第4話 静かな夜
ハハハハハ戻ってきたぞ!
薄暗くて静かな廊下を歩き、キョウマとハルは大浴場に着いた。そして、二人は服を脱いで大浴場に入った。湯けむりで包まれていて、周りがよく見えなかった。とても暖かい空気で満ちていて二人とも何かに守られているかのような気分になった。しばらくして周りが見えるようになると、ハルは辺りを見回した。すると、二人の他には誰もいないようだった。
「やったー!僕らだけみたい。貸切だね」
「おい、だからってはしゃぎ過ぎんなよ。ちゃんとマナーは守れよ?お前、調子にのって浴槽で泳いだりしそうだけど」
「いくら僕だってそんなことするわけないじゃん。小さい子どもじゃあるまいし。バカにしないでよ!」
ハルは少し腹を立てた。そんなハルにはおかまいなしでキョウマは自分の身体を洗い始めた。お湯が思いのほか熱いのでキョウマはびっくりした。そこへハルがよって来てニヤニヤしながら言った。
「キョウマって、もしかして熱いお湯苦手だったりする?」
「別にそういうわけじゃない!」
いつもの仕返しとばかりにハルはキョウマをからかおうとするが、普段人をからかうような性格ではないのであとが続かなかった。ハルはごまかすためにキョウマの背中を流そうとした。すると、キョウマの背中に傷跡があるのを見つけた。
「キョウマ、この傷どうしたの?あんまり古い傷ではなさそうだけど…」
ハルに聞かれてキョウマは困った。心当たりが全くないからだ。
「俺の背中に傷?全然身に覚えがない。まあ、そもそも何も覚えてないけどな。もしかしたら、記憶をなくす前に何かあったのかもな」
キョウマは軽く笑いながら言った。ハルは不思議に思って考えたが、いくら考えても謎が深まるばかりで答えは出るはずもなかった。その後、二人は湯船に浸かった。温かくて凄く心地良かったので、二人はようやくツインベアとの戦いの疲れを癒せた気がした。
「なあ、ハル。お前は何で俺をレンジャー隊に誘ったんだ?」
「う~ん…なんとなく。最初に会ったとき、なんかこいつとならって気がしたんだ」
「どういうことだよ。変わった奴だな、お前は」
キョウマがサラッと言った。だが、ハルにはそれ以上の言葉で説明することはできなかった。そこで、ハルは気分を紛らわそうとキョウマに勝負を持ちかけた。どちらがより長く冷たい水風呂に入っていられるかという勝負だ。ハルが唐突にそんなことを言うのでキョウマは驚いた。その勝負を受けるつもりはなかったが、ハルがしつこく誘ってくるのでキョウマしぶしぶ付き合わされることになった。そして、二人は水風呂の前に立った。
「おい、本当にやるのか?」
「もちろんだよ。もしかして怖気づいたとか?」
ハルがそう言うが、キョウマは敢えて無視して、聞こえなかったふりをした。
「いいか?1、2の3で同時に入るぞ、ハル。1、2の…3!」
キョウマが合図をした。だが、実際に入ったのはハルだけだった。
「冷たっ!あれ⁉キョウマ、何で入ってないんだよ。勝負するって言ったじゃんか!」
キョウマ大浴場に響きわたるような大きな声で笑った。
「ハハハハハ!俺が本当にこんなくだらないことするとでも思ってたのかよ。マジでおもしろいなハルは」
キョウマは結局やらなかったが、それでもハルは言い出しっぺなので意地を張ってなかなか水風呂からあがろうしなかった。ハルは、必死に冷たいのを我慢していたが、さっきまで温かい風呂に入っていたので温度差でより冷たく感じた。
「ああ!やっぱりもうダメだ、冷た過ぎる~!」
そう言うとハルは、やっと水風呂から出た。温かい湯船に浸かって少し赤くなっていたハルの顔は真っ青になっていた。キョウマはすっかり呆れた様子だった。
「全く馬鹿馬鹿しい…。もう一回普通の風呂に入ってあったまって来い。俺は先に部屋に戻っとくぞ」
「そんな~!もう少し待ってよ~!」
キョウマは大浴場を出て、脱衣室でさっさと着替えを済ませて行ってしまった。本当において行かれるとは思っていなかったハルは、少しショックだった。ハルは、一人寂しく風呂に入って温まった。
~30分後~
「ただいまー」
ハルがようやく部屋に戻ってきた。だが、「おかえり」という返事はなかった。キョウマは既に眠っているようだった。ハルは少し寂しかった。ため息をついて言った。
「なんだ、もう寝ちゃったのかキョウマは…。それにしても本当においてくなんて、酷いよな…」
「誰が酷いって?」
キョウマの声だった。ぐっすり眠っていたが、目を覚ましたようだ。ハルは、さっきまで寝ていたキョウマが急にしゃべり始めるのでびっくりした。
「うわ⁉寝てたんじゃないの⁉」
「うるせーよ!そんな大声出すな。お前が物音を立てるから目が覚めたんだよ」
「ええ~?そんなに物音立ててないと思うけど…」
キョウマは起こされて機嫌が悪かったが、すぐにいつもの調子に戻って言った。
「そういえば、ハルはそもそもどうしてレンジャー隊に入りたいと思ったんだ?」
急にそう聞かれてハルは答えようとしたが、言葉が出て来なかった。話そうとしても、何故か自然と口ごもってしまう。ハルは物凄いもどかしさに襲われた。そして、弱々しい声で喋った。
「簡単に言うと、人々を助けるレンジャー隊に憧れていたからなんだけど、本当はもっと深い理由があるんだ。でもごめん。それを話すと長くなるし、自分でも話しくはないんだ…。嫌なことを思い出しちゃうから…」
キョウマはなんとなく察したのか、それ以上は追及しなかった。
「分かった。今はいい。話す気になったら教えてくれ。さあ、今日はもう遅いし早く寝よう。明日の集合に遅れたらまずい。それと、二段ベッドから落ちないように気を付けろよ」
「余計なお世話だよ!僕、そこまで寝相悪くないから。キョウマの方こそ明日寝坊したりしないでよ!」
二人は笑顔だった。ハルがいつも通りの元気に戻ったので、キョウマは安心した。そして、二人は灯りを消して静かに床に着いた
いや・・・・この小説は俺じゃなくて俺の友のH氏が書いているのだが、正直、俺が以前投稿した小説よりも話がまとまっておる。フ、フフフ・・・・フハハハハハ!なーにもう少しでワシの小説の第一話のプロットが完成する。今回はなかなかの自信作だ!まあ、1人称視点であるということに気をつければ、どうってことなかろう!次の作品はイケるぞ!待っておれ!