2-1-9 検索ソフト
「では。
名前の部分に記号や番号が入っていれば
我々で勝・手・に・名前をつけてもいいわけですか」
「さあ-----それはどうですか。
記号や番号で呼ばれた怪獣は-----。
なかったですか」枠沢は思い巡らすかのように。
「どうだったか。
まあいいか。
-----。
しかし実際問題としては
そうせざるを得ないのでは」
「なるほど」
「その点についても
もう少し考えておけば良かったのですが。
今ならば怪獣としてふさわしい名前を
ちょうど辞書検索ソフトのような形で
作っておいて。
数は何百万通りになるか
わかりませんが。
その中から選ぶようにすればいいのかも。
ですが製作者の個性も大事にしたいですし。
あるいは怪獣の名前のつけ方の
基本パターンのようなモノを
プログラムしておくという手も。
それに沿った名前を入力しなければ
起動しないようにも出来たのですが。
しかしその当時は」
「なるほど。
そのようにすれば」
「モンロー先生と一緒に
研究なさっていた当時は
気づかれなかった」
「ええ-----まあ-----。
そういう事です」枠沢。
実際には
あのプログラムを作った当時は-----だ。
プログラムの更新は。
忙しくて-----。
「ですが
それならば武器は。
怪獣がどのような武器を持っているのか。
どのような能力を持っているのか。
それらがわかれば我々としても
それらはどうなるのですか」
「それはそうだ。
カテゴリーと同じように
武器や能力についても
製造時に設定するわけでしょう。
でしたら
それらの点についても。
素人考えですが」
「それとも技術的に何か
問題でもあるのですか。
出来ないわけが」
「いえ。
技術的には全く問題はありません。
しかし-----。
先程も言いましたが-----。
こんな事を言ってもいいのか-----」枠沢。
「先程と-----おっしゃいますと」
「確か-----。
その点は調査なり何なりをして-----と」
「はい-----。
その手の○○映画では
怪獣の持っている武器や能力等は
たいていそうなっていますし。
怪獣なり何なりの持っている武器が
最初からわかっていては
都合が悪いでしょう。
リドニテスや何なりが
最初は勝っていても
怪獣が急に新しい武器で攻撃してくる。
それで危なくなる。
そうなっていますしね」
全てではないが
そういう印象が強い。
枠沢自身の思い込みかも。
「なるほど。
最初から相手の持っている武器がわかっていれば
そういう事はないわけですか。
怪獣がどんな武器を出してきても
対応できるわけですか」
「はい。
そうなりますし-----。
まあ武器の名前だけがわかっていただけで
対応できなかった時もあったようですが-----。
やはり怪獣がどのような武器を持っているのか
わからない方がいいのではと。
それで-----。
と言うことです」枠沢。
「ですが。
それはあくまで映・画・の・中・だ・け・の話ですし。
リドニテスが危なくなるシーンも必要だから
そうしているだけで。
現実にはそのような事」虹起。
「もちろんそうです。
実際に怪獣を造るつもりなら
そうしたか・も・-----
知れませんが」
「怪獣を造るつもりはなかったわけですか。
モンロー先生も」
「ハイ。そうかと」
「そういう事か」
「それでは-----。
ですがカテゴリーは遠距離からでも
分析できるのでしょう。
そのデジタルコードとして
書き込まれていなくても。
だったら武器もそのようにして
分析できないのですか」
「それは」枠沢は詰まった。
「何かあるのですか」
「はい。
カテゴリーというのは。
つまり身体全体をつくる細胞の
原子や分子の構造によって決まります。
ですからそれにガンマー線スペクトルを照れば
そこから出て来る二次放射線なり何なりの
スペクトルを分析すればいいのですが。
身体全体ですので
そこから出て来る二次放射線の量も多いのですが。
それで念のため
-----デジタルコードのカテゴリー部分の改ざんは
出来ないとは思うのですが。
いえモンローならやれますが」枠沢。
“モンローに出来るか。
調べなければ”
「なるほど。
モンロー先生がイタズラで」
「それで念のため
怪獣識別装置にはその機能。
つまり二次放射線のスペクトルの
分析機能は持たせてありますが。
それによりカテゴリーは何とか」枠沢。