第3話 寮生活
復活!文化祭やら何やらでめちゃ忙しかったぜ!ちなみにこの前書きや後書きは俺、S氏が書いているが、小説の中身はH氏が書いているんだ。「転生したらカーレースに出させられました」は俺、S氏が書いたぜ!
「おお~!ここが僕たちの部屋か。思ったよりもいい部屋だな」
結局二人とも寮に入ることになった。彼らは武器を手に入れたあと、寮に入るための手続きを済ませ、早速部屋に入った。二人が入った寮はかなり昔に建てられたものだったのであまりきれいとは言えなかったが、古めかしい感じがしてキョウマは心地良かった。キョウマはさっきの自身の発言で黙り込んでいたハルを心配していたが、ハルは寮の部屋を見てすっかり元気になってはしゃいでいる。
「見てよ、キョウマ。二段ベッドだ!僕が上でいいかな?」
「悪いがそれは譲れないな」
ハルはキョウマが柄じゃないこと言うので一瞬戸惑った。そんなハルを見てキョウマは面白がっている。
「ハハハ…冗談だよ。別に俺はどっちでもいいさ。好きにしろ」
「なんだよもう!それなら最初からそう言ってくれよ」
そう言いつつハルはとても嬉しそうにしていた。
「まあはしゃぐのはこれぐらいにして、待ち合わせ場所の一階のロビーに行こうぜ。ユウナが寮の中を案内してくれるって言ってんだし、待たせたら悪い」
「それもそうだね」
キョウマとハルは、自分たちの部屋の整理を済ませたあとすぐに待ち合わせ場所に行った。そこにはユウナの姿があったが、彼女は少し腹を立てていた。キョウマが話しかけるとユウナはムッとして言った。
「二人とも遅刻。待ち合わせ時間すぎてるよ!」
ハルがすぐに反論した。それもそうだ。待ち合わせ時間を過ぎていると言ってもんの少しだったからだ。
だが、ハルが喋り終わる前にユウナがかき消すように言った。
「長官も言ってたじゃない。時間を守れない者は世の中の平和も守れない。レンジャー隊員たる者早めの行動を常に心掛けろって。二人ともまだまだだね」
キョウマもハルも何も言い返せず黙り込んだ。ユウナは二人がこんな反応をするとは思っていなかったので少し焦ってしまった。しばらくその場の空気がまずくなったので、ユウナは気まずさを解消しようと微笑んだが、余計に気まずくなってしまった。
「と、とにかく時間厳守は大切ってこと。ま、まあ別にそ、そんなに思い詰めなくてもいいと思うよ」
「プッ…ハーハハハ!なに焦ってんだよ!」
キョウマが突然笑い始めた。わざと黙り込んで焦るユウナの反応を面白がっているのだった。一方のハルは、本当にユウナの言葉が心に染みていた。レンジャー隊員として時間厳守は鉄則だと自分に言い聞かせていた。
「もしかしてわざと⁉何なのよもう!」
「ごめんごめん。焦ってるユウナが面白かったからつい…。もちろんちゃんと反省してるから」
キョウマは間違いなくユウナの機嫌を損ねてしまった。すると、ハルが言った。
「キョウマってこんなに人をいじるような性格だったけ?」
「さあな…。もしかしたら記憶をなくす前はそういう性格だったのかもな」
ハルとユウナはキョウマの本性を悟ったような気がした。
「気を取り直して、今から私が寮の中を案内するからついて来て」
そう言うとユウナは歩き始めた。三人がしばらく歩いていると前方に大きな扉が見えた。その先には、本がずらりと並んでいて、世界が変わったかのように静寂に包まれていた。
「ここは図書館だよ。幅広い種類の本があるから、調べ物をするのには結構便利なんだ。面白い本もたくさんあっていい場所だと思うよ」
「僕は字ばっかりの本は苦手だから、遠慮しておくよ」
ハルがとても嫌そうな顔をして言った。
「そう?それは残念。でも、いざという時のために知識を蓄えたおいた方がいいと思うよ?長官も知識は生命を守るって言ってたんだけどなぁ」
「分、分かってるよそんなこと」
ハルが焦っているとキョウマが何かを見つけた。それは掲示板に貼ってある指名手配のポスターだった。その中でも最も大きく貼り出されているのがライガだった。
「レンジャー隊指定最重要指名手配ライガ…本当に指名手配されてんのか…。その上、報奨金もとんでもない額だな。他の指名手配犯とは比べ物にならないぐらだ」
三人はポスターに載せてあるライガの写真を見た。
「年は僕らと同じぐらいなのに指名手配か…」
「それぐらいライガのやっていることの罪は重いんだよ。でも、彼って結構イケメンじゃない?まあそれより、他の場所も案内するから早く行こうよ」
ユウナが急かすのでキョウマとハルは、図書館を出た。そして廊下の角を右に曲がると次の目的地に着いた。
「ここは大浴場。入ってみたら分かるけど、凄く広いんだよ。疲れを癒すには最適なんだ。あと女湯を覗こうとか考えないでよね」
「はいはい分かった分かった」
キョウマが呆れた声で流すように言った。すると、ハルからお腹が鳴る音が聞こえた。
「ごめんごめん。僕、お腹空いちゃって」
キョウマとユウナは笑ってしまった。
「まったくしょうがないなぁ。じゃあ、食堂へ行こうか。そろそろ夕食の時間だし」
そう言うとユウナは二人を食堂へ案内した。食堂はたくさんのレンジャー隊員で溢れかえっていて、とてもにぎやかだった。さらに食欲をかきたてるいい匂いがするが、ハルがショックを受けた表情をして言った。
「凄い行列…こんなのに並ぶの?」
「仕方ないでしょ。並ぶのが嫌なら夕食諦めたら?」
「はぁ…並んで待つしかないのか…」
ユウナに厳しいことを言われてハルの気持ちは少し沈んでしまった。かなりの時間待ったあと三人はようやく夕食にありつけた。
「結構おいしいね!最高だよ」
さっきまで沈んでいたのが噓だったかのようにハルは元気を取り戻した。
「あんまり焦って食うなよ。喉につまるぞ」
「大丈夫だって…ゲホゲホッ、水、水~!」
「いわんこっちゃない…フッ」
キョウマは呆れた様子だったが、内心面白がっていた。ユウナも必死に笑いをこらえていた。そして、ハルが水を飲んで少し落ち着いたのでユウナが口を開いた。
「そうそう、食堂は朝、昼、夜それぞれ利用できる時間が決まっていて原則として時間外は使えないよ。ちゃんと時間を見て動いてね。寝坊したりすると、朝ご飯抜きってことにもなるから気を付けてね」
「なあ、ユウナ。お前も確か俺たちと同じで昨日入隊したばかりなんだろ?さっきから思ってたけど、何でそんなに詳しんだ?」
キョウマが尋ねた。それを聞くと、ユウナはニヤリと笑った。
「フフッ…知りたい?」
「もったいぶらずに教えろよ」
キョウマが少し怒ったように言った。
「怖い怖い。もうちょっと優しく聞いてよね。私、女の子なんだし。いいよ、教えてあげる。実は、私のお姉ちゃんがレンジャー隊員でね、その繋がりで私も小さい時からここに来ることが多かったの。だからいろいろ詳しいんだよ。それと、私がレンジャー隊に入ろうと思ったキッカケは、お姉ちゃんが活躍してるのを見て私もそうなりたいと思ったからよ」
キョウマはその説明を聞いて納得した。すると、隣のハルが言った。
「ごちそうさまでした!」
ハルは満足そうな顔をしていた。ハルの食器には、米一粒すら残っていなかった。すっかり平らげてしまったようだ。それを見て、キョウマとユウナは驚いた。
「お前もう全部食ったのか?速すぎるだろ…もっと味わって食ったらどうなんだ」
「しょうがないじゃん。お腹が空いてたんだし、おいしかったんだから」
「ああそう…もういいよ」
キョウマとハルのやり取りを見ていたユウナはクスリと笑った。ハルの単純な答えになんとなく反応してしまったのだった。そして、キョウマとユウナも自分の食事を済ませた。
「明日は午前九時にミーティングルームに集合。長官からの連絡よ。遅れないようにね。それと、お風呂もさっさと済ませといた方がいいと思うよ。食堂と同じで使える時間は限られてるから」
「ねえ、ユウナ。聞きたいことがあるんだけどご飯っておかわりできるの?」
ハルが尋ねると、ユウナは笑顔で返答した。
「もちろんだよ。あと三分で食堂は閉まっちゃうけどね」
「え⁉あ!そういえばいつの間にか人が全然いなくなってる!」
「お前気付いてなかったのか?ていうかまだ食うつもりはだったのか」
ハルが辺りを見回すと先程まで人がたくさんいて、満席状態だったのがすっかり空席になっている。ハルは、食べるのに集中していて全く気付かなかったようだ。そうやってあたふたしていると、食堂の管理人に早く去るよう注意されたので三人は食堂から出た。
「私は自分の部屋に戻るから、また明日会いましょう。じゃあね!」
そう言ってユウナは行ってしまった。
「キョウマ、この後どうする?」
「とりあえずユウナの言ってたとおり風呂に入るか」
キョウマとハルは、大浴場へ向かった。にぎやかだった食堂と比べて廊下は驚くほど静まり返っていたので、二人はなんとなく不気味さを感じた。
多分来週にはupできるぜ!