再会
引き戸の光を背に、逆光のもと、二人の可愛らしくも、群を抜く美形の少女が、俺達を見つめている。
この二人が、この老人の娘というのか、孫じゃないのか、母親は、どこにいるんだ。待てよ、そもそも、アルカティーナとマナニーニと名乗るこの美少女は、俺の知る伯母上なのか。
頭の中が全く整理がつかない。ゴチャゴチャだ。ほんのわずかな時しか、挨拶を聞いて経っていないはずなのに、祠の中にいる時と同じような感覚の中にいる。
「マーク、かわいい女の子ね」
「本当ね、大きくなったら、超美人さんになるわね」
ロコが口火を切った。
「そうですか、うふふっ。でも、嬉しいです、ねっ、お姉ちゃん」
「よかったわね。マナ」
姉妹二人は、警戒心を解き、照れくさそうに、微笑んでいる。
「俺達は、海の向こうの大陸からモルシンの港にきたものです、マークといいます」
「私は、マリー、マークの許嫁です」
「いいなずけ?うそつきぃ~、私が許嫁のロコです」
「いいえ、私が許嫁のルルです」
「私こそ・・・、プラムです」
「私は、マークの持ち物のオロチです」
「オロチちゃんっ、それも違うでしょ」
一応、名乗りをあげた後、マリーとルルも気づいていたようだ。
「アルカティーナちゃん、さっき会ったティーナちゃんよね」
「うんうん、教会でも、美しかった姿でも」
「・・・・、なんのことですか?私は、今、山から戻ってきたところですよ、それに、初めてお会いします」
「えっ、とても、良く似ていたから、ごめんなさい」
「そういえば、ロコもプラムもオロチちゃんも、言葉が分かるんだね」
「えっ?マーク、どういうこと?」
「そうね、私たちは、マリーの魔法でこの港を降りてから言葉が分かるようになったものね」
「言葉?別に、普通のままよ」
「うん、そうね」
それは、気づかなかったが、確かに、ロコ、プラム、オロチちゃんもこの土地の言葉を理解でき、話している。俺は、分からないが、マリーとルルは、上陸してからは、異国の言葉が分からなかったはずだ。
「アテルさん、かわいいお嬢さんたちですね。お母さんは?」
「母親はおらぬ。わしと娘二人だけじゃ、向かいの家のものが、いろいろと世話をいてくれるが」
「娘さんたちは、小さいのですね、他にお子さんは」
「おらぬ。この二人のみじゃ」
マリーも歳の差に興味を感じているらしい。姉妹と村長を交互に見合わせながら、
「ティーナちゃんとマナちゃんは、おいくつですか?」
「私は、十歳、妹は、七歳です」
「そう、小さいのにお父さんを助けてエライわね」
「お母さんは?」
「私たちが小さい頃、消えたようです」
「消えた?」
「お父さんもその時に、今の姿になったようです」
「今の姿って?」
「ティーナっ、お客様にいらぬことはっ」
「あっ、なんでもありません」
「それでは、ウサギを裏で捌いてきます」
「おいで、マナ」
「うん」
「あっ、おばさんは、この山菜をおねがいね」
引き戸の向こうから、魚を携えた美しい女性が入ってくる。その後ろから、見覚えのある十歳前後の美少女が、これまた、魚を手に、後を付いてきた。
「クリス、クリスは、こっち、一緒にウサギをおねがいよ」
「うん、分かったわ」
紛れまなくそこには、おっぱいツンツンで呼び出すミニクリスティーのクリスちゃんがいた。
向こうは、俺達を全く気に留めていない様子だ。異国の合わせ衣を着ているとはいえ、見間違うはずなどない。
えっ、着物の柄が、俺の十字の切れ端に・・・。
「クリスティーちゃん!」
「・・・・、どうして、私の名前を?」
「私が、呼んだからでしょ、お客さん、話は、後にしてくださいな。子供たちは、仕事があるんです」
「悪かったよ、邪魔しないから」
「はやく、クリス、マナも遊んでないでよ」
「お姉ちゃん、ウサギ動いてるから」
ティーナは、そそくさとマナとクリスを供だって、外へと出ていった。
「ティアラ。いつも悪いね。たくさんの魚。助かるわい、今日は、お客さんもおるで、よろしく頼むよ」
「ええっ、長。異国の方々ですね」
ティアラと呼ばれる美しい女性は、この村長の向かいの家に娘さん二人で暮らしているらしい。そして、人手というか、女手の足りない部分を支えている存在らしい。
家族ぐるみのお付き合いって感じだろうか。そして、俺の産着の生地の十字の紋章っていうか、模様は、この女性の印らしい。固有のデザインって感じなのかなぁ。ブランドなのかもしれない。家の紋章というものではなく、ティアラメイドの印であることが分かった。
「ティアラさんは、こちらのお宅をお手伝いしているのですか?」
「そうじゃ、ティアラとクリスティーは、家族も同然じゃ」
「アテルさんには、お世話になっていますので」
「家族ぐるみのお付き合いなんですね」
「家族同然なのじゃ、三姉妹って感じじゃし」
「クリスまで、ありがとうございます。御飯の支度をはじめますね」
そういうと、ティアラさんは、台所へと入っていった。
しかし、この村。ゲリアの村は、一体なんなのだろう。
生家を見つけるどころではないし、大体何かがおかしい。いや、なにがどころではない。ぜんぜん、全然おかしい。
女神という、アルカティーナも、俺の母親と教えられたマナも、いままで、何せい、こにせいと俺を突き動かしていたクリスティーもここにいる。
オールキャストだ。
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