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第八部 UNICORN's(可能性の獣たち)
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第八部 第5話 Message(込められた真意)

 「コレ、どういう意味でしょうか?」

教えてくれたのはウル。カンゼオンのコンソール画面に表示されてたって言って写メ送って来たんだけど、確かに不思議な文章よね。ADaMaS(アダマス)絡みだろうからって、全員の機体調べたら全部同じだった。で、コールマン准将のトコに集まったってわけ。

 「〝ADaMaSは信念の下、自らの意志で立つ。貴方の信念は何?〟か。これはまた・・・深い謎かけだね」

・・・オワリかい!ってか、感心しとる場合かっての。

「准将、この一文の真意は測りかねていますけど、コレで情報が無かったことの辻褄は合いますね。やっぱりADaMaSは生きていた」

ADaMaSが襲撃されるっていう情報は軍に入っていた。上層部もたぶん、ADaMaSはまだ失うわけにはいかないと判断したんだろう。軍は防衛部隊を派遣した。なのに、その後の情報は准将にも一切入っていなかった。ソコにどんな不都合があったのかは知らないけど、私たちADaMaS製Mhw(ミュー)乗りとしては気が気じゃない。私たちの機体は特殊すぎるから、受領後のアフターサービスもADaMaSとの契約として含まれてるからね。

 「ねぇねぇ?コレってADaMaSは存在してますよーってコトだよね?なら、メンテナンスとかもこれまでどおりお願いできるってこと?」

文面からすれば、コレはそういうコトじゃないわ。ADaMaS製Mhw乗りにだけ(全員かどうかはわからないのだけれど)向けられた、信念の問い。准将の言うとおり、〝深い〟というのは間違いない。

 「ウル?さすがにソレは・・・お金払わないとムリだろ?」

いい。リッカ、貴女は寝てなさい。つーか、ウルも「ナルホド!」的に手で〝ポンッ〟とかやってんじゃないわよ。んなわけねーでしょ?ADaMaSがこれまでどおり営業してまーすって宣伝だったら、もっと公になってるでしょうに。

「ハハ・・・まぁ、お金は要るだろうね。それにね?もしかしたら今度の出撃で何か分かるかもしれないよ?ターゲットはNoah’s-Ark(ノアズアーク)空軍基地。ADaMaS製Mhwが3機配備された基地だよ」

「ADaMaS製Mhwが3機・・・」

 ナルホド、コレがADaMaS製Mhwに〝だけ〟送信されたモノなら、Noah’s-ArkにあるADaMaS製Mhwにも表示されてるはずね。相手の出方で何か分かるかもしれない・・・けど、ちょっと不可解なのよね。これまでADaMaS製Mhw同士の戦闘はあまり無かった。この前のは偶然だったけれど、今回はそれが起きることが前提にある。現状、ADaMaS製Mhwがこれ以上増えることは無い(ハズ)のだから、相手のADaMaS製Mhwを減らせば、それだけコッチの勝ち筋が増えるってのは理解できるけれど・・・そう言えばあそこ、ショウ・ビームスのR-N・bull(ランブル)を含む部隊で襲撃してるのよね。んで、帰って来たのはR-N・bull1機だけ。配置されてるのは航空戦闘機がほとんどの基地だけど、情報じゃあその新型Mhw3機も空飛ぶらしいじゃない。ついでにそれ以降で他にMhwが配備されていないとも限らないし、過去のあの基地での戦闘データからすれば、頭の上は抑えられた戦場になるってことよね?pentagramには対空に効果あるのはリッカのゴゼンぐらいだから、全部が全部サイアクじゃないとしても、難しい闘いにはなりそうってのは簡単に想像できる。それでもの攻撃命令って、なんだか別の意図を持った他人が後ろに居そうな気がしてならないわ。

 「キミたちには一様言っておくよ?今回の作戦、私はそれほど気乗りしないんだ。相手が悪いというのもあるけど、それ以上に・・・何か別の意図のようなものを感じるんだ」

 へぇ・・・准将もそう思ってるんだ・・・それに、ワザとかどうかは分からないけど、このタイミングでADaMaSからの意味深なメッセージ・・・後ろに居るのはADaMaS?・・・マサカね。

「だからね、アイくん?今回の作戦はあまり積極的にならなくていい。自分たちのリスク回避を最優先にするんだよ」

 正直なところ、あのAttis(アティス)との戦闘を最後に、戦闘があってもずっと気乗りがしないのよね。自分自身もそうだけど、pentagramは何のために戦ってるんだろうってモヤモヤが、ずーっと心のどっかに引っかかったまんまだ。そんな心境の中、追い打ちかけるみたいなメッセージがADaMaSから届くとか、ホント、ウツになりそうよ。

 「もしかしたら、今回の作戦で情勢が変わるかもしれない。いいね?今回は1に〝ムリはしない〟そしていつもどおり、2に〝生きて帰って来る〟そして3つ目にADaMaSじゃないけど、〝自分にウソのない行動〟をしなさい。その結果、軍から見て問題が発生したとしても、後のコトは私が引き受ける」

 准将はいつもどおり頼もしい。けれど、なんだろう?思い詰めたような雰囲気がある気がする。たぶん准将は全部じゃないとしても、私たちに言えないこの作戦のウラを知ってるか、気付いてるんだと思う。

 「じゅんしょー?もしかしてですけどー、このメッセージの真相、知ってたりします?」

流石にハッとしたわ。ウルってこんなにスルドい子だったかしら?准将の様子がおかしいのって、てっきり軍内部の何かしらだと思ってたけれど、ウルの言うソレは確かにあり得るわ。Pentagramのアタマは准将だもん。とーぜん、Mhwの手配でADaMaSの誰かとは会ってるハズだ。ADaMaSが根本的に無事だったとして、その誰かとの繋がりが今も生きている可能性って、全然0じゃない。

 「ウル、アナタ鋭いわね。けれど、今はその追求は無しよ。准将も、ソレでいいですね?」

「ああ、そうしてくれると助かるよ」

「けれど准将?言いつけどおり、生きて帰ってきたら話してもらいますからねっ」

きっと私たちが帰ってきたら、その時には私たちにも知る権利・・・ううん、知らなきゃいけない理由ができる。そんな気がする。戦うことのモチベーションは上がらないけど、〝生き残る〟モチベーションは出てきた!

 「みんないいわね?今回のミッションはいつもより過酷よ?ADaMaSからのメッセージはみんなも気になるでしょう?ソレの真相が知りたかったら、相手がMhwだろうと、空に居ようと、生き残りなさい」

あのショウ・ビームスがただの1機も落とせずに敗走を余儀なくされた相手だもん。それを知ってるみんなにも緊張が走る・・・と思ったんだけどね。リッカとタクヒは相変わらず何かで口論の最中だし、ウルは鏡みながら前髪イジってる・・・アホ隊長に至っては、鼻ほじってる始末・・・。まぁ、いつものことと言えばそうなんだけど。

「オイ・・・キサマら・・・。アレか?今殺されたいのか?あ?」

こめかみに〝怒りマーク〟が浮き出てても不思議じゃないわね。さすがに私の怒りオーラには気付いたみたい。全員ビシッと准将に敬礼したかと思うと、我先にと部屋から出て行ったわ。怒り具合からすれば、出撃時に後ろから撃ちたい衝動に駆られるわね。さぁてと、私もMhwに向かうとしましょうか。

 「アイくん。もしかしたら、どちらの軍にも所属しない〝招かれざる機体〟が現れるかもしれない。その時は、相手をしっかりと見極めるんだよ?」

珍しく准将の顔が険しい。けれど、その理由を知るのは、もう少し後になってからだったわ。

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