タイトルなんかねぇーよ
皆は将来の夢があるだろうか?因みに言うが俺はある!誇って言う程のものでもないが……。俺の夢は、人々を感動させるような小説を作ることだ。
何故、それが俺の夢なのかって?
そんなのは俺が小説に感動させられたからに決まってるだろ?
結局人が何かを目指すのは少なからず何かしらの影響を受けているからなんだ。
俺もその人たちと同じように影響を受けたからこそ感動させるような小説を作りたいと思った。
だけど、物語を考えるというのは思ったよりも難しく、簡単に出来ることではなかった。
だから俺は悩んだ。自己嫌悪にも陥りそうにもなった。全てから逃げ出したくなった。
でも、ある日何事にもやる気が湧いてこなかった俺は、適当に動画を見漁っていると1つの動画、いや、幾つもの動画を見て感動をした。
その動画は、編集されていて1分や3分ぐらいの限られた時間の中で表現するというものだった。
「凄い……」
思わず感嘆の声が口から漏れ出る。
本当に無意識に零れ出た言葉に俺は目を見開く。
「そ、そうだよ……俺が何でこんなことをやってるかなんて簡単じゃないか!」
「俺は……俺は皆を感動させるような作品を作りたいんだ!」
「あー、くっそ俺は何でそんなことを忘れてたんだよ!バカかよ」
苦笑を浮かべつつ、自分を罵倒するけれどもその罵倒に棘なんてものはなくて、むしろ霧が晴れていくような感じがした。
「周りの評価なんて気にしてるからこうなるんだ!自分のやりたようにやればいいじゃねぇか!」
俺の口からは様々な言葉が次から次へと出てくきて、止まることを知らなかった。
「俺は文才でもなければ天才でもないし、凡才で何をやっても中途半端だってのはとっくの昔から分かってることなんだ」
「だからって諦めたりするのは違う……少しでも努力をしたじゃねぇか、一生懸命調べたり、何度も何度も試行錯誤してより面白くなるようにって頑張ったじゃねぇか!」
一通り言いたいことを言い終えた俺は俯いていた顔を上げ天井を仰ぐ。
天井を仰いだまま目をつぶり、1度深呼吸をする。
そして、目を見開き大きく口を開いて、
「俺は!いつか絶対大勢の人を感動させるような作品を作ってやる!」
「だから!もう挫けねぇ!」
と、全力で叫ぶ。
「って、何言ってんだ俺は……今考えたらなんかくっそ恥ずいんやが?」
「あー、ダメだダメだ考えるな!アカンマジで恥ずかしすぎて死ぬ」
自分の言ったことに今更羞恥を覚えた俺は、蹲りながら悶える。
それから落ち着きを取り戻した俺は大の字になり一息つく。
「ふぅ、でもまぁ、これでやりたいことは定まったな」
そう言いながら上半身を起こして、
「……後は実行するだけだな」
「頑張れよ俺」
小さい声で未来、そして現在の自分に向けてエールを送るのだった。