、黒かったわ」

「あれはねぇ~、内緒にしてって、マークが、ねぇ~っ」


「なにが、内緒なのよ、マーク」

「いいんだよ、オロチちゃんの変身ですごく助かったんだから」


「いつでも、一緒よ。これからも、ねぇ~、マーク。約束のチューもしてくれたもん。濃厚なチュー、それに、さきっちょ、毎日、弄んでくれるんだもんね」


「・・・・・、さきっちょ?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」


「マーク!説明して」


 元気になったファミリーを微笑みながら女神二人が、見つめている。


 俺は、オロチちゃんと過ごしたこの時間旅行の仕掛けについて、謎解きを確認するように、スーパードラゴンナイト、ドラゴンナイト、ネジネジ鍵開け、三つの逆さ言葉、果物ナイフの目盛りなどの意味を答え合わせするように示した。


 大体当たっていたが、重要事項は、ゲリアの宝、ドラゴンの牙スーパードラゴンナイトのようだ。ドラゴンナイト単体では、時間の渦は、再現できないらしい。だから、アロンは、俺達の黄緑色の光を見て、ネジネジを実行に移したのだと納得した。


 元々のゲリアの宝は、ドラゴンの牙、つまり、スーパーなドラゴンナイトのことらしい。他の品々は、アロンの発明とのことだった。しかし、その制作と研究には、村の三人の魔法使いの知恵と魔法という技量が関与していたことを教えてもらった。


 そうだとすると、他の巾着、ロコの木片、ルルの金属の塊は、それぞれの地でアロンが作り出したものなのであろうと想像できる。何故ならば、彼女たちのいずれの宝物も、俺の巾着と呼応する事実を何回も見て来てきている。


 いずれにしても、俺達ファミリーのお宝、お守りのようなものは、アロンと三人の魔法使いが、作り出したものであるのだ。


 このモノを世界に為に使い、その力を強めた二人が、女神となり得たのである。アロンは、自分を勇者というお話を係わった者たちに信じ込ませて、自身の利益の為だけにその力と頭脳を使う本当に天才ペテン師の我利我利亡者。


 同じ物を手にしても、その者の本質によって、辿り着く先は、こんなにも違いがあることに恐れ入る限りである。


 そして、その両方の血筋を俺は、受け継いでいるのである。しかし、ついこの前の十六歳の誕生日までは、知る由もなかったことであるし、会ったこともない両親に正直なところ、傷心することもない。


 俺の会ったアロンは、俺達の命さえ奪いかねない、心底悪いヤツだったこと。また、俺のあったマナニーニは、とても可愛く美しい少女でしかないのである。


 プラムの家で俺達にあてがわれたこの部屋で、八人が話している。とても、微笑ましい光景であり、これが、生まれて初めてもった家族というものであると、俺は、今、実感している。


「あのさぁ、プラム、お家の方々にお願いして、何か食べさせてもらえないかな」

「マーク、お腹がすいているのね」


「ぺこぺこだよ。村で、食事したきりだもの」

「えっ、お肉食べたじゃないよ」


「オロチちゃんの胃袋にだけ入ったのかなぁ」

「ウソツキ~」


「いいわ、ごはんにしましょうね」

「ありがたや、ありがたや」


 オロチちゃんには、申し訳ないけれど、俺も失神同然だったこともあるし、本当にハラペコなんだよ。やっと、これで、少し、心も身体も落ち着けると思うと、安堵から空腹感が増幅していくのが実感できた。



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