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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
学園武祭編

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199/303

199 難民キャンプにて② 修


「……えっ!? お、おい……あれは魔族じゃないのか?」


「せ、背中に羽が生えてるってことは魔族だろ!?」


「うぁああああああぁぁああああぁぁ!? 魔族が攻めてきたぞっ!!」


 魔族たちの姿を目の当たりにした難民たちは、血相を変えて岩場の方に逃げ出した。


 彼らは岩場の影から様子を窺っており、その場にはシルルンたちだけが残される。


「やっぱり俺はどうしょうもなく呪われてるな……相手はデーモンが三匹だ。今回ばかりは勝てる可能性は零だ」


 ゲンは苦悩の表情を露にしている。


「デ、デーモンは、そ、そんなに強いんっすか?」


 ヘーモは震えた声でゲシュランに尋ねた。


「噂じゃ最上級職で固めたパーティで挑む相手らしい……」


 ゲシュランが沈痛な面持ちで答える。


「そ、そんな……」


 ヘーモは顔面蒼白になる。


「へぇ、僕ちゃんを直接狙って来たんだ」


 意外そうな表情を浮かべているシルルンは、平然とデーモンたちの方に向かって歩き出した。


「あんたらは下がっておいたほうがいい」


 ゲシュランたちにそう声を掛けたゼフドが、シルルンを追って歩き出す。


「た、戦うつもりなのか!?」


 ゲシュランは面食らったような顔をした。


「無論だ」


 ゼフドは振り返りもせずにそう応えた。


「ほう、逃げずに向かってくるか……我らの同胞を殺しただけのことはある」 


 赤い肌のデーモンは満足そうな表情を浮かべている。


「ていうか、君たちを倒したらまた次が来るのかい?」


 デーモンたちと対峙したシルルンは、探るような眼差しをデーモンたちに向ける。


「笑止な……勝ってから言え」


 青い肌のデーモンが失笑した。


「じゃあ、君たちの後ろにいるハイ デーモンに尋ねるよ」


「ほう、我が上位種だとなぜ分かる?」


 黒い肌のデーモンがしたり顔で言った。


「僕ちゃんが大魔物使いだからだよ」


「……大魔物使いだと?」


 黒い肌のデーモンの顔から笑みが消える。


「それでどうなの?」


「それを聞いてどうするつもりだ?」


 黒い肌のデーモンは訝しげな眼差しをシルルンに向けた。


「君たちを倒しても次が来るなら、君たちの拠点に攻め込もうかと思ってるんだよ」


「ほう、大した自信だな……」


 黒い肌のデーモンは獰猛な笑みを浮かべる。


「口だけなら誰でも言えるわ!!」


 怒りの形相を浮かべた青い肌のデーモンが、凄まじい速さでシルルンに襲い掛かった。


 シルルンは『念力』で青い肌のデーモンの顔面を殴ると同時に、『サンダーウェーブ』を放って稲妻が数回瞬いた。


 青い肌のデーモンは焼け焦げて炭に変わり、サラサラと崩れて風と共に消えた。


「なんだと!?」


 デーモンたちは雷に打たれたように顔色を変える。


「えっ!? えっ!? シ、シルルンさんがデーモンを倒したんっすよね? ね?」


 ゲシュランとゲンの顔を交互に見つめるヘーモは慌てふためいている。


「あぁ、それは間違いない……見た目は弱そうなのに、とんでもない強さだ……」


 ゲンは我知らずに固唾を呑んだ。


「あ、あいつは単独でデーモンに勝てるほどの化け物だったのか……」


 ゲシュランは信じられないといったような表情を浮かべている。


「……変なのが出てこないデス」


 プルは不満そうな表情を浮かべている。


「アキ、お前はおとなしくしてるんだな」


 アキに視線を向けたゼフドが再び歩き始める。


 庇うようにライトとシャドーの前に立っているアキは、悔しそうな表情を浮かべている。


「……赤いほうは俺に任せて下さい」


 そう告げたゼフドが赤い肌のデーモンと対峙する。


「なんだ貴様は?」


 赤い肌のデーモンは射抜くような眼差しをゼフドに向けた。


「お前の相手は俺だ」


 ゼフドは『決死』を発動させて黒いオーラを纏う。


「少しはやるようだな……」


 赤い肌のデーモンの口角に笑みが浮かんだ。


 赤い肌のデーモンは瞬く間に距離をつめてゼフドに剣を振り下ろしたが、ゼフドはすでに剣を四度振るっていた。


 身体をバラバラに斬り裂かれた赤い肌のデーモンから、ゆらゆらと精神体が姿を現す。


「ば、馬鹿なっ!? 何だその剣は!?」


 デーモンの精神体は驚きの声を上げる。


「変なのが出てきたデス!! サン――」


 プルは怒りの形相でサンダーの魔法を唱えようとしたが、それよりも早く、ゼフドが剣でデーモンの精神体を斬り裂いて、デーモンの精神体は四散した。


「ククッ、この剣は闇属性の人型特攻だ……まぁ、言ったところでもう死んでいるがな……」


 ゼフドは挑発的な眼差しを黒い肌のデーモンに向けており、プルはふて腐れたような顔でゼフドを見ている。


「あ、あいつはあんなに強くなかったはずだ……この短期間にシルルンたちにいったい何があったんだ」


 ゲシュランは表情を強張らせた。


「で、君を倒したら次は来るのかい?」


「我らの同胞が人族に倒されたことを知っている者は数名いるが、お前に倒されたことを知っているのは我だけだ」


「……ということは勇者たちに倒されたと考えるのが普通だと思うから、君さえ倒せば問題なさそうだね」


「ククッ、俺が奴を倒してみせます」


 そう言って、ゼフドは黒い肌のデーモンに向かって歩いて行った。


「――えっ!?」


(首切りの剣があるから勝てるかな……?)


 シルルンは思念で「ゼフドのステータスはどのくらい?」とプニに聞いた。


「『剛力』を反映させても攻撃力は二千五百ぐらいデシ……でもハイ デーモンは高レベルで『剛力』を反映させると六千を超えるデシ!!」


 プニは心配そうに訴えた。


「なら首切りの剣の特攻で七千五百ぐらいになるから勝算はありそうだね」


 シルルンが視線をゼフトたちの方に向けると、黒い肌のデーモンに全身を斬り刻まれたゼフドは身体中から血が噴出し、地面に膝をついていた。


「ひぃいいいいぃ!? ゼ、ゼフド!?」


 シルルンは雷に打たれたように顔色を変える。


「がはっ!!」


(俺はいったい何をやってるんだ……俺は死んだ仲間たちに強くなると誓ったのではなかったのか!?)


 口から大量の血を吐いていたゼフドが鬼のような形相で立ち上がる。


「死んでもお前を倒す!!」


 ゼフドは凄まじい殺気を全身から噴き出していた。


 その瞬間、彼は闇の中に立っていた。


「ここはどこだ? 何も見えん……」


 辺りを見回したゼフドが顔を顰めるが、身体の先端から闇に侵食された彼の身体は、闇の中に飲み込まれて闇と同化し、体が新生される。


「ククッ……クククッ……これでお前に勝てるっ!!」


 我に返って不敵な笑みを浮かべているゼフドは、『瘴気』を発動すると黒い霧に包まれて、全身の傷が瞬時に治る。


「あ、あれ? ゼフドの傷が治ってるよね?」


 シルルンは目をぱちくりさせた。


「ゼフドは新しい職業に目覚めたデシ!!」


 プニの顔が驚愕に染まる。


「えっ!? マジで!? 何の職業になったの?」


「【闇使い】と【暗黒剣士】の二重職デシ!!」


 その言葉に、アキは悔しそうに歯軋りしており、ゲシュランとゲンは大きく目を見張った。


「俺は自力で職業に目覚めた奴を初めてみた……」


「俺もだ……もしかするとシルルンたちは、限界を超えた戦いを繰り返して強くなっているのかもな……」


 ゲンの言葉に、相槌を返したゲシュランは羨望の眼差しをゼフドに向けている。

 

「あはは、闇と暗黒ってなんかヤバそうだね……」


 シルルンが楽しそうに笑う。


「今度はお前が斬り裂かれる番だ」


 そう言い放つと同時にゼフドは『闇分身』を発動し、ゼフドに瓜二つだが真っ黒な分身が出現した。


「何人増えようとも、我の敵ではない」


 黒い肌のデーモンは剣の連撃を放って真っ黒な分身を斬り裂いたが、真っ黒な分身は四散せず、ゼフドは剣でなぎ払いを繰り出して黒い肌のデーモンの腹を斬り裂いた。


「なんだと!? 分身には物理が効かんのか!? ヒール!! ファイヤ!!」


 黒い肌のデーモンは『連続魔法』で、ヒールの魔法を唱えて腹の傷を塞ぎ、ファイヤの魔法を唱えて、灼熱の炎が真っ黒な分身に襲い掛かる。


 しかし、真っ黒な分身は『闇壁』を発動し、漆黒の壁が真っ黒な分身の前に出現して、灼熱の炎は吸い込まれ、ゼフドは剣を振り下ろして黒い肌のデーモンの胴体を斬り裂いた。


「ちぃ!? なんだこの分身は!?」


 黒い肌のデーモンは忌々しげな表情を浮かべている。


「ふっ、敵ではないのではなかったのか?」


 鼻で笑ったゼフドが剣の連撃を放ち、黒い肌のデーモンは身体を斬り裂かれて防戦一方で、ヒールの魔法を唱えて体力を回復しており、真っ黒な分身は無数の黒い光線を放ち続けている。


 だが、無数の黒い光線は黒い肌のデーモンに直撃し続けていたが、何のダメージもなかった。


「お前は闇属性の攻撃が光属性にしか効果がないのを知らんようだな」


 黒い肌のデーモンは意地の悪い微笑みを口元に浮かべる。


「ククッ、お前はダークネスの魔法のような攻撃だと思っているようだが、さっきからお前がくらっているのは『死閃』だぞ」


「なっ!?」


 黒い肌のデーモンがガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした瞬間、急に脱力したように仰向けに倒れた。


「……やっと貫通したようだな」


「馬鹿なっ……即死攻撃だったのか……」


 倒れた体からゆらゆらと精神体が姿を現す。


 佇んでいた真っ黒な分身が『死閃』を放ち、無数の黒い光線が精神体に襲い掛かる。


「うぁああぁぁあああああああぁぁ!?」


 精神体は悲鳴を上げながら、黒い光線を躱し続けている。


「今度こそぶちのめしてやるデス!!」


 二本の『触手』に稲妻を瞬かせているプルは、凄まじい速さで飛行して精神体に一気に肉薄して、パンチの連打を放った。


 彼のパンチは精神体に何発も直撃したが精神体には効かず、プルに攻撃が当たることを懸念した真っ黒な分身が攻撃を中止する。


「なんだこのスライムは!? 消え失せろっ!! デス!! デス!!」


 精神体は『連続魔法』でデスの魔法を連続で唱え、紫色の風がプルに襲い掛かる。


「生意気デス!! マジックリフレクトデス!!」


 プルはマジックリフレクトの魔法を唱えて、自身の前に七色の盾が出現し、紫色の風が跳ね返って精神体に直撃したが効かなかった。


「――っ!? 何なんだこのスライムはっ!?」


「今デシ!! 全部奪ったデシ!!」


 精神体の背後から声を張り上げたプニは、テレポートの魔法を唱えて、シルルンの肩に戻る。


 彼は真っ黒な分身が攻撃を中止した時点で、『擬態』で姿を消してテレポートの魔法で精神体の背後に移動し、『略奪譲渡』を放ち続けていたのだ。


「ありがとデス!! サンダーデス!! サンダーデス!!」

「サンダーデス!! サンダーデス!!」


 プルは空に上昇し、稲妻を纏った二本の『触手』を天に掲げて『触手』の先端を巨大な掌に変えており、『並列魔法』と『連続魔法』でサンダーの魔法を唱え、四発の稲妻が巨大な掌に落ちた。


 空に浮かぶ彼の姿は、光輝く神秘的なオーラを纏っているようで、誰もが我を忘れたような顔を晒していた。


「くらうデス!! ビリビリサンダーダブルビンタデス!!」


 天空から飛来したプルは、巨大な掌で精神体を挟み込むようにぶっ叩いた。


「がぁあああああぁぁあああぁぁ!!」


 精神体は断末魔の絶叫を上げて四散した。


「まぁまぁ強かったデス」


 満足げな表情を浮かべるプルは、身を翻して飛行してシルルンの肩に戻った。


「あはは、だんだん派手になってるね」


 シルルンは優しくプルとプニの頭を撫でた。


 プルとプニはとても嬉しそうだ。


「いやぁ、さすがだね」


 満面の笑みを浮かべたルプルスが、手を叩きながらシルルンたちの元に歩いてくる。

  

「お前は難民たちが逃げ出したときに、一緒に逃げていたな……」 


 ゼフドの声には非難の色が混ざっていた。


「あのハイ デーモンにはどうやっても勝てなかったからな……気がついたら逃げてた」


 ルプルスはバツが悪そうに頭を掻いた。


「へぇ、過去に戦ったことがあったんだ……まぁ、あの上位種はゼフドみたいに二重職にならないと勝てないだろうね」


「あぁ、あれは凄かったな……お前らみたいな奴らが英雄なんだとつくづく思ったよ」


 ルプルスは頷いて、どこか遠くを見るような表情を浮かべている。


 シルルンたちは難民の募集を再開し、シルルンは酒を飲みながら岩場の方に向かって歩き出したのだった。

面白いと思った方はモチベーションが上がるので、ブックマークや評価をよろしくお願いします。


ハイ デーモン レベル1 全長約2メートル

HP 5500

MP 2400

攻撃力 2000+武器

守備力 1900+防具

素早さ 1900+アイテム

魔法 ウインド ファイヤ エクスプロージョン ダークネス パラライズ インビシブル マジックドレイン ヒール キュア ドレイン アンチマジック シールド マジックシールド サンダー エナジードレイン ディテクト ディスペル デス

能力 統率 威圧 以心伝心 飛行 憑依 身体具現 物理耐性 魔法耐性 能力耐性 言語 召喚 剛力 堅守 駿足 魔撃 能撃 連続魔法



闇使い レベル1

HP 6000

MP 1800

攻撃力 3000

守備力 3000

素早さ 3000

魔法 ダークネス ディスペル グラビティ

能力 二重職 合算 闇吸収 瘴気 闇壁 暗闇 死閃 闇操作 闇分身

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― 新着の感想 ―
[気になる点] キャンプルってなんだろう…?
[一言] シルルンはいつ学園に戻るのかな? 第一武学への転入もある? それと闇使い強いな、初期値オール3000!!
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