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第二部 pentagram(五芒星)
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第二部 第6話 Potential

「みんな集まってるね?・・・2回目の出撃だよ・・・」

ブリーフィングルームに集められた私たちは、コールマン准将からのオーダーを受け取ったわ。けれど、ずっとこめかみの辺りをさすってるのよね・・・昨日、准将からのお誘いで、飲みに行ったけれど、准将ってそんなに深酒してたかしら?みんなはそれなりに進んでたようだけれど・・・全然ヘーキみたいね。ピンピンしてる。ウルも場の雰囲気に飲まれるようなことは無かったみたいね。いつもどーりだわ。気持ちの問題かもしれないけれど、今日はみんなとの会話がスムーズに感じるわね。昨日の飲み会の成果だったとしたら、准将の狙いどおりってトコかしらね。


 今回の戦闘は中規模。オーダーも前回同様、遊撃がお仕事内容ね。ただし、今回は戦場でアチラさんのエース機、sks(スケィス)の陸戦特化仕様が複数台確認されてるようね。sksは汎用性の高い機体だけれど運用は遊撃が多い。そうなると鉢合わせする可能性は高いかしらね。

 「目撃されたsksの中に、よく知っている陸戦型じゃない陸戦型がいたらしい。これが事実なら、初期にADaMaS(アダマス)が改修した〝空戦型〟sksだろうな」

「隊長は当たったコト、あるんです?」

「いや、直接はねぇな。それに空フワフワしながら、ライフルぶっぱしてくるんだろ?そんな戦い方は願い下げだね」

 まぁ、格闘バカな隊長としては、そうよね。ADaMaS改修機〝空戦型sks〟って言えば、今でも画期的な機体だわ。Mhw(ミュー)は基本的に飛べない。StareGazer(スターゲイザー)内でもフライトタイプとか試験的なものはあるけれど、飛行というよりは落下速度の制御と言った方がしっくりくる。そんなときに現れたアレは、浮遊と呼べるほどの制空能力を持ってたのよ。未だに、アレと同等以上の空戦能力を持つMhwは存在しないわ。確か、全部で21機改造されたんだったかな?

「隊長の好みは置いとくとして、21機全機ここに居るってことはないわよね」

「あれって3機編成の7部隊でしたっけ?多くても2部隊ってトコじゃないですか?それに、こっちにはウルのカンゼオンがあるから、大丈夫でしょ!」

リッカの言うことは正しいわ。空を飛べると言っても、戦闘機ほどの速度はない。なら、カンゼオンのレーダーが先に感知すれば対応できる。計算上その後からジャミングシステムの照射をしてもお釣りがくるわね。上手くすれば、飛んでるヤツラが勝手に墜落して大破だわ。今回は前回よりも楽勝かもしれないわね。

 「アイさん!レーダー反応ありですっ!Mhw7機。今回はMhwだけですね」

あらあら、言ってる側からお客さんね。けど、7機?数が合わないわね。sksじゃない?

「ウル?進行速度と動き頂戴」

「解りました。送ります」

 うーんデータを見る限り、空戦型じゃないのかしら?でも、飛ばずに歩いてるとしたら、移動の軌跡で判断はムリよね。7機っていうのが引っかかるけど、どっちにしても敵は敵よね。

「ウル、システムスタンバイ!他は照射後に距離を詰めるわよ!」

「りょーかい!」

あら気持ち悪い。全員やけに素直ね?何かあったのかしら・・・

 「アイさんっ!!敵機加速っ!!!」

「えっ!?」

「カンゼオン間に合いませんっ!」

しまった・・・ヤツら、飛行速度を限界まで落としたうえに、木の間を抜けるような動きまでカモフラージュしてたってコトね!マズいわ・・・相手の把握に時間をかけすぎた。

「アイ!落ち着け!指示!!」

あんたも隊長でしょうが!ってのはこの際どーでもいいわ。むしろ今の一声で助かった・・・

さぁ、ガンバりどきよ、私の頭脳ちゃん。

「全員タクヒを残して散開!すぐに来るわよ!ウルはレーダー妨害用のジャミング!」

「ちょっと待てぇい!オレに死ねってのか!?」

「バカ!アンタの黒王は飾りか?黒王ならビームだってどってことないわよ!アンタが引き付けなさい!」

「ホントかよ!?」

「いいから、ヤツらが見えるまでソコで突っ立てなさい!隊長とリッカ、有視界戦闘よ。リッカはタクヒに射撃が来たらガトリング斉射ね。動きを止めて。隊長!スラスターのリミット解除しといてくださいね」

ウチの子たちって優秀ね。私が指示してる側から動き出してるけれど、それを見たタクヒは動かないわね。おっと、そんなコト考えてるうちに、レーダーが消えたわ。ウルね。これで相手もレーダーは使えない。私たちの居たところから、予測で位置を割り出すことになるけれど、そこにはタクヒが居るからね・・・見えた!

「キタぁぁあああああああ!!!ってか、コエぇぇええええええ!!!」

タクヒ自身がぶら下げてるのは知らないけれど、ジライヤの持ってる黒王は大したものね。ビームの直撃を何発も受けてるけれど、ビクともしてないわ。機体をかがめて剣先を地面に立ててるタクヒの判断もイイ。じゃあ、次行くわよ。

「リッカ!!」

「お任せぇ~!」

リッカのシズカゴゼンから、ガトリングが逆さに降る雨みたいに飛んでくわね。イイ感じ。相手のフォーメーションが崩れたわ。

「リッカ!全弾使っていいから打ち続けなさい!隊長!行きなさい!」

偏光器みたいなゴーグルの奥でモノアイが光ったわね。まるで答えてるみたい。

「いよぉおおおしゃぁぁぁああああ!!!」

Mhwは跳べない。ジャンプはできるけれど、限界はある。しかも、お世辞にも高機動とは言えないのよね、上に対する機動って。だから空戦型は優位にたてるんだけど、ソコが油断を産むわ。隊長のイザナギ、機体そのものはMhwの中でも1,2を争う軽量機体よ。上に対する機動性だって、目を見張るモノがあるんだからね!


 さっすが隊長ね。1ジャンプで3機落して来たわ。アイツら、ちょっとしたパニックになってるんじゃないかしら?おかげでリッカの乱射が敵機に追いついたわ。リッカも1機撃破ね。後3機!ってアレ?空には2機しか居ない・・・?

「もう1回!」

「弾切れ!アイさん!私も行っていい?」

隊長はいいとして、リッカ・・・言ってる側からエモノ抜いてるじゃないの。

「いいわ、2人で1機ずつ、しっかり仕留めなさい!」

アッチは任せても大丈夫ね。問題は、消えた1機。もしかしたらコイツは空戦型じゃなくて、機動力のある陸戦機な可能性が高い・・・おそらく、この部隊の隊長機・・・ん?何か動いた?

 「ソコのsks!待て!」

え、ちょっと待って・・・スナイパー・ライフル構えてるじゃないの!その斜線の先に居るのは・・・

「ウル!回避!!!」

私は慌てて、コノハナサクヤの腕部に装備されているワイヤー・アンカーを射出したわ。でも、それが届くよりも早く、sksの持つライフルの銃口が光った・・・ウル・・・

 「よぅ、じょーちゃん。ヘーキか?」

どうしよう・・・タクヒがカッコよく見える・・・。

「タクヒさん!ありがとうございます!!死んだって思ってました!!!」

「この礼は2晩でイイぜ!」

・・・チガウわね。ジライヤがカッコいいだけで、中身はサイテー男ね・・・。にしても・・・

「アンタ、よくもウチのウル、撃ったわね・・・」

ふと気付いたら、私の射出したワイヤーに絡まってるsksがそこに居るわね。このバカタレ、どうしてくれようかしら。とりあえず、このまま連行かしらね。

「とぅりゃぁぁあああ!」

え?何の掛け声??いや、声の主はタクヒだってわかるけど。

「あ・・・」

私のモニターを水平に横切る黒い物体があるわね。うん、ジライヤの黒王が回転しながら飛んでいくわ。

「成敗っ!これで、2晩が3晩になったな・・・フっ」

「タクヒ?ウルの代わりに私じゃダメかしら」

わざとしおらしく言ってみたわ。

「え・・・、姐さんですかぃ?・・・それは予想外。もちろん、喜んで!」

「そう?それは良かった。じゃあ、とりあえず正座から始めましょうか」

「あ、いや、その・・・ゴメンなさい・・・」

まぁ、いいわ。今回は上出来ね。チームのポテンシャルってものを実感できたわ。Noah’s-Ark(ノアズアーク)の誇るsks、それも、初期とは言えADaMaSによる改修機を6機+1相手取って、ある意味完勝だもの。私たちpentagram(ペンタグラム)は、強い。


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