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第八部 UNICORN's(可能性の獣たち)
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第八部 第6話 dogfight(トンボの眼は回るのか?)

 「ちょっと!どういうコト!?誰が撃ったのよ?」

いくら何でも早すぎるわ。先にウルのカンゼオンで相手の動きを封じる予定が全部パァ。私たちpentagram(ペンタグラム)の常套手段知らないっての?どこのバカか知らないけど、この距離から基地を直撃させるなんて・・・それこそスナイパー、そうじゃなくてもロングレンジの射撃装備でもなきゃ、出来る芸当じゃないわ。そんなの装備してる機体、あったかしら?

 「オイオイ!あちらさん、ハチの巣つついたみたいになってんぞ!?」

そりゃそうでしょうよ!見える限りでは4つあった背の高い建物のうち1つを撃ち抜いたんですからね。まったく・・・どーせ当てるんなら、基地の司令部的なトコに当ててよね。あの綺麗な戦闘機の配置具合からして、そこは別の場所だったことが分かる。この状況であの隊列ができるなんて、ウワサどおり戦闘機だからって一筋縄ではいかない相手ね。

 「相手は戦闘機よ!今からじゃあ部隊の再配置は間に合わないわ!コレはヘタをすれば一方的にヤられかねないんだから、全員とにかく回避に集中しなさいっ!」

戦闘機の編隊よりも少し高度の低い位置に2つの機影。アレが例の空戦型のMhw(ミュー)ね。情報ではもう1機いるはず。たぶんソイツは上で戦闘機と一緒に飛んでるはず。戦闘機と同じような高度、速度で移動するMhwなんて、完全に規格外な機体ね。まぁ、ADaMaS製Mhwなんだから、驚きも半減するけどさ。

 それにしても・・・開戦の合図になっちゃったあの一撃、准将の言ってた〝招かれざる機体〟なんじゃないの?この距離からでもハッキリと見えるあの煙、かなりの被害が出てるっぽいけど、実際問題、そんなコトって出来るのかしら?

 この部隊の編成機体の内、遠距離攻撃が可能な装備を持っているのは、ウルのカンゼオンしかいない。けれど、遠距離砲特有の砲撃音は無かった。弾道は後方からだったけれど、ウルのレーダーにも後方に離れた機体は見つかってない。現状から考えられる可能性は3つ。1,友軍の中に普通のライフルでも超遠距離射撃ができるスゴ腕パイロットが居る。2,ウルのレーダーでも捉えられないほど遠距離からの狙撃。3,フツーじゃ考えられない芸当をカマスことができるヘンタイがどっかに潜んでる。

 部隊に統率の乱れは無かったんだから、たぶん1じゃない。もし1なんだったら、こちらも編隊組んでるんだから近くに誰かが必ず居たはずだ。なら誰かから何かしらの反応があるはずなのに、それは無かった。なら2はどう?可能性的にはコレが一番高い。それこそ、遥か後方にショウ・ビームスのR-N・bull(ランブル)が居れば成立するわ。けれど、友軍がヤったとは思えない。ショウ・ビームスなら猶更だ。だって、現にその一撃のおかげで、戦況はメチャメチャだわ、作戦は水の泡なんだもん。って言うか、もしもコレを友軍がヤったなら、所属が違ってもシメるわね。

 「やっぱコレ、ヘンタイの仕業よねぇ」

「あん?ナニ言ってんだ、アイ?アタマでも打ったか?」

「隊長・・・私のコトはいいですから、回避し続けてください!ホラ!例の3機、来ますよ!」

戦闘機部隊はリッカがウマイ具合に散らしてくれてるし、戦闘機特有の軌道特性があるから回避できる。けど問題は3機のMhw。特にあのsks(スケィス)系の機体は厄介だわ。なんなのアレ?戦闘機と同等の速度で飛んどきながら、あの機動性・・・まるでトンボね。

 「pentagramであの3機、何とか抑えるわよ。できなけりゃ、部隊があっという間に壊滅するわ。いいこと?あの速いのがトンボ、フワフワしてんのはタンポポ、挙動がおかしいヤツはピエロでいくわよ!」

にしても分が悪い・・・コッチはワンチャンしか無いわね。トンボの高度に攻撃可能なのは、隊長のイザナギとたぶん私のコノハナサクヤ。私のはフルブーストで何とか届くか?ってレベルだけど、イザナギなら十分に届く。けれどあの高度に上がっての攻撃は1回きりの奥の手だからね。初撃で落せなかったら2度目は無い。相手もADaMaS製Mhwを駆るパイロットだもの、そんなに甘かぁない。

 「トンボたぁ、良いネーミングだ。ピッタシだぜ!ちょっととっ捕まえてくるぁっ!!」

「ちょっ!隊長っ!ヤメ・・・」

しまった・・・ええ、ええ、コレは私のミスだわ。隊長のアホさ加減を忘れてましたっ!(私的に)切り札の高高度ジャンプをあっさり使いやがった!

「隊長っ!飛んだからには落してくださいよっ!出来なかったら私が落しますからね?アンタとそのイザナギをっ!!」

 さっすが隊長。高度、速度、タイミング、どれもドンピシャね。トンボは捕らえた・・・って、え!?ウソ!トンボが加速した!?

「うおっ!?マジか!んなろぅっ!!」

目の前で、自分の目で見てるコトだけど、信じらんない・・・あのトンボ、翼の前にビームサーベル精製できるのね。だから加速してイザナギを〝斬り〟に来た。けれど驚いたのはむしろ隊長の方。何よあのイザナギの動き・・・確かにトンボのあの速度なら、vampire(ヴァンピア)で受けようとしてもソレごと斬られてたはず。ソレを瞬間的にスラスターのカットと、上体の極端な後方への反らしで、ビームサーベルを顎の先でやり過ごした!しかもそのまま一回転してトンボの背中蹴りつけやがった!(アラヤダ、やがっただなんてハシタナイ)

 「リッカ!タクヒ!ウル!タンポポとピエロを近付けさせるなっ!」

「もうやってますよ、アイさんっ!」

こういうトコロはホント頼もしいわね、ウチの子たち。リッカがガトリングで牽制しつつ、タクヒが相手の攻撃を全部受け止めてるわ。ウルは機体に影響の無い範囲での局所的なジャミングを単発的に出してるのね。

 それにしても、あのすれ違いざまで、相手のあの速度に追いつける立回転蹴りをMhwで繰り出すとか・・・ウチのヘンタイもなかなかなヘンタイっぷりね。トンボが落ちて来るのに合わせて、そのまま串刺すつもりかしら?vampire構えてるわね。まぁ、あの衝撃なら、パイロットもコクピットで気絶してるんじゃないかしら?これで1匹は捕獲したわね。

 「アイっ!サーベル構えろっ!」

え?え?ああ・・・ナニ?どうなったの?私・・・隊長の叫びが無かったら間違いなく死んでた。やっぱりADaMaS製Mhwのパイロットってヤバいわ。一瞬過ぎて見えてなかったけど、あのトンボ、地面スレスレから直角に私の方に飛んできたんだ。羽根で私を斬るつもりだった・・・頭で理解するよりも反射的に手が動いて良かった。構えたサーベルでトンボのビームサーベルの軌道を逸らせたけれど、左腕丸ごと持っていかれたわね。

 「やるね。アッチのMhw、あり得ない動きしてたけど、アンタも逃げずに受け流すとはね」

相手からの通信・・・そうだ、あの瞬間避けていたとしたら、トンボの機動力から逃れられずに両断されてたハズだ。隊長が叫んでなかったら・・・いや、待てよ?確かに隊長は叫んでたけど、ナンカ焦ってるよーに聞こえなかったか?

「そこのパイロット、ちょっと待ってろ。つか隊長!さてはトドメのポーズに気を取られ過ぎてたな?」

「え!?い、いや?そんなコトはきっと無いぞ?」

あのスットコドッコイ、もっと早くトドメ刺せてたんだ。それをカッコつけようとしたばかりに、相手に反撃の隙をくれてやったってコトよね?なんか逆にハラ立ってきた!

「よーし!ソコのパイロット!!待たせたわね。一様アソコのバカは味方だからさ・・・アンタ、私のヤツアタリに付き合ってもらうからね!」

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