カチャ
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「女王陛下、龍の園にて、収穫した産物を出荷するにあたり、会議要請がきております」
「そうですね、国の経営に関することです、産物より、収益を上げて、この国を安定させるために、売り先を探さないといけませんものね」
「左様でございます、収穫については、ご教授頂きましたように、順調に整っております」
ここは、カルボーア。
この前、大きな通り抜けの鏡を割り砕いた岸壁城郭の最上階であり、現女王の間である。
龍の園は、そのまま大きな庭園として、活用する為に、禁断の果実の樹木を挿木して、根を生やさせておいたのだった。これで、事実上、元々の禁断の果実の樹木は、現行切り株のみとなり、過去への時空トンネル共々お役御免となったことになる。
この新しく植えた禁断の果実の樹木により、望まれるものを実らせて出荷することで、新規カルボーアの国家運営の主たる基盤にしようとしているのである。
今までの、人身売買から、禁断の果実の出荷でこの国を成り立たせようというのだ。勿論のこと、禁断の果実の言葉を操りし効能は、消したものを当方が望んで実らせているのは、もはや説明することでもなかったですね。
「スーチン、マークたちは、もうゲトレに向かってくれたのかしら?」
「さっき、四人で向かったって、プラムから連絡があったわよ」
「この新しい果実の売り先も、考えてくれているのかしら?」
「それも、考えているって、プラムが言っていたわよ」
新しい産物は、禁断の果実という名ではなく、「龍の園の実」と称して、南京豆から、白桃に至るまで単一の果実ではなく、品数豊かな物として、世の中に提供していこうということになった。
各地で望まれる物を提供できれば、安定した収益を生むだろうことからである。
「マークのエッチな果物も、好まれる所があるのかしらね?」
「エッチな町で、好まれるかもしれないわよねぇ」
「うふふっ」
「エッチな町ってあるの?」
まずは、手始めとしてプラムの口利きにより、ダハスへ白桃を出荷できる算段がついたとのことなのだ。
「リンリンリン、応答願います、こちらカルボーア、ネーブル&ライム、青空家、応答願います」
「リンリンリン、はい、こちらゲリア、ブルースカイ青空家、女王バチさんどうぞ」
「ねぇねぇ、プラム、このお口でリンリンリンって、言わないとダメなのかしら?」
「多分、私たちの通信とカルボーアを区別するためだと思うけれど、必要ないわよね、恥ずかしいし」
「そうなのよ、恥ずかしいのよ」
「スーチンは、恥ずかしくないわ」
「ハタンも恥ずかしくない、面白いですわよ」
「そうですか、恥ずかしくない人は、やってくださいな、どうせ、通信って言っても、既に、幻影が来ちゃっているんだし」
「対面とおんなじよねぇ~」
「その通りなのよ、マリーの悪趣味よね」
「マリーの発案なの?」
「髪の毛通信は、マリー大魔法使いの発案で、家庭内特許が有効なのよ」
「じゃぁ、続けないといけないわね」
「でも、マリーは、今、マークたちとゲトレに行っちゃっているから、大丈夫よ」
「この通信も聞いているんじゃないの?」
「待機組だったら、聞いているかもだけど、今回は、実行部隊だから、遠足に夢中のはずよ、フンっ」
「あららっ、プラムとネクター、ボタン、ハタンちゃんは、またまた、お留守番で気の毒なのかしら?」
「私たちは、旧龍の園一家の子守り役を仰せつかっているから、その仕事をキチンとしますわよ」
「おねえたま、私もしっかり、リンラン先生から魔法を習います」
「そうね、この機会に、三人とも上達できるとマークも喜ぶわよ」
「本当ですか、頑張るー。オミヤが良い物になるかもしれないもーん」
髪の毛通信もこれでは、幻影を使ってのおしゃべり大会である。
さながら、パジャマパーティと言った感じであろうか、本題は、今回のゲトレへの龍の花探索とダハスへの出荷準備なのだけれども。情報では、龍の花が隠されている建物は、岸壁城郭で囲まれている所ということまでで、外から入った者は、いないとの事だった。
移動手段が通り抜けの鏡だけで、ゲトレ側にも同様な通り抜けの鏡が設置されているとのことであった。既に、向こうからもカルボーアへは、繋がっていない状態である。
鏡は、一体、どことどこに幾つ備わっていたのだろうか。現状の鏡も破壊しない事には、龍の花も移動させられてしまう可能性もある。
プラムが、情報を共有する為に、俺達にも通信回路を開いて、交信し始めた。
「ねぇねぇ、スーチン、南京豆もいいけれど、この胡桃も美味しいわよ、マークが脳みその木の実だって」
「脳みその木の実?」
「そうだよ、これ食べると、おりこうさんになれるんだよ、だから、いっぱい食べているのよ」
「ハタンにまけないわ、本当だ、美味しいわね、ちょっぴり苦みが効いていて大人の味ね」
「うん、オトナ味」
「リンリンとか、オトナとか、騒がしいわねぇ、お昼寝しているんだから、静かにしてちょうだいな」
「あっ、オロチちゃん、スーチンの作ったお羽は?」
その頃、俺達はというと、ゲトレでの本拠地となるだろうルルのお家の中にいた。我が家からルルのお家へと指輪と羽の生えた蛇呪文でひとっ飛びにやってきたが、ルルの家は、ルルが俺達と旅立った時のままの状態を保っていた。
ゲトレの町の隅っこの方に隠れるように半分地下に埋まっている小屋がルルのお家だった。外から見るよりも、内部は、そこそこの空間であるが、四人で入ると少し窮屈な感じは否めないだろう。
「狭くてゴメンね、ここは、鍛冶の作業場も兼ねているのよ、寝る場所もままならないところだけれども」
「私が、快適な空間に、つくり変えてあげましょうか?」
「マリー、駄目よ、ここが、ルルには、使い勝手がいい場所なんだから」
「ロコの言う通りだよ、ルルのお家だ、ルルの良い様なのが一番だよ」
「みんなありがとう」
「ルル、我が家からも、ちょくちょく立ち寄れるようにすれば、ここでも作業ができるだろ」
「うん、これから、そうするわね、みんなと旅に出てから初めて戻ってきたから、でも、空き巣とか、荒らされている感じもないし良かったわ、まぁ、こんなボロ家に入る者もいないだろうけど」
「それならば、」
「ブルスカ・ショックっ~」
マリーが、化粧筆を天井を指すように掲げて、決まり文句を口にする。現状のところ、見た目は、何も変化が感じられないが。
「ファミリー以外の者しか出入りできないように、カギを掛けたのよ」
「へぇ~っ、ファミリーだけね」
「マリー、ありがとう」
「ねぇ、役に立つでしょ、私のショックも」
「どうやって、鍵の開け締めをするんだい?」
「右手で、左の胸のさきっちょを鍵開け方式よ」
「えっ、イヤン」
「お、俺も?」
「そうね、マークは、自分でもいいし、誰のさきっちょでも空くわよ」
俺の目の前に、マリー、ロコ、ルルの大きなボインボインボインが、迫って来る。
今は、試すことないよね。
本題に入りましょうよ。ネーブルたちの依頼を受けたんだからさ。
ルルは、机の上で、紙にゲトレの地図を描きながら、説明をし始めた。
その説明によると、港から入り江は、外から二重の入り江の様になっているので、隠された町として、いにしえから秘密めいた話や、商品がこのゲトレには、入ってきたようだ。
山を背にして港に挟まれた町自体は、それほど大きくはない。町の人間も山側の市場までは、その存在を承知しているが、その奥の山肌に刻まれた彫刻の施された岸壁城郭のような要塞施設である賭博場、古くから本来のゲトレの核と言っていいだろう所は、都市伝説位の扱いだったようである。
ゲトレに住まう者は、奴隷売買の市場とすることを生業にしている本来のゲトレの存在を知らないのある。
いわば、賭博場における人身売買が、本業で、山の途中の市場は、奴隷市場には違いないが、本業をカモフラージュさせる見せかけの観光用の表向き催しといったところなのであろう。
古くは、ペテン師が勇者ブルースカイとしてその名をこの地に残していることからも、表の顔と裏の顔を持つこのゲトレは、何某かの因縁がありそうである。眼の前にいるルル自体も刀鍛冶カッチーナの子孫であり、そのカッチーナを娶っていたのが、ペテン師野郎に他ならないのだから。
「どうやって、またあの賭博場に潜り込むかよね」
「この前は、どうやったの?」
「たしか、ロコが、いかつい男を脅して、黄色い木札を奪ったんだったよね」
「違うわよ」
「そうよ、そうだったわ」
「もう、いいです」
「そういえば、ルルは、どうしてあの賭博場の奥に、丸裸で縛られていたんだい?」
「私は、金に銅を混ぜ合わせたピンクゴールドで彫刻を依頼されたんだけれども、彫刻の葡萄を実物を見てやり直すようにと、連行されたのよ」
「依頼主は、誰だったんだい?」
「分からないわよ、それに賭博場にも、目隠しされて連れていかれたんですもの」
「とすると、あのカルボーア擬きのような山肌の岸壁彫刻を見ているのは、俺とマリー、ロコの三人だけってことか、あの時は、三人とも性別が反対だったから、面は、割れていないけれど、正面切ってもう一度、賭博場には、入れそうにないだろう。
「あっ、イヤーン」
カチャ
「念通信の幻影でも、鍵が掛かったわ」
俺達の目の前に、念通信のオロチちゃんの幻影が現れて、ルルの左乳のさきっちょを右に捩じっている。
「あっ、オロチちゃん、でしょぅ~、私の防犯システムは、完璧よ」
マリーの自慢は、なかなかのものだけれど、鍵もない鍵システムでも、カチャって音がするんだね。
まぁ、音がした方が、分かりやすいっていえば、分かりやすいですものね。
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