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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
学園武祭編

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301/301

301 ファーストコアダンジョン②

反転攻勢の弾丸が尽きたし、こっちの二か月更新してないってのがまた出だしたんで、消しとくよ(爆)


 「よし、次は上位種だね。シーラは強くなりすぎてるからバックアップに回ってね」


 「えっ? 私そんなに強くなってるんですね……あんまり実感ないですぅ」


 シーラは困惑したような表情を浮かべている。


 シルルンは『念力』の手を伸ばして魔法陣から多数のアンデッドたちを掴み、進化したペットたちの前に置いていく。


 彼は『神探知解析』でフィンたちを視ると、レベル99の壁を超えるにはもうしばらく時間が掛かりそうだと思いながら『念力』でスケルトン2匹を掴んで自身の傍に引き寄せた。


 「試してみたかったんだよね」


 シルルンは『魔物合成』を発動し、漆黒の霧にスケルトンたちが包まれた。


 漆黒の霧が霧散するとそこにはスケルトンが佇んでいた。


 「へぇ……」


 (レベル1のスケルトン2匹を合成すると、レベル1のスケルトンになるんだ)


 意外に思ったシルルンは『念力』でスケルトンを掴んでシアンたちの前に放り投げた。


 シルルンはアンデッドたちをシアンたちに供給しながら『魔物合成』を試していく。


 スケルトンと錆びた鉄の剣では種族名はスケルトンと表記されているが、その姿は全身が錆びた鉄のスケルトンになっており、材料を鉄の剣やミスリルソードに変更すれば全身が鉄やミスリルに変わっていた。


 この結果に対してシルルンは鉄の武器の種類を変えて検証したが、スケルトンが時折動く鉄の塊に変貌した。


 「う~ん、やっぱりルークが言ってたように素材の量が重要みたいだね」


 シルルンの結論は、同種の階級違いで合成しても弱体化するだけで、素材と合成することでしか強くならないということだった。


 だが、この結果はスケルトン種だけである可能性を考慮し、シルルンは緑の木偶車でも検証を行った。


 結果は同様だったが、スケルトン種は鉄の剣と合成すれば鉄のスケルトンに変化する。


 だが、緑の木偶車を鉄の木偶車に変化させるには、鉄の剣ではなく、100キログラム程度の鉄が必要だった。


 さらにシルルンは緑の木偶車とスケルトン種の合成検証を手当たり次第に進める。


 しかし、緑の木偶車とハイ・スケルトンを合成した結果に彼は目が点になり、収拾がつかなくなることに気づいて作業を中止した。


 「ていうかこれ一組検証するのに最低でも18匹いるのにそれだけで済まないじゃん」


 (なんだこれ……ルークはこんなことをひたすらやってるのかよ……)


 シルルンは面倒くさそうな顔をした。


 彼が言う「一組検証するのに最低でも18匹いる」という言葉は、階級がある魔物たちのことを指し示しており、緑の木偶車たちとスケルトン種たちの組み合わせに必要な数ではない。


 緑の木偶車たちとスケルトン種たちの組み合わせは以下の様な結果になった。


 緑の木偶車+レッサー・スケルトンは木偶

 緑の木偶車+スケルトンは木偶

 緑の木偶車+ハイ・スケルトンは木偶髑髏でくどくろ

 緑の守備型木偶車+レッサー・スケルトンは巨大な木偶

 緑の守備型木偶車+スケルトンは巨大な木偶

 緑の守備型木偶車+ハイ・スケルトンは巨大な木偶

 緑の速度型木偶車+レッサー・スケルトンは巨大な車輪

 緑の速度型木偶車+スケルトンは巨大な車輪

 緑の速度型木偶車+ハイ・スケルトンは巨大な車輪

 緑の攻撃型木偶車+レッサー・スケルトンは巨大な棘

 緑の攻撃型木偶車+スケルトンは巨大な棘

 緑の攻撃型木偶車+ハイ・スケルトンは巨大な棘


 つまり、緑の木偶車とハイ・スケルトンの合成結果だけが、レアケースと考えられる強い個体へと変貌したのだ。


 このレアが発生する結果に対して、シルルンは『魔物合成』を行う意味を見出したが、それと同時に膨大な数の検証が必要だと思わずにはいられなかった。


 彼は当初一度の検証結果では不十分であり、再現実験を何度も行う必要があると考えていた。


 だが、そうではなく新たな組み合わせを検証する度にレアが発生する可能性を考慮し、実験を何度も繰り返す必要があると彼は確信したのだ。


 二度目の緑木偶車とハイ・スケルトンの合成結果が木偶髑髏ではなく、“木偶”という結果になったからである。


 ペットたちはシルルンの傍に突如出現した木偶髑髏を呆けた表情で眺めている。


 木偶髑髏はスケルトンの頭部を二メートルほどまで巨大化して、胴体に二つの車輪が組み合わさったような異形な姿をしていた。


 しかし、スケルトン種の頭部のようなリアルな作りではなく、どこか間抜けで可愛らしい姿をしているのでペットたちは困惑していた。


 シルルンが視線を木偶髑髏に転ずると、木偶髑髏は透明な球体の結界に包まれて一瞬でテイムされた。


 「名前はホネ、ガイコツ、ドクロ、ドーク、ドクロンのどれがいい?」 


 木偶髑髏は思念で「ドクロンがいい」とシルルンに答えた。


 「あはは、じゃあ君の名前はドクロンだよ」


 シルルンはドクロンの体を優しげに撫でた。


 ドクロンは嬉しそうだ。


 シルルンはこれ以上の合成実験を行うには情報処理に優れた人物が必要だと思い、一瞬メイに視線を向けたが、今無理をして合成実験を行う必要性はないと考えて断念した。


 だが、常にシルルンを気にかけているメイがシルルンに向かって歩いてくる。


 「シルルン様、何か問題がおありでしょうか?」


 「うん。ドクロンは『魔物合成』で誕生したんだけど、検証を続けるにはデータを管理する必要があるんだよね。だけど今は忙しいから今度にするよ」


 ドクロンを目の当たりにしたメイは動揺し、一瞬顔色を変えたが即座に冷静さを取り戻した。


 「シルルン様、すでに半日ほどの時間が経過していますので、皆さんに疲れが見え始めています。どういたしますか?」


 「うん。じゃあ、僕ちゃんたちが戦うからメイたちは休んだらいいよ」


 「分かりました」


 メイは、ロシェールたちの方に向かって歩いていった。


 魔法陣の対面には二人の少年の姿はすでになく、魔物たちと戦闘を繰り広げているのはメイたちだけになっている。


 そして、全てのペットたちはレベル99の壁を超えており、それはピクルスも同様だが彼はレベル100を超えても弱いままだった。


 シルルンはペットたちを引き連れて魔法陣の前に移動すると、メイたちが魔法陣から遠く離れた場所で座り込んだ。


 この時点でレザーアーマーがハイ・レザーアーマーに進化しており、ポロンとルンルンが使役しているレッサー・ウルフたちがウルフに進化していた。


 「おい、物乞いの兄ちゃん」


 バーンは真剣な硬い表情でゲシュランに声を掛けた。


 「物乞いか……いい思い出だ。だがいくら考えても俺が物乞いをやってた理由が分からんがな……」


 「お前はペットたちを見てどう思う?」


 「少し大きくなっているような気がするだけだ」


 「あのペットたちの大半がすでにお前よりも強い」 


 「はぁ? マジかよ……」


 「そして地下に下りるまでにお前が少しでも腕を上げてないとしんどいぞ。地獄の行軍が待っているからな」


 「……なるほどな。俺には休んでいる暇などないということか」


 決意に満ちた表情を浮かべるゲシュランは、シルルンたちに向かって歩き出したのだった。


          ***


 ある小さな部屋の中で何者かがテーブル席に腰掛けて、遠見の水晶を見つめながら杯に入ったエネルギー液を飲んでいた。


 彼は玉の赤だ。彼の体には玉の黄と違い、二本の腕が生えている。


 玉の赤は3万人を超える生徒たちの侵入に対して、転移エリアのスタート地点の魔法陣からゴールの魔法陣に転移できるように設定を変更したが、残りの魔法陣の設定にも手を加えていた。


 つまり、退路を断ったのだ。


 そのため、生徒たちが安全地帯から転移エリアに戻り、いくら魔法陣を踏んでもスタート地点の魔法陣に転移することは不可能になっていた。


 彼は転移エリアの先の魔法陣に生徒たちを誘導し、皆殺しにする算段で多数の兵力を魔法陣に集結させており、安全地帯から撤退した生徒たちも転移エリアで屠る計画なのだ。


 玉の赤は遠見の水晶を眺めながらエネルギー液を一口飲み、杯をテーブルの上に静かに置いた。


 「つ、強ぇ……こ、これって玉の黄が敗れたシルルンとかいう人族だよなぁ」


 玉の赤は緊張のあまりに思わずゴクリと喉を鳴らす。


 彼は『亜空間』から虫眼鏡のような魔導具を取り出し、遠見の水晶に映るシルルンを虫眼鏡のような魔導具で視た。


 すると、虫眼鏡のような魔導具は爆砕した。


 「う、嘘だろっ!? 10万以上なのか!?」


 (玉の黄との戦闘時の戦闘力は2万もなかったはずだ!?)


 信じられないといった形相の玉の赤は、『亜空間』から巨大な虫眼鏡のような魔導具を取り出した。


 この巨大な虫眼鏡のような魔導具は、50万までの戦闘力を計測することが可能なのだ。


 玉の赤は緊張した面持ちで、遠見の水晶に映るシルルンに巨大な虫眼鏡のような魔導具を向け、戦闘力を計測した。


 しかし、巨大な虫眼鏡のような魔導具から激しい炎が噴出し、巨大な虫眼鏡のような魔導具は壊れた。


 「そんな馬鹿なっ!?」


 玉の赤は放心状態に陥った。


 「こ、こんな化け物に誰も勝てるはずが無い……」


 正気を取り戻した玉の赤は『瞬間移動』を発動し、地下90階のどこかに存在する小さな部屋の扉の前に出現した。


 玉の赤は神妙な面持ちで扉を開けて部屋の中に入る。


 そこには白い玉のような魔物がソファーに腰掛け、脚を組みながら優雅に杯に入れられたエネルギー液を飲んでいた。


 「あら、あなたがここに来るなんて珍しいわね」


 白い玉のような魔物は意外そうな表情を浮かべている。


 彼女は玉の白で、球体の体から腕二本と脚二本が生えていた。


 「はっ、緊急事態が発生したので……」


 玉の赤は玉の白の前まで移動して頭を垂れた。


 「緊急事態?」


 「は、はい。ブラックリスト入りしているシルルンという人族が現れたんです」


 玉の赤は頭を下げたままの姿勢で答えた。


 「つまり、私なら対処可能ということなのね?」


 「い、いえ……奴の推定戦闘力は50万以上なのは確実なので、おそらく王ですら対処不能かと……」


 「……では、あなたはその人族に会って目的を尋ねなさい」


 一瞬考えるような仕草をみせた玉の白は当たり前のように告げた。


 「――えっ!? ど、どんな風に接すればいいんでしょうか?」


 (こ、このあま……この俺に死んで来いって言いたいのか……)


 玉の赤は憤怒の形相を浮かべているが頭は地についているので、彼女には気づかれていない。


 「もちろん、低姿勢で謙虚な気持ちで尋ねなさい」


 「は、はい……」


 (お前が行けよっ!!)


 膨れ上がる殺戮衝動を玉の赤は必死に抑え込む。


 「目的を尋ねるだけであなたが殺されるなら、このダンジョンは滅びることになるわ。つまり、あなたの肩にこのダンジョンの命運が懸かっているということよ。では行きなさい」


 「はっ!!」


 恨めしそうな表情を浮かべる玉の赤は『瞬間移動』を発動し、その姿が掻き消えたのだった。

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木偶髑髏 ドクロン レベル1 全長約2メートル

HP 3000

MP 1000

攻撃力 1000

守備力 600

素早さ 500

魔法 ヒール ウインド シールド デス

能力 統率 物理耐性 闇吸収 即死無効 骨盾 骨槍


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