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あの日に

連載より、一年が経ちました。

これもひとえに、

読んで頂いております読者、皆さまのおかげです。ありがとうございます。


「イテっ」

「あーん」

「あっ」

「どきなさーい」


 顔に十分な柔らかな重みを感じながら、堅い地面を背中に感じている。


 そして、真っ暗だ。


 息をするのもままならない感じで、勢いよく吸ったり吐いたりしても、状況に変わりない。でもでも、お顔には、えもゆわれぬ、ソフティな柔らかさと湿り気を感じております。


「マーク、そんなに、フーフーしちゃ、イヤ」

「どうして、マークは、お顔にルルを跨がせているの?」


「跨ぐって言うよりも、座っているわよね、どいてちょだい」

「私が座るから、ルルは、降りなさいよ」


 マリーとロコにルルが、横に降ろされたのだろう。俺の視界と呼吸が元に戻ってきた。


 ここは、前回もルルが俺の顔に座った、崖の踊り場に他ならなかった。


 この場所は、俺とルルの体制の強制化がいつになっても、存在するのかもしれないと感じてしまうほど、お顔にサファイヤブルーが密着する場所なのかもしれませんね。


 今回は、ルルは、ノーパンでは無かったので、サファイヤブルーにキッスとはいかなかったけれどね。


 残念な気持ちよりも、ルルのサファイヤブルーの爽やかな匂いを忘れていなかったことを改めて確認させて頂くことになりましたのでした。


「この腰帯のロープは、まだこのままだったのね」

「あの後、ここへは、誰も来ていない証拠でもあるよね」


「このロープは、マークとルルのプレイの残骸なのね」

「ロコ、おかしなことを言わないでおくれよ」


「もぉ~、私だって、こんなプレイは、してもらっていないのよぉ~」


 ブルスカ・ショックぅ~


「マリーまってくれ!」


 俺の叫びもむなしく、マリーのブルスカ・ショックは、放たれてしまいました。


 今度は、どんな摩訶不思議なマホーを発動してくれたんだい?


 マリー、お願いだよ、正当な魔法の継承者なんだだから、ブルスカの名に恥じないような魔法使いになっておくれ。


 今のところ、マリーのショックによる変化は感じられない。


 不発ということもあるのだろうと安心していると、ワイワイ、ギャーギャーとはしゃいだような声が足元から響いてくる。岸壁の踊り場より眼下を見下ろしてみると、なんと、俺とルル、そして、プラムとダハスの十九人の姫君が、俺達の船に縄梯子を伝って乗り込んでいく最中が、見て取れる。

 俺も甲板に横たわりながら美女たちに、水や食べ物を渡しているじゃないかいな。


「マリー、下を見てみろ」

「あっ、マークがいる、あっっ、私とロコがお船に乗り込んでいくわ」


 一足遅れで、俺達の船に、ロコとマリーが縄梯子を伝ってよじ登っていく姿が崖の下でおこっている。


「マリー、今のショックは、あの時に、戻してくれたのかい?戻りたかったら、指輪でのが良かったんじゃないのかい?」

「戻すつもりは、無かったのよ、本当よ、ただ、ルルのサファイヤ・ブルーへのキッスをさけたかっただけだもん」


「マリー、もう、ここは、キッスの後の世界よ、キッス済なのよ」

「じゃぁ、もう一度、ブルスカぁ~」


「ヤメテー、マリー、もういい、これ以上、わけわからん状態には、しなくていいさ」

「マーク、でも、今の時点では、カルボーアから、龍の花は、まだ、ここへ、搬入されていないのでは?」


「ナイス、ロコ、災い転じて福となすだよ、搬入される前に、鏡を壊せばいいのかも、かも」


「ねぇ~、私の魔法が役にたったでしょぉ~」

「マリー、お願いだから、いいよって言うまでは、その化粧筆は、チョチョイしちゃダメだよ」


「はーい」


 ゲトレの入り江を俺達のお船が、ダハスへと向かうのだろう外海へと向かって出ていくのが見える。


 まだ、プラムもファミリーに加わっていない我がお船を見送りつつ、同じ世界に、俺も、マリーも、ロコも、そして、ルルも同時に二人が存在している。


 大丈夫なのかしら?


 過去といえども、現在進行形の世界にいる以上、俺達だけではなく、全てに、影響が起ききゃうのではないでしょうか。


 現在進行形の世界に、俺を含めて、四人の同一人物が同時に存在しちゃってますのよね。


 過去に戻るならば、じっくり考えてから、必要ならば、指輪と羽の生えた蛇の呪文で、対処すべき事柄だったはずだ。マリー、すごい魔法使いの継承者っていうのは、認めますけれど、思い付きのショックは、今後は、本当に慎んでおくれ。


 いつも、やっちゃってから、思いますけれどね。


「あららっ、オロチちゃん、通信が、ジャージャーと乱れて、砂嵐みたいになっちゃったわ」

「どれどれ、何しているによ、念がたりないんじゃないの?」


「ハタンも念を送ってます」

「ネクターも、ボタンも、送ってる?」


「はーい」

「いきなり、見えなくなっちゃったわよね、これじゃ、出向くこともできないわ」


「通信も故障しちゃうのかしらね?」


 我が家の広間では、先行部隊の状況をルル、ネクター、ボタン、ハタン、そして、オロチちゃんが見つめておったのだが、突然の映像が途切れたために、不安感が、大きく広がっていた。

 プラムは、急ぎ指輪のさきっちょを摘まんで、ネジネジと弾いて、目を閉じて念を投じる。


「デテコイ、ヴィーナス」


 我が家の広間と呼ばれる居間に鎮座している二体の女神の石像の眼が、ピカリと光りながら見開くのが確認されると同時に、眼から、床に一筋の黄緑色の閃光が突き刺さり、二体の見目麗しき女神がその姿を露わにしてくる。



「クリスティー様、アルカティーナ様」


「あら、あら、どうしたの?今晩の夕食にお招きいただいて、嬉しいわ」

「夕飯は、もう、済んだのですけれど」


「プラム、それは、ないでしょう、ご飯でもないのに、呼び出すなんて」

「申し訳ありません、ご飯は、多く炊きましたので、茶飯の炊き込みご飯と唐茄子の煮物をご賞味いただきますので、マーク達の居所を」


「なに、唐茄子、いいですねぇ、栗カボチャ、プラムの煮物は絶品ですものね」

「ティーナさま、それよりも」


「ティーナ、混ぜご飯ですってよ」

「うん、聞きましたわ、クリス、混ぜご飯、それだけで、二膳は、頂けますわよね」


「もぉ~ぅ、めがみさま~っ」



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