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女神の指輪


 モルシンの丘の上、アルカ教会に、アルカティーナ、クリスティーの女神二人、そして、マリー、ロコ、ルル、プラムの四人が集まっている。


 ゲリア村はずれの破壊した古い寺子屋からアルカティーナが本拠地への帰巣魔法にて全員を連れ戻して来たのだ。六人は、マーク達の行方をどのように突き止めるのかを思案し始めている。


 アルカティーナとクリスティーは、まず、それぞれの耳飾りを外して、ドラゴンの牙に指を当てて、三つずつの欠片を作り出した。元のドラゴンの牙は、大きさを変えることもなく、何一つ変わっていないように見える。

 二人の女神は、耳飾りをそれぞれ付け直して、取り出したドラゴンの牙を掌に載せてコロコロ転がしながら、併せるように、呟いた。


「ブルスカ・ショック~っ」


 掌には、六つの指輪が現れた。その中心にドラゴンの牙が埋め込まれている。


「この指輪を付けておきなさい、どの指にも併せられます」

「マークとオロチちゃんの分も含めて、あなたたち六人分よ」


「この指輪で、私たち二人の女神を呼び出せるようになってるわ」

「使い方は、ドラゴンの牙のさきっちょをクリクリっと」


「クリクリっと、弄んでから、ギュッとつまんでね」


 女神二人は、各々に指輪を渡していく。


 マリーには、マークとオロチちゃんの分も預けた。マークは、アルカティーナのメダルや、オッパイ呼び鈴もあるけど、少女バージョンではない完全女神を不定期の祠を待つことなく、会えるのだから、使い勝手がよくなるはずである。


「これで、いつでも、お二人にあえるのですね」

「そうだ、ずっと、そなた達のそばに居続けられるわけではないからな」


「ありがとうございます、助かります」

「呼び出し方が、クリクリっとギュ~って、マークが喜びそうなやり方なんですね」

「そなた達が、大好きな呼びだされ方でしょ?」


「よく、御存じで・・・・・」


「ところで、マークとオロチちゃんの行方だが、もう一度、マリー、髪の毛の念を見せてほしいのだが」


 マリーは、思い出したようにマークの巾着の紐に繋いだ髪の毛の念を送ろうと、握りこぶしに力を入れる。


 その拳を包むように、ロコ、ルル、プラムも手を添えて、それぞれも念を込める。


「うう~ん」

「んん~ん」

「よぉ~」

「これでもかっ」


 今回の念は、いつもより、気合を入れて力んでいることが、女神たちにも伝わっている。


 前回の黒い大きな蛇が見えたことで、何かが見えることを信じて、念じる四人。そして、それを信じる女神二人。


 四人の頭の上にぼうっと景色が見えてきた。


 それは、見覚えのある天高く火を噴き上げる山と麓を目指して、マークにぶら下がるように、腕を組んでいるオロチちゃんの二人が、楽しそうに歩いている様子がハッキリと映し出された。


「何?」

「何でしょう?」

「おデート?」

「オロチンの抜け駆けだ」


「問題は、そこではない」

「そうね、山が火を噴いているわ、前回見た時は、噴いていなかった」


「そうすると、現在ですか?」

「そうとも、限らないでしょ、山は、最近火を噴いたわけじゃないでしょ」


「そうですね」

「ただ、山に変化があったことだけでも、収穫だわね」


「山は、やっぱりダハスの火の山で間違いないわね」

「はい、今回の山は、紛れもなく私のダハスの山です」


「もう少し、確証が欲しいわね」


 念の風景の変化は、ダハスの山の状況と黒光りの大蛇が見えなくなって、マークとオロチちゃんの姿がハッキリと確認できた。しかし、どの時間帯、時代なのかは、分からないが、二人とも一様に無事であるように思えた。二人が、無事でいてくれていることは、ひとまず安心できることであった。


 しかしながら、ファミリー四人の目の付け所は、この女神の気持ちとは、少し違っていたようだ。どうして、問題の本質と違う所を最重要事項としてとらえてしまうのであろうか。オロチちゃんと腕を組んで歩くマークの事が気になってならないらしい。


「とにかく、あなた達、落ち着いて、マークとオロチちゃんの無事は分かったわ」

「そのとおり、今度は、いつのダハスなのかを調べましょう」


「でも、マークは、オロチンとデート中ですわ」

「もう、何日、二人っきりでいるのかしら?」


「時間の壁を越えているのなら、何日かは、わからないわね、一瞬かもしれないし、何週間かもしれない」


「いやぁ~ん、ずる~い」

「私たちは、お泊りするおデートをしたことないもんね~」

「そうよねぇ、今度は、私がお泊り」

「どうして、プラムなのよ~」


「だって、ダハスだもん」


 四人は、女神をそっちのけで、おデートの順番を競い合っている。おデートよりも、考えることは、一杯あるはずだ。


 アルカティーナが、マークに渡したメダルと同じ物を取り出して、口に銜えてフィーフィーと音を立てながら吹いて左右の人差し指を唇の周りでクルクルと回す。


 このメダルは、マークの所へ少女ティーナの姿で出現させる為に、渡したものということを思い出したのか、試してみたくなったのか、女神自身が手掛かりを探す。


 アルカティーナの身体が、半透明になりながら、光に包まれていく。


 眼の前の女神は、目を閉じて光りながら、存在している。


 クリスティーとファミリー四人も、その姿を息をのんだまま見つめている。



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