表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

このご時世から学んだ恋愛術

作者: たたたたた

コロナウイルスが日本で流行りだして約1ヶ月。家族でテレビを見ていると、緊急事態宣言を出すべきか否か、とメディアが騒ぐ。都会の該当インタビューでは、「早く緊急事態宣言を出してほしいですね。」と答える、いかにも「いまから遊びに行きますよ。」という格好をした若者カップル。「あんたらみたいなのがいるから出さないといけない!こんなんだから、最近の若者はだめだ、とか言われるんだ。こちとら田舎で、ひっそりポケモンGOさみしくはじめているんだよ。」と、同じ若者で彼女のいない私の嫉妬センサーが反応していたとき、3人のグループLINEから連絡が来た。ポケモン仲間である。「ポケモンGOをするので公園に集合しなさい」とのことだ。なぜ「誘い」ではなくいきなり「命令」なのだろうか。いや、まあ暇だから良いのだが‥。


 ジャージに着替えスマホを持ち、マスクを装着し、待ち合わせ場所の公園へ向かった。コロナ対策はバッチリである。私の町には公園が8つある。そのうち、ポケストップは4つあり、その中で一番大きい公園に集合する。GPSをONにしてポケモンを探しながら歩く。途中でほしいポケモンに出会い、奮闘していたため、到着したときには、友人2人は公園のベンチに腰をかけていた。

 

「すまん、待たせた。」と私が言うと、「うむ。少し待て。」と友人Aから返事が返ってきた。ポケモンを捕まえるために奮闘しているのであろう。私もベンチに座り、ふと、あたりを見回してみると、たくさんの子供たちとその母親がいるではないか。やはり自宅待機はストレスがたまるのであろう。現に私たちも気分転換に外出している。などと考えていると、友人Bが「お母さんたちが美しく見えるな。」と、言ってきた。「見える‥て、失礼なことを言ってやがる。」と思いながらも、自宅待機期間があまりにも長いせいで、言いたいことは理解できる。この頃、「コロナ離婚」とネガティブなニュースが流れている。家庭内暴力などで苦しんでいるという情報も入る。不安が人々をそうさせているのであろう。しかし、こういうときだからこそ、夫はいつもより美しく見える妻を見て発情し、「コロナ運動会」が24時間営業でおこなわれているという、少子高齢化にとってポジティブなニュースを聞きたいものだ。と勝手な妄想をしていると、友人Aから「行くぞ。」という声がかけられた。


 こうして、ポケモンマスターへの旅が始まった。さまざまなポケモンを捕まえ、友と共にジムを落とし、レベルを上げていった。

そうこうしているうちに、小さめの公園にたどり着いた。下にグラウンド、上にブランコがある公園だ。下では幼稚園児が一人、お父さんと遊んでいた。そこで、私たちは上のブランコゾーンでレイドボスを倒すことにした。レイドボスとは、仲間と協力して強いポケモンを倒し、そのポケモンを手に入れるチャンスを得ることができるおいしいイベントである。友人2人は2つしかないブランコに急いで駆け寄り、ニヤリと笑みを浮かべながら座った。「ブランコに座れたくらいで喜ぶなんてまだまだあいつらも子供だなぁ。」と思いながら、ブランコの四つ端にある、上から見るとL字の柵の上に座った。友人Bから「うんこ座りするなよ、きたない(笑)。」といちゃもんをつけてきたので、「俺のようにバランス感覚があるやつしかできない技だ。できないからうんこ座りを馬鹿にしているのだろう。ほら、やってみろ。」と返した。「このように、私も友人と張り合うあたり、まだまだ少年の心が残っているようだ。」と、ポケモンGOをしながら話をしていると、下にいた幼稚園児が1人で近づいてきた。お父さんは下のグラウンドのベンチで休憩している。疲れたのであろう。


 はじめ、その幼稚園児は、ブランコの周りをうろちょろしていたので、様子を見てみることにした。その後、私の柵の上でのうんこ座り(高等技術)をみて、違う端の柵で、なんとその幼稚園児は、うんこ座りを軽々やってのけてしまった。そして一言「簡単じゃん!」。私は、この高等技術を軽々やられてしまい、少し悔しさを感じたが、ここは素直に「凄いなー」と言うと、褒められたのがうれしかったのか、そこからこちらに近づいてきて、ポケモンGOをのぞいてきた。そして、幼稚園児は「このポケモン知ってる!」と言ってきたので、また「凄いなー」と返しておいた。そこからすぐに、幼稚園児は父親に呼ばれて帰って行った。


 幼稚園児が帰った後に、ふと、「マスクをつけた厳つい大学生3人に話しかける、あの勇敢な幼稚園児の行動力には学ぶことがあるのではないだろうか。」と思った。積極的かつ、さりげなくこちらに話しかけてきた。冒頭でも話したが、私は彼女がいない。「今まで、この積極的な行動が足りなかったのでは?」と幼稚園児から教えられた気がした。しかし、この幼稚園児には、積極的な行動をはき違え、今朝のニュースで流れていた、コロナの中、都会に遊びに行くカップルの1人になってほしくないとも思った。あの行動は、無鉄砲で無謀な行動である。この無鉄砲で無謀な行動と積極的な行動は、どのように線引きをすれば良いのだろうか‥‥、深く考えさせる一日になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「コロナ運動会」が24時間営業でおこなわれているという、少子高齢化にとってポジティブなニュースを聞きたいものだ。 クスッとしました!w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ