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僕は神になる  作者: テラロク
ノット城風雲
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ザーランダーの作戦

説得回

「提案? なんの提案だ⁉︎」

「ノットから後退する。理由は前に申し上げたはず、去年神々の降臨騒ぎで天候が異常に乱れ、秋の収成は赤字、この冬も異常に長い、もう上北地に匹敵する。他の地方の大半は食糧不足、進行山脈の魔族たちの侵略、今まで堪えたのはもう限界です。

 今城を包囲しているのは周辺小勢力のオーク軍閥、深部の古参オーク、オーガ軍閥たちが出て来たら、その時逃げるのは遅すぎる」

「逃げるで……何処へ?」

 昨日この提案を提出した時と比べ、ロアンはそう反対しなかった。これは先の戦いでゴブリン共の土竜攻めのおかげだ。今小勢力オーク軍閥のゴブリン奴隷群はもうこっちに疲弊した。本隊が来たらこの城は一瞬で陥落するだろう。

 ザーランダーは準備しているテイセル帝国地図を持ち出し、一つの点を指して――

「ダーロウマ城、我々にとって一番の選択です」

「ダーロウマ⁉︎ あんな遠い所へ⁉︎ なぜ一番近いハンソン城じゃないだ?」

「今年の魔族侵入騒動がいつもと違う、歴年では堅い所を遭ったら避けるが、大軍を結成したら城を攻略するかもしれん。ハンソン城は1000のオークの侵攻を耐えるが、その3、5倍なら? この地方で魔族の混成軍を防げるのはダーロウマの城壁のみ」

 ザーランダーの説明を聞いて、オーゲーストはロアンの耳に囁く。

「ザーランダー隊長申した通りです。ダーロウマ城は城壁は堅い上に軍も多い、遠いですが安全です。騎兵隊の精鋭だけを連れて、一人二匹を配備すれば三日掛からず辿ります――」

「精鋭? 一人二匹の騎獣? 侍従長、領民を捨て逃げるとおしゃるのか?」

僕はロアン主従の思惑を暴く、これを聞いて、ロアンは信じない顔して僕とザーランダーを見る。

「まさか、全領民を連れて行くつもり⁉︎」

「違うのか」

 ロアン主従はお互いを見て、顔が真っ青になる。ダーロウマへ向かう道、全騎兵一人二匹なら三日で着く、歩兵と老人子供を含む平民と一緒なら十日を掛かる。原野に長居ほど危険になる。

 領民を捨て逃げる。ロアンはどれだけ恥知らずでも貴族の守民義務に掛かる問題に強引出来ない。

 底が暴かれた主従に対しザーランダーは意外はなかった。

「先出撃の時もう周辺を偵察を済んでいた。勢いが多いが今ここで戦闘しているのはゴブリン共だ。敵主力のオークは200足らず、本隊を潰せばゴブリン共は潰散する、二、三日の後退時間を稼げる。

 ノット城を出て、ダーロウマへ直視せず東へ、ミル森方面へ行けば二日でカミ村へ着き、改めてダーロウマへ向かう。

 廻れ道と見えるが、ミル森のエルフが魔族の侵略を防いでくれる。挟み撃ちの心配をせず、背後に追って来た敵の対処を専念だけでいい。一番危険なのはカミ村へ向かうその二日です」

 作戦の全容を聞き、ロアン主従の表情は少し緩んだ。実行性は大いと見える。

「先から聞いたが、前提は外のゴブリン群を潰すこと。民兵隊を舐める訳じゃないが、少数はまだしも、数倍の数を勝るゴブリン群と野戦するのは無理です」

「あぁ、今民兵隊の装備では無理です。撃って出るにもこっちに相当の被害が出す、でも宝物庫の装備を全員配備出来れば――」

「ダメ! 絶対にダメだ‼︎ 宝物庫の装備はノット家三代掛けて積むものだ! 民兵如きに配備するものか⁉︎」

 この件についてオーゲーストすらロアンを賛同しない。もうここから逃げるというのに宝物庫を開かないという? 運ぶつもり? それでも中身を残って追って来たゴブリンを更に精強する?

「兄上、ノット家の一員として兄上に賛同したいが……あの大量の装備はどうやって運び出すですか? 特に重型装備は馬車はそんなに運べない。魔族共に残す訳ないし、解消なら先祖に申し訳ではないですか?

 姉御は返さないと言っていない。ただ借りるだけ、ダーロウマ城に着いたら全部回収するといい。自分の安全を守れながら出来るだけの宝をダーロウマ城へ運ぶ、その時売っても保存しても決定権は僕たちにある」

 ザーランダーは僕は巻けてフォローしていることを分かり、説明続ける――

「確かに借りるだけです。ダーロウマ城に着いたら全武装はそのまま返還します。領民も閣下に感謝し、このノット城を戻って閣下のために尽くすだろう」

 ロアンは守銭奴で足手纏いだがバカじゃない。話を乗って――

「……お前たちがそう言うなら、俺からは一つの条件がある」

「何なりと」

 ザーランダーの顔に一瞬喜びを閃いた。一刻も速くロアンを説得すればまだ一つの確信を得られる――ノット領全員を無事に退却出来る確信を。

ザーランダーを配下にしたい。

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