相棒の苦難
同じ黒いドレスをずっと着ているのではという疑惑を
ぶつけた俺には対して、メランさんはずっと真顔のまま、
お城の門まで見送ってくれた。
ちょっと怖い。
早速、ギルドに向かうことにする。
王様の手紙とメランさんの手紙も一緒だ。
王様の手紙には、ギルドの立て直しを俺に
頼んだということが書かれているのだろうが、
メランさんの手紙には何が書いてあるのだろう。
それにしても、掲示板の件は考えなくてはならない。
掲示板のルールを厳しくすれば、冒険者たちが
他の都市のギルドに移ってしまうという現実。
されど、ルールを緩くすれば、モラルが下がり、
結果として収入が減る。
規制強化だけではモラル向上には繋がらないとは、
なかなか教訓めいてはいるが、何かを学ぶよりも
今必要なのは解決策だ。
こういうとき、インターネットで検索できると良いんだがなあ。
考えながら歩いていると、トムがいた。
こいつとは一緒に賞金稼ぎをする約束をしていたのだが、
俺はギルドの立て直しをすることになったので
相棒契約は解消かな。
ギルドに向かいながら話をする。
ギルドの立て直しをすることになったこと、
まだギルドカードは貰えていないこと。
「それにしても、お前のところの経営も大変だったんだな。」
と話を振ってみた。
「ああ、急に冒険者が減っちまってなあ。」
「うん。うん。」
「でも、俺が頑張って賞金稼ぎをすれば、姉さんを楽させられるかなあってな。」
ええ話やなあ。
そんな話をしながら歩いていると、少年たちに囲まれていた。
おお、これはなんだ?
年齢はトムとおなじくらいか。
「なんだ?お前らは。トム、知り合いか?」と聞いてみる。
「王都立学校の同級生の連中だよ。」とトムが答える。
「王都立学校の同級生だった連中だろ。」と少年たちの1人がわざわざ訂正する。
「賞金稼ぎをしているという話だったけど、捕まえられたのか?」
「年がら年中、街中走り回っているみたいだけどなあ。」
「お姉様に、トム君、やる気ないみたいですよ〜って言っちゃおうかなあ。」
煽る煽る。
見るとトムが震えている。
ただでさえ学業を諦めて、引け目があるのに、
こうして煽られたら辛かろう。
トムの肩に手を置く。
トム、耐えるんだ。