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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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159 ハーヴェンの動向①


「……単独で動く気配がない……やはり、そろそろ警戒されているとみるべきだろうな……」


 ハーヴェンは巨大な岩山に身を隠しながら3匹のハイ タイガーの動向を探っていた。


 ここはハイ タイガーの縄張りだが、ハーヴェンが一度潰した縄張りなのだ。


 ハーヴェンは浅いエリアの縄張り全てを潰しており、その数は8にも及ぶ。


 労することなく縄張りを手に入れたハイ タイガー達は、それ故に辺りを警戒し離れることはなかった。


「さて、どうするか……」


 (この調子だといつまで待ってもあの3匹が単独で動くことはないだろう……他の縄張りから中間エリアに侵入するか? それとも正面からあいつらを潰すか……)


「あいつらを潰してから拠点に戻ってみるか……」


 ハーヴェンはそう呟いて『潜伏』を解き、ゆっくりと歩き出した。


「……なんだお前等は?」


 岩の上に座るハイ タイガーが怪訝そうな表情を浮かべており、その言葉でハーヴェンも動きを止めた。


「ま~っ!!」


 あまりに小さい4匹の魔物がトコトコとタイガー種に向かって歩いている。


 いうまでもないがマーニャ達だ。


「あれは拠点で見たシルルンのペット達……なぜこんなところにいる?」


 訝しげな顔をしたハーヴェンは再び巨大な岩山に身を隠した。


「猫、蜥蜴トカゲ、馬に天馬か……つるんで生きてきたようだがお前たちは虎柄じゃないのが運の尽きだ」


 その言葉と同時に10匹ほどいる通常種のタイガーの内、1匹がマーニャ達に向かって歩き出した。


 タイガー種は同種以外の虎柄の魔物を基本的に殺さずに生かしており、虎柄でない魔物は容赦なく餌にされる。


 これは気が遠くなるような年月をかけて虎柄のような魔物が残った結果なのである。


 始まりは偶然だった。


 普通の外見の魔物と身体のどこかに斑点がある魔物がいた場合、タイガー種は普通の外見の魔物を好んで餌にしたのだ。


 結果、身体のどこかに斑点がある魔物が生き残る確率が上がり、長い時間をかけて虎柄のような魔物が残ったのである。


 タイガーは先頭を歩くマーニャに前脚の爪の一撃を振るうが、それよりも早くドーラが動いて一瞬でタイガーに肉薄し、前脚の爪の一撃を胴体に叩き込んだ。


 胴体が前と後ろに分かれたタイガーは大量出血して即死した。


「――なっ!?」


 ハイ タイガー達はこの結果に驚愕した。


 ドーラとメーアは死んだタイガーの死体をガツガツと食い散らかしている。


「こ、この野郎っ!? 何してやがるっ!!」


 仲間を食われたことにハイ タイガーは思わず立ち上がり、激昂して声を張り上げた。


 その思いはタイガー種達も同じで、一斉に残りのタイガー達が襲い掛かった。


「ペペッ!!」


 ペーガは『竜巻閃』を放ち、巨大な竜巻に飲み込まれたタイガー達はバラバラに身体を切り裂かれて、巨大な竜巻と共に空へと消えていった。


「な、なんだと!?」


 ハイ タイガー達は信じられないといったような表情を浮かべている。


「……生かして帰さねぇぞ!!」


 怒りに身を震わしたハイ タイガー1匹が凄まじい速さで突撃してペーガに襲い掛かった。


「まっ?」


 だが、マーニャが反応して跳躍し、一瞬でハイ タイガーに肉薄して前脚の一撃をハイ タイガーの横面に叩き込み、頭部が捻じ切れて高速回転しながら地面に転がり、胴体から大量の血が噴出してハイ タイガーは即死した。


 タイガーの死体を食い尽くしたドーラとメーアは、今度はハイ タイガーの死体を食い散らかしている。


「……そ、そんな馬鹿なっ!?」


「まるで悪夢を見ているようだ……」


 ハイ タイガー達は戦慄して息を呑む。


「くくく、同感だ。立場が逆だったら俺もゾッとするぜ」


 ハーヴェンは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべている。


「ここはいったん、退くぞ……おそらく、あいつらがここの縄張りの主を殺しやがったんだ」


「なるほどな……」


 ハイ タイガー達はマーニャ達を注視しながら、じりじりと後ずさる。


「くくく、その予想は外れだ。ここの主は俺が殺したからな」


「――なっ!?」


「ハ、ハイ ライオンだとっ!?」


 背後から発せられた声にハイ タイガー達は弾かれたように振り返る。


「まぁ、何にせよお前達を逃がすつもりはない。俺と戦って死ぬかチビ達と戦って死ぬか選ばせてやる」


「ぐっ……」


 前後を塞がれてハイ タイガー達は前と後ろを何度も見て怯えている。


「畜生っ!! なんでこうなった!? やっと縄張りを手に入れたのによぉ!!」


「こうなったらあの猫を同時に攻撃するぞ。どっちかがられたとしても俺達の攻撃が当たれば間違いなく殺せるはずだ」


「……それしかないか」 


 2匹のハイ タイガーは決死の表情を浮かべて突撃した。


「ま~っ!!」


 マーニャは『炎刃』を放ち、炎の刃は突っ込んでくるハイ タイガーを突き抜けて、ハイ タイガーは黒焦げになり炭になって崩れ落ちた。


「なっ!? 炎の刃だと!? 話が違……」


 だが、突き抜けた炎の刃は戻ってきて、ハイ タイガーを後ろから貫いて、残ったハイ タイガーも黒焦げになって炭になり崩れ落ち、タイガー種は全滅したのだった。


「……」


(シルルンの野郎、なんてものを送り込んでやがる……これだから人族は厄介なんだよ)


 さすがのハーヴェンもこの結果には絶句するしかなかった。


「おい、チビ達……帰るぞ」


 ハーヴェンはゆっくりとマーニャ達に向かって歩き出し、マーニャはじーっとハーヴェンを見つめており、首を傾げてくんくんと匂いを嗅いでいる。


「ま~っ!!」


 ハーヴェンからシャインの匂いを嗅ぎ分けたマーニャはハーヴェンの頭の上に跳び乗った。


 それを見たドーラ達もハーヴェンの背に乗って、ハーヴェン達は拠点に向かって歩き出したのだった。

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