吸っちゃう
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(「やっぱり、ここへ、戻るんだね」)
(「一回で帰るには、もっと左に捩じらないと、でもね、来た時と同じことを繰り返すこの方法の方が、確実でいいと思うわよ」)
俺とオロチちゃんは、堅く抱擁したままで、緑の波に揺られていた。
下半身の蛇部分で立ち上がっているだけで、ギリギリの気力であるのは、変わりなく、回復の兆しが無い。急ぎ、戻って、対処するためにも、再度指輪の石を左に捻らなければならない。そのくらいの力は、まだ残っているので、捩じっちゃう。
オロチちゃんも併せて、お口を俺のお口の直ぐそばで、動かした。
ラ・イ・ミ・ラ・イ・ミ・タ・マ・タ・マ
「マーク!」
「あっ、オロチちゃんと抱き合ってる~」
カルボーア龍の園の教会のような館、先程、七つのマリーが、十七のマリーに戻った、鏡の間の床に、半分ガンメタちゃんのオロマークがファミリーとネーブル、ライム姉妹の前に横たえた状態で現れた。
「マリー、冗談言わないでよ、手負いなんだよ、プリメアをお願い」
「えっ、どこ、どこ」
ロコが、あたふたとしている。プリメアを探していると、
「これよ、忘れて行ったでしょ」
半透明のプラムがプリメアの雫の小瓶を手に現れて、迷うことなく、上半身しか分離できていないガンメタちゃんの尻尾の先にプリメアの雫を注いでくれる。
真っ赤に焼けた鉄に水を差した様に、激しい蒸気を伴いながら、ジュウジュウと音を立てる尻尾の先のガラガラは、火の山の溶岩の如く赤く光り出している。
不謹慎であるが、その周りは、これからサウナに入りたくなってしまいそうな錯覚さえ感じてしまうほどの熱気がムンムンと充満してきている。
「プリメアの雫が効けばいいのだけれど、庭から追加分を収穫する必要があるかしら?」
「プラム、さすが、髪の毛通信の繋がりっぱなしが、功を奏すわよね」
ジュウジュウと蒸気と熱気を放ちながら、床の上で、やっとのことで、俺とオロチちゃんは、分離して、それぞれの身体に戻ることができた。
ガンメタちゃんの尻尾の怪我は、大部分が、予想通りに、オロチちゃんの尻尾の怪我と言っていいだろうが、俺は、俺で、お尻のほっぺに拳大のアザというか焼き印のような火傷を負ったようである。
大蛇から各々の姿になった俺とオロチちゃんの怪我の箇所に、プラムは、さらに、プリメアの雫を振りかける。勿論、俺もオロチちゃんもプラムの手によって、お尻を丸出しにされている。オロチちゃんのプリンプリンの剥きオシリと俺のプリケツが並んでいる。
「まぁ、ケガしてるお尻が、二つ、桃ちゃんみたいね、大変よ、二つに割れちゃっているわ」
「マリー、痛がっているのよ、桃とか、二つとか、ふざけている場合じゃないわ」
「マーク、女王バチとお姫様は、どうなったの?」
「その女王バチの薙刀、禁断の果実の木で造られた薙刀で、尻尾を切り落とされたんだ、だから、逃げるように、大昔のこの場所に置き去りにしてきたんだよ」
「まぁ、じゃぁ、これで、追放で解決ね」
「そうなのかなぁ、そうでもないでしょ、俺達は、人殺しには、なりたくないもんねぇ、暫くしたら、迎えにいってきますよ」
「人がいいのねぇ、エアルは」
「ただ、どうやって、悔い改めさせるかですよね、お知恵を授けてくださいよ」
「いい子になればいいのよねぇ」
「このまま、ただ迎えに行っても、命の危険もあるわよねぇ」
「ロコ、ペテン師の笛を貸してくれないかい?」
「これ?ペテン師の方でいいのね」
オロチちゃんと比べて、傷が癒えてきて、起き上がれるようになった俺は、ロコからペテン師の笛を受け取って、よくよく眺めてみる。
流れ星が空から脳天目掛けて落ちてきて、本当にすんでのところで九死に一生を得た記憶の中で、アロンが放った言葉が気になっていた。
アロンは、このペテン師の笛で、いい夢を見せてやると言っていたはずだ。いい夢を見せるとは、どういう事だろう。いい夢を見せられる前に、オロチちゃんがアロンからこの笛を奪ってくれたのだ。
天使の笛と殆ど同じ様に、先見の明を示してくれる笛だと思っていたが、伺うだけの受け身の代物ではなく、対象に夢を見せることができる代物だとしたら、使えそうだ。
アルカティーナとクリスティーの記憶を介在したり、仲違いさせたり、それがこのペテン師の笛の仕業であるとしたら。でも、どうやってその効果をもたらすのだろうか。眺めていても、よく分からない。二人の女神に聞きたいが、知っているならば、覚えているのならば、既に、指示してくれているだろう。
「マーク、天使の笛も使う?」
「ロコ、ああっそれは、後から、ペテン師の笛の使い方が・・・」
「吹くだけじゃダメなの?」
「幻影が見たいわけじゃないんだよ」
「幻影じゃない使い方があるの?」
「おそらく、多分、あるんじゃないかと」
「エアルは、そのペテン師の笛が、たぶらかしの笛だと睨んでいるのね」
「睨むというより、ペテン師は、この笛で、ガンメタちゃんにいい夢をみせてやるって言ったんだよ」
「ティーナ、その笛で、私たちは、たぶらかされたのかしら?」
「それはなんとも、クリスも覚えていないんでしょ?」
やはり、二人の女神も分からないらしい。
俺は、ロコが吹くように笛を口に当てて息を吹き込んでみる。たちまち天使の笛の様に、モクモクと靄が立ち込めてきて、その中心にネーブルとカボス、スダチの姿が現れた。自らの姿を靄の中に見ている三人は、まるで鏡に向かう様にその姿に目を奪われている。
その姿は、シトロンとリンラン、ランリンの出で立ちと酷似しているのだ。
「なにかしら?私?」
「ネーブルが、悪者になっちゃったわ」
「スーチンったら、馬鹿ねぇ、私たちも悪者みたいだったわ」
それは、ともかく、やはり、幻影しか見ることが出来ない。笛だから吹いたけれど、今度は、吸ってみたらどうなるかしら?
今度は、ペテン師の笛を銜えて、チューっと吸ってみてみる。
初めて笛を吸ってみると、モクモクの靄は、現れることなく、なにも変化が起こらない。まぁ、当たり前の事だろう。
「イヤッ~ん」
「マークのエッチぃ~」
「あらっ、あらっ」
「クリスのは、レースの下着ステキね」
笛を銜えている俺以外のみんなの衣が消え去り、下着姿になっている。
なんなのだ、これは、もう一度、更に、チューっと、笛を吸い続けてみる。
「ちょっとっ~、いやぁ~ん」
「バカぁ~、もう、そんなに見たいなら、そう言ってよ~」
「こんな所じゃ、ダメよ、お風呂じゃないもん」
下着だけを身に付けていた女性陣は、唯一残っていた下着さえも、身に付けていたものを全て煙の様に消し去られ、一糸まとわぬ美しきビーナスとして、俺の目の前にドドーンっと、立ちすくんでいる。
なんなんだ、吸ったら、衣を剥ぎ取っていくぞ。
本当にエッチな笛なんじゃないか。なんの使い道があるのだろうか?
口から、笛を放すとみるみる全裸のビーナス達は、元々身に付けていた衣をその身体に身に纏った状態に戻っている。
「マーク、悪ふざけしている時じゃないのよ」
「ふざけていないよ、笛を吸うと、スッポンポンにしちゃう効果があるんだね」
俺は、半ば諦めの気持ちで、笛を逆さまから口に銜えて、息を吹き込んでみた。
すると、本来は、笛の口を宛がう箇所から黄緑色の蛍光の光の筋が放たれた。
たまたま、その光の先にいた、ネーブルに光の筋が直撃してしまった。光の筋を浴びたネーブルは、石像にでもなったように、ピクリとも動かなくなって、瞬きすらしていないようだ。
「ネーブル、大丈夫?」
「マーク、ネーブルが石になっちゃったわよ」
「ネーブル、聞こえるかい?ここは、お風呂だから、着ているものを、全部脱いでおくれ」
あまりにも、固まっちゃっているので、ちょっとした、イタズラ心でそんな言葉を投げ掛けると、ネーブルは、柔らかな動きと共に、衣を脱ぎ捨てて、すっぽんぽんになると、俺の方に向き直って、見てみろというようなポーズのまま、また、固まっちゃったのだ。
ゴールド・ラッシュ!!!!(イエローゴールド・ラッシュ)
「これは、相手を意のままにできる効果なのかもしれないぞ」
「ネーブルをオモチャにしちゃうの?イヤーン、私にしてよ」
この方法で、相手の記憶にも干渉できるのかもしれないぞ。なるほど、これならば、ガンメタちゃんのオロマークにいい夢をみせて、意のままにドラゴンの牙をペテン師は、奪えたのかもしれないな。
良い物を頂戴できたようだ、それでは、今度は、ネーブルも元に戻すには、どうしたらいいだろう。
「マーク、逆さまで吹いたのね、そのまま、逆さまのまま、吸ってみたらいいんじゃないの」
「なるほど、クリスティー様、冴えてますね、クリスチューなんてね、今度は、衣を厚着しちゃわないだろうなぁ」
クリスティーに勧められるまま、口に銜えたままの笛をチューっと吸ってみる。
先ほど、正しい向きで吸った時は、丸裸にしてしまった、マッパゴーゴーだったけれども、今度は、全裸にも、更なる厚着にもならないで、カチカチのネーブルが、グニャリとなりながら、床にゴロンっと寝そべらせる効果を発揮した。
良い感じです。
ネーブルは、自分で衣を脱いだので、勿論、いまも、スッポンンポンの丸裸のままだ。美しいビーナスは、カチカチから解けて、柔らかな、ピチピチちゃんです。
「ネーブル、ネーブル起きて」
「ここは、お風呂じゃないのよ」
ルルとロコが、ネーブルの元に寄り添って、脱ぎ放った衣を手にネーブルの両肩に手を添えて揺すっている。
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