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メルティ✕ギルティ〜その少女はやがて暗夜をも統べる〜  作者: びば!
1章。指名依頼編〜それは、確かな繋がり
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26。決着 (上)

今回で終わりって言ったろ?あれはウソだ。


……1話に収められなかったので上下話になります。

 ほわり。

 キツネの手元に、お手玉が現れた。

 キツネは目を瞑ると、唄いはじめた。

 かつて、先生と一緒にしたように。


【――あんたがたどこさひごさ ひごどこさくまもとさ――】


 ポン。

 ポン。

【オ手玉】は波紋を浮かべ、プレートを移動していく。

 ノイズが空間を走る。

 時は歪み、捻れる。


【――くまもとどこさせんばさ せんばやまにはたぬきがおってさ――】


 ポン。

 ポン。

 歯のモンスターも。

 鬼火も。

 キツネも。

 まるで唄に取り憑かれたのように、輪をなしている。


【――それをりょうしがてっぽでうってさ――】


 ポン。

 ポン。

【オ手玉】は魔に止まるたびに捻れ、生気を吸う。

【オ手玉】はキツネに止まるたびに光り、生気を送る。


【――にてさ やいてさ くってさ――】


 ポン。

 ポン。

 その速さ。

 ノイズ。

 徐々に、徐々に激しくなっていく。


【――それをこのはで ちょいっとかーぶーせ――】


 ポン。 

 ポン。

 ぴたり。

 ピシリ。

 ああ、この世に生きるものは、どうしてこんなにも哀れなのだろう。

 ほうら。

 ――お呼びでないダレカが、来てしまったではないか。

 狭間。

 号哭。

 そこにいるのは……なに?

 みえない、みえない、みえない。

 きこえない、きこえない。きこえない。

 ううん。

 違うの。

 何も、ないの。

 何も――。


 キツネは、目を開けた。


「はぁ……はぁ……」


 煙幕が晴れ、そこに残るのは蒼い火の海。

 灰すら、残していない。

 産まれたての虚空が、そこにはあった。


 ――魔法、【逆サオ手玉】。

 【オ手玉】で他人の生気を吸い、自分に流す。そして生気を失った者は、消滅する。


「……はぁ……はぁ……あと……ちょっと……」


 キツネは辺りを見渡した。


 まだ、モンスターは生き残っている。

 メルティも、未だ解放してもらっていない。


 がらがらがら。

 仲間を倒されて怒ったのか、モンスターたちが歯を鳴らしている。

 キツネは肩で息をしながら、気持ちを落ち着かせた。


「デジタリア」。

 母体が子どもたちを守るために、自らの身を捧げだして得られた力。

 そうとも言い換えられる。

 だから、自分たちがやっている行為は、彼らにとっては非道なのかもしれない。

 悪なのかもしれない。


 けれど、それ以外に、自分たちには選択肢がない。

 ルイザがかかった精霊魔法を治癒するのに、それは必要不可欠だ。


 だからこそ、取り繕ったり悲しんだりなんかしない。

 だからこそ、可哀想なんて言わない。

 どちらかが、被害者になる。

 それならば決めるのは運命であり、自分たちではない。

 むしろ、自分がすべきこと。

 それは――。


「……きゃっ⁉」


 突然、キツネは身体が持ち上がるのを感じた。

 浮力が増したような感覚。

 メルティの言っていたことを思い出す。

 この空気と思われるものですら、この巨大な生き物の肉体。

 ――つまり、捕食の権利は常に、相手の掌中にあるということ。


「うあ…ああああっ」

 自分の体が捻られている。

 千切れそうだ。

 反抗しようとしても、力が出ない。

 視界が、遠のく。

(せっかくここまで来たのに……)

 じりじりと、歯のモンスターが寄ってくる。

(メルティちゃん……ここで終わりたくないですよ)

 迫る鬼火。

 火花をあげて、キツネを飲み込んでいく。

(だから……!)


「まだ……まだ終わってなんか、いません……!」


 キツネはガントレットに力を込めた。

 緑の宝石がギラリと光った。


 ――【翠ノ祝福 が 解除されました】――


「私は……」


 ――【ヴァルヴァドの実×52 に『自爆』を付与】――


「私は……」


 ―――【ローブルの涙×21に『防御』を付与】――


「メルティちゃんとずっと一緒にいるって、決めたんです……‼」


 その瞬間。

 爆風の華が咲いた。

 昼夜を反転させるほどの光と共に、世界は薄霧で充満した。

 エネルギーは連鎖し、その圧倒的な物量で空間を塗りつぶしていく。


「あとは……お願いします……メルティちゃん――」


 意識が遠のく中、キツネはメルティの名前を呟いた。


 それから―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




「―――うん、任せて」


 さっきまでキツネがいた場所に立つのは、一人の少女。


 その瞳は赤く渦巻いていた。

 その声はまるでノイズが入っているかのようだった。


 メルティは姿を揺らめかせ、そして怪物と向かい合った。



【逆サオ手玉】は相手を強制的に巻き込む爆弾ゲームです。エネルギーを吸うのでこういうでかいやつに最適です。皆さんも使ってみてください。




次回ついに本章最終回です。更新は6月13日(木)。お楽しみに!

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