サヨナライツカ
「サヨナライツカ」
止めて、そんなこと言わないで!
何で離ればなれにならなくちゃあいけないの?
一緒にいてよ!離れないでよ!
「サヨナラ」なんて嫌だ!
「イツカ」より、今一緒にいてよ!
それでもあなたは離れて行く。
みんなそうだった!一緒にいるって言ったのに!
私から離れないって言ったのに!
それでもみんなは、
「サヨナライツカ」
って言って離れて行く···
何でこうなったんだろう···?
何で離れるの!
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私は覚えていない。
私の人とのお別れが大嫌いになった原因のことを。
後から母に聞いたことだ。
私は父が大好きだった。
厳しい父だった。なんだかんだ言って私を甘やかしていたらしいが。
私にしてみたら優しい父でもあった。
私は父のことは覚えている。
***
確か、家族でドライブをしていたと思う。
母はしていたと言っていたが。
その時の目的地が山の観光地だったらしい。
山のカーブに差し掛かった時に大型トラックが運転ミスで、私たちの車に突っ込んできたらしい。
突っ込まれて私たちの車は崖に落ちて行ったと母は言っていた。
その時母と私は、足や腕や体の複雑骨折などですんだが父は駄目だった。
母は薄れて行く意識の中私と父の話が聞こえたと言っていた。
「···な···ぁ···×××····あ·····あ····いし····て····い····た···よ····サ···ヨ·····ナ···ライ·····ツカ·····だな·······」
「お···おとうさん····」
「····げ·······ん······き·········で···········な·············」
母の意識はそこで途切れたと、言っていた。
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詳しいことはこれしか私にはわからない。
だけれど、私は父親が大好きだった。
大好きだった人とのお別れ。
ことことが私の人が離れていくことが大嫌いになったのだと思う。
“思う”じゃなくて”絶対”なんだろうな。
もう、離れて行かないで···
置いて行かないで···
私を独りにしないで···