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メルティ✕ギルティ〜その少女はやがて暗夜をも統べる〜  作者: びば!
0章。それは、物語のはじまり
3/80

0。とある少女の独白

面白いのでぜひ読んでみてください!!


 人間万事塞翁が馬――何か悪いことが起きても、その後にいいことがあるかもしれない――という言葉がある、らしいです。

 私に特別な魔法を教えてくれた先生の言葉です。素敵ですよね。

 先生とは最近めっきりと会えなくなりました。今頃、どこで何をしているのでしょう。


 ところで私は今、誘拐されています。

 多分、どこかの馬車道を進んでいるのではないでしょうか。


 なぜ誘拐されてしまったのかは……ちょっと理由を言うのが恥ずかしいです。なんというか、自業自得というか。


 実はちょっと前から、我が家は夜になると、変な音がかすかに聞こえるようになったのです。特に、屋根の方から。

 お母さんに聞いても聞こえないというし、お父さんに至ってはいつもニコニコしてばっかりで、一体わかっているのかわかっていないのか、わかりません。

 私はもう十二歳です。十分大人に近いじゃないですか。

 それぐらい教えてくれたっていいはずです。

 ……ぷぅ。


 それで一週間前くらいに、通常依頼としてギルド(あらゆる依頼の受付をする場所)に「おばけがいるかも、お助けください」と題して申請したのですが、長らく返事はありませんでした。

 緊急じゃない依頼で、しかも私のお小遣い程度のお金だと、受けてくれないのでしょうか。

 あるいは、単純に見落とされただけなのかもしれません。


 とにかく気になってしょうがない私。

 それなのに、相談相手がいません。

 そんな私は、毎晩こっそりと家を抜け出して、屋根上が見えるところからじっと観察をするようになりました。


 そして今日も今日とて外にやってきたら――知らない人に連行されてしまいました。


 先生が知ったら、きっと笑われますね。

 相変わらずおバカさんだねぇ、って。

 全く、おバカさんなんかじゃありません。

 ちょっと、こう――行動したくなっちゃうのです。昔からの癖です。


 さて、広がるのは一面の黒。

 一体ここはどこなのでしょうか。

 少し、怖くなってきました。

 後悔やらなんやらの気持ちがぐっと込み上げてきて、泣きそうです。

 泣き虫は治ったと思っていたのに。


 これから、私はどうなるのでしょうか。

 奴隷になるのでしょうか。

 嫌です。

 そんなの嫌です。

 私はまだ、ちゃんとしたお友達も出来ていないのです。

 やりたいこともたくさんあるんです。


 しかし。

 私は、思い出します。

 先生がずっと繰り返し言っていた、あの言葉。


 ――「人間万事塞翁が馬」。


 この出来事が、大切な存在との、出会いのきっかけになったのでした。


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