絹よりも木綿
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服を脱いで、縄にしたロープを今回は、長縄登りの要領で逆に、遡って、登っていく。
俺は、ロープのお尻を掴んで、皆を先に登らせていく。ルルは、どうしても俺の後から、続きたい様子であったが、ロープの揺れを掴んで抑えるのは、俺以外にいない。
身の軽いロコが先頭に登っていき、上の穴の踊り場まで到達すると、上から手を振って、安全を確認してくれている。
では、次はと思っていると、ルルとマリーが、どちらが先に行くのか譲り合っている?
譲り合っている?のかしら?
「ルルのブルーは、いいのよ、先に行きなさいよ、私のゴールドをマークは、欲しがっているのよ」
「マリー、どうしてパンツを脱いじゃったのよ」
「ルルだって、パンツ脱いでいるじゃないよ、今度も、マークにチューしてもらおうとしているのは、お見通しよ」
何をしているんだか、この二人は、早くこの登りにくい布切れのロープを伝っていきなさいよ。
本当に、二人がパンツを脱ぐ必要は、全くなかったはずなんだが。二人のパンツをコンコンが銜えて、チューちゃんと共に、見事な縄伝いでロコの元まで先んじて登って行った。
では、では、ノーパンの御両人どちらが先でもいいので、登っておくんなまし。
競い合う様に、二人がロープを登っていく。抑えているものの、ロープは大きく前後左右に揺れている。本当は、一人ずつじゃなくちゃいけないんだけど。
俺の頭の上をサファイヤ・ブルーとイエローゴールドのアケビちゃんが甘い香りを漂わせながら揺ら揺らと絡み合ってもがいている。
なぜか俺の禁断の果実は、非常食として腰の皮袋に入っていることを思いだたせてくれる。生アケビ二つ。
今、この場では、要らぬパワーを俺の脚と脚の間にみなぎらせてくれるじゃないかい。これじゃ、俺の番が来ても、ロープを登り難いじゃないか。早く、落ち着かせない事には、登れませんわよね。
「マーク、いいわよ、こっちからも引っ張ってあげましょうか」
「ロコ、大丈夫だ、ゆっくりいくよ」
「わかったわ、あっ、カモメさんだ」
カモメがロコの頭の上に舞い降りてきた。
マリーのブルスカ・ショックによって過去に戻ってしまったので、斥候を依頼したカモメはいないものかと思っていたけれども。
ロコが、キラキラと光るアジをカモメに銜えさせて大空へと戻していく。
「ロコ、偵察カモメさんが、来たのかい?未来から?」
「違うのよ、いや、違くないか、同じカモメさんだけれども、さっきのカモメさんではなくて」
ロコによるとこの空域を棲み処にしている同じカモメさんだけれども、今の過去進行形を生きているカモメさんらしい。
不思議なことにロコに何かを聞かれるだろうことを予想して、舞い降りて来たとのことだった。ロコも、木片に備蓄しておいた、アジを情報提供の報酬として先渡ししたとのことだ。
踊り場では、ロープをロコただ一人が支えてくれながら、俺は、やっとこさで岸壁に開いた人ひとりが通り抜けられる穴の所まで登り付いた。そして、そんな俺を見ていたかのように、先程のカモメさんが戻ってきて、ロコに何かを伝えると、また大空に舞い上がっていった。
「マーク、カモメさんが言うには、上からみた山は、山そのもので、岸壁に囲まれた空間なんて見当たらないとのことよ」
「そうすると、魔法の力で隠されているのか、山の中に、別世界の様に岸壁に四方を囲まれている空間があるということなのかな」
「早く、パンツを履きなさいよ」
「マリーこそ、もう登りきったんだから、履けばいいじゃないよ」
「本当に、二人は、どうしてパンツを脱いじゃっているの、替えのパンツを出してあげましょうか」
「ロコ、いいのよ、履くわよ、履けばいいんでしょ」
「早く、履きなさよ、ここは、お風呂じゃないんですよ、これから、穴潜りなんだからね」
俺とルル、そして、プラムを含めたダハスの二十人の娘が脱出した狭い穴をこれから反対に潜っていこうとしているのである。
反対に進むってことは、この前と違って、明かりのない所へ向かって進んでいくことになり、不安感が増幅していくだろうことを予測していると、それどころではなく、マリーとルルは、どちらが先に潜っていくのかで、言い争っている。
こんなところで、なんのために揉めているのか、他に考えることがあるだろうに、現在のこの時点は、これまたマリーの癇癪が生んだ地震と津波が生じた直後なのだ。先ほど眼下では、穴を抜け出した俺達が、お船に乗り込んで、ダハスへと向かっていく様を確認している。
そうすると、混乱の最中、山の中は、人が居なくなっていたことを思い起こしてきた。人気のない山の洞窟から、隠された山小屋へ辿り着く迷路の如く道筋を探すことになる。
「地震による津波は、山には到達しなかったことは分かっているから、俺から先に進んでいくからね」
「あっ、マーク待ってよ」
俺が穴に飛び込むように入っていくのをすぐにロコが追いかける。
さっきから、なんの順番を競い合っているのかのマリーとルルは、置いてきぼりに気が付くと、急に静かになって、大人しく順々に穴へと潜り込んでいく。
勿論まだ、パンツは、履いてない。
こういう穴を進むならば、オロチちゃんを連れてくればよかったと思いながら、先頭をかって出た俺は、行きつく先が、洞窟の終点と前回思ったところなので、躊躇なく身体をクネクネさせながら進んでいく。
まるで、何者かのおしりの穴から排泄される感じで、ぼたりぼたりと洞窟の中の空間に、俺の身体が転がり落ちた。一呼吸もおかない間に、ロコの身体も、俺の上にぼたりと零れ降りてきた。
そして、くるかなっと、待っていると、来ました。
あれ、ちょろっと、チューちゃんと綺麗な光沢のある布切れを銜えたコンコンがニュルっと、零れ落ちてくる。コンコンは、なにを銜えているのかしら?
暫くして、狭い穴の中から二人の美少女の顔が同時に出て来た。ひとりずつのが、出やすかろうのに、無理して二人で出てこようとしているので、出口の穴が少しほころびドバっと、マリーとルルが転がり落ちてきた。お尻丸出しで?
そうか、まだ、パンツを履いていなかったんだね。
「マリーもルルもパンツ履きなさいよ。これ出してあげたわ」
「ロコ、イチゴパンツじゃないよ、シルクのパンツは?」
「私も、絹のパンツだったのよ、人絹じゃないんだからぁ~」
「あらそう、これは、絹じゃなくて木綿だけど、木綿のイチゴ柄は、マークのお気に入りなのになぁ」
「よこしなさい」
「ロコ、ナイス判断、イチゴ、素敵ね」
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