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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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44 買い物 修


 シルルンたちは武器、防具屋を訪れていた。


「ていうか、スライム屋の店員を探しにきたのに、なんで鉱山に行くことになってるんだろ……」


 シルルンは歩きながら憂鬱そうな表情で溜息を吐いた。


 ラフィーネは優しげな表情でパプルを見つめており、パプルはじーっとメイを見つめている。


「ん? そういえばメイはスライム適性を試してなかったね。メイ……パプルに近づいてみてよ」


「は、はい……」


 メイはパプルに近づくとパプルがビクビクっと反応する。


「じゃあ、次はパプルを抱っこしてみてよ」


 頷いたメイがパプルを抱きかかえるとパプルは嫌がらなかった


「ふ~ん……メイはかなり高いスライム適性があるみたいだよ」


「そ、そうなんですか」


 メイは複雑そうな顔をした。


「うん、普通は触ると嫌がるし、抱っこなんかできないからね」


「あ、あの……私もパプルちゃんを触ってみてもいいですか?」


 ラフィーネは恍惚な表情を浮かべてパプルを見つめている。


「う~ん……今の段階じゃパプルが嫌がるだけだよ。まずは時間をかけて餌をあげたりして親愛度を上げないといけないね」


「そ、そうですか……」


 ラフィーネは残念そうにがっくりと項垂れる。


 彼女たちは対照的だった。


「まぁ、パプルは肉が大好きだから肉をあげると懐き易いかもね」


「は、はい!!」


 ラフィーネは期待に満ちた表情で頷いた。


 ちなみに、ゼフドとアキもスライム適性を試したがパプルは反応しなかったのだ。


 シルルンたちは鉱山用の道具が並ぶ一角に移動する。


「鉄のツルハシは一万円、鉄のスコップも一万円。どっちを多く買っといたほうがいい?」


「はっ、やはりツルハシの方かと思います」


 アミラが即答した。


「じゃあ、とりあえず、鉄のツルハシを二百本、鉄のスコップを百本欲しいんだけど在庫ある?」


「もちろん、ありますとも」


 もみ手の店員が満面の笑みを浮かべる。


「じゃあ、それ買うよ」


 シルルンは店員に三百万円を支払った。


「他にいる物はあるかい?」


「はっ、掘った物を運ぶ台車があれば便利だと思います」


「う~ん、台車かぁ……」 


 シルルンたちは台車が並んでいる一角に移動する。


 ベースが木で作られて鉄で補強した台車が最も多く並んでいた。


「じゃあ、この木の台車を十台買うよ」


「はい、ありがとうございます」


 シルルンは店員に五十万円を支払う。


「まぁ、足りない物は現地でも売ってると思うからとりあえずはこれでいいかな」


「商品をどこに運べはよろしいでしょうか?」


「ここに持ってきてくれたらいいよ」


「わ、分かりました」


 店員たちが次々にシルルンの前にツルハシやスコップを置いていき、シルルンも次々に買った商品を魔法の袋に入れていく。 


「あ、あの……その袋は、ど、どうなっているのでしょうか?」


 メイは困惑した表情を浮かべている。


「あはは、これいいでしょ。たぶん魔導具で魔法の袋なんだよ」


 シルルンはふふ~んと胸を張る。


「次は装備品だね」


 シルルンたちは防具が置かれている区画に歩いていく。


「君たち五人はこの旅人セットがいいんじゃない?」


 旅人セットと書かれた羊皮紙をシルルンが指差し、元娼婦たちは旅人セットに視線を向ける。


 旅人セットは皮の服、皮の帽子、皮の靴、皮の鞄という内容なのだ。


 鞄の中にはナイフ、たいまつ、火打石、寝袋、ロープ、水筒など冒険に役立つ道具が入っており、値段は二万円だ。


「まぁ、別にもっといい装備でもいいんだけど、山を登るには軽いほうがいいと思うからねぇ」


「ありがとうございます!!」


 元娼婦たちは満足げな笑みを浮かべている。


 彼女らは旅人セットを持って試着室に行って着替えたのだった。


 シルルンは店員に十万円を支払った。


「で、君たち三人はどうする? やっぱり鉄系で固めるかい?」


「よ、よろしいのですか?」


 アミラたちは戸惑うような表情を浮かべている。


「うん、全然かまわないよ」


 一番安い鉄の鎧は三十万円で売られており、高級な鉄の鎧は五百万円を超えている。作り手が違えば値段も性能も違うのだ。


 ちなみに、一番安い鋼の鎧は三百万円から売られており、高級な鋼の鎧は一千万円を超えていた。


 アミラたちは安い鉄の鎧を物色しているが、チラチラと別の鎧に視線を向けている。


「全身鎧が気になってるの? それがいいならそれでもいいよ」


「……で、ですが六百万円もするんですが……」


「僕ちゃん、お金はたくさんもってるから気にしなくていいよ」


「あ、ありがとうございます!!」


 アミラたちは屈託の無い笑顔を見せた。


 彼女らは全身鎧と一緒に大型の分厚い鉄の盾も購入し、シルルンは二千七百万円を支払った。


「ん~、ラフィーネとヴァルラはどうする?」


「はっ、私は身軽に動ける革をベースにした鎧がほしいです」


「むふっ、私も革がいい……あとお酒」


「なっ!?」 


 皆が怪訝な視線をヴァルラに向ける。


 だが、シルルンは魔法の袋からブドウ酒を取り出してヴァルラに手渡した。


「泥酔しないように飲むんだよ」


「むふっ、ありがとう!!」


「えっ!?」


 皆は面食らったような表情を浮かべている。


「ん~、後はメイとアキとゼフドだね」


 シルルンはゼフドとアキに視線を向けると、二人の装備はボロボロだった。


「はっ、私は鉄の鎧を新調したいです」


「俺はできれば鋼の鎧がほしいです」


「じゃあ、好きなのを選べばいいよ。メイは靴だけでも歩きやすいのを買わないと道中キツイんじゃない?」


「……」


 その言葉に、視線をシルルンの足元に向けるメイは複雑そうな表情を浮かべている。


 シルルンがサンダルだからだ。


 メイはどうするべきか悩んだが、シルルンには何も言えずに指示通りに革のブーツを選んだ。


 ラフィーネは革を鉄で補強した鎧と小さい鉄の盾を買い、ヴァルラは上質な皮だけで作られた革の鎧、アキは黒い鉄の鎧、ゼフドは黒い鋼の鎧に決めたのだった。


 革のブーツが二万円

 革を鉄で補強した鎧が二十万円

 小さい鉄の盾が十五万円

 革の鎧が三十万円

 黒い鉄の鎧が三百万円

 黒い鋼の鎧が七百万円


 シルルンは店員に一千六十七万円を支払い、シルルンたちは武器が置かれている区画に移動する。


 アミラたちは鋼の槍、ラフィーネは鋼の剣、ヴァルラは鋼の爪、アキは細身の鋼の剣二本、ゼフドは鋼の大剣を選んだのだった。


 鋼の槍が百五十万円×三本

 鋼の剣が二百万円

 鋼の爪が百八十万円

 細身の鋼の剣が百五十万円×二本

 鋼の大剣が三百五十万円


 シルルンは店員に一千四百八十万円を支払い、シルルンは自分用にミスリルクロスボウを購入した。


 値段は六千万円で、ミスリルの矢が百本で百万円、鋼の矢を一千本で百万円だ。


 これには皆も一体所持金はいくらあるのかと絶句したのだった。


 シルルンたちは馬車が並ぶ区画に移動する。


 馬車はズラリと並んでおり、その種類や数も多く、この広大な世界を移動する手段として馬車はなくてはならないものなのだ。


 二人乗りの馬車が百万円ほどで売られており、六人乗りだと三百万ほどで販売されている。


 シルルンは二十人が乗れる馬車に視線を向けて顔を顰めていた。


「馬車をお探しで?」


 店員がにっこりと笑いながらシルルンに声を掛ける。


「うん、いっぱい乗れるのがほしいんだけど、この二十人乗りの馬車は曲がるのに苦労しそうだと思って」


「はい、この馬車は街の外での走行を想定した馬車なので、街乗り向きではありません」 

   

「ふ~ん、そうなんだ。他には何かないの?」


「はい、あるにはあるのですが馬車ではなく魔車なので、馬では四頭引きでも距離を走れません」


「それなら問題ないよ。ブラックが引くからね」


「ブラックとはそちらの魔物のことですか?」


 店員は視線をブラックに向けた。


「うんうん、ブラックはレッサー ホースの何倍もパワーがあるからね」


 その言葉に、ブラックは誇らしげに胸を張る。

  

「それは素晴らしい!! それでしたらこちらにどうぞ」


 シルルンたちは店員に案内されて魔車が並ぶ区画に移動する。


 そこに並んでいるのは鉄で作られた箱のような剛性の高い魔車だった。


 安い魔車でも足回りが鉄製で作られており、全てが鉄で作られた魔車も並んでいる。


「この魔車はヤバイね……」


 シルルンがそう漏らした魔車は、魔車の前面が尖っており、魔物が魔車の中に入って引く突撃用の魔車だった。


「で、どれがお勧めなの?」


「はい、街乗り可能で二十人が乗るには、このような連結タイプの魔車をお勧めします」


 店員が紹介したのは十人乗りの魔車を繋げていくタイプの魔車で、連結部分が左右に動く魔車だった。


「じゃあ、この連結タイプの魔車を一台と後ろに繋ぐ魔車を一台……いや、やっぱり後ろに繋ぐ魔車は二台買うよ」 


 シルルンは話の途中で旅に出ているブラたちのことを思い出したのだ。

7

「では、三台で三千万円になりますがよろしいですか?」


「うん、いいよ」


 三千万円を店員に支払ったシルルンが魔車を魔法の袋に入れると、店員の顔は驚愕に染まっていた。


「……あ、ありがとうございました」


 こうして、道具と装備と移動手段を手に入れたシルルンたちは、冒険者ギルドの近くにある【戦士の宴亭】に宿を決めた。


 だが、シルルンは急に部屋を割り振るのがめんどくさくなって十五人部屋を指定し、一泊の料金は六万円だった。














 次の日の朝、シルルンはペットたちを連れて冒険者ギルドに赴いた。


 彼は仲間たちに金貨を一枚ずつ渡して自由時間としたが、ゼフドとアキが最後まで渋ったのは言うまでもない。


 シルルンたちは冒険者ギルドに到着して、冒険者ギルドの中に入る。


 冒険者ギルドに入ってすぐの右の壁には、主に討伐依頼の依頼書が所狭しと貼られていた。


 入り口付近の壁に貼られている依頼書は難度Dの依頼書が多く、駆け出しの冒険者たちが受ける依頼であり、奥に進むにつれて難度が上がっていく。


 だが、討伐依頼に拘わらず、どのような難度の依頼も冒険者カードを発行された者ならば受けることができる。


 過去にこのことで冒険者ギルド内で議論が起こり、ランク制にして弱い冒険者が難度の高い依頼を受けるのを防ぐべきだと反対派が主張したが、自分たちの強さも解らないような者は、そもそも冒険者の適性がないのだと一蹴され退けられたのだった。


 シルルンは依頼書には目もくれずに、空いている受付に歩いていく。


 受付は十箇所以上あり、シルルンは待つことなく順番がきた。


「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件でしょうか?」


 受付嬢がにっこりと微笑んだ。


「うん、仕事を依頼したいんだけどいい?」


「はい、もちろんです。冒険者カードはお持ちでしょうか?」


「ううん、持ってないよ。ないとダメなの?」


「そうなんです。ですが身分証をお持ちでしたら作れますがどう致しますか?」


「じゃあ、作ってよ。身分証はこれでいい?」


 シルルンは武学の学生証を受付嬢に手渡した。


「はい、すぐお作り致しますのでしばらくお待ちください」


 だが、一分もしないうちに、受付嬢が慌てて戻ってくる。


「た、大変申し訳ありませんでした!! これをお受け取りください【ダブルスライム】様!!」


「えっ!? 無茶苦茶早いね」


 シルルンは目をパチクリさせる。


「はい、ギルドマスターのスラッグ様が【ダブルスライム】様がギルドに現れたらすぐに金色の冒険者カードを渡すように、メローズン王国内の全ギルドに発令をされていたのに、気づかなかったことをどうかお許しください」


 深刻な表情を浮かべる受付嬢は深々と頭を下げた。


「そ、そうなんだ。けど、それはそっちの話だから別に謝らなくてもいいよ」


「は、はい……本当に申し訳ありませんでした」


 受付嬢は悲痛な表情を浮かべている


「お、おい、あれが【ダブルスライム】だってよ」


「ほんとにガキなんだな。あんなのがデーモンを倒したのかよ?」


「ていうか、ほんとに強いのかよ!?」


 冒険者たちは遠巻きにシルルンを見つめている。


「あの、【ダブルスライム】様。ここは騒がしいのでこちらへどうぞ」


 受付嬢に先導されて、シルルンたちは別室に案内される。


「ここでお待ちください」


 案内してくれた受付嬢は深々と頭を下げて去っていった。


 このような部屋に通される冒険者は稀で、少なくとも難度A以上の依頼を何度もこなすような冒険者でないと通されない部屋なのだ。


 シルルンはふっくらしたソファーに腰掛けると、続いてブラックもソファーに座った。


「えっ!?」


 シルルンはビックリして目をぱちくりさせた。


 だが、彼は放置した。


 シルルンたちはしばらく部屋で待っていると、部屋のドアがノックされる音がして四十代ぐらいの女性が部屋に入ってきた。


「お待たせしました。ルビコ支部のギルドマスター、ユザルナと申します」


 だが、ブラックがソファーに座っているのを目の当たりにしたユザルナは、一瞬だがビクッと体を強張らせたので、シルルンはぷっと吹き出した。


「僕ちゃんはシルルンだよ」


「はい、存じております。まずはこれをお渡し致します」


「うん、ありがとう」


 シルルンは金色のギルドカードを受け取って魔法の袋に入れた。


 偉業を達成した者にだけ、金色のギルドカードを持つ資格があるのだ。


「あの……それで、【ダブルスライム】様の依頼とはどのようなものなんでしょうか?」


 ユザルナは不安げな顔でシルルンに尋ねた。


 彗星のように現れた大穴攻略戦の英雄の依頼とはどんなものなのかと彼女は平常心ではいられずに固唾を呑んだ。


「うん、人探しだよ。僕ちゃんのセカンドパーティにシルルンガールズ隊というのがいるんだけど、その隊を探して冒険の宴亭まで緊急で来させてほしいんだよ」


 ユザルナの肩から力が抜け落ちる。その表情には虚脱したような安堵の色が浮かんでいた。


「なるほど……どの辺りで活動されているかお分かりになりますか?」


「ううん、分かんない」


「それでは、人数、性別、お名前などは分かりますか?」


「うん、人数は増えてなければ十人で、性別は十人全てが女で、名前は……」


 シルルンは魔法の袋から、羊皮紙を取り出してユザルナに手渡した。


 羊皮紙にはシルルンガールズ隊の名前が書かれてあり、シルルンが前もって書いていたものである。


「これだけ分かればすぐに見つかると思います」


「マジで!? 魔車を利用してもいいからなるべく早く来てほしいって伝えてほしいんだよ。あと依頼料はいくら出せばいいの?」


「そうですね……この内容だと十万円ほどでよろしいかと思います。このような人探し系の依頼はリスクの高い討伐系や採取系とは違い、初心者の冒険者が受けることが多いのです」


「じゃあ、十倍の百万円出すよ。そしたらもっと早くなる可能性が上がるでしょ?」


「はい、競争率が上がり早くみつかるとは思いますが、よろしいのですか?」


「うんうん、全然、問題ないよ」


 こうして、シルルンの依頼は冒険者ギルドに貼りだされ、その報酬の高さに冒険者たちが血眼になって、シルルンガールズ隊を探したのだった。

面白いと思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします。


アミラ(ガチムチ)重戦士 レベル15

HP 1500

MP 0

攻撃力350+鋼の槍

守備力420+鉄の鎧(全身鎧) 鉄の盾(大型)

素早さ100

魔法 無し

能力 強力 堅守



アキ 剣士 レベル12

HP 600 

MP 100

攻撃力 250+細身の鋼の剣2本 

守備力 160+黒い鉄の鎧 

素早さ 250 

魔法 ウォーター

能力 統率 堅守



ゼフド 剣士 レベル16

HP 800 

MP 150

攻撃力 330+鋼の大剣

守備力 250+黒い鋼の鎧

素早さ 250

魔法 ウインド

能力 統率 強力 堅守



ラフィーネ 魔法戦士 レベル25

HP 950

MP 300

攻撃力 600+鋼の剣

守備力 400+強化皮鎧 鉄の盾(小型)

素早さ 400

魔法 ブリザー ウインド アンチマジック ライト シールド

能力 統率 魔法耐性 物理軽減



ヴァルラ 格闘家 狼の獣人 レベル7

HP 800

MP 150

攻撃力 450+鋼の爪

守備力 270+上質な皮の鎧

素早さ 400+酒

魔法 キュア

能力 回避 発勁 威嚇

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[一言] ものすっっごい形相で探されたガールズ、何事が起こったかと超びっくりする?(笑)
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