186 エレメンタル種との戦い⑦
「まずはハイ ファイヤー エレメンタルの群れを倒すよ」
本営に到着したシルルンたちは、上空で戦う上位種たちの戦いに割って入り、両手に持った氷撃の剣と太陽剣フレアで、ハイ ファイヤー エレメンタルの群れを斬り殺していく。
「おいおい、マジかよ!?」
ハーヴェンは驚きのあまりに血相を変える。
「ふっ、笑うしかない……あの手強いハイ ファイヤー エレメンタルがこうも簡単に倒されるとは……」
ハイ ウォーター エレメンタルは感嘆の声を上げた。
しばらくすると600ものハイ ファイヤー エレメンタルが、上空から姿を消してブラックは、ハイ ウォーター エレメンタルの傍に飛来する。
シルルンは、ブラックから降りて肩からプルとプニをブラックの頭の上にのせて、「雑魚は任せたよ」と思念で言った。
「分かったデス!!」
「デシデシ!!」
「皆殺しにしてくれるわっ!!」
プルたちは嬉々として、地上に展開するファイヤー エレメンタル種の群れに突撃した。
「ここは僕ちゃんたちに任せて、北西に向かってほしいんだよ」
「……いきなりなんでだ?」
ハーヴェンは訝しげな顔をした。
「スキャラ種がやばいからだよ。ケルピー種を攻めてたアース エレメンタル種は全滅させたから、彼らにもスキャラ種の援軍を頼んでおいたよ」
「なるほど……蛸女族がハイ アース ファイヤー エレメンタルと戦っているということか」
「うん」
「話は分かった。我らも参戦させてもらおう」
ハイ ウォーター エレメンタルは仲間たちに号令を掛けて、上空に浮かび上がり、上位種たちと共に進軍を開始した。
ウォーター エレメンタル種たちやアイス エレメンタル種たちは、地面の水や氷を吸収して巨大化し、空に浮かび上がって上位種たちを追いかける。
ファイヤー エレメンタル種の群れが地上から浮かび上がり、ハイ ウォーター エレメンタルたちを攻撃しようとするが、プルたちが魔法を撃ってファイヤー エレメンタル種の群れは次々に消滅していく。
リザたちやハーヴェンは、プルたちに加勢しており、ファイヤー エレメンタル種の群れは、急速に数を減らしていく。
上空を進軍するハイ ウォーター エレメンタルたちは、湖が見え始めると同時に巨大な魔物の姿を捉えた。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルである。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルの前方には、100匹ほどのハイ アース エレメンタルが湖の上に展開し、スキャラ種やケルピー種と戦いを繰り広げていた。
「自信がある者は我に続け!!」
ハイ ウォーター エレメンタルは仲間たちに号令を掛け、上空から地上に飛来し、ハイ アース ファイヤー エレメンタルに目掛けて突き進んでいく。
背を向けていたハイ アース ファイヤー エレメンタルが、振り返ると同時に『石閃』を放って、とんでもなく巨大で鋭利な石がハイ ウォーター エレメンタルたちに襲い掛かる。
ハイ ウォーター エレメンタルは『水壁』を発動し、自身の前に巨大な水の壁が出現するが、とんでもなく巨大で鋭利な石は水の壁を易々と貫通してハイ ウォーター エレメンタルに直撃した。
「ば、馬鹿なっ!? 我の『水壁』がこうも簡単に貫かれるとは……」
胴体を引き千切れたハイ ウォーター エレメンタルは驚きの声を上げて、ハイ アース ファイヤー エレメンタルを見上げた。
彼と上位種の氷、風、雷のリーダーたちはレベルをカンストしており、その全長は10メートルほどもあるが、ハイ アース ファイヤー エレメンタルの全長は20メートルを軽く超えているのだ。
即座に上位種の氷、風、雷のリーダーたちが『氷閃』『風閃』『雷閃』を放った。
いてつく風を纏ったとんでもなく巨大な氷と、とんでもなく巨大な風の刃と、とんでもなく巨大な稲妻が、ハイ アース ファイヤー エレメンタルに襲い掛かる。
だが、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『石壁』を発動し、自身の前に巨大な石の壁が出現して、難なく攻撃を防いだ。
「ば、化け物め……」
ハイ ウォーター エレメンタルは声を荒げた。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『石槍』を放って、無数の尖った石がハイ ウォーター エレメンタルたちに襲い掛かる。
ハイ ウォーター エレメンタルを含める上位種たちは、自身の前にそれぞれの属性の巨大な壁を出現させた。
しかし、無数の尖った石は巨大な壁を易々と貫通して、直撃した100ほどの上位種たちが消滅した。
だが、そこに後続部隊が到着し、溶岩に変わった大地に大量の水と氷を放って大爆発が巻き起こり、大量の水蒸気が周辺を包んだ。
これにより、ダメージを受けていたハイ ウォーター エレメンタルたちとハイ アイス エレメンタルたちの体力が回復する。
「上位種以外は我らに近づくなっ!!」
ハイ ウォーター エレメンタルは振り向くことなく声を張り上げ、後続部隊は頷いて後方に下がり、溶岩に変えられた大地を水浸しにしていく。
ハイ アース エレメンタルたちは、スキャラ種とケルピー種と戦いを繰り広げていたが、唐突にハイ アース エレメンタルたちが上空へと浮上していく。
彼らが20メートルほどの高さまで上昇すると、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『火柱』を発動し、20メートルを超える巨大な5本の火柱が出現した。
5本の火柱は回転しながら範囲を広げていき、その速度は凄まじい速さで、ハイ アース エレメンタルたちはなんとか躱したが、直撃した200ほどの上位種たちは一瞬で消滅した。
あらゆる物を焼き尽くしながら5本の火柱が湖に到達し、大量の水を蒸発させて消滅する。
スキャラ種たちやケルピー種たちの顔が驚愕に染まり、ハイ ウォーター エレメンタルたちは棒立ちになっていた。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルは再び『火柱』を発動し、5本の火柱は回転しながら凄まじい速さで範囲を広げていく。
「ぐっ、潰せっ!!」
声を張り上げたハイ ウォーター エレメンタルは『水竜巻』を放ち、とてつもなく巨大な水の竜巻が出現して、火柱に向かって突っ込んでいく。
上位種たちも一斉に水や氷、風や稲妻で攻撃して1本の火柱は消滅したが、残り4本の火柱がハイ ウォーター エレメンタルたちに襲い掛かる。
ハイ ウォーター エレメンタルは『水壁』を発動しようとしたが、目の前に火柱が迫っていた。
『水竜巻』という最大の攻撃を行ったからだ。
凄まじい速さで火柱がハイ ウォーター エレメンタルに直撃する瞬間、風の壁を発動させたハイ エアー エレメンタルが、ハイ ウォーター エレメンタルを庇うように立ち塞がる。
「――なっ!?」
ハイ ウォーター エレメンタルは驚きの声を上げる。
その刹那、彼もハイ エアー エレメンタルを助けるために身を投じた。
その瞬間、彼らは真っ白に輝く光に包まれて、火柱は消滅した。
進化は一瞬で完了し、そこには風を纏った巨大な人型の水が佇んでいた。
「ビャビャビャァアアアアアアアァァアアアアアアアアアァァァ!!」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは、風を切り裂くような咆哮を上げて、『竜巻閃』を放ち、巨大な竜巻がハイ アース ファイヤー エレメンタルに襲い掛かる。
巨大な竜巻は、ハイ アース ファイヤー エレメンタルの前面にある土の壁を粉砕し、ハイ アース ファイヤー エレメンタルに直撃し、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは身体の一部が消滅した。
これを目の当たりにした上位種たちは、ハイ ウォーター エアー エレメンタルを見つめて身じろぎもしない。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルは号令を掛け、自身の前にハイ アース エレメンタルたちを呼び寄せた。
「今よ!! 一斉攻撃っ!!」
巨大なスキャラ種が号令を掛けて、スキャラ種の群れとケルピー種の群れが湖から上陸し、背を向けているハイ アース ファイヤー エレメンタルに総攻撃を仕掛けた。
だが、振り返ったハイ アース ファイヤー エレメンタルが『石槍』を放ち、無数の尖った石がスキャラ種の群れとケルピー種の群れに襲い掛かる。
スキャラ種の群れとケルピー種の群れは、無数の尖った石を撃ち落とそうと魔法や能力で攻撃するが、全く歯が立たずに尖った石に身を貫かれて、蜘蛛の巣を散らすように湖に撤退した。
「ふっ、総力戦というわけか……いいだろう受けて立つ」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは、上位種たちに号令を掛けた。
彼は総力戦になれば、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『火柱』を使えないだろうと考えていた。
使えば手下を巻き込むからだ。
上位種たちがハイ ウォーター エアー エレメンタルの前に並び立ち、上位種たちはハイ アース エレメンタルたちと対峙する。
500ほどいた上位種たちは著しく数を減らして100ほどまで減っており、ハイ アース エレメンタルたちの数も100ほどだ。
しかし、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『召喚』を発動して、20匹ほどのアース エレメンタル種が出現した。
「ば、馬鹿なっ!? 一度の『召喚』で上位種を20も呼び寄せることができるのかっ!?」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは驚嘆の声を上げる。
さらにハイ アース ファイヤー エレメンタルが『召喚』を発動し、20匹ほどのハイ アース エレメンタルが出現する。
「ぐっ……これでは勝てん……」
だが、そこにファイヤー エレメンタル種の群れを全滅させたシルルンたちが駆けつける。
「ど、どうなってるっ!? ハイ ウォーター エレメンタルが風を纏ってでかくなってやがる!!」
ハーヴェンは雷に打たれたように顔色を変える。
「あはは、ハイ ウォーター エアー エレメンタルに進化したみたいだね」
シルルンは嬉しそうに笑ったが、プルとプニは目を閉じてぐったりしている。
彼らは魔法を使いすぎて魔力切れに近い状態なのだ。
シルルンたちはそのままの勢いで、ハイ ウォーター エアー エレメンタルの元に集まった。
「君が進化したから勝てそうだね」
「我もそう思っていたが、奴は一度の『召喚』で20匹もの上位種を呼び寄せる……」
「なっ!?」
ハーヴェンやリザたちは驚きのあまりに血相を変える。
「あはは、やらせとけばいいんだよ」
「な、なんだと!?」
驚きの声を上げたハイ ウォーター エアー エレメンタルは顔をシルルンに向けた。
「増えた分は僕ちゃんが倒すよ」
「……ふっ、そうだったな……お前が恐ろしく強いことを失念していた……」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは上位種たちに号令を掛け、上位種たちはハイ アース エレメンタルの群れに目掛けて突撃した。
「くくっ、俺たちも行くとするか」
「当然よ!!」
ハーヴェンの言葉にリザが応えて、リザたちもハイ アース エレメンタルの群れに目掛けて突撃する。
ローズは凄まじい速さでハイ アース エレメンタルに目掛けて突進し、ウォーターの魔法を唱え、リザがバニッシュの魔法を唱えた。
水の刃がハイ アース エレメンタルに襲い掛かり、石の壁を破壊し、ハイ アース エレメンタルは白く輝く閃光に包まれた。
だが、ハイ アース エレメンタルは何事もなかったように『石壁』を発動し、ハイ アース エレメンタルの前に石の壁が出現した。
「ぐっ……」
リザは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
バニッシュの魔法の効果は、対象を消滅させるというもので、成功すれば一発で倒すことが可能だが、失敗すればノーダメージなのは言うまでもない。
彼女がバニッシュの魔法に頼ったのは、ハイ アース エレメンタルを倒すことが難しいことを知っているからだ。
「皆で協力しないと倒せないの!!」
マルの言葉にリザたちやハーヴェンは嫌そうな顔をした。
我が強い彼らは、一対一の戦いを好むからだ。
しかし、このままでは石の壁を破壊し、ハイ アース エレメンタルに一撃入れることができても、大地の力で体力を回復され、平行線になることを彼らは理解していた。
「……そうね、このままじゃ一匹も倒せないわね。私たちが攻撃した個体を皆が集中攻撃するっていうのはどうかしら?」
「……」
ハーヴェンとルアンは不機嫌そうな顔で頷いた。
「皆で一緒に頑張るのっ!!」
マルは嬉しそうな顔で元気いっぱいに言った。
リザの作戦通りに彼らが連携すると、ハイ アース エレメンタルは呆気なく消滅したのだった。
シルルンは魔法の袋から閃刃の弓と水撃の弓を取り出し、『念力』で弓を構えて『十六連矢』を放った。
16発の風の刃と16発の水弾がハイ アース エレメンタルたちの頭上に降り注ぎ、一瞬で32匹のハイ アース エレメンタルが消滅した。
「もう一回だね」
シルルンはさらに『十六連矢』を放ち、32匹のハイ アース エレメンタルが消滅する。
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは、そんなシルルンを無言で見つめている。
「……その弓はなんなんだ? なぜ上位種が一撃で消滅するのだ?」
「まぁ、この弓も強いけど僕ちゃんの能力で威力が上がってるんだよ……じゃあ、ハイ アース ファイヤー エレメンタルを倒しに行くよ。ついてきてね」
ブラックは凄まじい速さでハイ アース ファイヤー エレメンタルに目掛けて突っ込んで、一瞬で肉薄してシルルンは両手に持った氷撃の剣と太陽剣フレアでハイ アース ファイヤー エレメンタルに連撃を放った。
身体を斬り裂かれたハイ アース ファイヤー エレメンタルは僅かに後退した。
「へぇ、やっぱり一番高レベルの個体だけあって、体力もどんどん回復してるよ」
シルルンは『魔物解析』でハイ アース ファイヤー エレメンタルを視て、感心したような顔をした。
「攻撃していいんデシか?」
プニはぱっちり目を開けてシルルンに尋ねた。
彼は『瞑想』を所持しているので、魔力が回復したのだ。所持していないプルは、まだぐったりとしている。
「あはは、弱らせるぐらいの攻撃ならいいよ」
「分かったデシ!! 倒してしまわないように1発ずつ撃つデシよ。フレアデシ!!」
プニはフレアの魔法を唱え、白く光り輝く球体が凄まじい速さで飛んでいき、ハイ アース ファイヤー エレメンタルの胴体に着弾した。
すると、熱核融合による大爆発が発生し、辺りは白色光に包まれて、とんでもない衝撃波が発生し、誰もがその場から吹っ飛んだ。
「やべぇ!? なんて威力なんだよ!!」
シルルンは『念力』で自身の前に壁を作って衝撃波を防ぎながら、雷に打たれたように顔色を変える。
この威力はプニが全力で放った4発分のエクスプロージョンの魔法を上回ると思った彼は戦慄を覚えた。
「やっぱり、フレアの魔法はすごい魔法だったデシよ」
プニは満足そうにフフ~ンと胸を張っている。
「……いったい、何が起きたのよ!?」
衝撃波で吹っ飛んで、墜落寸前だったローズが体勢を整えて、リザが険しい表情を浮かべながら視線をハイ アース ファイヤー エレメンタルに向けており、誰もが衝撃波で吹っ飛んで地面を転がって戸惑ったような様子であり、おのずとその視線はハイ アース ファイヤー エレメンタルに集中した。
すると、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは、身体の大半を消失して頭と足しか残っていなかった。
これを目の当たりにした誰もが顔を驚愕に染めた。
「……ぎりぎり死んでないようだね……だけど、どんどん体力が回復してるよ」
シルルンは『魔物解析』で、ハイ アース ファイヤー エレメンタルの体力を視て顔を顰めた。
「人族よ!! 感謝する!!」
そう声を張り上げたハイ ウォーター エアー エレメンタルが矢のように突進し、ハイ アース ファイヤー エレメンタルに向かって空を翔る。
だが、ハイ アース ファイヤー エレメンタルの頭と足が合体し、その身体は急速に大きくなっていいく。
ハイ アース ファイヤー エレメンタルは『石壁』を発動し、自身の前に石の壁を出現させ、さらに『石閃』を放って、とんでもなく巨大で鋭利な石がハイ ウォーター エアー エレメンタルに襲い掛かる。
「あはは、やらせないよ」
シルルンは『念力』で石の壁と、とんでもなく巨大で鋭利な石をぶっ叩いて粉砕した。
「消え失せろっ!! 『旋風水竜巻』!!」
突進しながらハイ ウォーター エアー エレメンタルは、『旋風水竜巻』を放ち、風を纏った巨大な水の竜巻がハイ アース ファイヤー エレメンタルの身体を粉砕し、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは完全に消滅したのだった。
それを目の当たりにしたハイ アース エレメンタルたちが一斉に逃げ出したが、ハイ ウォーター エアー エレメンタルたちが追撃して皆殺しにされた。
「や、やったわ!!」
水中から少しだけ顔を出し、事の成り行きを静観していたスキャラ種の群れとケルピー種の群れが、湖から躍り出て、その勢いのままハイ ウォーター エアー エレメンタルたちの元に群がった。
「これで、ようやく古からの戦いに終止符を打つことができた。感謝する!!」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルは高らかに宣言した。
「あなたたちが来てくれて本当に助かったわ。ありがとう!!」
巨大なスキャラ種は屈託のない笑みを浮かべており、巨大なケルピー種も嬉しそうに頷いている。
「いずれにせよ、この人族がいなければ我らは敗れていたことは確かだ」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルの言葉に、皆の視線がシルルンに集中する。
「あはは、そんなことはいいんだよ。僕ちゃんも中層に縄張りがあるからね」
「えっ!? 中層に人族の縄張りがあるんだ……だったら、ここにいる種族の縄張りには攻め入らないという不戦の契りを交わさない?」
巨大なスキャラ種が、皆の顔を見渡しながら提案した。
その言葉に各種族のリーダーたちは、真剣な硬い表情で頷いた。
「……中層は僕ちゃんのところとホーネット種の縄張り以外は、全て滅ぼされたんだよね」
「そ、そうなんだ……」
巨大なスキャラ種は、悲痛な表情を浮かべている。
「要するに、何が言いたいのかというと、ホーネット種が上層に攻め込んでくるってことだよ。中層の魔物は全滅してるから狩場が上層しかないからね」
「ほう……」
ハーヴェンは恐ろしく真剣な表情を浮かべている。
「まぁ、ここにいる種族とは戦わないように一応は言ってみるけどね」
「……お前と雀蜂族は繋がってるのか?」
ハーヴェンは探るような眼差しをシルルンに向ける。
「まぁね、不戦の契りをクイーンと交わしたんだよ。僕ちゃんがエレメンタル種と戦ってたらホーネット種の縄張りの上空で、カース ホーネットが周辺を探ってたんだよね。正直、僕ちゃんがいないときにカース ホーネットに攻め込まれたら拠点が壊滅すると思って、クイーンのとこに連れてってもらったんだよ」
「……そのカース ホーネットというのは強いの?」
巨大なスキャラ種が、心配そうな顔でシルルンに尋ねた。
「ステータスだけで言ったら、ハイ ウォーター エアー エレメンタルと同じぐらいだと思うよ。でも、ホーネット種にはそんな個体がいっぱいいるんだよ」
「えっ!?」
巨大なスキャラ種は信じられないといったような表情を浮かべている。
「まぁ、この鉱山の魔物でホーネット種とまともに戦えるのは、上層にいるオーガ種とヘドロ種ぐらいだと思うよ」
「……警告に従って備えるとしよう。お前には世話になった……何か礼がしたいからいつでも来るがいい。では、我らは行く」
ハイ ウォーター エアー エレメンタルたちは浮かび上がって、上空へと消えていった。
「ハーヴェンはどうするの?」
「俺も一度、縄張りに戻るつもりだ」
「そうなんだ。まぁ、いつでも遊びに来てよ」
「くくっ、そうだな……」
そう言ってハーヴェンは凄まじい速さで駆けて行った。
「じゃあ、僕ちゃんたちも拠点に戻ろうか……」
リザたちは頷いて、シルルンの元に集まって、シルルンたちの姿は掻き消えた。
こうして、ハイ アース ファイヤー エレメンタルは滅ぼされたのだった。
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