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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
学園武祭編

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193/302

193 フローは学ぶ


「もう四日も経つのにシルルンは帰ってこない……何かを建築してるんじゃなかったの?」


 苛立ちを抑えようともしないリザの声には、ゼフドに対する非難の色が混ざっていた。


「ゴーレムたちを連れていたからそう思うだろ」


 食堂のテーブル席に腰掛けるゼフドが素っ気なく返す。


「アミラさんたちの姿も見えないので、シルルン様はどこかに新たなポイントを発見した可能性があります」


「ほう、それなら辻褄が合うな……」


 メイの言葉に、ガダンが顎鬚を弄りながら納得したような顔で頷いた。


「そもそも、シルルン様が突然動き出すのはいつものことだ。だからメイ……お前はシルルン様の傍にいつも張り付いてるべきだと思うがな……」


「私が鉱山ここで全体指揮を執っているのは、シルルン様がお命じになったからです」


「だったら、シルルン様に配置換えをお願いしてみたらどうだ?」


 ゼフドは探るような眼差しをメイに向ける。


「えっ!?」


 メイは面食らったような顔をした。


「儂もゼフドの意見に賛成じゃ。王を守るには最低でも所在を把握しなければどうにもならん。それに王ほどの方が傍付きを連れていないのもおかしいからな……」


「お前が嫌なら、リザかセーナ……ぎりぎりでビビィと言ったところか?」


「嫌ではありません!!」


 メイはゼフドをキッと睨みつけた。


「私はもっと強くならなきゃいけないからパスね……」


 リザは切なそうな表情を浮かべながら拳を握りしめる。


「あは、私とゼフドも同じ理由でパスなのよ」


 アキは屈託のない笑みを浮かべている。


「いずれにせよ、シルルン様が学園にお戻りになられることは決定している。それまでには決めねばならんだろう」


 ゼフドは大きな溜息を吐いた。


「主が学園に行くのなら私はついていくつもりだがな」


「わはは、俺も大将についていくつもりだ」


 ロシェールとバーンは互いに顔を見合わせて笑う。


 彼らはシルルンに何かがあると、各自に勝手に集まって食堂で話し合うのが恒例になっていた。


 シルルンの指示が大雑把過ぎるのと、シルルンがナンバー二を指名していないからだ。


 シルルンとの付き合いが一番長いリザがナンバー二になったとしても、シルルンの奴隷であるゼフドたちやガダンが従うはずもなく、逆もまたしかりだ。


 そのため、ナンバー二を決めないことが彼らの中での暗黙の了解になっていた。


 ゼフドたちが談笑をしていると、女雑用たちが騒ぎ出し、ゼフドたちが顔を拠点の出入り口の方向に向ける。


 いつもなら、女雑用たちの明るい声が飛び交うはずが、聞こえる声はどよめきだった。


 グレイたちが先頭を歩き、ブラたちが続いて、最後にシルルンたちとピヨが食堂に向かって進んでいくが、女雑用たちの顔には戸惑うような表情が浮かんでいた。


「なっ!? いったい何があったんだ……?」


 ゼフドたちはグレイたちを見上げて、驚きのあまりに血相を変える。


 グレイたちの全長が三メートルほどから、六メートルほどに巨大化しているからだ。


「グレイさんたちは上位種に進化したのです」


 そう返したのはブラだが、ブラたちの姿を目の当たりにしたゼフトたちの顔が驚愕に染まった。


 ブラたちは魔物の返り血を全身に浴びており、身体中がどす黒くなっているにも拘わらず、それを全く気にしていない佇まいで、異様な殺気を醸し出していた。


「あはは、今回はかなり疲れたね……」


 シルルンは空席のテーブル席に腰を下ろし、ピヨの頭を撫でながら魔法の袋から取り出した鉄の塊を食べさせており、その後方には三匹のスコーピオンが羨ましそうな顔でピヨを見つめている。


 ピヨの全長は六十センチほどだったが、今は三メートルほどまで強大化していた。


「メット、このスコーピオンたちは君の言うことを聞くように言ってあるから、ビビィとの狩りに連れていってよ」


 シルルンは魔法の袋から赤い果物を三つ取り出して、スコーピオンたちに一つずつ食べさせた。


 スコーピオンたちは嬉しそうだ。


「りょ、了解です。今から嬢ちゃんのところに行ってみますよ」


 メットは恐る恐るといった感じで「ついてきてくれ」とスコーピオンたちに声を掛けて歩き出すと、スコーピオンたちはおとなしくメットの後に続いた。


「ブラたちは疲れたと思うから休むといいよ。起きたらガダンに転職の神殿に連れてってもらうといいよ」


 その言葉に、ゼフドたちは大きく目を見張る。


「はっ」


 ブラたちはシルルンの前で跪いて頭を垂れて、自室の方に歩いていった。


「で、ガダンに聞きたいんだけど、高品質な鋼の武具の在庫はどのくらいあるの?」


「万は軽くありますな」


「じゃあ、高品質な鉄の剣と鎧を百セット、高品質な鋼の剣と鎧を百セット欲しいんだよ」


「分かりました。すぐにお持ちします」


 ガダンは配下の者たちに目配せすると、配下の者たちは頷いて出入り口の方に駆けて行った。


「あとグレイたちの武器を作ってほしいんだよ、高品質で鋼の斧を」


「この大きさだと儂のところにはないので、特注で作らせますので時間が掛かります」


 ガダンはグレイたちを見上げて眉を顰めた。


「うん、それでいいからお願いするよ」


「分かりました。では儂が伝えてきます」


 ガダンが出入り口の方に歩いていくのと同時に、リザたちも立ち上がって歩き出し、シルルンが座っているテーブル席に腰掛けた。


「シルルンは何かを建築してたんじゃなかったの?」


 リザは複雑そうな表情でシルルンに尋ねた。


「ううん、グレイたちのレベルを上げるために上層に行ってたんだよ。これからどんどん建物とかを建てるつもりだからね」


「なるほどね……ブラたちは血塗れだったけど、普通、あんなことにはならないじゃない。いったい、何と戦ったのよ?」


 リザは訝しげな表情を浮かべている。


「あはは、上層は登っていくにつれて魔物の数が多くなるんだよ。千とか二千とか。途中からはそういう魔物の群れに突撃して、休む間もなく戦い続けてたらブラたちが血塗れになってたんだよ」


「……休む間もなくね」


 リザは呆れたような表情を浮かべている。


 話を聞いていた彼女らは、強くなるにはシルルンの傍にいたほうが近道なのではないのかと、そう思わずにはいられなかったのだった。















 シルルンは自室で寝ていた。


 だが、ピヨがシルルンをゆすっており、シルルンは目を覚ます。


「ん? どうしたの?」


 シルルンがムクリと上体を起こすと、ピヨは出入り口前に積まれた木箱の前に移動して、物欲しそうな顔で木箱を見つめている。


「あぁ、頼んでた武具が届いたんだね」


 シルルンは木箱の前に移動し、木箱の中身を確認して鉄の武具を魔法の袋にしまったが、鋼の武具は木箱から出してピヨの前に置いていく。


 ピヨは嬉しそうに鋼の武具を『捕食』していく。


 全ての鋼の武具を『捕食』したピヨは、口からミスリルの武具を次々に吐き出していく。


「あはは、やっぱり、『鉄硬化』はヤバイね」


 シルルンは満面の笑みを浮かべながら、ピヨが吐き出したミスリルの武具を魔法の袋にしまっていく。


 ピヨは満足そうな表情を浮かべており、シルルンのベッドの横に移動して、目を閉じて眠りについた。


 シルルンもあくびをしながらベッドに移動して、ベットに横になって眠りについた。


 しかし、彼は気配を感じて目を開けた。


「ひぃいいいぃ!?」


 シルルンは驚きのあまりに血相を変える。


 フローがシルルンの顔をじーっと覗き込んでいたからだ。


「ど、どうしたの?」


「……いえ、いろいろ教えて下さると言ったのに、何も教えてくれないのでマスターの顔を見てました」


 フローはジト目でシルルンを見つめている。


「えっ!? そ、そうなんだ……」


 (やべぇ、完全に忘れてたよ……ていうか、怖すぎるだろ……)


 シルルンは戸惑うような表情を浮かべている。


「じゃ、じゃあ、今から教えるよ」


「よろしくお願いします」


 フローは嬉しそうに瞳を輝かせる。


 ムクリと起き上がったシルルンは、フローを連れて食堂に向かって歩いていく。


 食堂に到着したシルルンたちは左に曲がって歩いていくと、女雑用たちの作業場の区画に到着した。


 シルルンは作業台に置いてある糸車の前に移動し、この区画には十台の糸車がずらりと並んでいる。


「これは糸車っていうんだよ。羊っていう動物には毛が生えてて、その毛を刈って材料にするんだよ」


 シルルンは空いている糸車の前に立ち、羊の毛を糸車にセットし、糸車のハンドルを回すと羊の毛が糸になって備え付けられた棒に巻きついていく。


「な、なるほど……」


 フローは興味津々といった感じで、糸車をマジマジと見つめている。


 シルルンは十台の織機がずらりと並ぶ区画に歩いていき、織機を使って作業する女雑用の後ろで止まった。


「これは織機と言って、さっき糸車で作成した糸をセットして、布を作成してるんだよ」


 シルルンの説明に、女雑用は恥ずかしそうに作業している。


「す、すごいカラクリですね……」


 フローは真剣そうな表情で織機の動きに目を凝らしている。


「で、布が出来上がるとその布を切ったり、糸で縫ったりして僕ちゃんたちが着てるような服なんかを作れるんだよ」


「……ですが、このような貧弱な服という装備をなぜ着る必要があるのですか?」


 フローは怪訝な表情を浮かべている。


「人族の男は生殖器、女は生殖器と胸を隠す決まりがあるんだよ。それと身分が高い人族はもっと高級な素材で作られた服を着るもんなんだよね」


「なるほど……ですが、その理屈で言えば拠点のボスであるマスターの服は、高級そうな服じゃないような気がしますがなぜでしょうか?」


 フローは探るような眼差しをシルルンに向けており、女雑用はクスクスと笑っている。


「あはは、それは僕ちゃんが服や装備に興味がないからだよ」


「……そ、そうですか」


 フローは難しそうな顔をした。


 シルルンたちは拠点の奥のほうに歩いていくと、鉱石の保管場所に到着した。


 そこには種類ごとに分けられた鉱石の山が無数に並んでいる。


 プルとプニは、肩から跳び下りて、鉱石の山を次々に『捕食』していく。


「僕ちゃんがここを拠点にしてるのは、こういう石が採掘できるからなんだよ」


 シルルンは目の前の山の中から、鉄鉱石を一つ手に取って、フローに手渡した。


「いろんな鉱石があってね、それを加工すると鉄になるんだよ」


 シルルンは魔法の袋から鉄の剣を取り出して、フローに渡した。


「これが、これになるんですか……」


 プローは鉄鉱石と鉄の剣を見比べて、驚いたような顔をした。


「うん、鉄は硬いから戦闘用の武具や強度が必要な道具に使われるんだよ。その剣はフローにあげるよ」


「ありがとうございます。確かに布の服と比べると、かなり硬いですね……」


 フローは鉄の剣を自身のモフモフの中にしまった。


「まぁ、鉄で作成された武具は、下級職や上級職の人たちが主に装備してるんだよ」


「下級職や上級職?」


 フローは訝しげな表情を浮かべて、シルルンに聞き返した。


「人族には職業があって、その職業によって強さやできることが違うんだよ。まぁ、魔物で言うところの下位種や通常種みたいなものだね」


「……人族は大きさがほとんど同じなので、どの個体が強いのか分かりませんでしたが、そういうカラクリがあったのですね」


 フローは納得したような顔をした。


 全ての鉱石を『捕食』したプルとプニが戻ってきて、ふわふわと浮き上がり、魔法の袋に鉱石から変換した金や銀、鉄などをゲホゲホと吐き出した。


 シルルンはプルとプニの頭を優しく撫でる。


 プルとプニはとても嬉しそうだ。


 シルルンたちは拠点から出て行き、東に歩いていくと巨大な建物の一番端にあるガダンの鍛冶屋の中に入る。


「ここはさっきの鉱石を加工する鍛冶屋さんなんだよ」


 中は金属を叩く音が絶え間なく鳴り響き、多数ある炉の熱でむせ返るほどの熱気で、50人ほどの鍛冶師が作業をしていた。


 シルルンたちは炉の前に移動する。


「鉱石に熱を加えると余分なものが溶け落ちて、鉄になるんだよ。あとはそれを叩いて伸ばして、また熱を加えたりして加工するんだよね。まぁ、鉱石の種類によって分離させる方法は違ったりするけど」


「……先ほどから思っていたのですが、誰がこれらに気づいたのですか?」


 フローは真剣な硬い表情でシルルンに尋ねた。


「そんなのは分からないよ。たぶん、フローみたいなタイプの人族たちが長い時間をかけて発見したんだよ」


「……私みたいなタイプ? でしたら私も下位種の生存率を上げるために、武具を作ってみたいですね」


「あはは、面白そうだね。あと鍛冶屋さんは魔物の皮とか殻とか爪とかを加工して、武具にしたりもしてるんだよ。まぁ、魔物の武具を作るんなら、いろいろと試してみたらいいよ」


「はい」


 フローは嬉しそうな顔で頷いた。


 シルルンたちは鍛冶屋から出て、隣のポーション作成所の前に歩いていく。


 扉の前には門番が二人立っていたが、シルルンの顔を見るとすぐに扉を開き、シルルンたちは中に入った。


「ここでは、ヒールの魔法の代わりになるポーションを作成してるんだよ。これを飲んだり怪我した部位にかけると回復するんだよ」


 シルルンは魔法の袋から、ポーションを取り出してフローに手渡した。


「これで体力が回復するのですか……人族の技術は凄まじいですね」


 フローは信じられないといったような表情を浮かべている。


「まぁ、数値的に言えば五十ぐらいしか回復しないけどね。そのポーションはフローにあげるよ」


「ありがとうございます」


 フローは自身のモフモフの中にポーションをしまった。


 シルルンたちは中を進んでいくと、シルルンは巨大なテーブルの前で足を止める。


 巨大なテーブルの上には、様々な植物が大量に並んでいる。


「植物の大半には何の効能もないんだけど、中には身体に良いものや毒をもってるのが稀にあるんだよね」


「なるほど、ここではそれを調べているのですね」


「うん、正解。単体では毒かも知れないけど、何かと混ぜ合わせると違う効果になるかもしれないから、組み合わせは無限に近いんだよ」


「なるほど……膨大な時間が掛かりそうですね」


 フローは真剣な表情で息を呑んだ。


 シルルンたちは奥へと進んでいく。


「あっちにある大きな樽の中には水が入ってるんだけど、中には炭が大量に入ってて、水の不純物をとって綺麗な水を作っているんだよ」


 シルルンは歩きながら水が入った樽が並ぶ区画を指差した。


「綺麗な水でないとポーションは作れないということですね?」

 

「うん、そうだね。炭っていうのは木を焼いたらできるんだよ」


 シルルンたちはタコのような魔導具の前で足を止めた。


「これは魔導具なんだよ。魔導具というのは魔力を使った道具のことで、この魔導具は触れた者の魔力を吸収するんだよね」


「人族はとんでもないものを作りますね……」


 フローは魔導具を見つめて絶句している。


 プルとプニは肩から飛んで行って、魔導具に触れ、次々に魔力を供給していく。


「あら、また来てくれたのね」


 ポーション作成の全体指揮者であるジレアが嬉しそうに言った。


 全ての魔導具を満タンにしたプルとプニは、部屋の端の方に置かれてある巨大な木箱の前に飛んでいく。


 巨大な木箱は二つあり、中にはトマトが大量に詰め込まれており、プルとプニはトマトを一瞬で『捕食』して、シルルンの肩に戻ってきた。


 彼らは、シルルンが眠っている間に大穴に潜ったりもしているが、ここにも来ており、トマトを報酬に魔力を供給しているのだ。


「まぁ、魔導具はいろんなのがあるんだよ。火を出す魔導具や、体力が回復する魔導具もあるんだよ。で、草と綺麗な水と魔力を合わせてポーションを作るんだよね」


「ポーションを作るには、とんでもない手間が掛かるんですね……」


 フローは顔を顰めた。


 シルルンたちはポーション作成所から出て行って、隣の雑貨屋の中に入った。


 プルとプニは肩から飛んで行って、店の奥へと消えた。


「ここでは、食べ物や武具、道具なんかを売っているんだよ」


「売っている?」


 フローは探るような眼差しをシルルンに向けた。


「うん。さっきあげた鉄の剣を欲しいと思ったら、フローはどうする?」


「自分で作ります」


 フローは即答した。


「あはは、じゃあ、作れない物だったらどうする?」


「……奪うか交換するしかないですね」


「まぁ、奪うのはおいといて、人族も昔は物々交換してたんだよね。でも、そこから進歩して通貨ができたんだよ」


 シルルンは魔法の袋から銅貨、銀貨、金貨を一枚ずつ取り出して、フローに見せた。


「つまり、通貨これに価値をつけたんだよ。だから、通貨これと鉄の剣が交換できるんだよ」


 シルルンは通貨の説明を、分かりやすくフローに伝えた。


「人族はとんでもない発想をしますね……」


 フローは驚きのあまりに血相を変える。


「まぁ、これも長い年月の上に成り立っているんだけどね。フローは武具を作ると言ってたから、ここで材料を揃えるといいよ」


 シルルンは魔法の袋から金貨袋を十袋(一億円)取り出して、フローに渡した。


「ありがとうございます」


 フローは嬉しそうに金貨袋を自身のモフモフの中にしまう。


 シルルンたちは武具が飾られた区画に移動する。


「例えばこの鉄の剣は一本一万円で売ってるんだよ」


「だとすると、金貨一枚で十本買えますね」


 フローは即答した。


「あはは、やっぱり、フローは頭がいいね」


 シルルンは羊皮紙に数字の意味と、各通貨の価値の数字を書いてフローに説明して、羊皮紙を手渡した。


「なるほど、この札に書かれた文字は数字だったのですね。でしたら、鉄の剣は銀貨十枚でも買えますね」


 フローは値札と羊皮紙を見比べて嬉しそうに答えた。


「あはは、ほんとに凄いね。あと、人族語の文字に興味があるならプルかプニ、ブラックなんかに習うといいよ」


「ありがとうございます」


 シルルンたちは出入り口に向かって歩いていくと、巨大な木箱を『触手』で抱えているプルとプニが、カウンターで会計をしていた。


 言うまでもなく、木箱の中身はトマトで、プルたちは店員たちにトマトキラーと恐れられていた。


「さすが、プル殿とプニ殿は慣れていますね」


「あはは、あそこでお金を支払うんだよ。プニは特に頭がいいからいろいろと質問してみるといいよ」


「分かりました」


 フローは満足そうな顔で頷いたのだった。

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