火の山
ロコは、カモメを集めている。ダハスの情報を探っているのである。カモメ情報によると、ダハスは、ここから、またまた一週間ほど南下した辺りの島々の一つらしい。このゲトレにおける要件は、無事に済ますことが出来た。
地震も大波も、害をなさずに、刀鍛冶カッチーナの子孫を見つけ出し、囚われの美女たちも救い出すことが出来た。この上なく上手くいったといえよう。
これから向かうことにしたダハスは、どういう所であろうか。ふと考えてみれば、自分たちで行き先を決めたのは初めてのことだ。今回は、本当に、自分たちで決めたんだよね??
「ダハスって、どんな島なんだろうね。クリスティーに聞かずに、勝手に行っていいのかな」
「いいのよ。この彼女たちを送っていくんだもの」
「カモメも、まだ、場所くらいしか教えてくれないわ」
「クリスティー?」
「ああっ、俺達を出会わせて、何かをさせようとしている。幻の魔女だよ」
「女神様よ」
「女神?さま?」
「本当に女神なの?魔法使いの親分でしょ?ルルも多分、会えると思うよ。そのうち」
大体、俺がどうして勇者なのかも分からない。
マリーは、魔法。ロコは、動物と会話。ルルは、金属などの物質を操る。みんな特殊能力者であるのに、なんの能力もない、平凡な俺が、どうすればよいのやら?俺に何ができるというのだろうか?
勇者の血を受け継ぐと言われても、ピンとこない。この光る賽が、これから俺を目覚めさせてくれるのだろうか?待てよ、目覚める?俺は、そもそも勇者になんぞなりたい訳ではない。勇者って、そもそも自分で名乗る者じゃないと思うし。代々受け継いでいくものとも思えない。本来は、功績をもって、そう呼ばれる者ではないのかしら?
本当に、無理を言わないでほしい。困っちゃうよ。なんだか、サイコロに双六の中に放り出されている感じがするんだけどなぁ。
「あのぉ、少し、お話しても、よろしいですか?」
二十人の美女のリーダー的な娘が、改まって話しかけてきた。
「どうぞ、どうぞ、そんなに畏まらないで。みんな仲間だから」
「ありがとうございます」
「この船は本当に、ダハスに向かうから、心配しないで」
「私は、プラム。ダハスの長の娘です」
「俺達は、この船で放浪している者です。ゲトレには、仲間を探しに行ったんだよ」
「ええ、それは、よかったですね。ゲトレは、昔から女性を食い物にする町で・・・」
「そんな町なのにどうして、如何わしいヤツらと来たんだい?」
「本当は、ティーンという町のクリス教会に行くはずだったのです」
「何だって!ティーン?」
「私たちは、そのティーンから来たのよ」
「クリス教会って、マリー、あの教会のことかな?」
「そうね。あそこよ」
「その教会に、どうして行くはずだったんだい?」
プラムの話によると、なんでもダハスの神の怒りがここ数年の間、静まることがなく、島の巫女がお告げを聞いたところ、東の果てのティーンという町のクリス教会を訪ねよとのことだったらしい。
それも、女性二十人でとのことらしい。
そこで、長の娘であるプラム自ら主となってティーンへの旅に出たとの事だった。
しかしながら、頼んだ船が悪かったらしく、騙されてゲトレに連れて来られてしまったというのだ。
こんなに美しい娘が二十人も纏まっていれば、ちゃんと送り届けてくれるはずもないことにも納得してしまう。
「では、ダハスでなく、ティーンに行きたいのだね」
「ええ、でも、一度、戻って、報告します。あと、皆様にお礼をいたしたいので」
「お礼なんていいさ」
「でも、クリス教会なら、そのうち、クリスティー様本人に会えばよくない?」
「マリー、クリスティーは、会いたいときに会えるの?」
「クリスティー、本人?」
「クリス教会は、クリスティー女神を祭っている教会なんだよ」
「とにかく、ダハスへみんなを連れて帰るよ。この船は、ちゃんとダハスに行くから」
「はい、ありがとうございます」
「あと、俺達は、みんな仲間よ。呼びつけでいいからね。プラム」
「はい、マっ、マーク。さん」
「さん、なんていらないのよ。こんなスケベには」
「ねっ、マークは、エッチなことばっかりだもんね、マリー」
「やっぱりなんだ。だから、私に下着を付けさせなかったのね」
「ルルまで、何を」
「とにかく、仲良くやりましょうね。プラム」
「はい、マーク、マリー、ロコ、ルル、おねがいします」
「アイアイサー」
「ロコ、船は、あとどれくらいで着きそうなの」
「五日って、ところかしら」
プラムは、十七歳。マリーと同じとのこと。美しい緑の髪を靡かせて船の縁に佇んでいる。
夕日を浴びているその姿は、他の三人とは、また異なった美しさを持っている。この娘も俺達のこの旅の仲間となるのであろうか。
なんだか、十六歳の誕生日を迎えて、形見の賽が光ってから、勇者とか女神とかは、余計だけど、女の子というか、綺麗な女性が、常に、周りにいてくれている状況となり、嬉しい限りである。
マリー、ロコ、ルル、そして、プラム。他にも十九人のとびっきりの美女。これだけは、本当に神様にお礼を言いたい。へんてこりんな旅に振り回される代わりに、本当なら口も利けないだろう美女、美少女と寝起きできる、こんな生活は、やめられませんな。
「キュルルルル」
「早く、みんな、これを見て」
ロコが、マストの上から素早く降りてきた。
「どうしたの?」
「何か、島でも見つけたの?」
「違うの。ちょっと、笛。吹いちゃったら」
「ああっ、エッチな笛」
「マリー!違うわ。お告げの笛よ」
「ハイハイ。今度は、マークが喜ぶ、どんなヌード映像が出てくるのかしら?」
「でるの?」
「出ません。だから、これ見て」
「キュルルルル」
ロコは、天使の笛を吹いた。すると、この前のように、ぼうっと霧が立ち込め、何やら見えてきた。今回の幻影は、モノクロでは、無かった。只々、赤く、辺りが、ドロドロと溶けたような感じの中に包まれたようだった。
「何だ?赤いな」
「うん、怖い感じ」
「これは・・・」
首をかしげながら、プラムには、思い当たる所があるらしい。
「プラムは、知っているのかい?」
「知っているというか、近くには、行ったことはないけど」
「赤い所?」
「火の山は、こんな感じだったと思ったのよ」
「火の山?」
火の山とは、ダハスにある大きな山のことで、山の神が最近荒れ狂うように、火を噴きまくっているとのことなのだ。
「今のが、その火の山なの?」
「ハッキリそうだとは・・・」
「ダハスで、山に行けばいいのかなぁ」
「ダメよ、山、近づく者は、いないわ」
この山の神の怒りを鎮めるために、プラムたちは、ティーンを目指したなら、祠とクリスティーに何かしら関係があるのかもしれない。それに、幻影が現れるということは、確かめる意味は、あるように思える。
火の山。火を噴く山とは、一体どんなものなのであろうか。
船旅は、嵐も無く、文字通りに順風満帆な日々を送っている。
この見掛けは、素晴らしいとは言い難い船も、なんとも頑丈で、快適この上ない我が家となっている。それにこれだけ女の子がいるのである。前よりも、小綺麗に片付き、模様替えや改良が施され、見違える程の我が家となっているのもそう感じる要因だ。
ダハスで、二十人を降ろしてしまうのが勿体ない気分になってしまう。水平線の奥に煙が立ち上っているのが見えるようになってきた。どうやら、ダハスの火の山の狼煙が見えてきたようだ。もう間近の様子である。
緑が生い茂る大きな島々の間にやってきた。一際大きな島で、天まで届く狼煙を上げている島がダハスだろう。二十人を送り届ける航海も無事完了しそうである。
さほど大きくない船着き場にロコが船体を綺麗に着岸させた。
「ダハスに着きました。錨を降ろします」
「なんだか、とっても暑いわね」
「島全体が、燃えているような感じね」
「ここが、ダハスよ。ありがとう。歓迎するわ」
船の全員が、船を降りていく。船着き場には、数人の男が迎えに出てきている。
「お嬢様、お帰りなさい」
「ありがとう。父上は?」
「お屋敷でお待ちかねです」
プラムが出迎えの者たちと話している。美女たちも我が家に戻ってきたとのことで、歓喜に湧いている。俺達は、プラムに促されて、迎いの者たちと一緒に、長の屋敷。プラムの家に向かっていく。
さながら、連行されているように思えるのは、俺だけであろうか。
目の前に赤い瓦の大きな屋敷が、見えてきた。これは、もうお城ではないかしら。
「お帰りなさいませ」
両脇の出迎えの前を進み、屋敷の奥へと通されると、島の長、プラムの父親が、玉座に座って俺達を出迎えている。
「父上、只今戻りました」
「ご苦労。無事でなによりだ」
「この方々たちに、ゲトレにて、囚われの身になっていた私たちを救い出してもらいました」
「何、ゲトレ。ティーンには、いけなかったのか」
「はい。申し訳ありません」
マリーは、一歩踏み出し、口上を始める。
「我らは、ティーンを生国に持つ旅の者です。ご息女を始め、この国の二十人の女性が囚われておりました港町ゲトレより、お送りするために、このダハスに参りました。そして、これが、我らが主人、マーク・ブルースカイです」
「そうか、大儀であった。ありがとう。心から礼を申し上げる。ブルースカイ?」
「はっ、マークといいます。ご息女たちの本懐は、ティーンへ赴くことだったとのこと、残念に思います」
「それは、また、考えることにしよう。ゆっくり休んでくれたまえ」
長への挨拶を済ませ、部屋へと通された。おっちょこちょいの割にマリーの卒のなさには、感心する。長には、まともな一行と見てもらえた感じがする。やっぱり、年の功なのだろう。二百年だもんね。
マリー、ロコ、ルル、プラムを交えて五人で頭を寄せ合いながら、検討している。長との話では、出てこなかったが、ここダハスでは、山の神の怒りが、最重要案件であることは、変わっていないことであり、なんら解決の糸口も見つけていないままなのである。この結果を持ち帰ったプラムの無念さが、ひしひしと伝わってくる。どうしたらよいものかと話をしていると歓迎の宴の招待があり、会場へと向かうことになった。
「さあ、娘たちを救いだしてくれた方々に、祝福あれ、どうぞ、楽しんでくれたまえ」
晩餐会と見紛う程のご馳走と見事な宴の有様に、一同、驚きと喜びのあまりに声も出せないほどである。プラムは、お姫様なのかしら?お姫様が囚われて、一つ間違えると、売り飛ばされていたと思うと、なんだか不思議な感じがする。
俺達は、いままでの、疲れもとれて、心もお腹も満足を味わうことができた宴席を終えると、再び部屋へと戻ってきた。
「プラム。また、ティーンを目指すのかい?」
「うーん、なんとも。父上や巫女様に尋ねることになるのでは」
「長も、何もそのことには、振れませんものね」
「おそらく、よそ者に関与してほしくないのだろう」
「そんなことは」
「あるよ。余計なことしてって、感じてるのかもね、プラムたちを連れて戻って」
「でも、あのままでは、ティーンには行けなかったわ」
「そうだったとしてもさ・・・」
「難しいわね。お姫様は」
「お姫様じゃないわ」
「何とか、真相を調べたいわね」
「いいわ。巫女様のところに行ってみましょう」
「これから?こんな夜中に?」
「今から、行く方が、見つからないわ」
俺達五人は、プラムが先導して、屋敷を出て暗闇の細い道を歩いている。
月は、今夜も出ていない。新月だったんだ。
とその瞬間、見覚えのある光が、大きな木の根元を照らしている。俺の胸の巾着に続き、マリーの巾着、ロコの巾着、ルルの巾着が木の根元に一筋を成して光の道を通している。そして、なんと、プラムのアンクレットからも同じ光の筋が木の根元から現れた祠に繋がったではないか。そして、光と伴に、お決まりの祠の扉が開き、いよいよ、お出ましだ。
「マークは、本当に、好き者ねぇ。また、とびきりの美少女を二人も集めたのね」
「あっ、クリスティー。冗談を言っている暇はないよ。カッチーナは見つけたけど」
「クリスティー様、マリーにもっと何でもできる杖をください」
「この笛。とってもエッチなんですけど」
「この方が、クリスティー?」
「どなたですか?夢ですか?」
「マーク。新しい仲間を探し出せたのね。ルルとプラムが揃って、ファミリー完成よ。コンプリートおめでとう」
「これが、ファミリー。これから、この五人で旅をするのか」
「ルルも、プラムも、マリーとロコに負けないくらいカワイイわね。セクシーでは私が一番だけど」
「何を言っているのですか?みんなが、仲間で、これから一緒なの」
「そのとおり、ブルースカイのファミリーよ。あなたのオ・ン・ナたちよ。うふふ」
「みんな、マークの女なんですか?困るぅ~」
「それで、今度は、何を」
「山を登りなさい」
「火の山のこと?」
「ルル、あなたには、この金槌を。プラムには、この小瓶をあげるわね」
「金槌ですか」
「ルルは、そう、金槌。使えるわね」
「プラムは、この小瓶に山頂に咲くプリメアの朝露を入れなさい。万能薬になるわ」
「プリメア?」
「あとアンクレットの石を、同じドラゴンナイトを探し出すこと」
「なんですか」
「ではでは、いってらっしゃい~っ」
「待ってくれ、今度は、いつ出てきてくれるんだい」
「マーク。こんなに可愛い女の子たちがいるのに、やっぱり、私がいいのね。うふっ」
「・・・」
「いいわ。特別よ。会いたいときは、マークが、まず、ファミリーの四人の左の乳房を順々に右手で触れなさい、そして、次は左手で、逆の順々に右の乳房に触れなさい。そして、クリスティーが欲しいと叫びなさい」
「乳房って、オッパイ?イヤーン」
「じゃぁ、またね」
いつものように、クリスティーは、言うだけいって、祠の中へと消え、その後、光が消えていくにつれて、祠もその存在を無くしていった。とにかく、怒り狂う火の山に登らなくては、いけなくなったらしい。謎解きなのか、意地悪なのか、はたまた、説明が苦手なのか、いつも通りに、分かったようで、よく分からない内容だった。
「マーク。誰のオッパイが一番触りたいの?私のでしょ」
「マリーのじゃないわよね。これがいいわよね」
「マリーもロコも何よ。私なんて、もっと凄い所にチューされたのよ」
「ルル。意味が分かりません。私も触られるんですね」
「俺達は、ファミリーなんだってさ。プラムも今日から、よろしく頼むよ」
「はい、みんなと別れなくてもよくなったのは、嬉しいけど、父上に説明するのが・・・」
「今のが、クリス教会に祭られているクリスティーだよ。女神様の」
「ええっ、神様ですか」
「まぁ、自称だろ」
「違うわ。尊き女神様よ」
「何でもいいけどね。そうだ、巫女様の所へ行っておこうよ」
「はい」
暗い夜道をまた歩き始めた。俺は、ちょっと、試してみたくて、四人に声をかける。
「ちょっと、いいかな?」
「何よ、マーク」
「俺を取り囲むように、カゴメカゴメみたいに、みんな並んでくれるかい」
四人が俺を囲むように集まってきた。上から見ると、俺を中心にした賽の目の「五」の形。この形が俺達の形なのかもしれない。
俺は、右の人差し指を立てて、マリー、ロコ、ルル、プラムの順に、それぞれの左の乳首を跳ね上げていった。
「イヤっ~ん」
そして、すぐさま、左手の人差し指で、今度は、プラム、ルル、ロコ、マリーの順に右の乳首をチョンチョンっと跳ね上げて、叫んだ。
「クリスティー、ショック!」
「イヤっ~ん、エッチ!」
欲しいと叫ぶのは、ちょっとなので、マリーの真似で、ショックと叫んだ。
「早いのよ、お試しなら、怒るわよ!」
なんと、本当に、いつもより小さな祠が俺の掌に現れ、小さな扉を開くと、これまた、小さなクリスティーが現れた。以前のマリーと良く似た、十歳くらいの美少女の姿だ。
「ちいちゃいね」
「うるさい!無理して出てくるんだから、こうなっちゃうのよ」
「本当に、約束通り、出てくるんだね。なら、いいや」
「この子は、クリスティー様?」
「やっぱり、試しただけなのね?お仕置きを」
「待って、可愛いクリスティーちゃん」
そう言いながら、俺は、金髪美少女のクリスティーのオデコにチューをした。
「仕様がないわねぇ~、今度は、ちゃんと必要な時だけよっ」
なんとも、はにかんだような可愛らしい笑みを浮かべながら、クリスティーは、小さな祠に消えてゆき、その箱のような祠も、俺の掌から消えていった。
「・・・・」
「ちょっと、ひどくない?」
「私のオッパイを何だと思ってるの?」
「そうよ、もっと優しくして、乳首がはじけたもん」
四人は、怒り心頭に発し、顔を紅潮されて俺を睨みつけている。
「だって、本当か、試しておいた方が良くない?」
「バカっ。もっと、大事に扱え!」
なんと、四人の声がシンクロした。息ピッタリね。
それでも、四人それぞれに異なる感触をしみじみ思い返し、左右の人差し指に頬釣りしながら、俺は、巫女の所へと先んじて歩き始めた。
月明りもない、真っ暗闇の道を進んでいく。まだ四人は、プリプリしているが、プラムが巫女の館に導いてくれた。古びているが、とても綺麗で、神々しい高床の館がそこだった。
「先に、話をしてきます。外で待っていて下さいませ」
「ここで待ってるよ。プラム」
「マーク、さっきから、蚊に刺されて、腕と脚が痒いわ」
「私も」
「私は、大丈夫」
「ルルは、美味しくないって、証拠ね」
「なんてことを。このブルーの毛並みが美味しくないわけないでしょ」
「そうかしら?虫も食わないんでしょ。私の金髪は、食われまくり。うふふ」
「ええっ~。赤い毛並みも人気抜群よ」
俺の仲間は、本当に可愛いったら、ありゃしない。容姿もバツグンで可愛く美しい。蚊の話だけでも、こんなのだから。帰ったら、硫黄のお風呂でゆっくりしないと、蚊の痒みも治らないだろう。
そんなことを思っているとプラムが館から戻ってきた。
「みんな、いいですよ」
巫女の高床の館へと昇る板の階段を上って、筵のような扉をめくって、潜って中へと入っていく。




