キツネのおばあさんが言った事が大事
(ハーちゃんも同じように思ってくれますように。)
ボクは池の畔を探して回ると目的の物を見つけていつもの広場に向かいました。
広場は大きな木の根がたくさんあって隠れるところがたくさんあります。
ボクは一つ一つ根っこの影に首を入れながらハーちゃんが居ないか探しました。
夕方になる頃でしょうか。やがて、一つの根っこの影に見つけます。
「ハーちゃん、見つけた。」
彼女はこちらを向いてチョットびっくりしたような顔をすると、プイとまたそっぽを向いてしまいました。
「あのね、これ・・」
出したのはコマドリの綺麗なオレンジ色の羽。
「あのね、ボク、上手く言えなくてゴメンね。もしよかったら、手伝って欲しいんだ。ハーちゃんに」
「私に?」
「うん。コマドリのお兄さんを探して聞きたい事があるんだ。だから一緒に探してください。」
「なんで私なの?」
「ハーちゃんと一緒に探したかったから。」
一緒に探せたらきっと楽しいと思う。
ボクが精一杯の気持ちで羽を持った手を前に出したまま沈黙が続きます。
そして、その沈黙はそのままボクの体を押しつぶしていきそうな気がしました。
・・・・
やがて、ふと、手から羽が消えました。
ボクは彼女の顔を上目がちに見ながら、でも、嬉しくてチョット泣きそうな顔になっていました。
そして彼女はコマドリの尾羽を受け取ってニッコリ笑うと言いました。
「近寄っても良かったかしら?」
「ごめんなさい」
ボクの心にチクリときて、やっぱり、泣きそうになりました。
終わり