第十部 第3話 Flagship(ローズ)
「私の機体って、実際どーなの?」
ウチが造る機体って、パイロットの特性だったり得意不得意に合わせて造ってるのは分かってるけど、それって私の機体だとどーなるわけ?肩書こそADaMaS社長だけど、私の特性って何なのかしら?そんなこと考えたことも無かったわ。
「ん~?ローズの機体?見た目重視・・・かな?」
コラコラ、聞き捨てならないわね・・・三姫ほどじゃないかもしれないけど、確かに私の機体も見た目キレイだとは思うわよ?けど、〝重視〟ってどーいうことよ。そもそもMhwの製作者が言うセリフじゃない気がするんだけど?
私の機体って、StarGazerの機体寄りな外観なのよね。人によって見え方が違うみたいなんだけど、概ね、男性からは中世の騎士っぽく見えるようで、女性陣からは貴婦人っぽく見えるらしいのよ。で、社内会議の結果、結局みんなで出した結論が〝男装の麗人〟だったのよね。
「コラ、ウテナ?いくらその通りだとしても、見た目重視は言っちゃダメよ?それに、ローズが聞いてるのはそういうコトじゃないはずよ?」
えーっと、ミシェル姉さん?ソレ、フォローになってないですよ?それどころか、私じゃなかったらケンカになっても可笑しくないよ?この2人が将来くっつくんだと思うと(具体的な話は一度もないけど)、その子供には成りたくない気がするわ。
「まぁ、でも、私は三姫よりこの子の方がスキよ?機体名、ローズの名前、全て揃ってるように・・・そうね、統一された美しさがこの子にはあるわ」
今度はちゃんとフォローになってるかな。うん、私の機体名は〝blue-rose〟。白を基調としたカラーリングが施されていて、機体の各所にバラが描かれてる。場所によってはパーツを跨いでの大きなバラ。そしてその花弁1枚1枚は、青で彩色されてるの。まさしくblue-roseね。ウテナのことだから、私の名前〝ローズ・ブルーメル〟を意識したんだと思う。ミシェル姉さんはそのことを言ってるのね。
「それは私もそうだと思ってます。それよりね、ウテナ?私は、私にどんな特性があるのかを知りたいのよ」
まぁ、昔から知ってたコトだけど、この男には最低でもこれぐらいハッキリと言わないと、こっちの意図する回答は得られないんだったわ。こんなんでMhw開発に関しては世界最強クラスだってんだから、世の中って分からないものね・・・。
「ローズの特性?・・・う~ん、どう言っていいのか難しいんだけど、カンタンに言うと〝社長〟だよ?」
この男、殴っていいかしら?
「ウォイっ!だれが社長だよっ!いや、社長だけどもさっ!Mhw戦闘でどうかって聞いてんの、このスカタンっ!」
「いや、だから社長なんだって・・・」
解せぬ・・・いや、いつもっちゃーいつもなんだけど。Mhwに社長なんてカテゴリーあった?って、んなものあるわけないじゃない。
「おーおー・・・荒れてんなローズ。どーしたー?」
「ちょっと!聞いてよナナクル!このウスラトンカチ、私のMhw特性が〝社長〟だと言いやがるのよ?社長ってナニよ?」
なんやかんやでこの4人になったわね。不思議にもこの4人が揃うコトって多いのよね。腐れ縁ってコトなのかしらね・・・さぁ、ナナクル?ウテナの翻訳、頼んだわよ?
「ん?いや、ローズは社長だろ?」
「ナナクル・・・会社の話じゃなくて、Mhw戦闘の話よ・・・」
「え?だから社長だろ?」
眩暈すら覚えるわね・・・見たところ、ミシェル姉さんもナゼだかナットクしてるみたいだし・・・この場合、誰に助けを求めたらいいのかしら?お願い、誰かタスケテ・・・
「blue-roseは僕たちのFlagshipなんだよ。もちろんADaMaSのってイミじゃない。この部隊と言えばいいのかな?よくわかんないけど、僕たちのFlagshipなんだ」
ん?ん?
「そーいうことだ、ローズ。この部隊の主役は三姫だったり、合流してくれたヤツらだったりするかもしれないけど、オレたちも含めて、全員を統率してるのはローズだって話さ」
「そうね。この2人は統率者を指して〝社長〟って言葉を使ってるのよ。ローズ、あなたは知ってか知らずか、人を導く力があるわ。気付きにくいことだけど、ローズはみんなの意見だったりを引き出して、全員をそこに向けるのよ。そんなの、社長以外の何者でもないわ」
アレ?コレって私、メチャメチャ持ち上げられてる?まさか、担がれてるってコトは・・・うん、このヒトたちに限ってソレは無いわね。特にこの4人の間でならなお更に。
「あ・・・あ~・・・そういうコトだったのね。司令塔ってワケじゃなくて、司令塔も含めて統率するってコトね。私の機体と私自身が、この部隊の顔になるのね・・・まぁ、ADaMaSで社長やってたんだから、今更どうってコトないか」
このヒトたちの説明不足はもちろんあるけれど、ソレすら含めて、どうやら今回は私の理解不足だったみたい。
「あ、だからって後ろでふんぞり返ってろって言うつもりはないよ?ローズは格闘寄り・・・と言うか、格闘好きだから、ソッチ寄りの武装になってる」
ん、なんだろう?ちょっとだけトゲを感じた気がするわね。格闘好き?・・・得意だとか上手いとは違うってことかしら?そりゃまぁ、フロイトさんとかアキラさんみたいなキョーレツな格闘スキルは無いけどさ、戦火の絆でもソコソコだったわよ?
「名実ともに旗機だろ?。ヤられるのはもちろんだが、被弾するのも極力避けたいんじゃないのか?」
アレアレ?ちょいとナナクルさん?さっきのウテナトゲの後だからかな?アナタの発言にも何かヨクナイモノを感じるわ?
「ま、まぁ、ウチには強い子たちがたくさんいるけど、もともと少数精鋭部隊みたいなものだから・・・わ、私もちゃんと戦いますよ?」
「え?うん、そーだろーなって思ってさ、オモシロイ装備乗っけてあるんだよね。その名も〝RoseーWhip〟」
・・・〝その名も〟って盛ったワリにはまんまなんじゃない、ソレ?まぁ、珍しい・・・と言うか、Mhwの武装としては聞いたコトないけど、ムチよね?ソレ。
「ムチってこと?Mhwの武装としては・・・えーっと、聞いた覚えがないわね。大丈夫なの?」
「大丈夫って・・・ヒドいなミシェル。持ち手と先端の間はビームのムチだよ?先端をコントロールすることで自在に操れるシロモノなんだ。長さも調整できるから、例えば短めにして高速回転させれば、これまた見たことないビーム製のシールドが出来上がりってね」
な、なるほど・・・。確かにソレならビームライフルでも弾き返しそうね。実弾だったら・・・もしかしたら溶解させちゃうのかな?攻防一体の武器ってところかしらね。
「なぁ、ウテナ?この見た目でムチ振るんだよなぁ・・・?」
「え?うん、そーだけど?」
「ダメだ・・・さっきまで、みんなで話してた男装の麗人ってのがしっくりきてたのに、今のオレの目には〝女王様〟にしか見えねぇ・・・」
「女王様?・・・・あっ・・・・」
「あー・・・ナナクルがそんなコト言うから、私までそう見えてきたわね・・・」
女王様?・・・ナナクル?王女じゃなくて?それにウテナもミシェル姉さんも、反応が思わしくないよーな・・・って、マテ・・・
「・・・ナナクル?その女王様って、まさかとは思うけど、王族を指してるのよね?まさかとは思うけど、その女王様って、まさかとは思うけど昼間も女王様よね?まさかねぇ?」
「あ・・・いや、うん。人によっては昼間も女王様ってコトあるんじゃないかな?要望次第って・・・」
決めた。さっきまでウテナをシバこうかと思ってた私だけど、ナナクルを吊るすことに、今決めたわ。




