今夜の献立
今日もご覧いただき、ありがとうございます
ぜひ、ご感想をお聞かせください
俺の目の前の大きな鏡が、粉々に砕け散っている。
ここは、龍の園、教会のような館、鏡の間である。
俺は、現在に戻ると、オロチちゃんに岸壁城の最上階の大きな鏡も砕くようにお願いする。尻尾の怪我を回復させたオロチちゃんは、一度、城の最上階に辿り着いているので、指輪の石を押し込んで、キメ台詞とともに飛んで行ってくれた。
龍の園と城の二枚の大きな鏡、時空を超える通り抜けの鏡を粉砕したことによって、龍の花の出荷経路である出発口を破壊したことになる。ゲトレ以外の市場への対処は、威張っていた旧女王側の担当兵隊バチの金髪娘に問いただし、確認すればいいだろう。
既に、シトロン、リンラン、ランリンは、何も覚えていない善良なる金髪ちゃんになってしまっている。
カルボーアの国民も旧女王と旧次期女王の姿が消え去っていることから、もはや追放か、処刑されたものと思っているらしく、現在の三人の姿、出で立ちに、本人だと気付く者は、独りとしていない。
目論見通りである。
馬子にも衣装髪かたちとは、良く言ったもので、見掛けも重要なことなのであろう。また、まさか、自分の目の前に、旧とはいえ、絶対権力者だった女王がいるとは、誰一人として思うはずもない。
新しく国を任されることになった、ネーブル、カボス、スダチに関しては、女王と女王補佐という立場であるものの、従来のような君主制ではなく、共和制により、都度都度、女王を選出する体制を採用させることにより、世襲体制を粉砕して、本当にカルボーアの金髪ちゃんのために国を運営する為に、つなぎ役に徹するつもりらしい。
なかなか、本当に賢い三人の知恵と対応だと俺達も感心できるのだった。国家基盤が整って、次期女王へと引き継げる時が来たら、俺達の村の新しい村人になってくれるものと楽しみができたことになる。
一足先に、カルボーアの旧女王親子は、俺達の村人第一号になるべく、ゲリア村に一緒に戻るために、帰り支度を共にしている最中である。
「私たちを村に迎えてくれて、ありがとうございます」
「美人で三姉妹のような、親子金髪さんが、お向かいさんになってくれるなんて、これからの、村の発展が目に見えるようですよ」
「そう言って、頂けると、うれしいです」
「魔法が使えるんですよね、いろいろ教えてくださいね」
「はい、お役に立てるならば協力いたしますわ、でも、竈に火をつけるくらいのことですけれど」
「母上は、火が上手に扱えますものね、私は、水を少々、扱えます」
「私は、光を灯したり、消したりを少々」
我がブルスカ・ファミリーの三桃娘と同じく、光、火、水の魔法を拠り所としているらしい。
この自然現象を基準としている魔法が、カルボーアの魔法の基本形なのかもしれない。ひいては、魔法の根本、原点の形だと考えられるだろう。
いまや、良い人、ナンバーワンになってしまった、人でなしで私利私欲の権化だった超高貴な身分の三人から学ぶことは、我がファミリーにとって、魔法の根源を探求する上でも、大きな価値があることだと考えている。
だって、目下、我がファミリーでの魔法の根本である二人の女神の更なる元の元なのだから、蒲口の中に、大昔の四角形の穴の開いたお金でも忍ばせているようなものになるのかしらね。
「エアル、そろそろ本当にお暇、頂きましょうよ」
「伯母さま、そうですね、禁断の果実も味わいましたし、ハチの巣の親玉も手に入ったわけですもんね」
「あらあら、この国でいろいろなものを見付けたんですね、マークさんたちは」
「シトロンさん、そうなんですよ、良い品物がこの国には、沢山ありましたよ」
「私たちにも、見せてくださいね、村につきましたら」
「リンランもランリンも、丁寧な言葉遣いは、いらないから、仲良くしてね」
「はい、マーク」
「ええ、マーク」
「まぁ、二人とも、マークさんに首ったけなのね」
「本当に、仲良くやっていきましょうね、シトロンさん」
「こちらこそ、親子ともども、宜しくお願いします、アルカティーナさん、クリスティーさん」
「ああっ~、なんだか、この旅も藪蛇よねぇ~」
「本当よね、ルルの言う通りだわ」
「マリー、どういう意味?」
「ロコは、分からないの?ファミリーだけじゃなくて、希少な金髪娘がマークに首ったけなのよ」
「そうよ、マークの色好みの相手として、強敵が加わったってことよ、それも村で一緒に住むのよ」
「ファミリーに加わったわけじゃなくても、村人になるってことは、一緒に暮らす家族と同じだもんね」
「何をゴチャゴチャと言っているんだい?そろそろ帰ろうかね、プラムも三桃ちゃんも待っているだろう」
「マーク、了解ですわ、お船で帰るでしょ、北の星の真下から帰るの?」
「どうしようかね、羽の生えた蛇の言葉のが、早いでしょ、それにこの大人数だし、早くかえろうよ、お船に大人数の食べ物も残っていないだろ」
「南京豆は、あるわよ、それに禁断の果実なら、好きなだけ収穫できるわ」
「そうか、その手があったか、でも、ちゃんとしたお料理が食べたいからさ、ロコ早く帰って、何かこしらえておくれよ」
「そういうリクエストなら、そうしましょう、そうね」
「ロコの料理に負けないわよ、私が、みんなが戻って来るまでに、用意しますわ」
「あっ、プラム、それは、うれしいね」
「私たちもお手伝いしまーす、だから、早く帰ってきてね」
「ネクター、ボタン、ハタンも頼むよ、でも、早くって、一瞬で戻っちゃうけど、お料理間に合わないだろ」
「イジワル言わないで、ロコも疲れているでしょ、戻ってからでも、支度するわよ」
「さすが、プラム、お肉がトロトロのシチューとかが食べたいです」
「まぁ、マークったら」
「私も食べたいです」
「私もよ」
「まぁ、二人の女神さまからも、ご要望いただきましたわ、了解ですわ」
ではではと、俺達は、後のことは、ネーブル、カボス、スダチに任せて、ルルが首から掛けている羽の生えた蛇の紋章を準備すると、全員でそれを囲んで手を繋ぎ、決まり文句は、定番となっているのオロチちゃんがそのお口から唱える。
エ・ヌ・ジ・ア・イ・ブ・ル・ス・カ
いつもよりも、足元から大きな靄のような感じが波打ちながら、大きな渦潮の流れを呼び起こしてくると、足元からさわられるようにすくわれて、紋章の中心へと全員が、吸い込まれていく。排水溝に水が吸い込まれていくかのように。
早く、プラムのシチューを味わいたい、味わいたい、濃厚なトロトロちゃん。
ぜひ、ブックマークと評価をよろしくお願いいたします。
ご感想も、ぜひ、お聞かせください。
また、厚かましいお願いですが、
少しでも、ご共感いただけましたら、お友達へのご紹介やご推薦を
して頂けますと、とても有難いです。
執筆と更新の励みになりますので、作品と併せて、
多くのみなさまの目につきますように、ご協力よろしくお願いいたします。