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純真無垢と革命

今日もご覧いただき、ありがとうございます

ぜひ、ご感想をお聞かせください



「ううっ~ん、私、どうしちゃったのかしら?あっ、イヤっ!」


 目覚めたネーブルは、みんなの前で、ただ一人自分だけが、何も身に付けていない丸裸なのを認識して涙目で俺に視線を飛ばしている。

 ごめんよ、たまたま実験台になっちゃっただけだよ。でも、ネーブルのおかげで、いい案が浮かべることができましたよ。


「ネーブル、早く、着ましょうね、綺麗な金髪を見せすぎると、マークが心変わりしちゃうから」

「やっぱり、マークが、私を脱がしたのね、エッチぃ~、そんなに、私のが、見たかったのね」


「エアル、使えそうね」

「はい、これで、女王たちをいい子ちゃんにして、戻ってきますかね」


「マーク、付いていきたいけれど・・・」

「あっ、オロチちゃん気が付いたかい、尻尾は、痛むだろう」


「うん、なんとか、プラムのプリメアが効いていると思うわ」

「今回は、独りで行ってくるよ」


「大丈夫よ、今度は、私が付いて行ってあげるから」

「マリーは、ダメ!連れて行かないよ」


「どうしてよ」

「危ないからに決まっているじゃないか」


「オロチちゃんは、よくて、私はダメなの?」

「そうじゃないさ、本当に危ないんだよ、今だって、オロチちゃんだって、ケガしてるでしょ」


「私のブルスカ・ショックでやっつけるわよ」

「魔法は使えないさ、大昔だもん」


「マリー、ここで、お留守番してましょうね」

「クリスティーさま~」


「マーク、チューちゃんとコンコンを連れて行って、役に立つわよ」

「ありがとう、じゃぁ、一応、付いてきてもらうかな」


 チューちゃんを懐に入ってもらい、コンコンは、足首に巻き付いてもらうと、ペテン師の笛を逆さまに握りしめたまま俺は、指輪の石を右に捻って、羽の生えた蛇の決まり文句を口にする。


 カ・シ・ム・カ・シ・ム・シ・マ・ウ・ラ


 渦潮の流れを抜けると、今度は、俺、本当に、ただ一人だけで、緑の草の波の真っただ中に佇んでいる。中継地点も目論見通りで、透かさず、再度、指輪に手を当てて、先端の石を右に捻りながら、再度、合言葉を告げた。


 そして、瞼を開いたその目の前に、女王シトロンと次期女王リンラン、ランリンの姿を捕らえることが、できた。


「お前、捕まえろ、逃がすなよ」

「お母さま、取り押さえますわ」

「お任せを」


 俺は、三人を眼に捕らえたと同時にペテン師の笛をフッ、フッ、フッと三回吹き矢を放す要領で逆さまに吹いた。ペテン師の笛から放たれた黄緑色の光の玉が、三人の身体に的中すると、その動きを一瞬に止めることに成功した。

 動かなくなった三人は、先程のネーブルと違って、石の様に固まっていないので、更に、笛に長めに息を吹き込んで、光の筋、光の帯を放ち、三人にまんべんなく、十分に黄緑色の光の流れを浴びせて、ネーブルの如くカチカチに固めて、こちらの安全を確保することができた。


「ここまで、できれば、安心だ」


 俺の前には、見かけは、女神とまごうことなき見目麗しい人の顔をしたハチの巣の親玉、女王シトロンと次期女王のリンラン、ランリンが石像の様に立っている。


 反省などの心持は、いささかも持ち合わせてはいないようである。そもそも彼女たちは、反省などしないのである。大体、誰に対してこの者たちは、反省をする必要があるのだというのだろう。問いかけている俺の考えたらずが、自己認識できてしまう。


 この三人をどうしたらいいだろうかな、まずは、記憶操作をして、今までの記憶を消し去り、真っ新な記憶を作ろう。それは、純真無垢な乙女として、生まれ変わらせることが目的だ。今までの悪行の数々を忘れ去ることになるが、その人生をやり直すことで、償ってもらうことしかなかろう。

 

 龍の花については、出来る限り、救出を試みなければならないことも、俺達の役目でもあるだろう。場合によっては、時間の壁をも超えて、この三人の、もっと言えば、シトロン以前の歴代の女王の悪行までも、償えるかもしれないし、為すことは、多いことを認識しちゃっています。


 動きの止まった女王シトロン、次期女王リンラン、ランリンに向かって、ペテン師の笛を逆さまに吹き、黄緑色の光の筋を浴びせかけながら、自分の名前とシトロン、リンラン、ランリンの親子の間柄以外は、全くの記憶を消し去るように、言葉を投げ掛ける。


 女王や次期女王の立場さえも覚えていない見目麗しいピンクゴールドと希少な赤い金髪の美人さんとして、生まれ変わって頂いただろう姿は、カチカチなので、本当に、純真無垢ちゃんになっているのか分からないが、なっていることを信じつつ、俺は、指輪の先端の石を親指と人差し指で摘まんで、左に捩じりながら、また決まり文句を発した。


 ラ・イ・ミ・ラ・イ・ミ・タ・マ・タ・マ


 緑の草の波の中継時代を経て、再度、現在に向かう渦潮の流れに身を委ねて、俺と、カチカチ三人娘は、みんなの待っている鏡の間に戻ってきた。


(チューちゃんとコンコンの出番はありませんでした)


「マーク!お帰りなさい」

「わっ、カチカチだ」


 俺は、ペテン師の笛を逆さまのまま、チューっと吸って、カチカチをヤワヤワのピチピチに戻して、ダランっと寝そべっている三人を指さして、マリーに声を掛ける。


「マリー、ショックで着物を三人分お願いよ」

「わかったわ、パンツを出せばいいんでしょ」


「パンツだけじゃなくて、普通の衣服を頼む、この着物は、脱がせて捨ててくれ」

「了解!」


「ブルスカ・ショックっ~」


「じゃぁ、マークが脱がす前に。私が、ヌギヌギさせちゃいますね」

「ルル、私も手伝うわ」

「ロコちゃん、私も、脱がすわ」

「スーチンも脱がす~」


 丸裸の高貴な裸体が眩しい。


 初めて目にするカラーコレクションに俺の眼は、自ずと釘付けになっちゃいます。


 ピンクゴールド・ラッシュ


 レッドゴールド・ラッシュ


「マークの眼差しがおかしいわ、ダメ、もう見ちゃダメ」


 ロコとルルが、マリーの出した下着と衣を美しい裸体に纏わせていく。


 もう少し、ゆっくりと着せてもいいんですよ。


 あなた達。


「マーク、それで、どんな風にいい子にしたの?この女王バチ親子を」

「女神様お二人の手を煩わすことなく、記憶を消し去りましたよ、純真無垢の金髪ちゃんにしちゃった、ただ、親子の認識は残したけれど、他の金髪ちゃんは、自分の娘とは、知らなくなっちゃったけどね」


「エアル、それでいいでしょ、このカルボーアは、ネーブルたちに治めさせればいいわね」

「えっ、私たちですか?」


「そうだね、さっきの幻影も、ネーブルたちは、女王の出で立ちだったものね」

「それじゃ、この三人は、どうするの?」


「カルボーアには、置いておけないね。まぁ、追放だよね、ゲリアに連れて帰って、村人一号、二号、三号にして、村人家族第一号にするってのは、どうだろう?」

「村人いいわね、監視も出来るし、我が家のお向かいさんにしましょう」


「それなら、また、彼女たちのお家を建てないとね」

「任せなさい」


「マリー独りじゃ、建てられないでしょ」

「もちろん、みんなへの指示だしよ」


「マリーは、七つの方が、余計な事言わないで、可愛いかもね」

「ロコ!何のことかしら?」


「止めておきなさいよ、マリーは、自分が七つの子に戻っていたことを覚えていないんだから」

「マークまで、私を馬鹿にしてぇ、ピンクゴールドとレッドゴールドを見付けても、マークの物にはさせないんだからねっ」


「何言っているんだか」


 俺達は、講堂内に残された連行されてきた働きバチの金髪娘たちと、城に残されている働きバチの金髪娘たちへ、カルボーアの解放を宣言して、これからは、ネーブルを女王に、カボスとスダチを女王補佐として、このカルボーアを立て直すことを約束した。


 先の女王と次期女王の恐怖統治から全国民を解放させる革命を成功させたネーブル、カボス、スダチを拒むものは皆無で、この提案は、受け入れられた。


 岸壁城郭は、歓喜の歓声で包まれていった。


 残るは、ゲトレや各地に送り込まれた金髪娘ちゃんたちを取り戻しに行かなくてはならないだろう。過去に各地に送り込まれた龍の花を救うのは、検討が必要だけれど、今回送り込まれた人の川の行進集団は、取り急ぎ救い出して、このカルボーアに戻ってきてもらうのが、正解のはずだ。


 はてさて、どうしたものだろう。


 行かなかったことにすればいいのかな。思いつきに過ぎないが、思い立ったらなんとやらじゃないけれど、俺は、横にいるルルの手を取って、指輪の先端をちょこっと右に捻る気持ちで、もう一人でも唱え慣れた羽の生えた蛇の文句を口にした。


 カ・シ・ム・カ・シ・ム・シ・マ・ウ・ラ


「あっ、マーク、今度のおデートの順番は、私でしょ」

「えっ、いきなり、おデート、うれしいわ、ピンクより私のブルーが、やっぱり」


「どうして、ルルなのよぉ~」


 その場にいるファミリーの声が、耳から離れて、身体が揉みくちゃの中に潜り込んでいき、スパンっと飛び出した目の前には、大きな鏡が現れた。


「ルル!金槌で、思いっきり鏡の中心をぶん殴って、粉々にしてしまえ!」

「これでいいの?エイ!」


 ガシャーン


 ラ・イ・ミ・ラ・イ・ミ・シ・マ・ウ・ラ


 ルルが金槌を振り下ろしたのを見た瞬間に俺は、透かさずに指輪の石をちょびっと左に捻る気持ちで、決まり文句を唱えて、やり逃げを成功させる。


 瞬き位の時間だったが、大勢の金髪娘が鏡の間に集められていて、今回の出荷前であることが、理解できた。


 渦潮の流れに身を任せて、瞼を開くと、簡素であるが、爽やかな色気を発する衣に包まれたシトロンとリンラン、ランリンが、二人の女神と話している様子が目に入った。広間には、先程よりも大勢の金髪娘で溢れかえっている。出荷を食い止めた金髪娘さんが、その場にいることを納得させるに難しくない光景だった。



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