第十部 第4話 センス
「うわぁぁぁあああ、ゴメンって!いやホントゴメン!悪気はナイんだ!」
おぅ、ナナクルだ。俺は今、Mhwハンガー内で吊るされている。あろうことか、社長命令だ。こんな理不尽が許されてたまるか!と言いたいところだが、言えばさらなる地獄を見るからヤメテおく。
「あぁ?悪気だぁ?それがあったら戦艦の下に吊るしてるわよ?」
なんでこんなコトになったのか・・・まぁ、一言で言えば「口を滑らせた」なんだがな。にしてもよ?俺だけってのはどーなのよ?ウテナにもちょっとは責任、あるんじゃねーの?ウテナがあんなモノ仕込まなけりゃ、俺も〝女王様〟なんて発想しなかったよ?。そ、そうだ・・・コレの根本的原因(元凶と言ってもいい)はウテナのはずだ。
「あ、あのぅ・・・ローズさん?そもそもRoseーWhip作ったのってウテナ・・・」
「やかましい。私の気が済むまでソコで反省しなさい」
だ、ダメだ・・・取り付く島もないとはこのコトか・・・。ま、まぁ、高所恐怖症ってワケでもないし、幸い、縛られてる箇所も食い込むようなコトにはなってない。ここは大人しく、溜飲が下がるのを待つべきか・・・
「なぁに~?楽しそ。どったのコレ?」
「あっ!・・・ヒッ・・・」
いや、一瞬ね?助かると期待したのよ。やってきたのはマドカ、マギー、アリスのトリオに新しく加わったアンとウルの5人。いやもう、アンとウルが打ち解けるの、早かったこと。ギャルトリオだったのが、瞬く間に〝ギャル軍団〟に昇格しちゃったもんね。女子高生と女子大生がゴチャ混ぜになってハメ外してるって言えばシックリくるか?
その5人に助けてもらおうと思った。うん、それは間違いじゃないと思うんだよ?けど、たぶん、コトの顛末を俺が喋ると思ったんだろーね(実際、そうするつもりだったけど)チラっとローズの方見たら(見なきゃヨカッタ)目がスんゴイ怖い。もうね、ビーム出るんじゃない?って勢いでニラまれてる・・・そりゃヘンな声も出るわな。
「アラ、貴女たち。すっかり打ち解け・・・溶け込んだみたいね。場所がこんな機械だらけじゃなかったら、どこぞのOLのアフターって感じね」
ああ、ソレは俺も思った!この子たちは本来、こんなところ(戦艦)でこんなこと(戦争)をするような子たちじゃない。OLかどうかは置いといて、場所はともかくとして今見ているような本来の姿が日常であるように、そんな世界に辿り着けるよう導いてやらないとな。まぁ、彼女たちの力を借りなきゃならないけれど。
「え~?私たちなら女子高生でも通るっしょ?実際、ウルはほとんど女子高生みたいなモンだし」
「アリスちゃん、私ももう19歳ですよ~?まぁ、制服着たら通用するけど・・・って言うか、制服着たらホントにみんな高校生でとーるんじゃない?」
「あ~!ソレいいね!!今度揃えようよ!コスプレ、コスプレ」
う~ん、話がヘンな方向に向かってないか?この5人なら本当にヤルだろうな。気のせいか?ローズがソワソワしてるな・・・うん、混ざりたいんだろうな・・・(もちろんトシを考えろなどとは考えていない)。
マドカたち5人なら、確かに女子高生でも通用するとは思う。ただなぁ・・・ローズが美人なのは間違いないんだけど、さすがに女子高生ってのはキツいだろ?いや、美人なんだよ?
「ミシェルお姉ちゃ~ん!ということで、私たちのコスプレ衣装お願いできる~?」
「もちろんよ。任せときなさい」
「ねーねー?メンツ的にもちょーどいーから聞くけどさー?ADaMaSって社名、どーすんのー?」
おや?マギーにしては(口調はともかく)マトモな質問だな。とは言え、確かにごもっともな質問だな。世間的にはADaMaSって壊滅したことになってんだよな?
「会社そのものがフっ飛んだのよ?・・・ってアレ?コレって廃業ってコトになるのかしら?ねぇ、ウテナ?目的を達したら、ADaMaSって再開させるのよね?」
オイオイ、その手の話、振るなら俺だろ、ミシェル。ミシェルのヤツ、俺の存在忘れてんじゃないだろーな。アイツの場合、本気でその可能性あるからな・・・。
「そうだねぇ・・・目的を達したなら、Mhw製造はほとんどないだろうから、別のコト考えないといけないけどね。ただ・・・まだ確証はナイけどさ、その時にADaMaSの名がみんなにとってどうなっているかは・・・ね」
あー・・・確かにな。俺たちの予想じゃ、そのうちADaMaSが生きているコトはバレる。その後の状況次第じゃ、俺たちは世界を敵に回すことになるからな。その考えが生きたままの世界だったら、ADaMaSなんて名乗れないわな。けどまぁ、ソレは・・・
「まぁ、ソコはコトを成してからでいいんじゃないの?ある意味、まだ始まってもないんだからさ」
「・・・うわっ!ビックリした・・・そー言えばソコに居たわね、ナナクル・・・」
・・・ミシェルのヤロウ・・・ホンキで忘れてやがったな。それにしても、マギーたちもなんだかんだでADaMaSのコト、ちゃんと考えてるんだな。上司としてはちょっと感動すら覚えるよ。
「ん~・・・そういうコトじゃなくってさ~?ADaMaSって前の会社の名前じゃん?今のあたしらって、なんてチーム名なんかなーって思ってさ」
おいおい〝前の会社〟って言っちゃったよ。すでに過去形じゃないか。印象がどう変化していくかは注視しなけりゃならないけど、場合によってはADaMaSの名前で復帰するつもりなんだけどな・・・カンドーしたのも束の間、やっぱりいつものマギーか・・・。
「そう言えばそもそもチーム編成とかもしてないな・・・と言うか、いるのか?チーム編成って」
「チームって全体のことだよ?お兄ちゃん。まぁ、私たち5人で相談して決めてきたから、そういうコトって報告に来たんだけどねー」
んん?決めてきた?軍事的に言うと、この部隊の名前ってことだよな?戦艦名の前例があるから嫌な予感しかしないぞ?下にいる大人たち?その予感に気付いて・・・なさそうだな。
「そのことな・・・」
「〝Absolute -Area〟!!」
発言権無いレベルで被せてきたね、オイ。おまけに、示し合わせも無く5人でハモって来たね。
「へぇ・・・Absolute-Area・・・まぁ、いいんじゃないの?響きも悪くなさそうだし。私は好きよ?」
「僕はその辺、何でもいいかな。任せるよ」
「ミシェル姉さんもああ言ってるし、いいんじゃない?」
いやいや、思考停止してるだろ?ソレ、完全に白い目で見られるヤツだぞ?ヘンなシュミのヘンタイ軍団と間違われるぞ?
「上からスマナイんだけどね・・・もしかしてソレ、戦艦3隻の名前に掛けてある?」
「おー・・・さっすがナナクルさん!どう?ナイスっしょ?」
はぁ・・・やっぱりか・・・。けどまぁ、コレ、流れ的に決まっちゃうんだろうな・・・。まぁ、誰かに名乗るワケじゃないから、まぁいいか?
戦艦3隻はそれぞれ、〝knee-Socks〟、〝knee-high〟、〝thigh-high〟。知ってる?コレって全部、靴下のコトね。膝よりも上まである長~い靴下ね。で、コレとミニスカートの組み合わせによっては、太ももの一部分が露出することになるわけだ。
Absoluteとは〝絶対〟。Areaは〝領域〟・・・。ああ、そのとおり。〝絶対領域〟って言うんだぜ?その部分ってさ。




