あなたは良い人です
青い空と自由。
これは今僕の気持ちだ。
別れる悲しみはない訳じゃないが、自由に薄られた。
今まで僕を制限したのはザーランダーではなく僕自身だ。ザーランダーの目を気にし過ぎて、動いていなかった。もう一つザーランダーのオーラは強過ぎて、ノット家の主動権は彼女に握っている。一番の原因はテイセルでは僕は優勢はない。ザーランダーの影で彼女を補佐し、利益を取るのは正解だ。
「付いて来た以上もう隠れるな」
馬蹄声と共に、馬を乗る子供の姿が僕に向かっている。僕が逃したゴブリンキャスターだ。彼は馬から降り、僕に5歩のどころで座る。
「僕が口封じすると恐れないのか?」
ゴブリンキャスターは体重的の差があるから追手に追いつかれる心配はないが、まさかその日翌朝から自分を追うとは……
「そうしたいならとってにやっていた。今でも私を生かすはずがない」
「僕はその気があったら?」
「あなたはしない」
「なぜそう思う?」
「あなたは良い人ですから」
………マジ? まさか記憶ある以来の良い人認定はゴブリンから貰ったとは――
「もしまだ良心を残っている悪人ならともかく、良い人? 間違いだな」
ゴブリンキャスターはこの言葉に返答しない。
「なぜ僕はここを通ると分かった?」
「この周辺の大通りはここしかないので、荒野は危険過ぎます」
「自由になった以上なぜ故郷に帰れない?」
「………………」
………あぁ⁉︎ バカな問題を聞いた。コイツが奴隷にされた以上その一族も逃れない。とっくに消耗し尽くしただろう。
「本当僕に付くと? これは危険な道だ。歩く以上もう二度と引くことは出来ないぞ」
「あなたは良い主人になれる」
………完全に無表情――いいや、僕はゴブリンの表情を辨識できない。
「お前、奴隷の身分に慣れ過ぎたな。自分の夢はないのか?」
…………返答しない? ――まさか‼︎
「お前、産まれから奴隷なのか?」
ゴブリンキャスターは頭を縦に振る。なるほど、ここまで奴隷根性を濃い訳だ。
僕は、コイツに同情を湧いていたのか? 前は側に連れて行く思わない訳じゃないがリスクは高すぎでやめたけど、まさか回って回って実現出来るとは……
この後、極限の話術でゴブリンキャスターの全素性を洗い出した。霊魂眼が持てばどんな反応も分析出来る。ゴブリンキャスターの元名前を聞いてすぐ改名した。あれはゴブリン語でゴミという単語にすぎん。
直接彼をベークという名前を改めだ。新生という意味で。一瞬ベークの目から閃いた。相当気に入っている。
そして僕が要求すると、ベークは自己のステータスを僕に見せる。
名前:ベーク 種族:ゴブリン 性別:男 歳:8 ジョブ:マナ術士
生命サイコロ:24 筋力:8
体質:10 迅敏:14
感応:8 魅力:16
スキル:0階元素術(偵察、読書、舞光、毒辨識、幻音、修復、眩暈)、1階元素術(油、鑑定、催眠、マジックミサイル、巨大化)、2階元素術(スパイダーネット、ステルス識別、変身、マジックロープ)、3階元素術(ファイアボール、リオーモンハウス)
術士肝心の魅力(マナネットとのシンクロは魅力高いほどし易い)が同階と比べて高い以外、他は普通だ。スキルの選択は彼の奴隷出身を表している。
全ては補助、攻撃をメインとしている。これは仕方なければない選択だ。自主で選べばどんな術士でも2階のミラーと3階のフライを選ぶ、これは命を護る最高選択だ。




