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フィンブルの冬  作者: いかすみ
3/3

第二話「大樹祭」

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、宗教などとは一切関係ございません。

 現在ユグドラシルの大地を象徴しいつまでもあり続けている大樹——ある者は神にも等しい木——神樹と...またある者はいつまでも変わらない不変の木——秩序の樹...と。なぜそう呼ぶ者がいるのか。それは大樹がある戦乱の時代、奇跡を起こしたのだ。

 今より百年前のある日大樹に桃色の花が満開に咲いたのだ。その日からある国では何十年にも渡った戦争が終結、またある国ではめざましい発展を起こした。この出来事から「大樹花開く時、世界は変化する」という伝承が残ったのだ。

 ミズガルド王国は大樹に最も近い国として知られているため各国からそんな見れるかもわからない大樹の開花を一目見ようと足を運んでくる旅人や儲け時だと押し寄せてくる行商人が後を絶たない。


 ここはジョッキに金色のリンゴの絵が描かれた看板が吊り下げられている酒場兼宿屋「リンゴ亭」。その裏口の前で質素な剣を腰につけた青年が腕を胸の前で組んで一人今か今かと約束の時間になっても現れない幼馴染を待っていた。

 自己紹介をしておくと俺は「アズ」今年で16になる。「リンゴ亭」で住みこみで働かせてもらっている。今は幼馴染「イヴ」と待ち合わせをしているのだが


「...遅いな...」


 イヴと約束した時間から既に5分経っていた。実は時間通りに事が進んだ事がほとんどない。主に原因はイヴの寝坊だが。

 

「アズー!」


 俺の名前を呼ぶ声が聞こえて顔を向けると、笑顔で手を振りながら走って来るイヴの姿があった。


「遅刻してるぞ寝坊助」

「あはは〜...ごめん...」


 笑いつつも反省している様子だ。もう時間もないので叱るのは無しにしよう。


「準備できてるな」

「もっちろん!」

「よし、じゃあ急ぐぞ」


 俺の声と同時に走り出すイヴ。こういうのは早いんだけどな...とそんな事を考えつつ走る。


 城門では数人の騎士が外からやってくる行商人へ検問をしている。大樹祭は人の行き来が激しくなるため一日中門を開けておかなくてはならない。それ故に行商人の荷物検査は怠ってはいけない。万が一不法入城しようものを見逃さぬよう城壁上から数名、城門に5名ほど兵士が置かれている。ここはネズミ一匹とて侵入を許さないだろう。


「ハイ通って良し。次の者前に...」

「行ってきまーす!」

「お疲れ様でーす」

「おう、おつ...って姫様ァァァ⁉︎」


 そしてその中を一般通過する姫と平民一名。内から外への警備は甘かったようだ。


「夜までに戻るー!」

「そういう問題じゃありませーん!」


 兵士の叫びも虚しくお転婆お姫様には届かず、見る見る影が小さくなっていった。


「陛下になんて報告すれば...」

 

 男は唖然として姫の安否と自身の職を心配していた。アズは心の中で「毎年ごめんなさい」と言ってイヴと外に出ると少し離れた丘まで走って行く。


「自由だー!」

「ま、結局夜には叱られるけどな」


 私達が帰る時には既に日が完全に落ちきって門が閉まる寸前になるのがほとんどだ。それもこれもイヴが「なるべく近くで大樹の花みたい!」と言ってるからだ。もっとも大樹の花はここ百年だれも見たことがないようだが...。学者によれば神々の時代に咲いたことがあるらしいが詳しいことは何もわからない。今年も花開くかどうかは定かではないが...おそらく咲かないだろう。

 何なら一度だけイヴが日が落ちてもなお駄々をこねて帰らない時があり、それはもう大騒ぎだった。俺とイヴは騎士団長や国王に叱りの言葉やげんこつをもらった。それに懲りず翌年も脱走した結果、"噂"だがイヴの外出は諦められているらしい。


「今度は大丈夫...だと思う」


 アズが疑いの眼差しで私をじっと見つめてくる。


「じゃあ一通り集めたらここに集合だ」

「オッケー!」

「去年みたいに木から落ちるなよ」

「分かってるよー」


  私は走りながら返事をして森へと向かう。森へ向かうワケ、それは...なんとなく!ご馳走といっても魔物を狩って焼くとか木の実とかしかないけど美味しいから全部問題無し。


 森の真ん中まで来たぐらいに木の上にある果実を手当たり次第採っていく。もちろん適当ではない。来るたびに木の実を採っているから食べられる木の実は知っているのだ。まあそれでも当たってしまう時は当たるのだが...。


「これぐらいでいいかな」


 両手いっぱいに色とりどりの木の実を採った頃だった。おそらく約束の時間に近いので丘へと戻ろうとすると近くの茂みが動く。明らかに風が吹いて自然に動いた音ではなく生き物が鳴らした音だった。

 私は不気味に思いながらも好奇心に負けて茂みに近づく...。


「うわっ!」


 何かが茂みから私へと飛びかかってくる。思わず抱えていた木の実を落としてしりもちをつくがよくみてみると——。


「うさぎ...か...」


 イヴは立ち上がり軽く土を払う。驚いた際に落とした果物を拾い終えると森の外へと走っていった。この時のイヴは気が付いていなかった。ウサギが飛び出して来た茂みの奥から黒い煙のようなものが立ち上っていたことに…。


 アズと約束した丘へとつくとまだ誰もいなく静かだった。この丘に一本だけ生えている葉っぱが生い茂った木の下へ行き木の実を木の陰に置くとあたりの景色を見渡す。

 後ろを振り向けば生まれ育った王都、前にはさっきまで果物を集めていた森。その奥には登ればこの世界をすべて見渡せそうなほど高い世界樹が見えていた。聞こえるのはそよ風で草原がなびく音だけ…。これ以上平和という言葉が似合う景色はないのではないかと思わせるほどだ。


「ふわぁ~…。眠くなってきた…。」


 あくびが出てしまった。こんな心地よい場所にいれば当然だし昨日は楽しみであまり眠れていない。それに大樹が花開くのは夕暮れ時だから時間もある。アズもまだ来てないし少しだけ…と木にもたれかかる。しかし睡魔が頂点へと達し、とうとう眠ってしまった。


 気が付くと私は見知らぬ...いやどこか見覚えのある平原に立っていた。少し先にある丘に二つの人影が立っているのが見えた。ゆっくりとその人影に向かって歩いていく。たどり着くとここはさっきまで私がいた丘だと気が付く。けどどこか私が知っている風景とは何かが違う。

 木の下には背丈が私と同じくらいの少女と私より少し小さい少年が立っていた。後ろ姿で顔は見えないが高貴そうなワンピースを着て、背中まである銀髪の少女。もう一人は銀髪に制服、肩のミズガルズ王国を象徴する背中の純白の翼、真っ白な体、遠吠え姿の狼の文様からこの国の聖騎士だとわかる。

 聖騎士…だが少年の方は…人間ではなかった。人間にはない高貴そうな銀色のふさふさのしっぽ、そして頭には狼の耳が生えていた。


(あのー…あれ?)


 声が出ない…。なんでなんでとあたふたしていると少女が口を開いた。


「ねぇ――。君はもうちょっと人との関係を考えた方がいいんじゃない?」

「…そうなのか?」

「そうさ。今は僕や彼らがいるからいいけどずっと一緒にいられるわけじゃないんだよ。人間は…長く生きられない」


 少女と少年の声はどこかで聞いたことのある声だった。それもつい最近…。少女の表情は一瞬曇らせるが「でも…」と続ける。


「必ず、遠くない未来に。君にも心を開くものが現れる」

「それは…お前の魔力で見たのか?」


 少女は否定するように首をゆっくりと横に振る。


「あの大樹を見てよ、凄く綺麗でしょ?」


(大樹...っ!)


 少女の向いている方向を見てみるとなんと現在では考えられない緑の葉ではなく桃色の花を咲かせた大樹がそこにはあったのだ。


「国も君もあの大樹みたいに変わるといいね〜」

「...」


 少年は不服とも肯定とも取れない表情をする。


「そうそうそんな感じに...」

「姫様ーあ、ついでに団長サマもー」

「おい、先生になんて態度だ。しっかり挨拶しろ」


(ん?だれだろこのお兄さんとお姉さん)


 後ろを振り向くと少年と同じ制服を身にまとっているチャラそうな金髪の青年。そして、その青年より背の高い真面目そうな黒髪のポニーテールの女性が二人を呼んでいた。だが顔はぼやけていてよく見えない。どうやらこの二人にイヴの姿は見えていないようだ。女性の方が咳払いをして話を続ける。


「申し訳ありません。お二人とも陛下がお呼びです」

「今行くよ」


 姫様と呼ばれた少女は返事をしてこちらへ歩いてくる。途中で強めの風が吹き少女の髪の毛が風になびき顔があらわになる。


(嘘...⁉︎)


 その顔を見た瞬間私は呼吸を忘れるほどの衝撃を受けた。


「イヴ!」

「...ん...?」


 重い瞼をなんとか開くと目の前には腕を組んで呆れた様子のアズが私を見下ろしていた。私は目をこすってなんとか目を覚まそうとする。


「アズ~…おはよ~」

「おはよ~じゃないだろ…イヴ。木の実集めに行ったんじゃなかったのか?」

「も〜ちろん、たくさん集めたよ〜」


 アズはきょろきょろとあたりを見渡す。


「で、その”たくさんの集めた木の実”はどこにあるんだ?」

「え?どこってここに…アレ?」


 集めて自分の隣においてあったはずの色とりどりだった木の実はいつの間にか白と黄色の木の実2個だけになっていた。眠気が一気に覚める。


「えっ⁉︎ どこに行ったの⁉︎」

「もしかして...アレか?」

「え?」


 アズが指さした方向にはイヴが集めたであろうたくさんの色とりどりの木の実の山の上で1匹の緑色の小動物が大きな前歯でかじりついていたのだ。


「あ!それ私たちのだよ!返して!」

「あ、イヴそいつは…」


 イヴの声にびっくりしたのか長い耳を立ててこちらを凝視したと思えばしっぽを広げて山のようにあった木の実を一気に包み込みつむじ風のような速さで森の中へと消えていった。


「も~!返してよ~…せっかく集めたのに…」

「あれは”ラタトスク”だな。いたずら好きのめったに森から出てこない精霊だな」

「精霊?」


 精霊というのはフェアリーとも呼ばれる妖精族の一種だ。妖精族は人の姿に羽が生えている、もしくは耳が長いという特徴が一般だが精霊は人ではない動物の姿をしている妖精族の総称だ。その中でも「ラタトスク」とはリス型の精霊で普段は世界樹や妖精族の森に住みついている。かわいらしい見た目とは裏腹にいたずら好きで運悪く出会った旅人は荷物を奪われたり水をかけられたりとかなり困らせているようだ。


「あぁ、でも木の実を奪っていくなんて運が悪かったな。今日はその残ったの分けて、俺がとってきた獲物多めにやるから我慢しよう、な」

「ありがとう…」


 アズが獲ってきた猪の姿をした魔物ワイルド・ボアーを二人で捌こうとした時だった。王国の方角から鐘の音が鳴り響いてきた。何度も何度も。まるで王国に危機が迫っているかのような——。


「この音...」

「なんか嫌な予感がするな...」

「アズ...」

「あぁ...今すぐ王都に戻ろう!」


 私達は何やら尋常ではない雰囲気を感じとり、王都の城門へと走って行った。


<鐘が鳴る数分前>


 ここはミズガルズ王国で何よりも大きい「ミズガルズ城」そして、その一室ではこの国の王が日々の職務に追われていた。窓を開けて爽やかな風に当てられながら黙々とこなしていった。だがそんな平和で静かな雰囲気を一変させる事態が起こった。ドアが3回叩かれる。


「入れ」

「失礼致します」


 扉から入ってきたのは170cmは超えている背丈と女性でも惚れてしまうであろう美顔を持った姫付きの侍女だった。


「どうした?」

「姫様についてご報告がございます」

「...一応聞こう」


 王は既に分かったような雰囲気だった。


「先程姫様が城門を飛び出して行きました」


 王は「またか」と言いたそうな大きなため息が出てしまう。イヴがまだ10のときに大樹の花について話したことが最初だった。そこから大樹の花を見ようと城を脱走しては夕暮れ時に帰ってくるというのを毎年繰り返している。一度夜になって尚帰ってこなかったことがあり流石に説教と拳骨を喰らわせてしまったが懲りずにまだ続けている。今では"夕暮れまで"に無事で帰ってこれば出てもいいと王の中では決めている——というより諦めている。ただでさえ王族という立場上自由にさせられない上にこれ以上抑制すれば父として心にきてしまう。


「伝言を預かっておりますがお聞きになりますか?」

「うむ、話せ」

「『夜までには帰るー!』だそうです」

「...そうか」


 侍女は何故か伝言の部分だけ普段の冷静で穏やかな口調ではなくイヴのような元気溌剌な口調で喋る。


「お主そんな声出せたのか」

「姫お付きですので」

「長年見てきたがお主のそんな声初めて聞いたぞ」

「する機会がございませんでしたので」


 侍女は「失礼致しました」と言って扉から静かに出て行った。再び職務に戻ろうとした時だった。部屋の外から落ち着きのない足音がしたと思えば「陛下!」と叫びながらノックも無しに一人の兵士が息を切らして入ってきた。


「今度はなんだ」

「き...緊急...事態...です...!」

「落ち着け。ゆっくりで良い」


 王のその言葉を聞き兵士は少し落ち着きを取り戻し続きを話す。決して穏やかな表情ではなく切羽詰まった顔だった。


「ド…ド…」

「ド?とはなんだ?」

「...ドラゴンですっ!それも嘆きの谷からだと思われます!」

「な…なんじゃと‼」


 ドラゴンとは四本の足に巨大な翼と牙を持った凶暴な魔物だ。だが普段は人を襲わず、縄張りに入ってきたものだけを襲う。勿論例外もいる。その中の一匹が「嘆きの谷」に住んでいるドラゴンだ。嘆きの谷のドラゴンは極めて縄張り意識が高く凶暴だ。一匹だけで一晩のうちに村がいくつも滅ぶほどだ。


「たった今、塔で監視中の魔術師から連絡がありました!黒い鱗に赤い瞳、間違いありません!」

「して聖騎士長は」

「現在緊急帰還命令を出したところです」


 聖騎士長は『竜殺し』の異名を持つこの国最強の聖騎士だ。単独で嘆きの谷のドラゴンにかなうとしたら彼ぐらいしかいないだろう。その彼が今遠征のため不在ならば指示はたった一つしかない。


「今すぐに門を閉じ城壁および街に騎士を配備させよ!早急に外から来ている行商人なども全て中に入れよ!民を守れ!」


 兵士はキレのある敬礼をして颯爽と王の命を果たしに向かって行った。国王は椅子から立ち上がり兵士に命令を出すために部屋を出る。そこで今一度今日という日を思い出す。失念していた。今日は「大樹祭」そしてイヴは年に一回城を脱走して外へと遊びに行ってしまうのだ。そう、王都の外...へと。


「イヴ...!」


 国王の嫌な予感は最悪な当たり方をしてしまった。


 イヴとアズは獲った魔物を置き去りにして全力で城門へと走って行った。王都になにかあったのだろうか。先程の鐘の音はなんだったのだろうか。色々と考えを巡らせているうちに朝通った城門へと辿り着いた。


「門が...閉まってる...!」

「どうしよう!」

「おいイヴ!あそこ!」


 アズが指をさした方向には誰かと言い争っているっぽい兵士がいた。急いで私達はその兵士がいる真下へと向かい「おーい!」と大声を出して呼ぶと兵士はこっちを向いて仰天した顔で私達を見つめた。


「姫様⁉︎何故お外におられるのですか⁉︎」

「ワケは後で話すから中に入る方法ない?」

「城門には...」

「閉まってた!」

「であればそこから壁に沿って走ってください!兵士用の扉がありますので開けておきます!」

「ありがとう!」


 私達が城壁に沿って走っていくと扉を開けて兵士が手を振って出てきた。


「こちらです!」


 あと数十メートルというところで兵士が叫ぶ。私達はこれで中へ入れる——そう思っていた。突如突風が吹き扉とは反対側へと飛ばされてしまった。目に土埃が入りそうになり目をつむる。目の前に何かが降り立つ振動がする。


「な...何...!?」


 ゆっくりと目を開けるとそこには...黒い鱗に赤色の瞳、地面すら切り裂きそうな鋭い爪、そして20メートルを優に超える体――


「嘘...」

「ド...ドラゴン...!」


 ドラゴンは地面が揺れるほどの咆哮を上げ鋭い眼差しで見下ろしていた。私達は最高の日から最悪の日へと突き落とされた。ドラゴンの鋭く怒りに満ちているような眼に睨まれ動けなくなる。蛇に睨まれた蛙…いやそんな次元じゃない。今目の前にいる生き物は飛び交う羽虫をつぶすように簡単に私を殺せる。私の頭上に影ができる。動けない。踏みつぶされる。怖い…死にたくない…。そしてその脚が振り下ろされた。


「姫様!」

「イヴ!」


 兵士は二人がどうなったか砂煙で分からなくなった。


「…イヴ…イヴ!」

「⁉」



 どうやらアズが飛び込んでドラゴンに潰されるのを防いでくれたようだ。幸いにも周囲の砂煙で上手く隠れられている。多少痛みがあるが問題ない。


「大丈夫か?」

「うん…今何が…っ⁉」


 その疑問は地面を見てすべてなくなった。先程までなかった地面の大穴がドラゴンの恐ろしさを物語っていた。こんなものをまともに相手できるほど私達に力はない。戦うか逃げるか。選択肢は二つに一つ。逃げるの一択...だったはずだ。


「俺がドラゴンの気を引く…」

「…え…?」


 突然何を言っているんだろう。ドラゴンの気を引く…?だめだ…そんなことしたらアズが死んでしまう。彼は腰の剣を引き抜きドラゴンの方へと歩いていく。彼の顔はあまり見えなかったが剣を握ったいる手がかすかにふるえていた…アズも怖いんだ。私と同じ。手を伸ばし止めようとするが彼はすでに走り出していた。


「行け!イヴ!」

「…っ!」


 その言葉を合図に私達は別々の方向へと全速力で走り出した。

 二人が走り出したと同時にドラゴンがイヴの方へとを振り向く。ドラゴンは真っ先に煙から出てきたイヴを追おうとするが脚に小さい衝撃が走り真下を向いた。


「お前は...俺が相手だ...!」


 アズの言葉に反応してアズを踏み潰さんとする。だが図体が大きい分動きはそこまで速くない。冷静に背後へと周り尾を斬りつける。だが斬りつけたにしては鈍い音がなる。


「っ!?硬すぎるだろ...!?」


 皮膚は岩を思わせるほど硬く全く刃が通らない。逆に手が痺れるほどだ。それでもドラゴンを惹きつけるには十分だった。


(時間を稼げ...!)


 ドラゴンを倒すのは今の俺には無理...そんなこと分かっていた。だがこれでも聖騎士を目指している身。イヴが逃げれるだけの時間を稼ぐことなら...。




 突如目の前が真っ赤に染まり意識が途切れた。



 アズがドラゴンを惹きつけてくれている間に扉へ向かう。あと数メートルのところで何かが打ちつけられる重い音が背後からした。


「アズ!」


 振り向くと壁に飛ばされ頭から血を流した幼馴染の姿があった。アズは動かなくなっていた。


「姫様!早くこちらに!」


 兵士のおじさんが私を呼ぶ。だが私には聞こえていなかった。ここで扉へと行けば助かる...それでいいの? 私が外に出ようと言ったばかりにこんなことになって私だけ助かるの...? 彼と"夢"を共有したあの日に誓ったのに。私の目の前に吹き飛ばされた剣が落ちてきた。その剣は間違いなくアズの剣だった...だが持ち手部分が血で滲んでいた。私の答えは決まった。剣を手に取った。


「ひ、姫様⁉︎ お戻りください!」


 気づけば全力で走っていた。

ハイここまででございます。長々と更新できずに申し訳ありませんでした。いろいろありました…。そんなこんなの中でとうとうイヴのドット絵が完成いたしました!(絵の貼り方がわからないため割愛します)

服は力尽きましたごめんなさい…。でもがんばったよ!はじめてにしては!こちらの画像はwebのミニドット絵メーカー3を使用させていただきました。描くのに2か月近くかかった…。

ゆっくりゆっくり書いていくつもりなのでよろしくお願いします。

ではまたバイッ!

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