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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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157/302

157 防壁前でのレベル上げ①


 シルルン達は鉱山の拠点の洞穴前に出現する。


「じゃあ、皆はメイとセーナについていってね」


「は~いっ!!」


 子供達は手を上げて元気一杯に返事をし、メイとセーナに先導されて動物小屋のほうに歩いていった。


 シルルンは自身の個室に戻り、大穴の前で座り込んだ。


「うさポンとシーラを連れてきてよ」


「フフッ……分かったわ」


 プニの口の中からラーネの声が聞こえてそのままラーネは『瞬間移動』で掻き消えた。


 しばらく待っているとラーネがうさポンとシーラを連れて出現する。


「どうしたんですかシルルンさん?」


「ポン!!」


「うさポンの茸が気になって、どうしても調べたいと思って『アイテム鑑定』を手に入れたんだよね」


「『アイテム鑑定』ですか!? それはすごいですね!! どういう茸を持って来ればいいですか?」


「いや、そうじゃないんだよ。ていうか、シーラは茸を育ててて楽しいの?」


「そうですねぇ、私はうさポンちゃんの手伝いをしているだけで茸自体にはあまり興味はないですね」


「えっ!? そうなんだ……」


「はい。私は花を育てるのが好きですから……でも茸がどんどん増えていくのは面白いですが」


「う~ん……」


 シルルンは『魔物解析』でうさポンとシーラを視て何かを考え込んでいる。


 ちなみにうさポンのレベルは1でシーラのレベルは8だった。


「じゃあ、『アイテム鑑定』をシーラに『アイテム解析』をうさポンに譲渡することにするよ」


「分かったデシ!! プニタッチデシ!!」


 プニは『触手』を伸ばしてシーラとうさポンに触れた。


「これでシーラは『アイテム鑑定』、うさポンは『アイテム解析』が使えるようになったはずだよ」


「えっ!? 私が『アイテム鑑定』を使えるんですか?」


「プニは『略奪譲渡』という能力を持ってるんだよ。この能力は奪った魔法や能力を譲渡することができるんだよね」


「プ、プニちゃんすごいです!!」


「マスター!! 『解析』はプニが持ってたらダメデシか?」


 プニはすがるような目でシルルンを見つめている。


 コレクターのプニが『アイテム鑑定』と『アイテム解析』を渋らずに譲渡したのは『解析』が鑑定系の能力で汎用性でも能力的にも最上位に位置するからだ。


「う~ん……僕ちゃんも『解析』をどうしようかと考えていたんだよね」


 (防壁を護るシャインに持たせるのがいいと思ってたけど、もうすぐタイガー種を滅ぼすから意味ないか……)


「プニもうさポンの茸を調べるのを手伝うからお願いデシ!!」


「あはは、分かったよ。『解析』はプニが持ってるといいよ……それと『技巧』もとりあえずプニが持っててよ。うちには生産職のペットがいないからね」


「マスターありがとデシ!!」


 プニは大喜びしてふわふわと飛行し、気になるものを『解析』で視て回っている。


「あとは……うさポンだね」


「ポン?」


 名前を呼ばれたうさポンは首を傾げている。


「うさポンのレベルを上げてみるよ……ついでにレベルの低いペットも連れて行こう」


 シルルンは狩りに連れて行くペット達に「防壁に集合」と思念で伝えて移動する。


 防壁に到着したシルルン達は階段を上って防壁の上で待つ。


「どうされたのですかマスター?」


 防壁を護っているシャインとビークスが歩いてきた。


「レベルの低いペット達を防壁の前でレベルを上げようと思ってね」


「それでは我もご一緒します」


 シャインの言葉にビークスも頷いた。


「いや、防壁の前で弱そうな魔物と戦うだけだよ?」


「そうだとしてもご一緒します」


 シャインは何かを感じ取ったようで頑なだった。


「……まぁ、いいけどね」


「何してるのよシルルン?」


 唐突に背後から話しかけられたシルルンは驚いて振り返るとリザだった。


 リザが唐突に出現したのは狩りから戻り、地上から一足飛びで防壁の上に下り立ったからだ。


「……いや、レベルの低いペット達を防壁の前でレベルを上げようと思ってね」


「面白そうじゃない。私もついていくから待っててよ」


 そういってリザは洞穴のほうに走っていった。


 しばらく待っているとシルルンが召集したペット達が集まった。


 シルルンがレベルを上げたいと考えているペット達


 うさポン

 シーラ

 フィン(ミニ グリフォン)

 グリー(レッサー グリフォン)

 グーラ(レッサー グリフォン)

 カイ(レッサー ハーミット クラブ)

 レッサー ペガサス2匹


 だが、戻って来たリザの後ろには仲間達も揃っており、ルアンとローズも一緒だった。


 集まった仲間達とペット達


 リザ

 メイ

 ゼフド

 アキ

 ラフィーネ

 ロシェール

 アミラ

 バーン


 シャイン

 ビークス

 ルアン

 ローズ





「な、なんで皆が揃ってるの? タイガー種を滅ぼすのはハーヴェンが戻ってきてからだよ?」


「そんなことは分かってるわよ。でも皆もピンときたのよ、たぶん……」


「……よく分からないけど、防壁の前で雑魚と戦うだけなのになぁ」


 シルルンはぶつぶつ言いながら防壁の上から跳び下りて防壁の前に下り立ち、ペット達や仲間達も続く。


「マスター、防壁の護りはカティンとキルに任せました」


「うん、それはいいけど、ここで戦うから意味がないと思うけどね……」


「あれは何デチュか!?」


「動きが遅いデチ!!」


 プルルとプニニの視線の先には1メートルほどのカタツムリの様な魔物がゆっくりと密林の奥へと進んでいた。

 

 しかも殻の柄が虎柄のカタツムリだ。


「追いかけるデチュ!!」


「トントン突撃デチ!!」


 プルルはピョンピョン跳ねてカタツムリの魔物を追いかけ、プニニもトントンの肩に跳び乗り後を追いかける。


「ま、待つデシ!!」


 それを慌ててプニが追いかけた。


「ほら、やっぱりこうなるのよ」

 

 リザがジト目でシルルンを見ながら言った。

 

「えっ、何の話なの?」

 

「私達が揃ってる理由よ。このタイミングを逃したらタイガー種の討伐は終わってたってことになると思って皆はここに集まったのよ」


「いや、ハーヴェンと合流してからでないとタイガー種の縄張りには攻め込まないよ?」


「だけど、プルル達を追いかけるんでしょ?」


「まぁ、そうなるね」


「だったら、その過程でたぶん、ハーヴェンと合流する流れになるのよ」


 リザはしたり顔でそう言って、後ろにいる仲間達も頷いている。


「あはは、まるで預言者みたいだね」


 踵を返したシルルンはゆっくりと歩きだしてプルル達を追いかける。


 プルルはカタツムリを追いかけて、その背に跳び乗った。


「どこ行くデチュか? 一緒に遊ぶデチュ!!」 


 だが、カタツムリは霧を放ってカタツムリの周りは緑色の霧に包まれた。


「何デチュかこれは?」


 唐突に周辺が霧に包まれ何も見えなくなったプルルはキョロキョロと辺りを見回している。


「……い、痛いデチュ!? 痛いデチュ!! 痛いデチュ!! ぁああああぁぁぁあああああああああぁぁあああぁ!!」


 カタツムリの背中から転げ落ちたプルルは身体中から血を噴出してのたうち回っている。


「プ、プルルが大変デチ!!」


 トントンは霧が発せられた瞬間にバックステップで回避しており、難を逃れていた。


「このカタツムリはレッサー スネイルタイガーデシ!! 『毒霧』を持ってるデシ!!」


「キュア」


 トントンはのたうち回るプルルを追いかけてキュアの魔法を唱えて、プルルの毒が浄化される。


「……い、痛くなくなったデチュ」


 ピタリと動きを止めたプルルは戸惑いながらも起き上がった。


「トントンがキュアの魔法で毒を浄化したからもう大丈夫デチ!!」


 プニニは自分の手柄のようにしたり顔で言った。


「……トントンありがとデチュ!!」


 目に涙を浮かべたプルルは素直に礼を言った。


「ん? 何かあったの?」


 プルル達に追いついたシルルンがプニに尋ねた。


「プルルがレッサー スネイルタイガーの毒霧をくらって危なかったデシが、トントンが治したデシ」


 その言葉にプルはピクッと体を反応させた。


「へぇ、トントンやるねぇ……それにしても気味悪いカタツムリだね」


 レッサー スネイルタイガーは動きを止めていたが反転してゆっくりと近づいてきた。


 それを見たプルルは一目散に逃げ出してプルの後ろに隠れた。


「ぶちのめしてやるデス!!」


 プルはゆっくりと浮き上がり、ふわふわと飛行してレッサー スネイルタイガーに近づいていく。


「あ、あぶないデチュ!!」


 プルルは驚いたような顔をして思わず声を張り上げた。


 ゆっくりと近づいてくるプルにレッサー スネイルタイガーは『毒霧』を吐きかけ、プルは緑色の霧に包まれた。


「毒霧デチュ!! パパを早く治してほしいデチュ!!」


 プルルはシルルン、プニ、トントンに視線を向けて訴えた。


 だが、プルは空気を大量に吸い込んで体を巨大化させて一気に空気を放出し、毒霧は一瞬で四散した。


「そんなものは効かないデス!!」


 その言葉にプルルは雷に打たれたように顔色を変えた。


 プルは『能力軽減』『能力防御』さらには『毒耐性』を所持しているので能力はほとんど効かないのである。


「くらうデス!! ビリビリスクリューパンチデス!!」


 プルが放った電撃を纏ったパンチは、レッサー スネイルタイガーの顔面に直撃してその体をも貫き、感電して黒焦げになったレッサー スネイルタイガーは即死したのだった。


「……すごいデチュ!! パパはつおいデチュ!!」


 その雄姿を目の当たりにしたプルルは目を輝かせて大はしゃぎだ。


 この戦いを怒りに身を震わしながら見守る何者かの目があった。


 その何者かの手帳ブラックリストにはスネイルタイガー種と書かれており、その横には×のマークが書かれていた。


 ×のマークの意味は皆殺しである。


「じゃあ、この辺りで弱い魔物を探そうかな」


「シルルン様、私達にご指示をお願いします」


「う~ん、指示と言っても雑魚と戦うだけだからなぁ……じゃあ、もしハイ タイガーが現れたらシャイン達が相手をしてよ」 


「はっ」


「このメンバーだとルアンだけが通常種だからルアンを優先的に戦わせてレベルを上げてほしいんだよ」


 シャイン達は無言で頷いた。


「で、タイガーが現れたらリザ達が相手をして、指揮はメイ」


「分かりました」


 メイは神妙な顔でそう返し、仲間達も頷いた。


「レッサー タイガーと雑魚は僕ちゃん達が倒すよ。まぁ、防壁に沿って移動するからシャイン達やリザ達の出番は少ないと思うけどね」


 そういってシルルンは東へと歩き出し、仲間達も追従していく。


 しばらく歩いていくとシルルン達は魔物を発見する。


「あれは虎デス!! レッサー タイガーデス!!」


 プルは後姿を見てそう判断したが、気配を察知した魔物が振り返ると見た目は狼だった。


「何か顔が違うような気がするデス……」


「あれはレッサー ウルフタイガーデシ!! 初めて見るデシ!!」


 気になったシャインはレッサー ウルフタイガーを見て嫌そうな顔をした。


「あはは、さっきのカタツムリも虎柄だったけど狼まで虎柄なんだ」


 レッサー ウルフタイガーはシルルン達を見たからというより、その数を見て怯えて後ずさる。


「おっと、逃がさないよ」


 シルルンは『念力』でレッサー ウルフタイガーの動きを止めると同時に「姿を消してグリーとグーラから『虚弱』を奪ってレッサー ウルフタイガーに譲渡しろ」とプニに思念で命令する。


 プニは頷いてインビシブルの魔法を唱えて姿を消して、『略奪譲渡』でグリーとグーラから『虚弱』を奪い、テレポートの魔法を唱えてレッサー ウルフタイガーの背後に出現して『虚弱』を譲渡し、再びテレポート魔法を唱えてシルルンの肩に帰還してからインビシブルの魔法を解除した。


 急に動けなくなるのと同時に体から急激に力が抜けていくような感覚を覚えたレッサー ウルフタイガーは、戸惑うような表情を浮かべている。


 それに対してグリーとグーラは重くダルかった体が嘘のように軽くなり、目をパチクリさせている。


「よし!! じゃあ、まずはうさポンの出番だね」


 シルルンはプニの頭を優しく撫でながら、ゆっくりとレッサー ウルフタイガーに近づいていく。


 プニはとても嬉しそうだ。


 シルルンは首の後ろにしがみついているうさポンを左手で掴んでレッサー ウルフタイガーの前に置いた。


「ガルルルッ!!」


 レッサー ウルフタイガーが『威嚇』し、うさポンは目を剥いて驚愕した。


「ポ、ポポポポンッ!!」


 大慌てで身を翻したうさポンは凄まじい速さでシルルンのシャツの中に逃げ込んで震えている。


「え~~っ!? 相手は動けないのになぁ……」


 シルルンはシャツの中で震えているうさポンを撫でながら苦笑する。


「じゃあ、フィン、グリー、グーラが攻撃」


 3匹は頷いて一斉に突撃して、動けないレッサー ウルフタイガーを攻撃する。


 だが、グリーとグーラの攻撃ではレッサー ウルフタイガーにダメージを与えることはできなかった。


「う~ん、守備力70だから結構、硬いねぇ……」


 しかし、シルルンはフィン達に特にアドバイスはしなかった。


 フィンはグリーとグーラの戦いをしばらく眺めていたが、レッサー ウルフタイガーの背後に回って嘴で攻撃した。


「ギャアンッ!?」


 余裕の表情を浮かべていたレッサー ウルフタイガーの表情が一変し、険しいものになるが動けない。


 フィンはさらに前脚の爪の一撃を叩き込むとレッサー ウルフタイガーは断末魔の叫びを発して力尽きた。


「あはは、よくやったよ」


 シルルンは戻って来たフィン達の頭を優しく撫でる。


 フィン達はとても嬉しそうだ。


「よし、この調子でどんどん倒していこう」


 シルルン達はさらに東に向かって進んでいくのだった。

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レッサー スネイルタイガー レベル1 全長約1メートル

HP 200

MP 10

攻撃力 40

守備力 90

素早さ 5

魔法 無し

能力 毒 酸 毒霧



レッサー ウルフタイガー レベル1 全長約1メートル

HP 200

MP 50

攻撃力 100

守備力 70

素早さ 60

魔法 無し

能力 統率 威嚇 以心伝心 毒牙 毒爪


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