ヘビのお兄さんが言った事が大事
(ハーちゃんが楽しいと思ってくれますように。)
ボクは池の近くにいるはずのコマドリさんを探しました。他にも色々お願いして回って行かないといけません。
やがて準備が終わる頃には空が赤くなる頃になっていました。
広場は大きな木の根がたくさんあって隠れるところがたくさんあります。
ボクは準備が完了したのを教えてもらうと始めてもらうようにお願いしました。
まずはコマドリのお姉さんの歌が広場に響きました。
そして狸の腹太鼓が鳴るとカエルの合唱が始まりました。
なんだなんだと何匹かの動物たちが木の根の陰から出てきました。楽しい音楽にみんな踊り始めます。
そしてボクはその中に彼女がいるのを見ると近づいていきました。
近くまで行くと彼女は少し後退りして離れます。
ボクは脚を止めて言いました。
「ハーちゃん、一緒に踊って欲しいんだ。ダメかな?」
「なんで?近寄らないようにって言ったじゃない」
ボクはチクリと心に棘が刺さるにを感じながらやっぱり言いました。
「ハーちゃんと一緒に踊るときっと楽しいと思ったんだ。だから色んな人にお願いしたの。」
もじもじとした手つきで手を洗うと、しっかりと手を伸ばして言います。
「あーくん・・」
ボクは彼女の手を取るとボクの胸元に挿してある花を取って彼女の頭に飾りました。コマドリのお姉さんからのアドバイスで池のほとりで見つけた小さな花でした。
「似合うよ」
お姉さんのアドバイス通りの言葉でしたが、彼女はちょっと怪訝な顔をしています。
「誰かに教えてもらったでしょ」
鋭い。彼女のハリと一緒で鋭い。
「えっと・・・、ごめんなさい。」
上手くいかなかったみたいで、落ち込んだ顔をしてると、不意に彼女はボクに手を取りました。
「まぁいいわ、60点。」
「えっ?」
彼女はボクの手を引いていきます。
「踊るんでしょ、いきましょう。」
引っ張られて後ろをついていくようになっているボクは時折ハリが刺さっています。
「イタイ、痛いよハーちゃん。」
「これぐらい我慢なさい。男のコでしょう?40点。」
下がりました。やっぱりボクの点数みたいです。
「うん、我慢する。」
「ヨシ」
ボクはこの日とても楽しく過ごしました。
彼女もそうだったらいいなと思って点数を聞いたら「及第点」を貰いました。
それを聞いて、結構大変かも、と思っていると彼女は言います。
「やっぱり生活には、“ハリ”がないとね。」
戸惑った顔のボクに彼女はウインクした後、100点満点の顔でニカっと笑いました。
終わり