改革方針
「おはよう。」
元気良く声をかける。
「なんですか?ギルドカードはまだ出来ていませんよ・・・」
メリッサさんは相変わらず眠そうだ。
それにしても、俺がギルドカードを依頼していることをちゃんと覚えている。
ちょっと意外だ。
「君に手紙だ。」
と、王様からの手紙と、メランさんからの手紙を手渡す。
メリッサさんは、窓口で、王様からの手紙を読み始めた。
眠そうなメリッサさんの瞳がだんだん大きくなる。
「ギルドの立て直しをするんですか?」
メリッサさんの少し赤味がかかった黒い瞳が、
やっと真っ直ぐ、こっちを見た。
メランさんと違って、メリッサさんは
髪も少し赤味がかかっている。
「ああ、王様からの命令だからね。」
「よくもまあ。」
「ギルドの立て直しの手始めとして、掲示板の運用を見直したい。」
「それはもうやったんですよ。」と半信半疑のメリッサさん。
「ああ、それは聞いた。だが、考えてみて欲しい。」
俺は言葉を続ける。
「街の人も自分の依頼を、どういう人間が受けるか分からないから、
高額な依頼が出せないんじゃないか?」
「それはそうですが・・・」
もちろん、締め付けるだけでは駄目だ。
それでは他のギルドに移ってしまうだけだ。
冒険者にとっても、依頼者にとっても、
良かったと思えるような施策が必要だ。
高額な依頼が無いという事実。
そこが突破口だろう。
依頼する側としては、信頼できる冒険者に依頼したい。
それに対して、冒険者は高額な依頼を受けたい。
この2つを同時に満たすことが出来れば、
改革は軌道に乗る。
熱っぽく、俺は語った。
「はあ・・・で、どうすれば、それが出来るんですか?」
メリッサさんの質問も、もっともだな。