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2-1-2 カテゴリー


 「枠沢先生。

 怪獣が」

 資料を読みあさっていた枠沢のもとに

哲斗とシオリが飛び込んで来た。

 「怪獣?

 それで今度はどこに」枠沢。

 「それが海中を真っ直ぐこちらへ。

 現在バーザス海軍が迎え撃っています」

 枠沢はあわててテントの外へ。

 「それで種類はわかったのかね」

 「はい。ソナー映像で確認したところ

 “ミドグ”のようです」シオリ。

 「ミドグ?」

 枠沢は洞窟内で眠っていた怪獣を

思い浮かべた。

 「ミドグ。

 あの四頭の中の一頭の」

 「はい。

 奴は幸いにもカテゴリー“1(ワン)”です。

 奴。

 ミドグなら我々でも何とか」

 バーザスのフォーグ少佐や

アメリカのレーナン大佐たちは

枠沢たちのいたテントからは

少し離れたテント内にいた。

 枠沢はテントに入るなり。

 「どうなりました。

 怪獣は」

 「それが-----」

 



 



 ミドグは無人島へ向け

海中を進んでいた。

 あの洞窟から一端は解き放たれたものの

無人島周辺を回遊していたようだ。

 ミドグの進路上に

海上を巨大な客船が。

 ミドグはそれを見つけた。

 海中から

客船の赤い腹が

ミドグの見上げる目に入った。

 ミドグはそれへ向け生物レーザーを。

 巨大な光の柱が豪華客船を貫いた。

 客船は一瞬にして真っ二つに。

 数千人の乗客を乗せたまま。

 海中へとしていった。

 ミドグはその結果に満足したかのように

無人島へと向かった。



















 バーザス海軍第二艦隊は

無人島周辺にすでに展開を終えていた。

 対潜ヘリが海中を進む怪獣ミドグへ向け

対潜魚雷を。

 ミドグの方が魚雷よりも速いため

正面からの攻撃だ。

 魚雷がミドグへ。

 しかしミドグはそのまま真っ直ぐ。

 恐るべき魚雷の威力を知らないのか

よけるそぶりを見せない。

 魚雷は高速スクリュー音とともにミドグへ。

 魚雷が命中。

 炸裂した。

 それも数発、同時に。

 「やったか」

 第二艦隊司令部では。

 しかしミドグは

全く何事もなかったかのように。

 「ダメか」

 「本土では

陸軍がアレだけ攻撃しても

ダメだったんだからなあ」

 原子力潜水艦がミドグを捕らえた。

 ミドグも潜水艦を視認。

 潜水艦へと

確めるかのように向かった。

 潜水艦が魚雷を。

 しかし同じ短魚雷では-----。

 命中。

 炸裂。

 全く結果は同じ

 ミドグが口から生物レーザーを

 原子力潜水艦へ。

 ミドグの生物レーザーは

 潜水艦の艦体を一瞬にしてつらぬいた。

 「ダメか」 

 数隻の駆逐艦が

 ミドグの前方へ。

 ミドグが見る見るそれに近づく。

 「アレでは無理だ」

 「わかっている。

 しかし」

 ミドグが海中から生物レーザーを。

 数隻の駆逐艦の艦底から甲板へと

光の帯が-----。

 「海の中にいては」

 「どうしようもないか」

 「長官。

 こうなっては」

 「仕方ないか」

 何か思い悩むよう。

 「しかしアレが-----。

 カテゴリー“1《ワン》”か。

 最も弱い部類の」

 「そのように-----聞いておりますが」参謀たちも。

 「よし。

 やろう」長官。

 一機の対潜ヘリが飛び立った。

 機体には一発の対潜魚雷が。

 それを見つめる長官は複雑な-----。

 「まあ。

 怪獣相手に使っても-----

報復されるわけでもなし-----」

 「実験と同じですか」

 “後の問題は。

 場所だけか。

 使用する”

 対潜ヘリが魚雷を

投下した。

 魚雷は。

 「真っ直ぐ怪獣へ-----。

 追尾中」

 もちろん正面からだ。

 「ミドグは-----進路そのまま」

 「着弾まで-----後十秒-----。

 三、二、一、

 弾着」

 ミドグは-----

核の炎に包まれた。

 「やった-----か」長官。

 「何せ核ですから。

 小型とはいえ」

 一キロトンない。

 「そうだな。

 それに奴はカテゴリー“1《ワン》”だしな」

 しかし-----ミドグは。

 「そんな-----」

 「何ともないのか」

 「本当に奴はカテゴリー“ワン”なのか」

 「後はもう」

 「この艦の-----」

 「それしかないか」














 「海軍がミドグの阻止に失敗した模様です」 

 「何!」フォーグ少佐。

 「マサカ」

 哲斗たちもいる。

 「核を使ったんだろう」フォーグ。

 「はい。

 しかし-----全く」

 「そんな」

 「それが-----。

 全く傷ついた様子もなく

こちらへ。

 海軍からは

“ドグゼム”をもって

阻止すると連絡が」

 「ドグゼムか」

 「しかし海の中では」フォーグ。

 「いえ。ここへ上陸と同時に」

 「なるほど」

 「それならば」

















 ミドグは無人島へ。

 すでに足は海底についている。

 ミドグはゆっくりと

無人島へと歩き出した。

 首がぽっかりと海上へ

その姿を現した。

 哲斗はそれをジッと。

 海岸を望む。

 少し離れた小高い丘の上から。

 かたわらのケースには

日本から持ち込んだ

個人用肩撃ち式携帯BBバーストビーム砲が一門。

 もしもの事があってはと

一門だけ持参したのだ。

 「コレで撃ちますか」

 哲斗はケースを手に

虹起にじき陸将補に。

 それにはフォーグが。

 「それは?」

 「BB砲です」

 「ああ-----例の枠沢先生が造られた」

 哲斗はBB砲をケースから取り出した。

 「なるほど」

 フォーグはそのBB砲を手に取り

各部を念入りに-----。

 「すばらしいですな。

 しかし攻撃は我々の手で-----。

 アレをごらん下さい」

 少し離れた場所に、

この丘を少し下ったあたりだろう、

バーザスの兵たちが

モンローの造った携帯BB砲を構えている。

 数は-----少ない。

 見回しても数門。

 「ここへは十門ほど持ってきました。

 モンロー先生の研究所や他からも

多数発見されましたので」

 「数はどのくらいですか」レーナン。

 「それは-----」フォーグ。

 「うらやましいですな」武官の一人。

 「モンロー先生のお造りになられたBB砲か」

 「枠沢先生のと

どちらが上かしら」シオリが真剣な表情で。

 対怪獣撃滅戦において

その点は重要である。

 枠沢の携帯BB砲は

カテゴリー“1”までの怪獣にしか

効果はない。

 もしモンローの携帯BBビービー砲に

それ以上の威力があるならば-----。

 それに対してはフォーグも。

 「その点については

我々も是・非・知りたいと。

 しかし-----

我々も攻撃は待つようにと

海軍からの要請が」

 「どうして」シオリ。

 「いえ。海軍が。

 ドグゼムが来ていますので」

 「ドグゼムと言いますと

 あの-----」シオリ。

 「はい。

 我海軍の誇る戦艦です。

 アレならば。

 どう思われますか

枠沢先生は」

 ふられた枠沢は。

 「戦艦ですか。

 その主砲でですか。

 いや-----。

 子供の頃その手の○○映画を見まして

 “どうして自衛隊は怪獣に対して

あんな大砲ではなく

戦艦大和の主砲で撃たないのかと-----”

 アレならば-----ひょっとして怪獣を」

 何の事やら全員キョトンと。

 「イヤなんでも」





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