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第四回なろうラジオ大賞用

星座が導く恋占い

作者: 城河 ゆう

「5位……微妙……」


 最近気にし始めた、星占いの雑誌を眺めながら溜め息を1つ。


 えっと――全体運はまぁまぁで、ラッキーアイテムがキーホルダー。


 金運はそれなりで――へぇ……失せ物見つかる、か。


 んで、恋愛運が――


「それ何の本?」

「――っ!?」


 隣から急に声をかけられて飛び上がった。

 比喩じゃなく、マジに。


「ご、ごめん、驚かすつもり無かったんだけど」

「こっちこそ……全然気付かなくてゴメン」


 話し掛けて来たのは、クラスメイトの早乙女(さおとめ)君。


 成績、ギリギリ平均点。

 運動、苦手ではない。

 体型、太ってはいない。

 性格、人懐っこい。


 その人となりのせいか、学校中の女子から「顔はいいんだけど……」と言われたり、裏で“チャッピー”と呼ばれたりと、恋愛対象ではなく、愛玩動物のように可愛がられている、“あとちょっと”のイケメンである彼。


 そんな彼に、私は片想いをしていた。


「で、熱心に何読んでたの?」

「星占いの本。 最近ハマってて」

「面白そう! 俺も見ていい?」


 どうぞ、と差し出すと、バラパラとページを捲っていく。


「あ、3位だ――へぇ、なるほど――んん?」


 呟くように小さな声で、雑誌を読み上げていた彼だったが、ふと首を捻った。


 暫く何かを考えていた彼が、急に「あっ」っと声を上げる。


「ごめん、ちょっと待ってて!」

「え? ちょっと――」


 雑誌を半ば押し付けるように返しつつ、すごい勢いで去って行く彼を、呆然と見送った私は、つい気になってしまい、“3位”のページを開いた。


 3位 乙女座

 全体運 ★★★★☆

 健康運 ★★★★★

 金運  ★★★☆☆

 恋愛運 ★★★★★


 うわっ、結構いいじゃん。

 さすが3位――って、んん?


 “拾い物に福あり”が“恋愛運”なんだ。

 普通、こう言うのって、金運とかっぽいのに。


 そんな事をぼんやり考えていると、彼が小走りに戻ってくる。

 そして、息を切らしながら、右手を差し出した。


「――あ……これ――」

「やっぱり、獅堂(しどう)さんのだった? もしかしたらって思ったんだけど」


 彼の指にぶら下がっていたのは、先週無くした子熊のキーホルダー。


「うん。 ちょっと前に無くしちゃって」

「見つかってよかったね」


 そう言って笑う彼を見て、雑誌の一文が頭をよぎる。


 もし彼が、恋愛運に書かれた言葉を見て、私のかもって思ってくれたのなら……。



 ――そして。



「あ、あの! 次の土曜日、空いてないかな? お礼、したいな」




 5位 獅子座

 恋愛運 ★★★★☆


 進展させるチャンスかも!

 小さなきっかけを見逃さないで。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 恋が始まる予感がしますね。ニヤニヤしながら読んでしまいました。小さなチャンスをものに出来るといいですね。
[一言] 小さなきっかけをきちんと掴んだ主人公、素晴らしいですね。 星占いがこうもぴったりとはまると、最早相手は運命のひとだと思えてしまいます。キーホルダーを見て、想い人のものとうすうすわかりつつも渡…
[良い点] すっごく良かったです!  恋人未満のふたり、可愛くってキュンキュンしちゃいました(*´艸`*)♡ 星座をとてもうまく使って互いに「あっ」とさせる構成が巧みで!! 面白かったです! 早乙女君…
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