表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

181/302

181 エレメンタル種との戦い③


 ルアンたちは万を超えるエレメンタル種の群れと、空での戦いを繰り広げていた。


 だが、ルアンの『炎ブレス』はファイヤー エレメンタル種と相性が悪く、ローズの『毒のブレス』も即効性に欠けており、何よりも物理攻撃が効かないのでルアンとローズは苦戦していた。


 そのため、基本戦術としては逃げ回りながら、ウォーターの魔法で攻撃するという消極的なもので、シルルンが『再生』と『能力耐性』を譲渡させていなければ、すでに撤退している状況だ。


「もうっ!! 物理が効かないってこんなにも厄介なのね!!」


 リザは忌々しげな表情を浮かべながら『竜閃』を放ち、竜気を帯びた巨大な風の刃が10匹ほどのエレメンタル種を切り裂いた。


「物理が効かないとかそういうことではなく、数が問題だと私は思うがな……ウインド!!」


 ヒーリー将軍は苦笑しながらウインドの魔法を唱えて、風の刃が5匹ほどのほどのエレメンタル種を切り裂いた。


 しかし、この状況でマルだけは戦いを有利に進めていた。


 シルルンが『アクアブレス』、ファテーグの魔法を譲渡させていたからだ。


 マルは『アクアブレス』を放ち、無数の泡がエレメンタル種の群れに直撃し、10匹ほどのエレメンタル種は爆発に巻き込まれて即死した。


 能力は主にスタミナと体力を消耗するが、マルはファテーグの魔法でスタミナを回復させており、ヒールの魔法で体力を回復させているのだ。


 マルは休むことなく『アクアブレス』を放って攻撃し続けており、マルがルアンとすれ違う。


 プルはピョンと跳躍してルアンの頭にのって、ヒールの魔法とファテーグの魔法を唱えてルアンの体力とスタミナが回復する。


 そして、ルアンがローズとすれ違い、プルは再び跳躍してローズの頭の上にのってローズと共に消えていった。


「あの可愛らしいスライムは優秀なのだな……疑って悪かった……」


 ヒーリー将軍は申し訳なさそうに呟いた。


 彼女は現状において何が足りないかということを、指揮官としてプルが理解していると思ったのだった。


 だが、ルアンたちがいくら攻撃しても、万を超える敵に対しては、焼け石に水だった。


 再びマルの頭の上に戻ったプルは、不満そうな顔をしていた。


 彼は、シルルンの肩の上で指揮官とはどういうものかを学んだ。


 故にその役割は理解しているが、彼は強力な攻撃魔法を撃ちたくて仕方がなかった。


 しかし、魔力の消費を考えると、それは許されないことだと彼は理解しており、ストレスを重ねていた。


 すると、エレメンタル種の群れを貫く閃光が駆け抜けた。


 閃光は縦横無尽に駆け抜けて、エレメンタル種の群れは為す術なく消滅していき、その閃光がルアンたちの前で止まる。


「「シルルンッ!!」」


「「「マスター!!」」」


 リザたちは弾けるような笑顔を見せる。


「あはは、遅れてごめん……いろいろやってたら遅れちゃったよ」


 ズタズタに引き裂かれたエレメンタル種の群れは、再び群れをなしてシルルンたちに襲い掛かる。


「エクスプロージョンデシ!! エクスプロージョンデシ!!」

「エクスプロージョンデシ!! エクスプロージョンデシ!!」


 プニは『魔力増幅』で魔力を練りに練り、『並列魔法』と『連続魔法』で4発のエクスプロージョンの魔法を唱えた。


 エレメンタル種の群れは、凄まじい大爆発に巻き込まれて数千匹が一瞬で消し飛んだ。


「なっ、なんて威力なんだ……」


 ヒーリー将軍たちは驚きのあまりに血相を変える。


「プルもや~る~デ~ス!!」


 マルの頭の上から跳躍したプルは、シルルンの肩に着地した。


 エレメンタル種の群れは、動きを止めて驚き戸惑っている。


「エクスプロージョンデス!! エクスプロージョンデス!!」

「エクスプロージョンデス!! エクスプロージョンデス!!」


 プルは『並列魔法』と『連続魔法』で4発のエクスプロージョンの魔法を唱えて、大爆発に包まれたエレメンタル種の群れが、1000匹ほど消し飛んだ。


「よしっ!! 今なら攻撃できるぜっ!! 破壊光線!!」


 ダイヤはプニの口の中から跳び出して、『破壊光線』を放ち、まばゆい閃光がエレメンタル種の群れを貫いて、20匹ほどのエレメンタル種が消滅した。


 ラーネ、ザラ、スライムアクアもプニの口の中から出てきて、エレメンタル種の群れに攻撃を仕掛ける。


「上位種はもう倒したの?」


 リザは探るような眼差しをシルルンに向ける。


「うん。このエリアにいるエレメンタル種は3万ぐらいだけど、他は倒したからあとはここだけだよ」


「……相変わらず無茶苦茶ね」


 苦笑したリザはため息を吐く。


 シルルンは、ブラックから降りてプルとプニをブラックの頭の上にのせる。


「残りは任せたよ」


 傍から見ればシルルンは宙に浮いているように見えるが、彼は『念力』で足場を作ってその上にのっているのだ。


「ぶちのめしてやるデス!!」


「デシデシ!!」


「フハハッ!! 皆殺しにしてくれるわっ!!」


 閃光になったブラックたちは、エレメンタル種の群れに襲い掛かり、エレメンタル種の群れは急速に数を減らしていく。


 こうして、エリア内のエレメンタル種は全滅したのだった。












 シルルンはハイ ウォーター エレメンタルたちの元に帰還して、戦果を報告した。


「な、なんだと? このエリアの精霊族を全滅させたと言うのか?」


 ハイ ウォーター エレメンタルは驚きの声を上げる。


「うん」


「……ならば夜が明けるのを待って、隣のエリアに進軍するとするか」


 すでに日は沈み始めているが、溶岩が赤黒い光を放って周辺を照らしている。


「ここの水とかは持っていくことはできないのかい?」


「……ぬう、それは考えていなかったが可能だ」


「それなら持っていって隣のエリアで一気に拠点作成したらいいよ」


「分かった」


 ハイ ウォーター エレメンタルは配下の者に目配せすると、数匹のウォーター エレメンタルが後方に飛んでいった。


「じゃあ、僕ちゃんは行くよ」


「もう夜になるぞ……どこに行くのだ?」


「隣のエリアだよ。先に上位種を倒しておくよ」


 そう言ってシルルンは、西の方角に凄まじい速さで飛んでいった。


「昼夜問わずの進軍か……部屋にいるときとはまるで違うのだな……」


 ヒーリー将軍は複雑そうな顔をした。


「シルルンは極端なのよ……部屋にいるときは寝てばかりだけど、動き出したら止まらないのよ」


 リザは難しそうな表情を浮かべている。


 ハイ ウォーター エレメンタルたちは夜が明けるのを待って、西の方角に進軍を開始する。


 ハイ ウォーター エレメンタルの周辺にいる配下の者たちは、水や氷を過剰に吸収して巨大化しており、すでに後方にいた部隊とも合流していた。


 彼らの姿も水や氷を過剰に吸収して巨大化している。


 ハイ ウォーター エレメンタルたちが、このエリアで倒したエレメンタルの数は数千匹と少ないが、それ故に数は増えていた。


 ウォーター エレメンタル種の数は、6000から3倍に増えており、アイス エレメンタル種は3000から2倍になっていた。


 エアー エレメンタル種とサンダー エレメンタル種は増えても減ってもいなかった。


 ハイ ウォーター エレメンタルたちは、エリアとエリアを繋ぐ山道に差し掛かる。


「本当にこのエリアの精霊族を全滅させていたんだな……」


「……あいつの強さは化け物レベルだからな」


 ハイ ウォーター エレメンタルの呟きに、ハーヴェンが苦笑しながら返した。


 本来ならこの山道にも魔物はいたが、山道も溶岩に変わっており、魔物の姿は1匹もなかった。


 ハイ ウォーター エレメンタルたちは山道に入って進軍する。


 彼らは空を飛んでいるので進軍速度は早いが、唯一、ハーヴェンだけが地面を駆けていた。


 だが、ハーヴェンは『水の加護』で護られているので、溶岩を踏みしめても問題なく移動することが可能なのだ。


 ハイ ウォーター エレメンタルたちは、隣のエリアに入って進軍する。


 しばらく進むと上空に、万を超えるエレメンタル種の群れが姿を現した。


「できるだけ距離を稼ぎたかったが仕方がない……ここで始めるか」


 ウォーター エレメンタル種の半数ほどが空に上昇してエレメンタル種の群れを迎え撃ち、残りの半数が蓄えていた水を一気に放出する。


 凄まじい爆発音と共に、周辺には何も見えなくなるほどの水蒸気が発生したが、その水蒸気をウォーター エレメンタル種たちが一気に吸収し、水蒸気は消え去った。


 アイス エレメンタル種たちも水浸しの地面に、蓄えていた氷を放って瞬く間に氷の銀世界へと変わった。


「で、俺たちはどう動く?」


「ここでアース エレメンタル種を倒せってマスターが言ってたの!!」


 ルアンの問いに、マルが真剣な表情で答えた。


「ならそうするか」


「頑張るのっ!!」


 ルアンたちは上空に浮かび上がり、アース エレメンタル種の群れに目掛けて突撃する。


 上空のウォーター エレメンタル種の群れを突破した、ファイヤー エレメンタル種の群れが地上に降下して、水浸しになった大地に炎を放つ。


「やらせるかよ!!」


 ハーヴェンは凄まじい速さでファイヤー エレメンタル種の群れに突撃し、前脚の爪を叩き込んだ。


 前脚の爪が直撃したファイヤー エレメンタル種は、一撃で掻き消えた。


 ハーヴェンの物理攻撃がエレメンタル種に有効なのは、ハイ ウォーター エレメンタルの『水の加護』の影響だ。


 だが、ハイ ウォーター エレメンタルから離れるとその効果は弱くなる。


 20メートル以上離れると火による耐性と攻撃力が半減し、50メートル以上離れると効果は完全に失われる。


 しかし、全長8メートルを超える巨体のハーヴェンにとって、20メートルの距離など狭すぎる。


 故に、彼は50メートル圏内で戦うことを前提としているからこそ、地面を溶岩に変えられることを嫌ったのだ。


「エリアに入っていきなりこの数が押し寄せたとなると、ここにはかなりの数がいるようだな……」


 そう言ったハイ ウォーター エレメンタルは空に向かって『水刃』を放ち、巨大な水の刃が50匹ほどのエレメンタル種を切り裂いて消滅した。


 彼の予想通り、このエリアには10万匹ものエレメンタル種がいるのだ。


「だが、上位種が1匹も見当たらん……あの人族は本当に化け物のようだな……」


 こうして、このエリアでの戦いは長期戦へと移行するのだった。

面白いと思った方はモチベーションが上がるので、ブックマークや評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングに参加しています。 リンクをクリックしてもらえるとやる気が出ます。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] 上位種をサクッと、、、 相変わらず、順調ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ