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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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171/300

171 中層の様子


 エレメンタル種の群れに第2ポイントを襲撃されて、西に逃走したディーダたちは人族が支配する第1ポイントに攻撃を仕掛けていた。


 だが、第1ポイントを支配するガドーは十分な戦力を整えており、攻め落とすことができずにいた。


 ディーダたちはエレメンタル種に襲撃されて戦力が低下しており、その数は500まで減っているからだ。


 第1ポイントでの戦いは膠着状態に陥ったのだった。


 一方、エレメンタル種の群れはキャンプ村と第2ポイントを陥落させたあと、西と東に分かれて進行した。


 西に進行したエレメンタル種の群れはエリアに何もないのでエリア全体を溶岩に変えて上層に進行したが、上層を支配している3種族と戦いになる。


 上層を支配している種族は、スキャラ種(上半身は女で下半身は蛸)とクーシー種(犬の妖精)とケルピー種(水中に住む馬)だ。


 彼らは魔法や能力による攻撃が得意であり、スキャラ種やケルピー種の縄張りは湖なので水が弱点のファイヤー エレメンタル種は苦戦しており、激しい戦闘が繰り広げられている。


 東に進行したエレメンタル種の群れはキャンプ村を襲撃して冒険者たちと戦闘になる。


 だが、エレメンタル種の圧倒的火力の前に冒険者たちは抵抗虚しく四散して逃走する。


 この時、北東に逃げた者たちだけがかろうじで生き残っており、その他の方向に逃げた冒険者たちは全て殺された。


 エレメンタル種の群れは上層には進行せず、北東に逃げた冒険者たちを追いかける。


「奴らと戦って俺たちに勝ち目はない。無謀かもしれんがこの山道を進むしかない!!」


「正気なの!? この山道を抜けるには最低でも大連合が2隊はいるのよ!!」


「じゃあ、どうするんだ!? ここで奴らと戦うのか!?」


 エレメンタル種に退路を断たれた冒険者たちは口論になっていた。


 そこに黒い魔物に乗った少年が空をふわふわ飛行しながら冒険者たちの頭上を通過していく。


「うぉおおっ!? ほとんど燃えてるじゃん!!」


「なんでここは燃えてるんデスか?」


「デシデシ!!」


「ファイヤー エレメンタル種の仕業だよ」


「悪い奴デスか?」


「うん、こんなことする奴は悪者だね」


「ぶちのめすデス!!」


「デシデシ!!」


「うん、倒す予定だけどハイ ウォーター エレメンタルたちが来てからだね」


 黒い魔物に乗った少年はゆっくりと空を進んでいく。


「そこの黒い魔物に乗った少年っ!! ちょっと待ってくれないか!!」


 女冒険者が声を張り上げた。


「ん? 何?」


 黒い魔物に乗った少年は女冒険者の前に下り立った。


 いうまでもなくシルルンである。


「その黒い魔物にはもう1人乗れないか?」


「まぁ、乗れないことはないけどブラックが嫌がるから無理だね」


「そこをなんとか頼む!! この方は貴族なんだ」


 女冒険者に紹介されて、貧弱そうな少年が前に出てきた。


「ていうか、君たちはここでエレメンタル種を迎撃しようとしてるんじゃないの?」


「そんなわけないだろっ!! 私たちはエレメンタル種に襲われて逃げているところなんだ」


「えっ!? そうなんだ」


 シルルンはビックリして目が丸くなる。


「僕はルンルン。よろしくね」


 貧弱そうな貴族の少年はにこやかに微笑んだ。


「……僕ちゃんはシルルンだよ」


 シルルンは訝しげな表情を浮かべている。


 彼はルンルンという名をどこかで聞いたような気がしたが思い出せないでいた。


「僕は魔物使いなんだけど弱いから彼女たちに守ってもらってるんだよね」


 ルンルンの傍らにはレッサー ヘッジホッグ(針鼠の魔物)が佇んでいた。


「その魔物はレッサー ヘッジホッグ!? 初めて見たよ」


 シルルンは驚きの表情を見せた。


 だが、レッサー ラット同様に弱い部類の魔物なのだ。


「で、ここにいる全員が逃げてる途中ってことかい?」


「そういうことになる」


 この場にいる冒険者は50人ほどで、女冒険者はバツが悪そうに俯いた。


「君たちは小さいのに大変だね」


 シルルンは温かい眼差しを女冒険者たちに向ける。


 10人の女冒険者がルンルンを囲うように立っているが、彼には10歳ぐらいの少女たちに見えたからだ。


「小さいって言うなっ!! これでも10代後半だ」


「えっ!? マジで!?」


 シルルンは驚きのあまりに血相を変える。


「ちょっといいですか?」


「今は私たちが交渉しているところだ」


 急に2組の冒険者が女冒険者に話し掛けた。


「いや、その人は私たちの知り合いなんですよ」


「何? そうなのか?」


 女冒険者は意外そうな顔をした。


「久しぶりだなシルルン」


 そう言ってシルルンに話し掛けてきたのはクラリドで、もう1組の冒険者はマンティス2匹を従えた女テイマーだった。


「えっ!? まだいたんだ!?」


 シルルンは雷に打たれたように顔色を変える。


「まぁな。俺たちは山賊に襲われてこっちのキャンプ村に逃げてきたんだが、嵐の影響で途中で道が塞がっていてこのエリアからは中間ポイントに辿り着けないことが分かって戻ってきたら、今度はエレメンタル種というわけだ……」  


 クラリドは深刻な表情を浮かべている。


「でも、あなたがいればこの状況でも希望が見えるわ!!」


 女テイマーは瞳をきらきらさせてシルルンを見つめている。


「……逆に聞くがお前こそなんでこんなところにいるんだ?」


 クラリドは不審げな眼差しをシルルンに向ける。


「エレメンタル種の動向を見にきたんだよ」


「なんだと?」


 クラリドと女テイマーは驚きの表情を見せた。


「まぁ、近い内にエレメンタル種を追い払う予定だからね」


「こ、この数のエレメンタル種と戦うというのか……いくらお前でも無謀すぎると思うぞ」


「そうでもないよ。こっちにはハイ ウォーター エレメンタルがついてるからね」


「なっ!? どういうことだ?」


 クラリドは訝しげな視線をシルルンに向ける。


「遥か昔にここでエレメンタル同士の戦いがあったんだよ。で、この状況はその続きで僕ちゃんはそれを知って上層にいるハイ ウォーター エレメンタルに援軍を求めて、今はそれを待ってる状況なんだよね」


「……そ、そういうことなのか」


 クラリドと女テイマーは驚きを隠せなかった。


「で、ここから逃げたいんなら僕ちゃんの拠点に来るかい?」


「何っ!? 拠点があるのか!?」


「うん、場所はここから東のエリアにあるんだけど、僕ちゃん範囲転移できるアイテム持ってるから一瞬だよ」


「なっ!?」


 クラリドと女テイマーはガツンと頭に衝撃を受けたような顔をした。  


「じゃあ、僕ちゃんの拠点に逃げたい人はこっちに集まってよ」


 冒険者たちは訝しげな顔をしながらも素直にシルルンの元に集まった。


「危ないっ!!」


 冒険者の1人が声を張り上げた。


 そこに巨大な火の弾が飛んできて、冒険者たちは一斉に四散した。


「で、でけぇ!?」


「マ、マジかよ……」


 冒険者たちは接近する2匹の巨大な炎の魔物を見上げて絶句する。


「ハイ ファイヤー エレメンタルデシ!!」


 プニは2匹の巨大な炎の魔物を『解析』で視て言った。


 ハイ ファイヤー エレメンタルは6メートルを超える巨体なのだ。


「あはは、上位種みたいだね。皆は下がっててね」


 シルルンはブラックに指示を出し、ハイ ファイヤー エレメンタルに向かってブラックはふわふわと飛んでいく。


「む、無茶よっ!!」


「いくらお前でも相手が悪すぎるっ!!」


 女テイマーとクラリドは険しい表情で訴えた。


「僕ちゃんは君たちに出会った頃よりも格段に強くなってるから大丈夫だよ」


 シルルンは振り返りもせずにそう答えた。


 ハイ ファイヤー エレメンタルはファイヤボールの魔法を唱えて、巨大な火の弾がシルルンたちに襲い掛かる。


 だが、シルルンは『念力』で巨大な火の弾を弾き飛ばした。


 ブラックはハイ ファイヤー エレメンタルに一瞬で肉薄してシルルンは胴体にパンチを放つが突き抜けた。


「あはは、やっぱり物理無効ってのは本当なんだね」


「サンダーデス!! サンダーデス!!」


 プルはサンダーの魔法を『並列魔法』で唱えて、自身の体に2発の稲妻が落ちた。


 だが、プルは『雷無効』を所持しており、稲妻を体に纏って金色に激しく瞬いていた。


「――っ!?」


 驚いたシルルンとプニは思わずプルを見つめた。


「くらうデス!! サンダースクリューパンチデス!!」


 プルは体に纏った稲妻を触手に集中させてパンチを放ち、直撃したハイ ファイヤー エレメンタルは一撃で掻き消えた。


「ぶちのめしてやったデス」


 プルはしたり顔で言った。


 残ったハイ ファイヤー エレメンタルはファイヤの魔法を唱え、巨大な炎がシルルンたちに襲い掛かるが、シルルンが『念力』でなぎ払って巨大な炎は消え去った。


「ウォーターデシ!! ウォーターデシ!!」


 プニは『並列魔法』でウォーターの魔法を唱え、2発の巨大な水の刃がハイ ファイヤー エレメンタルに直撃してハイ ファイヤー エレメンタルは掻き消えた。


「う~ん、弱いね……上位種でこれだとハイ ウォーター エレメンタルを待つ必要ないんじゃないかな……」


 シルルンは怪訝な表情を浮かべており、ブラックは反転して冒険者たちの元にふわふわと飛んでいく。


 冒険者たちは信じられないものを見るような眼差しでシルルンを見つめていた。


「じゃあ、転移するよ」


 シルルンはプニから転移の腕輪を受け取って冒険者たちと共に転移したのだった。



 鉱山の拠点に転移したシルルンはホフマイスターに事情を話して丸投げし、自身の個室に入って椅子に腰掛ける。


 プルとプニがシルルンの肩からピョンと跳び下りて、テーブルの上に着地した。


「……ハイ ウォーター エレメンタルのところに行ってみようかな。スライムアクアとも話してみたいし」


「その必要はないわ」


 プニの口の中から水のようなスライムが姿を現した。


「君はスライムアクアッ!?」


 シルルンは雷に打たれたように顔色を変える。


「プニの口の中からあなたを見させてもらってたのよ」


「えっ!? そうだったんだ」


「私はずっと1匹で生きてきたから誰も信じられなかったのよ。でも、あなたは信じるに値する人物で私のマスターに相応しいわね」


「じゃあ、僕ちゃんのペットになってくれるんだね?」


「そのつもりよ」


「ありがとう!!」


 シルルンは満面の笑みを浮かべてスライムアクアを見ただけで紫の球体で包み込み、一瞬でテイムに成功する。


「これからよろしくね」


「もちろんよ。皆もこれからよろしくね」


「いまさらだけどなっ!!」


 ダイヤがそう応えて、テーブルの上にはザラやラーネ、プルル、プニニも出てきており、楽しそうに遊んでいる。


 こうして、シルルンのペットにスライムアクアが加わったのだった。

面白いと思った方はモチベーションが上がるので、ブックマークや評価をよろしくお願いします。


レッサー ヘッジホッグ レベル1 全長約80センチ

HP 100

MP 10

攻撃力 50

守備力 50

素早さ 50

魔法 無し

能力 針



スライムアクア レベル99 全長約20センチ

HP 6000

MP 6600

攻撃力 620

守備力 600

素早さ 600

魔法 ウォーター キュア インビジブル

能力 捕食 触手 MP回復 火耐性 水吸収 水のブレス 水化 水操作 治療 潜伏 オウム返し 記憶操作 隠蔽 偽装

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