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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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46 取調べ 修


 シルルンたちは鉱山南側に到着したが、シルルンは鉱山南側に向かう道中で、リザに取調べを受けていた。


 リザからすれば目を離した十日ほどの間に、知らない女の奴隷が二十人ほどもいたからである。


 一体、どういう経緯でこうなったのかリザはシルルンを問い詰めていく。


 シルルンガールズ隊、これについては彼女はなんとも言えないでいた。


 王から褒美として贈られた奴隷で、しかもセカンドパーティとして修行の旅に出させていたというので運用方法も納得できる範囲だからだ。


 次に娼婦五人の女奴隷だ。


 リザは彼女らが娼婦と聞いて何をさせるつもりなのかと激昂した。


 しかし、シルルンは娼婦だとは知らなかったの一点張りで、シルルンが女の押しに弱いことを知っている彼女は強引にせがまれたんだろうと考えて溜飲を下げた。


 次に採掘のために買ったアミラたちだ。


 これについては、彼女は何も追求しなかった。


 アミラたちの筋肉が女を捨てていると解釈したからである。


 メイ、アキ、ゼフドは、シルルンがポラリノールに住んでいた時からの母親の奴隷だ。


 リザがシルルンと出会うよりも前にシルルンに仕えているので、彼女は何も言えなかったがメイとアキは警戒すべき女だと考えていた。


 美人で歳も近くリザが知らない過去のシルルンを知っているからだ。


 ヴァルラは銀毛で女であるリザでも一瞬見惚れてしまうほど神秘的な容姿をしていた。


 だが、シルルンが選んだわけではなく、王女と交換した奴隷であり、酒を飲むと獣に成り下がるのでリザは警戒には値しないと考えていた。


 ラフィーネは樽引きで当たった奴隷で、シルルンが選んだわけではない。


 しかし、美人な上に最上級職の魔法戦士で、リザよりも強いことは明白だった。


 そのため、リザはラフィーネが一番危険だと考えて警戒を強めるのだった。


 シルルンはリザの取調べを受けてヘロヘロになりながら魔車から降りて、魔法の袋に魔車をしまう。


 シルルンたちは南側のキャンプ村には寄らずに、鉱山南側の下層に向かって歩いていくと、多数の冒険者たちや傭兵たちが中層を目指して鉱山を登っていく。


「じゃあ、ゆっくり登ってみよう」


「はっ!」


 ブラたちが前衛として先に進んでシルルンたちはその後に続く。


 すると、十分もしないうちにシルルンたちは洞穴を発見した。


「シルルン様、洞穴です。おそらく採掘師が掘ったのでしょう。入ってみますか?」


 アミラが注意深く洞穴を覗き込んでいる。


「う~ん、やめとくよ。どうせ鉄ぐらいしかなさそうだし、一気に中層を目指すよ」


「はっ!!」


 シルルンたちは再び中層を目指して登り始める。


 洞穴はいくつも掘られおり、それらの洞穴の一つから魔物が姿を現した。


 その魔物はレッサー スコーピオンで数は三匹だ。


 レッサー スコーピオンは『毒牙』と『毒針』には注意が必要だが、所詮は下位種なのでブラたちに瞬殺された。


 ブラたちは洞穴を警戒して洞穴出入口を囲む。


 プルとブラックはレッサー スコーピオンの死体を一瞬で『捕食』し、シルルンたちは洞穴の前を通り過ぎる。


 洞穴は無数に掘られており、魔物の巣になっている場合があるので、無防備に洞穴に近づくのは危険この上ない。


 シルルンたちは順調に鉱山を登っていると日が暮れてくる。


「そろそろ、野営の準備を始めようか」


 シルルンたちは開けた見晴らしのいい場所まで移動する。


 シルルンは魔法の袋から十人用のテントを二つ取り出して、魔車を一台地面に置く。


 アミラたちは直ちにテントを組み立て始める。


 周辺には草が大量に生えており、タマたちは嬉しそうにムシャムシャと草を食べている。


「シルルン様、食材も出してもらえないでしょうか?」


「うん、テキトーに出すね」


 シルルンが魔法の袋から大量の食材を取り出してテントの前に置くと、メイはテントに備え付けてある料理道具や食器を確認して包丁で食材を切っていく。


 薪や落ち葉を拾い集めた元娼婦たちは初心者セットの鞄の中に入っていた火付け石で、火をおこそうと悪戦苦闘していたが、しばらくすると薪に火がついて彼女らは安堵したのだった。


 メイは切った食材を鍋の中に入れて煮込んでいると、ゼフドとアキが木の実や茸を取ってきてメイに手渡した。


 木の実や茸に視線を向けたメイは、茸は鍋に入れたが木の実は別の鍋を用意して煮込みだす。


 調味料は塩だけのぶち込み鍋だ。


 出来上がった鍋から仲間たちは次々に小皿に取って食べていく。


「食材の種類が多いから良い出汁が出てておいしいですね」


「あはは、そうだね」


 ラフィーネの言葉に、満足げに頷いたシルルンが酒を飲みながら木の実の皮を剥いて食べている。


 食事を終えた元娼婦たちは鉱山を登った疲労で疲れきっており、テントの中に入って早々に眠りについた。


 夜の見張りはブラたちやアキ、ゼフド、ラフィーネが交代で行った。


 しかし、夜が明けても魔物は一度も姿を見せなかった。


 この鉱山の高さは五十キロメートルほどだ。そして中層の高さはおよそ二十キロメートルの地点にあり、シルルンたちが登った高さは一キロメートルほどで魔物の数も少ないのである。


 シルルンたちは元娼婦たちのペースに合わせて、ゆっくりと登って行く。


 それから五日が経過して、網目のように広がっていたルートの数も減少し、シルルンたちは中間ポイントに辿り着く。


 高さ的には十キロメートル地点に中間ポイントがあるのだ。


 この中間ポイントで冒険者たちが魔物たちと激しい攻防を繰り広げていることにより、下層の魔物が少ないのである。 


 シルルンたちが辿り着いた中間ポイントの広さは、直径一キロメートルほどもあり、そこから中層に続くルートが五本伸びていた。


 元娼婦たちにシルルンが視線を転ずると、元娼婦たちは疲労困憊だった。


「とりあえず、休めるところを探そうか」


 シルルンたちが中間ポイントを歩き回っていると、中間ポイントは別のルートにも繋がっており、そのルートに冒険者たちの拠点が作られていた。


 拠点にはいたるところにテントが張られており、その数は軽く五百を超えていた。


 シルルンたちは拠点の中に入り、シルルンが魔法の袋からテント二つと魔車を地面に置く。


 アミラたちがテントを張ると、元娼婦たちがふらふらした足取りでテントの中に入ってそのまま突っ伏した。


「テントの見張りは交代でそれ以外は自由行動ってことで」


 そう宣言したシルルンは中間ポイントに向かって歩を進める。


 拠点の雰囲気は暗く、怪我人が寝ている姿が目立っており、シルルンは表情を曇らせる。


「う~ん……なんか酷い状況だね……やっぱり、ポーションが足りないんだろうね」


「フフッ……またヒール屋さんをやれば儲かるかもしれないわね」


 シルルンが声が聞こえた方に振り向くと、そこにはラーネ、リザ、ビビィ、タマたちの姿があった。


「あはは、時間はあるからやってもいいけどね」


 中間ポイントに到着したシルルンたちが先へと続くルートに向かって進んでいくと、冒険者たちが魔物の群れといたるところで戦いを繰り広げていたが、隊同士の連携はなく無秩序だった。


 そして、中層に続く五本のルートから魔物たちが途切れることなく出現していた。


「五本のルートの内、どれが一番楽なんだろうね?」


「魔物はほとんど下位種だし、どれを選んでも大差はないんじゃないかしら」


「でも、僕ちゃん一番楽なのがいいんだよね。時間あるから調べてみたいんだよ」


 シルルンたちは西に向かって歩き出す。


 中間ポイントに生息する魔物は虫系の魔物が多く生息し、その中でもアント種やホーネット種が大半を占めているが、バタフライ種、センチピード種、スコーピオン種の姿もちらほら見られる。


 すると、唐突にレッサー アントが向きを変えて、シルルンたちに目掛けて突っ込んできた。


「スリープ!!」


 ビビィはスリープの魔法を唱えて、黄色の風が突進してくるレッサー アントを突き抜けて、レッサー アントは眠りに落ちて行動不能に陥った。


 マルとキュウは突進しながら左右に分かれてレッサー アントにぶち当たり、挟撃されたレッサー アントはグシャグシャに潰れて圧死した。


「えぇ!? いつの間にそんなに仲良しになってんの?」


 シルルンは純粋な驚きに満ちていた。


 シルルンたちが西の方角に向かって歩いていると下位種の魔物が襲い掛かってくるが、ラーネとリザが瞬殺し、シルルンたち一番左のルートに辿り着く。


 そこには五組の冒険者がいたが魔物と戦っているのは一組だけで、残りの四組は端に寄って戦いを眺めている。


「あんたらもこのルート狙いか?」


 両手剣を背中に背負った男が、シルルンたちを品定めするように上から下まで見る。


「ううん、どのルートが楽そうか調べてるだけだよ」


「何!? そうなのか……てっきり俺はこのルート狙いだと思ってたんだがな。俺が聞いた話じゃ、このルートが基本的には一番楽らしいからな」


「ふ~ん、そうなんだ。けど、なんで基本的になの?」


「このルートから下りてくる魔物はセンチピード種が主で数は少ないからだ。だが、運が悪いと上位種のハイ センチピードに出くわしてお陀仏なのさ」


「ええっ!? マジで!? そんなのいるんならこのルートはダメじゃん」


「けどよう、出くわす確率は低い。だから、ここでタイミングを計ってるってわけよ」


「他のルートはどうなの?」


「残りのルートで上位種が出現したと聞いたことはないな」


「じゃあ、絶対他のルートがいいじゃん」


「だが、上位種は出ないが通常種がどのルートも多く出る。五人程度のパーティじゃ抜けられんのさ」


「なら、連合組んで登ればいいじゃん」


「その通りなんだが相手は通常種。それなりの隊じゃないと足を引っ張るだけで下手すりゃ共倒れになる。かといって、同じような強さの隊が集まると、どの隊が頭になるかでいつも揉めるんだよこれが……」


 男は弱りきった表情を浮かべている。


「ふ~ん、そうなんだ……めんどくさいね。けど、僕ちゃんたちは他のルートで行くことにするよ」


 シルルンたちは左から2番目のルートに移動した。


 すると、二組の冒険者が通常種のスコーピオンを一匹ずつ相手取って、戦いを繰り広げていた。


「へぇ~、さっきの冒険者が言ってた通り、通常種が出てきてるね」


 スコーピオンは通常種の中でも強い部類の魔物で『堅守』で高い守備力がさらに高くなっており、ポイズンの魔法を所持する厄介な魔物なのだ。


 左側で戦っている冒険者たちは前衛四人、後衛二人のパーティでバランスが良く、危なげなく戦っている。


 しかし、右側で戦っている冒険者たちは前衛四人に後衛一人のパーティで、後衛の僧侶が毒に侵された仲間をキュアの魔法で回復しているが追いついておらず、危険な状況だった。


 さらに前衛たちの攻撃はスコーピオンの高い守備力の前に、効果的なダメージを与えることできないでいた。


「どうするのシルルン、助けに行く?」


「う~ん、逃げ出すまで待ったほうがいいんじゃない? 揉めるのヤダし」


 すると、先に続くルートからスコーピオンが出現し、右側の隊に狙いを定めて突進した。


「撤退だ!!」


 右側の隊のリーダーはそう叫んでスコーピオンに突撃する。


「ええっ!? マジで!? 急展開過ぎるだろ!?」


「フフッ……私が助けるわ」


 ラーネは『瞬間移動』で姿が掻き消えた。


 スコーピオンとの距離を一気につめた右側の隊のリーダーは剣を横なぎに払ったが、その一撃でスコーピオンに傷一つつけることはできなかった。


 スコーピオンは尻尾を振るって『毒針』が右側の隊のリーダーに襲い掛かる。


 だが、その刹那、ラーネがスコーピオンの前に出現して一撃でスコーピオンを両断する。


 体が二つに裂けたスコーピオンは血飛沫を上げて絶命した。


 先に続くルートから出現したスコーピオンがラーネに突進して鋏を振り下ろしたが、ラーネは片手で鋏を受け止める。


 あまりの出来事にスコーピオンは面食らっていたが、恐れをなして反転して逃げ去ったのだった。


「なっ!?」


 その光景を目の当たりにしたリーダーは信じられないといったような表情を浮かべている。


 ブラックは力尽きたスコーピオンに近づいてスコーピオンを『捕食』した。


「た、助けてくれてありがとう……」


「フフッ……私はマスターの命令で動いたのよ。お礼ならあそこにいる私のマスターに言うのね」


 ラーネとリーダーは、シルルンたちに向かって歩きだす。


「命を救ってくれてありがとう。心から感謝する」


 リーダーは深々と頭を下げた。


「あはは、通常種相手に無茶するね。まぁ、ラーネが間に合って良かったよ」


 撤退した仲間たちがリーダーの元に駆け寄って、涙を浮かべて抱きしめ合っている。


 シルルンたちはそれを横目に真ん中のルートに移動した。


 真ん中のルート前では、一方的な殺戮が展開していた。


 冒険者たちや傭兵たちが一方的に魔物を攻撃しており、大量にいる魔物はレッサー スラッグ(ナメクジ)とレッサー スネイル(カタツムリ)の魔物だ。


 レッサー スラッグとレッサー スネイルは共に『麻痺』と『溶解液』を所持しているが、その動きは鈍重だった。


「オラッ!! オラッ!! オラッ!!!」


「死にやがれ!! このボケが!!」


「ぎゃははっ!! 弱ぇんだよ!!」


 冒険者たちや傭兵たちは躍起になってレッサー スラッグたちやレッサー スネイルたちを倒している。


 レッサー スラッグたちやレッサー スネイルたちを倒しても素材はないので全く割に合わないが、これを放置すると増え続けて他のルートに押し寄せるので、彼らは仕方なく狩っている状況なのだ。


 だが、真ん中のルートから通常種のスネイル二匹が現れる。


「ひぃいいいぃ!? デカッ!? なんだあれ!?」


 シルルンは雷に打たれたように顔色を変える。


 レッサー スネイルの全長は一メートルほどだが、スネイルの全長は五メートルを超える巨体なのだ。


 しかも、下位種は動きが鈍重だったが通常種は滑るように移動しており、緑色の霧を周辺に撒き散らしている。


「ちぃ、『麻痺霧』だ!! 浴びると動けなくなるぞ!!」


「ぎゃぁああああぁあああぁぁ!!!」


「た、助けてくれ!!」


 『麻痺霧』を浴びて動けなくなった冒険者たちや傭兵たちが必死の形相で叫ぶ。


 二匹のスネイルの出現により、攻防が逆転してレッサー スラッグたちやレッサー スネイルたちがじわりじわりと冒険者たちに接近し、冒険者たちは『溶解液』で溶かされて食われていく。


 瞬く間に冒険者たちや傭兵たちは全滅し、二匹のスネイルは先に続くルートに戻って行った。


「ひぃいいいぃ!! 絶対このルートを登るのはヤバイよ……あんなのが何匹もいたら命がいくつあってもたらないよ」


 シルルン顔面蒼白になっている。


 シルルンたちはすぐに右から二番目のルートに移動したのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。


レッサー スコーピオン レベル1 全長約1メートル 

HP 200~

MP 10

攻撃力 90

守備力 65

素早さ 55

魔法 無し

能力 毒牙 毒針



スコーピオン レベル1 全長約2メートル

HP 750~

MP 120

攻撃力 260

守備力 210

素早さ 150

魔法 ポイズン

能力 毒牙 毒針 堅守



レッサー スコーピオンの殻 2000円

スコーピオンの殻 4000円



レッサー スラッグ レベル1 全長約1メートル

HP 110~

MP 5

攻撃力 30

守備力 25

素早さ 10

魔法 無し

能力 麻痺 溶解液



レッサー スネイル レベル1 全長約1メートル

HP 150~

MP 5

攻撃力 30

守備力 70

素早さ 10

魔法 無し

能力 麻痺 溶解液



スラッグ レベル1 全長約2メートル

HP 220~

MP 500

攻撃力 70

守備力 45

素早さ 30

魔法 パラライズ

能力 麻痺 溶解液 麻痺霧 酸



スネイル レベル1 全長約5メートル

HP 350~

MP 60

攻撃力 70

守備力 150

素早さ 150

魔法 パラライズ

能力 麻痺 溶解液 麻痺霧 酸 堅守




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― 新着の感想 ―
[一言] 標高50km……山高い 娼婦達すら身体能力が高くて地球基準を引き摺ってると脳がバグりますね
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