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2 この世界と現在の私

次の日、私は再び目を覚ました。


目が覚めた頃にはなぜだか前世の自分と今の自分は違う人間だと考えられるようになっていた。急に泣きそうになることもない。

むしろ前世については、みんなとしっかりお別れを出来たことに関しては良かった、などと前向きに考えることができるようになった。

しかし、前世の記憶が一気に頭に入り込んできて混乱していた為、私は今の状況を整理することにした。


まず、私の名前はミモザ・ウォーターリリー。

16歳の公爵令嬢である。公爵家は私のことを心配そうに見つめていた家族によって構成されている。

父のルドルフ、母のカメリア、そして2つ歳上の兄パーシーである。

つまり、私は1人娘だ。そのためか私は、家族からは度が過ぎるほど溺愛されている。

蝶よ花よ、と育てられた割に性格が我がまま放題にならなかったのは前世の常識的なものが無意識のうちに働いているのかもしれない。


しかも、自分で言うのはなんだが、結構私は可愛い。

と言うのも、父も母も美男美女なのだ。

その遺伝子を引き継いでいる私が見目麗しくならないはずがない。

金髪のサラサラした髪に、クリクリの目は栗色である。

色白の肌は毛穴なんて見当たらない上に、ふわふわとした質感。

間違いなく美少女であり、その見目の麗しさは領民の心もしっかり鷲掴みにしていた。


もちろん兄も、例外なく父と母の遺伝子をばっちりと引き継いでおり、

兄を慕う令嬢は多くいるという噂を耳にする。


あと1つ整理しておくべきなのは、この世界のことだ。

私の住んでいるこの国はコキア王国という王族が統治する国である。


国土は広大で日本と違い島国ではなく大陸に位置する国であるが、今のところ近隣諸国との関係も良好なようだ。

雰囲気としては日本で勉強したところでいう、中世ヨーロッパのような感じだ。

ただ、地図をみたところ、この国は前世で見たこともない形をしているし、地球という概念も聞いたことがないところを察するに、私の前世とは全く違う世界なのだろう。


国全体を統治するのは王族だが、その王族の命を受け、力を持った4つの公爵家が領地を治めている。

そのうち、1番王都に近い領地を治めているのがウォーターリリー家だ。

我が父は結構な権力者らしい。


「お嬢様が本当に民のことを思っていることは分かっていますが、本当に心配したんですから、少し反省なさってください」


そう言って、ほっとしたような少し怒ったような表情をするシルビアは私が小さなころからお世話をしてくれているお姉ちゃん的存在の侍女である。

母の侍女であるデイジーが、私の乳母を兼任したことで、シルビアとは姉妹同然に育った。ちなみに、デイジーも未だに母に仕えていて、お互い信頼し合っているようだ。


1つ歳上の17歳の彼女はこの世界では婚約者が決まっていてもおかしくない歳だというのに私のことを第一に考えて行動しているように見える。

彼女のことは大好きだが、私のせいで婚期を逃したなんてことにならないようにしなければ……。


叱られているにもかかわらず、そんなことを考えていたミモザだったが、

心配をかけたのは申し訳なく思っているので素直に謝った。


「心配をかけてごめんなさい。今後は無理しないようにするわ」


シルビアはまぁ良いでしょう、といった雰囲気で

私が1週間も流行病で目を覚さなかったこと、

家族がどれだけ心配していたかということ、

ただし、私の献身的な対応のおかげで領地での病は収束に向かっており、領民達が感謝をしていること、を話してくれた。


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